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防犯に強い家づくり。安心して暮らせる間取りや設備を選ぶポイント

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2025-05-28
基礎知識
防犯に強い家づくりは、家族の安全と安心を確保するために重要な要素です。新しい家づくりを検討する中で、狙われにくい構造や防犯設備が気になっている方もいるでしょう。

今回は、住宅の防犯が重要とされる理由や狙われやすい家の特徴のほか、防犯に強い家にするための設計ポイントや防犯設備などの具体的な対策を詳しく解説します。土地選びの段階でできる防犯対策もご紹介しますので、これから新築の注文住宅を検討される方は、ぜひ参考にしてください。


防犯に強い家とは



防犯に強い家とは、空き巣や侵入者からご家族の安全を守り、安心して暮らせる住まいのことです。犯罪被害を防ぐ効果を高めるためには、侵入者が入るのをためらうような、高い防犯性能を持つ家づくりが大切です。そのためには、単に鍵をかけるだけでなく、建物の間取りや設備、さらには周辺環境まで含めた、総合的な対策を講じる必要があります。


家づくりで防犯対策が大切な理由



住宅への侵入窃盗は、住む人の安全を脅かすだけでなく、精神的な不安や経済的な損失をもたらす可能性があります。こうした侵入被害からご家族を守るためには、犯罪者に狙われにくい家づくりが不可欠です。

新築住宅は、最新の防犯対策を取り入れる絶好の機会です。設計の初期段階から防犯に配慮した間取りや設備を導入することで、より効率的かつ効果的に、防犯に強い安全な住まいを実現できます。


空き巣や強盗などは一戸建てが最も多い

警察庁の犯罪統計によると、侵入犯罪は一戸建て住宅で最も多く発生していることが明らかになっています。2023年のデータでは、窃盗の30.5%、強盗の20%を一戸建てが占めています。

この背景には、一戸建てが周囲からの目が届きにくく、侵入経路がマンションなどに比べて多様であるという構造的な特徴が一因と考えられます。

侵入窃盗の手口は年々巧妙化しており、留守中の「空き巣」や、在宅中の「忍び込み」「居抜き」など、その種類も多様化しています。近年では「闇バイト」による強盗事件も発生しているため、防犯の重要性がより高まっているといえるでしょう。



犯行手口から学ぶ!狙われやすい家の特徴



侵入者は、犯行のリスクを最小限に抑え、短時間で確実に目的を達成するため、侵入しやすい家を狙って犯行におよぶことが多いです。狙われやすい家には、いくつかの共通点があります。


1.防犯対策が不十分

玄関の鍵が1つだけ、窓の外から施錠状態が見えやすいなど、住人の防犯意識が低いとみなされる家は、侵入されるリスクが高まります。


2.外から中の様子が見えにくい

高い塀や生垣の庭木、物置などで死角が多い家も、侵入者に狙われやすくなります。一度家の敷地内に侵入すれば、外から人の視線が届きにくいため、窓の破壊や鍵の開錠がしやすいためです。特に、人通りの少ない場所にある家は、より周囲の目を気にせず犯行に及ぶことができるため、侵入リスクは高まるでしょう。


3.留守だとわかりやすい

新聞や郵便物が溜まっている、洗濯物が長時間干しっぱなし、夜遅くまで照明が点いていないなど、留守だと把握されやすい家は、狙われやすい傾向にあります。


4.周辺の音が大きい

繁華街や工場が近い、近隣で工事をしているなど、騒音が多い地域や、線路や幹線道路沿い、飛行場の近くなどの騒音対策で二重窓になっている家は注意が必要です。周辺で大きな音がしていると、窓を割るなどの音が聞き取りづらく、侵入に気づきにくいためです。

上記の特徴は、侵入者に「この家は侵入しやすい」と合図を送っているようなもの。狙われにくい防犯住宅にするには、これらをできるだけなくし、侵入者を寄せつけない環境づくりが大切です。


防犯に強い家の間取り設計のポイント5つ



防犯性能を高め、安全な住まいを実現するためには、間取りの工夫が効果的です。以下では、防犯に強い家の間取り設計のポイントを5つご紹介します。


1.出入り口を減らして侵入経路を限定する

出入り口の数を最小限に抑え、侵入者が入り込める経路を制限することで、「防犯に強い家」へと一歩近づきます。

特に、勝手口や裏口など、普段から利用頻度が低く、目が届きにくい場所の出入り口は、防犯上のリスクが高いと考えられます。そのため、侵入口となりやすい出入り口をなくす、もしくは防犯性を高めたドアに交換するなどの対策が効果的です。最近は、防犯性を考慮して設置しない方も増えているようです。


2.窓やバルコニー周りに足場となるものをつくらない

窓やバルコニー周辺の環境を整えることは、防犯性を高めるのに有効です。侵入者が高所から侵入するリスクを減らすため、窓やバルコニーの近くには、足場となるエアコンの室外機や物置などを置かないようにしましょう。雨どいも泥棒にとって格好の足場になりえるため、壁から十分に離したり、侵入経路になりにくい場所に設置したりするなど工夫が必要です。


