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容積率には前面道路の幅員が影響する?制限と緩和について解説

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2025-04-10
基礎知識
土地に対してどれくらい大きな家を建てられるかを示す割合である、容積率。その容積率が、前面道路の幅員によって制限される場合があることをご存知ですか。マイホームの購入や新築を検討している方の中には、この前面道路と容積率の関係性について知りたい方もいるのではないでしょうか。

今回は、前面道路から受ける容積率の制限や、緩和される場合についてご紹介します。


容積率とは?



容積率とは、端的に言うと「その土地に建築できる建物の延床面積を定めたもの」です。建てられる家のサイズは、土地の大きさと容積率に基づいて決まります。そのため、家を建てるときは容積率の確認もしなければなりません。


容積率には都市計画により定められた「指定容積率」があり、用途地域ごとに50~1300%の範囲で制限されています。さらに前面道路の幅が12m未満の場合、「基準容積率」に応じた制限も受けるため、注意が必要です。


容積率は「前面道路の幅員」によって制限・緩和される



容積率は「前面道路の幅員」と深い関係があり、前面道路の幅員によって、容積率が制限されるケースと緩和されるケースが存在します。土地を選ぶ際は、その土地の容積率だけでなく、前面道路の幅員についても必ず確認しましょう。


前面道路の定義



前面道路とは、建築基準法で認められた道路で、敷地に2m以上接するものを指します。住宅を建てる際は、最低でも1つの前面道路が敷地に接している必要があります。その場合の前面道路の幅員は、通常4m以上です。


【角地の場合】幅が広い方の道路が基準になる

角地のように複数の道路に面している場合は、幅員の広い方の道路を前面道路として計算の基準にすることができます。なお、広い方の道路の幅員も12m未満の場合は、前面道路の幅員による容積率の規制について留意しなければなりません。


前面道路の幅員による容積率の制限



前面道路の幅員による容積率の制限は、道路の幅が12m未満、もしくは4m未満でそれぞれ制限の内容が異なります。ここではそれぞれのケースについて見ていきましょう。


前面道路の幅員が12m未満の場合

前面道路の幅員による容積率の制限は、幅員が12m未満かどうかで異なります。前面道路の幅員が12m未満の場合、特定の制限がかかります。その場合の容積率は、前面道路の幅員に低減係数を乗じた数値が適用されます(建築基準法第52条第2項)


用途区分用途地域前面道路の幅員による容積率限度
住居系の地域
  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 田園住居地域
前面道路の幅員 × 0.4
住居系の地域
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • 第一種住居地域
  • 第二種住居地域
  • 準住居地域
前面道路の幅員 × 0.4(※)
(※特定行政庁が指定する区域では0.6)
住居系以外の地域近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域、工業専用地域前面道路の幅員 × 0.6(※)
(※特定行政庁が指定する区域では0.4または0.8)


地区ごとに定められている指定容積率、もしくは前面道路幅員による容積率限度のうち、低い方が容積率の上限となります。例えば、指定容積率が200%の土地でも、前面道路の幅員が4mの場合、容積率限度は「4m×0.4×100=160%」となり、容積率はより厳しい160%の方が適用されます。


前面道路の幅員が4m未満の場合



前面道路の幅員が4m未満の場合、「セットバック」が求められます。セットバックとは、道路の境界線から敷地を後退させること。セットバックした部分は、実際の敷地面積からは除外され、道路として扱われます。これにより、結果として容積率に制限が生じる形となります。


容積率が緩和される!特定道路に接する場合の特例


※加算値=(12-前面道路幅員)×{(70-特定道路までの距離)÷70}


前面道路の幅員による影響は制限だけではありません。容積率が緩和される特例もあります。この特例は、「前面道路の幅員が6m以上12m未満であり、幅員15m以上の特定道路が敷地から70m以内にある場合」に適用されます。特定道路までの距離に応じて容積率を加算することができるため、容積率が緩和されることになります。


土地に接する前面道路の幅員が狭くても、大きな道路にすぐに出られる場合は容積率が緩和されるという理解でよいでしょう。


家づくりではさまざまな建築制限がある



容積率と前面道路の幅員による制限について解説してきましたが、家を建てる際には前面道路以外にも考慮しなければならない建築制限があります。以下はその一例です。


北側斜線制限前面道路の通風や採光を確保するための制限
道路斜線制限前面道路の通風や採光を確保するための制限
隣地斜線制限隣の敷地の通風や採光を確保するための制限
日影規制土地周辺の日照を確保し、住環境を保護するための制限
絶対高さ建物自体の高さ制限


各種建築制限に違反すると「建築違反物件」として扱われ、住宅ローンを組めなくなる可能性もあるので注意が必要です。家づくりに取り組む際は、容積率だけでなくさまざまな建築制限についても確認しておきましょう。


【関連記事】建ぺい率とは?計算方法や容積率との違いをわかりやすく解説!


容積率の制限を考慮した家づくり|大手ハウスメーカーの実例



容積率の制限を活かした家づくりも可能です。ここではセットバックを中心に大手ハウスメーカーの実例をご紹介します。


セットバックを活かした間取りで採光を確保する

セットバックを活かした間取りを提案してくれるハウスメーカーがあります。通りから大きくセットバックし、コの字型の間取りを配置。中庭の奥に玄関を設け、隣接する賃貸マンションや中庭タイルに光を反射させて採光を確保しています。セットバックの必要がある土地でも、間取り次第で制限を活かしたマイホームになりそうですね。


セットバックと外構デザインでプライバシーを守る

同じくセットバックを活かした事例があります。こちらの事例は、敷地の前に幹線道路が通り、周辺には神社や公園があるなど人通りが多い立地でした。建物を大きくセットバックし、さらに植栽と外構デザインを工夫することでプライバシーをしっかり確保。人の目を気にせず、安心して暮らせる家となりました。プライバシー確保の観点からも、セットバックを活かした家づくりができそうです。


【関連記事】大手ハウスメーカーの特徴を一覧で比較!工務店との違いやおすすめポイント


容積率と前面道路の関係性を理解して理想の家を建てよう



容積率と前面道路の関係性について解説しました。マイホームを建てるうえで避けては通れない容積率。前面道路の幅員によって、容積率が制限されると理解しておくことが大切です。


家づくりではその他にも考慮しなければならない建築制限があるため、悩んだらハウスメーカーの担当者に相談してみましょう。容積率と前面道路の関係性を理解して、理想の家が建てられるとよいですね。

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