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ZEH住宅とは。メリット・デメリットや補助金制度、注意点を紹介

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2023-07-24
間取り・設備

ZEH住宅とは、脱炭素社会に向けた地球に優しい住宅として注目されている住まいのことです。これから一戸建てを検討している方のなかには、ZEH住宅について詳しく知りたい方もいるのではないでしょうか。今回の記事では、ZEH住宅の概要やメリット・デメリット、補助金制度の内容や注意点などを分かりやすくご紹介します。


環境に優しい「ZEH住宅」とは?



ZEH住宅の「ZEH」(ゼッチ)とは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語です。まずは、ZEH住宅がどのような住宅なのか説明します。


ZEH住宅とは、エネルギー収支をゼロ以下にする住まい

ZEH住宅とは、「断熱」「省エネ」「創エネ」により、家庭で消費するエネルギーと生み出すエネルギーの収支がゼロになる住宅を指します。ゼロエネルギー住宅と呼ばれることもあります。


現在の日本の住宅は、多くの二酸化炭素を排出しています。そのため、脱炭素社会を目指すためには、ZEH基準の住宅の増加が必要な要素となっているのです。


国は脱炭素社会に向け、ZEH住宅の普及を推進しており、以下の目標を掲げています。

・2030年度以降新築される住宅について、ZEH基準の省エネルギー性能の確保を目指す

・2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す


参考:経済産業省資源エネルギー庁「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について - 省エネ住宅」


ZEH住宅に必要な3つのポイント

ZEHとして認められるには、具体的にどのような基準や条件をクリアする必要があるのでしょうか。3つのポイントを解説します。


断熱

ZEHに認定されるためには、外気の暑さや寒さに影響されにくい高い断熱性能が不可欠です。具体的には、性能の高い断熱材や窓を使用するといった方法がとられます。高断熱の住宅なら、冷暖房に使用するエネルギーを最低限に抑えて、夏は涼しく、冬は温かい家が実現できます。


省エネ

ZEH住宅の条件として、高性能な設備による省エネの実現も求められます。LED照明や高効率の給湯システム、省エネ稼働の冷暖房や換気システムなどで、無駄な電力を省きます。家庭で使用している電力量や稼働状況、太陽光発電による発電量を確認できる「HEMS(ヘムス)」と呼ばれる専用システムを設置する場合もあります。


【関連記事】【HEMS入門まとめ】HEMSの概要からハウスメーカーの選び方まで


創エネ

ZEH住宅には、再生可能エネルギーである自然の力を使ってエネルギーを創り出すことも不可欠な要素です。代表的な創エネの方法として、住宅の屋根に設置する太陽光発電システムなどがあります。不足分のエネルギー量を創エネにより補うことで、家庭での一次エネルギー消費量をゼロにすることが目的です。


ZEH住宅のメリット



ここからは、ZEH住宅のメリットを確認していきましょう。


<メリット1>快適に過ごせる

ZEH住宅は、高断熱により部屋ごとの温度差が少なく、一年中快適な環境で過ごせるのが大きな特徴です。一般的な住宅で起こるような「冬場はリビングは温かいのに、脱衣所は寒い」といった温度変化が少ないため、ヒートショックのリスクが少なくなるでしょう。


<メリット2>光熱費を削減できる

断熱性能や省エネ効果の高い住宅設備により、従来の住宅に比べて光熱費が抑えられるのもメリットの一つです。さらに、太陽光パネルの創エネにより、住宅で使用する電力を賄えるため、生活維持に関わるランニングコストの削減が期待できます。


<メリット3>災害時用に非常電力を備えられる

蓄電設備のあるZEH住宅であれば、停電した場合も備蓄しておいた電力を活用し、生活を維持できるでしょう。電気自動車への充電も可能なため、創り出したエネルギーを有効活用できるのも嬉しいポイントです。


<メリット4>ZEH補助金制度を活用できる

国はZEH住宅の推進を図っていることから、補助金制度を活用して、お得に高性能の住宅を取得できるメリットもあります。ZEH住宅を建築するためには、従来の住宅よりも多くの費用が必要になります。しかし、補助金制度を活用し、ランニングコストを抑えた住宅が手に入れば、マイホームにかかるトータルコストの削減に貢献するでしょう。


ZEH住宅のデメリット


メリットが多いZEH住宅ですが、注意すべきデメリットもあります。どのようなデメリットがあるのか確認していきましょう。


<デメリット1>天候によって発電量が左右する

太陽光パネルを設置する場合、発電は天候によって電力量が大きく左右することを念頭に入れておく必要があります。雨や曇りが多い地域や、居住場所によっては日照時間が短いケースがあり、十分な電力を賄えない可能性があります。設置前には、建築予定地域の日照時間や天候を調べるなど、十分に検討しましょう。


<デメリット2>設備投資やメンテナンス費用がかかる

ZEH住宅を建築するためには、太陽光発電システムや省エネ機器など、設備投資に多くの費用がかかります。また、効率的に稼働するためには、定期的なメンテナンス費用も必要です。


