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第一種住居地域とは?高さ制限などの建築制限やまちの特徴を紹介

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2024-02-05
基礎知識

第一種住居地域は都市計画法で定められた用途地域の一つで、住環境を守るための地域です。建てられる建物の大きさや種類は用途地域によって決まっているため、住宅を建てる際は、第一種住居地域の特徴をしっかり理解しなければいけません。今回は、第一種住居地域に注目し、まちの特徴、高さ制限や日影規制、建ぺい率や容積率などの建築制限、第二種住居地域との違い、メリット・デメリットなど、第一種住居地域について詳しく解説します


第一種住居地域とは?


第一種住居地域は用途地域の一つであり、住環境を保護するための地域のことを指します。用途地域とは、都市計画法により土地の使い方に関するルールが定められたエリアのことです。


第一種住居地域は13種類ある用途地域のうち、街の雰囲気や住環境を守る目的で行政に指定された地区となります。


用途地域は、下記のように「住居系」「商業系」「工業系」で区分されています。

住居系(8地域)
商業系(2地域)
工業系(3地域)
  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • 第一種住居地域
  • 第二種住居地域
  • 田園住居地域
  • 準住居地域
  • 近隣商業地域
  • 商業地域
  • 準工業地域
  • 工業地域
  • 工業専用地域


用途地域については、不動産を売買する際には、不動産重要事項説明書の「建築基準法に基づく制限」という項目で必ず説明しなければならない内容とされています。


参考:国土交通省:「建築基準法(集団規定)」

【関連記事】用途地域とは?検索の仕方や13種類の特徴。住宅建築時のポイントも解説


第一種住居地域の特徴


第一種住居地域は住宅・店舗・工場等が混在するエリア

第一種住居地域は、住居環境を保護するための地域ですが、多くの住宅が建つ中に、飲食店などの「商業施設」や「工場」、学校や病院などの「公共施設」が混在する地域です。住居専用地域ではないため、一戸建てやマンションなどの近くに、3000㎡までの飲食店や事務所、工場やホテルなどがあるのが、このエリアの特徴といえるでしょう。


第一種住居地域は、あくまでも快適な住環境を守る地域のため、建築できる建物を制限する「用途制限」があります。「建てられる建物」と「建てられない建物」は以下の通りです。

建てられる建物(◯)
建てられない建物(✕)
  • 住宅
  • 共同住宅(マンション等)
  • 寄宿舎
  • 下宿
  • 兼用住宅
  • 3000㎡以下の店舗や事務所
  • 3000㎡以下のボーリングや水泳場などの運動施設
  • 3000㎡以下のホテルや旅館
  • 学校
  • 図書館
  • 病院
  • 神社、寺院、教会
  • 50㎡以下の危険性や環境を悪化させるおそれが非常に少ない工場
  • 作業場床面積が50㎡以下の自動車修理工場
  • 3000㎡以下の畜舎
  • 3000㎡以下で火薬や石油等の危険物の貯蔵・処理の量が非常に少ない施設など
  • 3000㎡を超える店舗や事務所
  • マージャン・パチンコ屋
  • カラオケボックス
  • 劇場、映画館
  • 馬券、車券発売所
  • キャバレー・ナイトクラブ
  • 倉庫業倉庫
  • 3000㎡を超えるの自家用倉庫など


住宅以外の建物が混在している地域とはいえ、映画館や劇場などの人が集まる施設や、ナイトクラブなどの風俗営業に係る施設、危険性や環境を悪化させる恐れのある工場などの建築はできません。


参考:東京都都市整備局「用途地域による建築物の用途制限の概要」


同じ第一種住居地域でも固定資産税が高くなる可能性も

土地や建物などの不動産を所有していると、土地と建物それぞれにかかる固定資産税という税金を支払わなければなりません。

固定資産税は、所有する土地や建物の評価額(課税標準額)に標準税率を掛けて算出されます。固定資産税の計算に使用される評価額は、商売をすることで利益を上げられる商業系地域ほど高くなる傾向にあります。つまり、同じ第一種住居地域内でも、駅や幹線道路沿いの方が評価額が上がると同時に、固定資産税も高くなる可能性があることを知っておきましょう。