3.窓の大きさや配置を工夫する

窓の設計段階から防犯対策を考慮することで、より安全な住まいを実現できます。大きな窓は開放感を与えますが、同時に侵入者にとっては侵入しやすくなるという側面があります。死角になっている場所の窓は小さくし、高窓や天窓にすることで、窓からの侵入を難しくできます。

必要に応じて、窓ガラスを強化ガラスや防犯フィルムで補強したり、面格子や補助錠などを導入したりすることで、セキュリティーを強化することを検討しましょう。


4.オープン外構または塀のデザイン・植栽で工夫する

外構のデザインは、家の外観だけでなく、防犯にも大きく影響します。


オープン外構の場合

フェンスや塀を設置していないオープン外構は、外から出入りしやすいという点では侵入は容易ですが、周囲からの視線が多く、隠れる場所が少ないため、侵入者にはかえって敬遠されるというメリットがあります。長期にわたって家を開ける場合などに備え、不審者を目撃した際は知らせてもらうなど、近所の方とは協力し合えるような良好な関係性を築いておくことが大切です。


塀やフェンスの場合

塀やフェンスは、侵入者を阻むための重要な防犯設備です。しかし、デザインによっては足場に利用されるなど、逆に侵入を助ける可能性もあるため、デザインだけでなく、防犯の観点から選ぶことが大切です。

強度が高く、耐久性のある素材で、手や身体が入らない程度の狭い間隔の縦格子や、下部がオープンになっているもの、乗り越えにくいように上部が剣先のように尖っているものや曲がっているものなどは、防犯効果が高くおすすめです。


植栽を設ける場合

植栽は、バラなどの棘のある植物の生け垣や、乗り越えにくい高さの木などを組み合わせることで、より一層の防犯効果が期待できます。ただし、植物の手入れを怠り、人の背丈以上の高さで枝が密になってくると、かえって周囲から中が見えにくくなってしまうため、定期的な手入れは不可欠です。また、2階からの侵入を防ぐため、窓際に近い場所に植えるのは避けましょう。



5.防犯性の高い形状の庭にする

中庭にすると、家の周囲に侵入者の隠れ場所になりえる死角が少なくなるため、プライバシーを確保しながらも、防犯性を強化できます。

中庭の形状にもよりますが、道路に面している部屋の窓は極力小さくするか減らし、開放的な大きな窓は中庭に面した部屋に設けるのが防犯対策としては効果的です。特に「ロの字形」の家は、外からは中庭があるかどうかもわかりにくいため、高い防犯性と開放感を両立できます。


新しい家づくりで取り入れたい防犯設備



新築住宅では、建築のタイミングで最新の防犯設備を取り入れやすく、犯罪リスクをさらに低減できます。ここでは、安心して暮らせる家づくりにおいて取り入れたい防犯設備をご紹介します。


照明:センサーライト、スマートライト

「センサーライト」は、人感センサーが人や動物の動きや熱を検知して自動的に点灯する照明器具です。不審者が近づくと急に明るくなるため、心理的なプレッシャーを与え、侵入を躊躇させることができます。比較的手軽に導入できるため、玄関や勝手口、ガレージなど外部から侵入しやすい場所や、庭の死角になる場所、暗くなりがちな通路への設置を検討してみましょう。

外出先からスマートフォンのアプリで操作が可能な「スマートライト」は、外出先からでも家のライトのオン・オフを操作できます。留守中に外出先からライトを点灯させたり、タイマー機能を使って規則的に照明を点滅させたりすることで人がいるように見せかけることができます。


鍵:ワンドア・ツーロック、ディンプルキー、スマートロック

家の入口である玄関ドアや勝手口の鍵は、防犯対策において非常に重要な役割を果たします。そこで、防犯性能を高めるのに有効な設備を確認しましょう。


ワンドア・ツーロック

「ワンドア・ツーロック」とは、1つのドアに2つの鍵(錠)を取りつけることで、「ダブルロック」「二重ロック」とも呼ばれます。泥棒は、複数の鍵を開けなければならず、侵入に時間がかかるため、犯行を諦めやすくなります。警察庁のデータでも、侵入に5分かかると、約7割の泥棒が犯行を諦めることがわかっています。

不審者には、「しっかり防犯対策をしている家」という印象を与えることができるため、狙われにくくなる効果も期待できます。


ディンプルキー・スマートロック

ディンプルキーやスマートロックといった、最新の鍵(錠)を導入することでも、防犯性能を高めることができます。

「ディンプルキー」とは、鍵の表面に多数のくぼみ(ディンプル)がある構造の鍵のこと。この複雑な構造により、複製が難しく、ピッキングに強いという特徴があります。

「スマートロック」は、ICカードやスマートフォン、暗証番号などを使って施錠・解錠を行える最新のシステムです。鍵を持ち運ぶ必要がなく、オートロックで自動的に施錠できるので、鍵の閉め忘れを防ぎます。遠隔操作で子どもの帰宅時間に合わせて玄関を開けるなどの便利な機能も魅力です。