一方で、ZEH住宅は光熱費の削減や売電収入により、ランニングコストの削減が期待できます。長く住むほど、ZEH住宅のほうがお得になると考えられているため、将来にわたるコストとの比較が大切です。


ZEH住宅の補助金制度



ZEH住宅には、補助金制度や減税措置が設けられています。具体的にどのような制度があるのか、補助金対象のZEH住宅の基準と合わせて見ていきましょう。


補助金対象となるZEH住宅の基準

戸建て住宅に対するZEH補助金制度は、「ZEH」「ZEH+」「次世代ZEH+」の3つの区分があります。


【ZEH】

・「断熱」+「省エネ」によって、住宅で使う消費エネルギーが20%削減

・「創エネ」を含む消費エネルギーが100%削減(年間の収支ゼロ)


なお、東京23区などの都市部狭小地など立地条件によっては、十分な発電量が期待できない場合もあります。そのようなケースを想定したZEH認定制度も整えられています。具体的には、創エネが十分行えない地域のみを対象として、以下のような認定制度があります。


  • ZEH Oriented(ゼッチオリエンテッド)

太陽光発電や蓄電池が無くても、ZEH基準を満たす断熱性・省エネ性を備えていることで認定される

【対象】都市部狭小地に建築された住宅


  • Nearly ZEH(ニアリーゼッチ)

エネルギー収支をゼロに近づけた住宅。1年間の一次エネルギー消費量を75%以上削減できることを条件に認定される

【対象】寒冷地、低日射地域、多雪地域など


【ZEH+】

・ZEHの性能に加え、より高性能なZEH住宅

・「断熱」+「省エネ」のよって、住宅で使う消費エネルギーが25%削減

・ZEHよりも高性能な住宅として、「断熱性能の強化」や「再生可能エネルギー を電気自動車等に充電可能」といった項目を満たす必要がある


【次世代ZEH+】

・ZEH+の性能に加え、再生エネルギーなどの更なる自家消費の拡大を目指す住宅


参考:国土交通省・環境省・経済産業省「令和5年度3省連携事業ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス推進に向けた取り組み」


国や自治体のZEH支援事業

国や自治体におけるZEH支援事業は以下の通りです。


こどもエコすまい支援事業

こどもエコすまい支援事業とは、子育てや若者夫婦世帯を対象に、ZEH基準を満たした新築住宅に最大で100万円の支援を行うものです。注文住宅の新設や新築分譲住宅の購入、リフォームが対象です。


参考:国土交通省「こどもエコすまい支援事業」


自治体独自のZEH住宅を推進する事業

自治体によっても、ZEH住宅を推進するために独自の支援事業を行っているケースがあります。支援対象は、太陽光パネルや蓄電池、給湯機などのスマートエネルギー機器の導入が多いです。


ZEH住宅の建築を検討する場合には、自治体や都道府県独自の支援制度の内容も確認しておくとよいでしょう。補助金制度は、インターネットにおいて「自治体・都道府県名・ZEH・補助金」と検索すると、対象の制度を確認できます。


住宅ローン控除

住宅ローン控除とは、年末の住宅ローン残高に対して0.7%を所得税と住民税の一部から最大13年間控除するという制度です。以下の表のように、どのような家を建てるかによって控除される限度額は異なります。


特に2024年の入居からは、省エネ基準を満たさない住宅においては、住宅ローン減税の対象外となるため注意しましょう。


<新築住宅>

住宅の環境性能

借入限度額(2022・2023年入居)

借入限度額(2024・2025年入居)

長期優良住宅・低炭素住宅
5,000万円
4,500万円
ZEH水準省エネ住宅
4,500万円
3,500万円
省エネ基準適合住宅
4,000万円
3,000万円
その他の住宅
3,000万円
0円

参考:国土交通省「住宅ローン減税」


補助金制度を利用する場合の注意点



補助金制度などをきちんと活用するためには、3つの注意点を理解しておきましょう。


1.ZEHに対応可能な建築会社を利用する

ZEHの普及促進に向け、2021年度からは2020年度のZEHの供給実績に応じたZEH化率の目標を宣言・公表したハウスメーカーや工務店、建築設計事務所などを対象に、新たな「ZEHビルダー」制度の運用が開始されました。2022年3月時点で、全国のハウスメーカー、工務店を中心に4,722社がZEHビルダー登録を行っています。ZEHビルダーは、以下Webサイトにて確認できます。


参考:一般社団法人 環境共創イニシアチブ「ZEHビルダー/プランナー一覧検索」


2.申請前に十分に設計を確認する

補助金制度を利用したZEH住宅の設計プランは、エネルギー消費量や断熱結果を入念に計算して申請しているため、申請後に変更はできません。そのため、間取りや窓の位置など設計段階で、問題がないか十分な確認が必要です。


3.補助金の最新情報を把握する

ZEH補助金制度は、種類によって申請時期や条件が異なります。公募方法は先着順で、申請金額が予算に達すると、予定よりも早く打ち切られるため注意が必要です。管轄の省庁のホームページなどを確認し、最新の情報を把握しながら早めに対応していけると安心でしょう。


大手ハウスメーカーによる魅力的なZEH住宅