第一種住居地域と他の用途地域の違い



13種類ある用途地域の中には、第一種住居地域と名称の似た地域があります。ここでは、「第二種住居地域」や「第一種低層住居専用地域」について、第一種住居地域との違いをご紹介します。


第二種住居地域と第一種住居地域の違い

第二種住居地域も第一種住居地域と同様に住環境を守る地域ですが、第一種住居地域に比べて、建築に関しての用途制限が緩い地域になります。基本的に第一種住居地域では建築できないパチンコ屋やカラオケボックス、勝馬投票券発売所などの遊戯施設も建築でき、店舗や事務所の割合も高いようです。第一種住居地域では禁止されている、10,000㎡を超える店舗の建築も可能です。


第一種住居地域と第二種住居地域にそれほど違いはないともいわれますが、店舗などが増えれば必然的に人が集まり、利便性も向上するため、場所によっては景観や雰囲気が大きく異なることもあります。住宅に特化した第一種住居地域に比べて騒音が気になるといったこともあるかもしれません。土地を購入する際には、実際に現地へ趣き、まちの様子を確かめることが大切です。


第一種低層住居専用地域と第一種住居地域の違い

住環境を良好に保つ目的が大きい「第一種低層住居専用地域」は、第一種住居地域に比べて建物の大きさや高さを決める法規制が厳しいエリアです。低層住宅のための地域なので、小規模なお店や事務所をかねた住宅は建てられます。建物の密集度が低く、庭などの緑地帯も多い閑静な住宅街のようなエリアですが、近くに病院やコンビニなどの買い物施設がないため、不便を感じる場面もあるかもしれません。


【関連記事】第一種・第二種低層住居専用地域とは?高さ制限など建築時のポイントを解説


第一種住居地域に関する用途制限


高さ制限や日影規制

用途地域では、いくつかの規制によって建てられる建物の高さが制限されていますが、第一種住居地域は、住居専用地域に比べると規制が緩やかです。建物の高さ制限や日影規制が厳しくないため、建築する際の自由度が高く、戸建てやマンションが密集しているようなエリアが形成されていることも多いです。


第一種住居地域の建物の「高さ制限」については、「道路斜線制限(道路の通風や採光を確保するための制限)」と「隣地斜線制限(隣の敷地の通風や採光を確保するための制限)」という2つの規制が適用されます。具体的には以下のような条件で高さが制限されます。



道路斜線制限
適用距離
20m・25m・30m・35m
傾斜勾配
1.25倍または1.5倍以下



隣地斜線制限
立ち上がり
20mまたは31m
勾配
1.25倍または2.5倍


建物の高さの上限を制限する「絶対高さ」や北側に建つ建物の採光を確保する「北側斜線制限」については規制がありません。


ただし、地方公共団体が条例で指定する区域においては「高さ10mを超える建築物」に対して、「日影規制」(近隣の敷地の日照を確保し、住環境を保護するためのルール)の適用があり、建物の高さが制限されます。


参考:国土交通省「住宅団地の再生に関係する現行制度について」

【関連記事】日照権とは?トラブル事例や日当たりの良い家を建てる工夫


第一種住居地域は何階まで建てられる?