窓:防犯ガラス、フィルム、シャッター

窓は、侵入者が狙いやすい箇所の一つです。窓から侵入する、ガラス破りを防ぐためには、2枚のガラスの間に特殊中間膜を挟んだ構造で、通常のガラスに比べて割れにくい「防犯ガラス」の設置が効果的です。

もともとは防犯性能がない複層ガラスの窓でも、防犯性の高い建物部品であることを示す、CPマーク認定の防犯フィルムを有資格の専門業者に貼ってもらうことで、強化可能です。加えて、窓全体を覆うことができるシャッターを取り付ければ、物理的な侵入を防ぐだけでなく、台風などの災害対策にもなります。

ただし、防犯ガラスと混同されがちな「強化ガラス」や「網入りガラス」は、どちらも防犯対策としては不十分なので注意が必要です。防犯対策を目的とするならば、防犯性能の高い「防犯ガラス」を選択しましょう。


外構:防犯砂利

庭や玄関周りなどの外構に「防犯砂利」を敷くのも効果的な対策の一つです。防犯砂利は、一般的な砂利よりも大きな音が鳴るよう加工されています。音の大きさは敷いた厚みや場所によって異なりますが、その足音により不審者の接近をすぐに察知できます。大きな音が鳴ることで、侵入者は心理的にプレッシャーを感じ、侵入をためらいがちになります。

さまざまな色や素材の防犯砂利が販売されているので、庭のデザインに合わせて好みのものを選べるとよいですね。


土地選びでできる防犯対策



新築住宅を建てる際には、間取りや設備だけでなく、防犯対策を考慮した土地選びも重要です。以下のポイントを参考に、安全性の高い土地を選びましょう。


1.周囲環境を確認する

一見、治安がよいとされる地域でも、候補地の周辺環境は事前にしっかりと確認しましょう。上述のとおり、大きな音を出す施設や工場の近く、幹線道路や鉄道の線路に近い場所は、騒音が大きく、窓ガラスを割る音がしても気づきにくいので注意が必要です。

また、大きな公園やショッピングモールの駐車場近くは、人が多く、長時間いても怪しまれないため、侵入者が下見しやすい場所となっています。そういった場所に家を建てる場合は、死角を少なくして、人の出入りや洗濯物が見えにくい間取りにする、防犯カメラを設置するなど、より強固な防犯対策を講じた設計を検討しましょう。


2.極端に人通りの少ない・多い場所は避ける

人通りの多さは、防犯に大きな影響を与えます。日中に人通りの少ない場所は、閑静な住宅地であっても空き巣に入られやすい環境といえるでしょう。

反対に、繁華街や駅など人通りが多い場所では、侵入者は下見しやすく、犯行後も人混みに紛れて逃げやすいため、注意が必要です。土地を選ぶ際には、昼夜問わず周辺を実際に歩いてみて、防犯カメラの設置状況や路地の街灯の数、交番までの距離などを確認し、ご自身の目で安全性を確かめることが重要です。


3.地域の防犯意識を調べる

安全な暮らしを実現するためには、地域全体で防犯意識を高めることが大切です。例えば、塀の落書きが放置されていないか、ごみはきちんと回収日に出されているかなどを確認することで、地域住民の防犯意識の高さを測ることができます。

また、住民同士が挨拶を交わすなど、お互いを気遣う様子が見られる地域は、犯罪発生率が低い傾向にあります。警視庁の調査では、侵入犯罪者の約6割が「声をかけられたので犯行をあきらめた」と回答しています。人づきあいがない方が気楽と考える方もいますが、地域全体で防犯意識を持ち、住民同士の交流が活発な地域は侵入犯罪に強いことを覚えておきましょう。



防犯に強い家の相談は大手ハウスメーカーに



防犯に強い家づくりを成功させるためには、専門家のサポートを受けるのがおすすめです。大手ハウスメーカーは、防犯性能を高める設計ノウハウや設備選定の実績が豊富で、個別のニーズに合わせた提案を受けられます。

より具体的なイメージを持てるため、実際に最新の防犯設備を採用したモデルハウスを見学するのもおすすめです。各メーカーの強みや特徴を比較検討し、ご自身の理想の住まいを実現しましょう。


防犯に強い家づくりで安心の暮らしを実現しよう



防犯に強い家づくりは、家族が安心して暮らすための重要なステップです。間取りの工夫や最新設備の導入、土地選びのポイントを押さえることで、犯罪リスクを大幅に低減できます。この記事を参考にしながら、安全性と快適性を両立した理想の住まいを実現できるとよいですね。

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