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防火地域・準防火地域とは?木造でも大丈夫?調べ方や建築制限を解説

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2024-03-18
基礎知識

防火地域や準防火地域とは、どのような場所のことを指すのでしょうか。「調べ方や家を建てるときの制限は?」「木造でも建てられる?」など、防火地域における家づくりで気になることもありますよね。今回の記事では、防火地域や準防火地域のほか、建築基準法で定められている「法22条区域」といった地域について、それぞれの役割や区域別の建築制限の違い、建ぺい率の緩和規定などを解説します。


防火地域・準防火地域・法22条区域とは


防火地域や準防火地域は、火災が起きた際の被害を最小限に食い止めるために都市計画法に基づいて指定される地域のこと。また、火災被害を広げないために指定される「法22条区域」という地域もあります。これらのエリアでは、それぞれ指定されている建築制限に従う必要があり、防火地域 > 準防火地域 > 法22条区域の順に制限は厳しくなります。


防火地域は、火災の被害が起きやすい地域が対象



防火地域は、都市計画法(第9条第21項)により「市街地における火災の危険を防除するため定める地域」として自治体が指定をします。火災の被害が大きくなりやすい建築密度の高い駅前などのエリアや、幹線道路沿いなどが対象となる場合が多いです。


準防火地域は、防火地域の周辺に指定される地域

準防火地域とは、火災を防ぐために予防をしなければならない地域のことです。一般的に、防火地域の周り(外側)にある火災の被害が起きやすい地域、つまり住宅密集地や市街地が指定されます。防火地域に比べると建築制限がやや緩くなります。


法22条区域は、木造建築物の多い住宅街が対象になる

都市計画法の区分には含まれませんが、建築基準法によって定められた「法22条区域(建築基準法22条指定区域)」というエリアもあります。法22条区域は、防火地域や準防火地域以外の木造建築物の多い住宅街が対象です。準防火地域の周辺部が指定される傾向にあります。


このほか、東京都(東京都建築安全条例:「新たな防火規制区域」)や大阪府などの自治体単位で、独自の制限区域を設けている場合もあります。それ以外の延焼の恐れが少ないエリアは「防火指定なし」という地域になります。


参考:e-Gov法令検索「都市計画法第9条第21項」


【関連記事】用途地域とは?検索の仕方や13種類の特徴。住宅建築時のポイントも解説


防火地域・準防火地域の調べ方


家を建てる土地が防火地域や準防火地域に指定されているかどうか調べることは大切です。制限が厳しいほどコストが高くなりやすく、予算を立てるのに必要になるからです。


防火地域・準防火地域の調べ方は、不動産会社やハウスメーカーに依頼して調べてもらうほか、役所へ行って自分で調べることも可能です。


最近では各自治体がインターネット上に都市計画マップを公開しているケースも多く、ホームページ等で手軽に防火地域を調べられるようになりました。東京都などの都市では、新しい条例が制定されているため、情報が最新であるかどうかも確認するようにしましょう。


参考:東京都都市整備局「新たな防火規制の指定区域図」


防火地域・準防火地域では耐火建築物・準耐火建築物にする必要がある


防火地域や準防火地域に家を建てる場合、条件によって耐火建築物または準耐火建築物を建てる必要があります。ここでは、耐火建築物や準耐火建築物とはどのような建築物なのか解説します。


耐火建築物と準耐火建築物の違い

耐火建築物とは、次の条件のいずれかにあてはまる建物です。


  • 柱や梁など建物の主要構造部に耐火性能のある材質などを使用した耐火構造の建物
  • 火災が終了するまでに耐えられることが確認された建物


建築基準法により基準が定められており、鉄筋コンクリート造やレンガ造、鉄鋼モルタル造などの耐火構造を持つ建物が該当します。


一方、準耐火建築物は耐火建築物の条件を満たしていない建築物のうち、「準耐火性能の基準をクリアした建築物」のことを言います。火災に対して、耐えられる時間に違いがあります。


木造住宅でも耐火建築物にすることは可能

防火地域での家づくりは、鉄筋コンクリート造や鉄骨造しか建築できないのではと思うかもしれません。しかし実は、木造でも耐火構造を施すことで耐火建築物や準耐火建築物を建てることができます