前述のように、第一種住居地域は規制が緩やかなため、建築の自由度が高く「高層マンション」や「3階建て」なども建築可能です。


ただし、「隣地が近い」「道路幅が狭い」などといった理由で、道路斜線制限や日影規制が関わってくる場所もあるため注意が必要です。特に3階建て住宅を建てたい場合は、建築可能かどうか住宅のプロである建築士やハウスメーカーに確認するとよいでしょう。


第一種住居地域の建ぺい率(建蔽率)・容積率


「建ぺい率・容積率」とは、土地に対して建てられる建築物の大きさの上限を示す数値のことです。第一種住居地域の建築制限は厳しくないため、住居専用地域に比べると土地を有効に活用できるでしょう。


第一種住居地域の建ぺい率や容積率は、地域ごとの都市計画により、以下のように定義されています。


建ぺい率(建蔽率)



「建ぺい率」とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことで、第一種住居地域は50%・60%・80%のいずれかのうち、都市計画で定められています。


建ぺい率は、各地域ごと土地や建物の条件により、緩和条件があります。例えば角地の場合、前面道路の幅員や角度、道路に接する長さなどの条件が揃えば、建ぺい率を10%上乗せできます。もし土地も購入する予定がある方は、緩和措置の有無を不動産会社などに確認するとよいでしょう。


【関連記事】建ぺい率とは?計算方法や容積率との違いをわかりやすく解説!


容積率



「容積率」とは、敷地面積に対する延床面積の割合のことで、第一種住居地域は100%・150%・200%・300%・400%・500%のいずれかのうち、都市計画で定められています。


容積率は、地域ごとに決められた割合がそのまま適用されるわけではなく、敷地の前面道路の幅により左右されることも把握しておきましょう。


ただし、敷地の前面道路の幅員が12m未満の場合は「道路の幅員に係数0.4を掛けた容積率」と「指定された容積率」のうち、小さいほうが適用されます。また、たとえ建ぺい率と敷地の広さが同じでも、容積率によって建築できる家の大きさは変わることも知っておきましょう。


第一種住居地域に暮らすメリット・デメリット


第一種住居地域のメリット

住宅を建てる場合、その土地の住環境について事前に把握しておきたいですよね。ここからは、第一種住居地域のメリットをご紹介します。


飲食店やスーパーが近くにあるなど、利便性がよい

第一種住居地域は、一戸建てやマンションの近くに、飲食店やスーパーが立ち並ぶ、生活する上で利便性がよいエリアです。主要道路へすぐ出られる幹線道路も近いため、車や電車での通勤や買い物に便利な環境といえるでしょう。


夜間でもまちが明るく、防犯上の安心がある

夜間まで営業している店舗が近隣にあることで、人や車の往来が多いこともメリットです。まちや外灯の明かりが暗い夜道を照らしてくれるので、帰宅が遅くなった場合でも安心感を持てるでしょう。


第一種住居地域のデメリット

ここからは、第一種住居地域のデメリットをご紹介します。


日影が多くなりやすい

第一種住居地域は、高さ制限や日影制限が厳しくないため、住居専用地域に比べると、敷地の日当たりが悪くなる場合もあります。住み始めてから隣地にマンションやホテルが建つことで、日当たりが悪くなってしまうケースも考えられるでしょう。日影規制は、自分の敷地ではなく隣接する敷地の規制が適用される可能性がある点も理解しておきたいですね。


人や車の出入りが多く、騒音が気になる場合もある

防犯上はメリットといえる「人や車の往来」が、デメリットと感じられる場合もあります。賑やかなエリアになるため、赤ちゃんのいる家庭など静かな環境で暮らしたい方は、騒音が気になる場合もあるでしょう。土地購入の際は、事前に周辺環境も確認しておくことが大切です。


土地購入前に第一種住居地域の特徴を知っておこう


住環境を保護するための地域である「第一種住居地域」の特徴や、高さ制限や日影規制、建ぺい率や容積率などの建築制限に加え、暮らす上でのメリット・デメリットをご紹介しました。第一種住居地域は、住宅の近くに飲食店やスーパーなどが立ち並ぶ、利便性と居住性のバランスに優れた地域といえるでしょう。


一方、日当たりや騒音などのデメリットがあることも、理解しておく必要があります。大手ハウスメーカーでは、土地に合わせた家づくりをしっかりサポートしてくれます。用途地域の特徴をしっかり把握し、納得した上で土地を購入したいですね。

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