ただし、木造の耐火建築は施工が難しく工期も長くなるケースが多いため、その分野が得意なメーカーを探して相談することをおすすめします。


【関連記事】木造一戸建てのメリット・デメリット。気になる寿命と防音性や耐震性


防火地域・準防火地域での建築制限は、階数や延べ面積によって変わる


防火地域や準防火地域では、建築物の階数や延べ面積の大きさによって、構造や使用する建材などの建築制限に違いがあります。具体的にどのような建築制限があるのか、地域ごとにご紹介します。


防火地域の建築制限

防火地域での建築制限は以下の通りです。

「3階以上の建物」
及び「2階以下で延べ面積が100㎡超の建物」

耐火建築物
1~2階で延べ面積が100㎡以下の建物
耐火建築物または準耐火建築物


準防火地域の建築制限

準防火地域での建築制限は以下の通りです。

「4階以上の建物」
及び「1~3階で延べ面積が1500㎡超の建物」

耐火建築物
1~3階で延べ面積が500㎡超1500㎡以下の建物
耐火建築物または準耐火建築物
3階建てで500㎡以下の建物

耐火建築物または準耐火建築物、
または法令で定める一定の技術基準に適合した建物

1~2階で延べ面積が500㎡以下の建物
木造建築物の場合は、延焼のおそれがある外壁、軒裏などに一定の防火措置を施す


法22条区域においては、外壁の材料は防火性能のあるものにしたり、屋根を燃えにくい不燃材料にしたりする必要があります。


防火地域と準防火地域がまたがる場合の対応

建物を建てる土地が防火地域と準防火地域をまたがる場合には、基本的には厳しい方の規制を建物全体に適用させる必要があります。これは、建築基準法第65条において明記されているので、「面積が広い方に合わせる」といった判断をしないように注意をしましょう。


ただし、その建物が防火地域又は準防火地域外において防火壁で区画されている場合、防火壁外の部分については、この限りでないと記されています。


参考:e-Gov法令検索「建築基準法第65条」


防火地域に家を建てるときに知っておきたいこと


耐火建築物・準耐火建築物は建ぺい率が緩和される

 2019年6月、建物の安全性をより確保するために建築基準法の一部が改正されました。この改正で、防火地域の一定基準を満たした耐火建築物だけでなく、準防火地域で準耐火建築物を建てる場合も、建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)が10%緩和されることとなりました。


建ぺい率の緩和は、延焼防止性能が高い建物への建て替えを促進する目的で、建築基準法により定められています。


防火地域では「耐火建築物」及び「耐火建築と同等以上の延焼防止性能を有する建築物」が対象です。準防火地域では「耐火建築物」「準耐火建築物」及び「これらと同等以上の延焼防止性能を有する建築物」が対象となります。


参考:国土交通省「建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)について」


【関連記事】建ぺい率とは?計算方法や容積率との違いをわかりやすく解説!


耐火建築物や準耐火建築物は火災保険の割引を受けられる

耐火建築物や準耐火建築物は一般的な住宅と比較して「火災保険料」が割安になるケースが多いです。なぜなら、耐火構造により火災のリスクが低いと判断されるためです。保険料が半額以下に抑えられるケースもあるので調べてみるとよいでしょう。


防火地域内での家づくりはハウスメーカーに相談


建築制限がある場合、家の仕様や使う建材などを考慮する必要があります。外壁など外側の耐火性を高めたり、燃えにくい防火ドアや防火窓を採用したりと、デザインが制限されてしまうケースもあります。また、高くなりがちな建築費用も気になるところですよね。


家づくりのプロであるハウスメーカーなら、これまでの実績や経験に基づく適切なアドバイスをしてくれます。分からないことや気になることがあれば、気軽に相談してみるとよいでしょう。


【関連記事】大手ハウスメーカーの営業マンの特徴を知る!豊富な知識と提案力がポイント


防火地域・準防火地域を理解し家づくりを


今回は防火地域や準防火地域について、役割やそれぞれの意味、建築制限などを解説しました。防火地域かどうかは、「インターネットで検索する」「ハウスメーカーに確認を依頼する」といった調べ方があります。


防火地域や準防火地域では、何階建て建築物かや、延べ面積の大きさが建築物に求められる耐火性を決める大きなポイントです。木造でも耐火建築物にすることは可能ですが、費用やデザイン等の条件を十分確認し、ハウスメーカーに相談しながら家づくりを進めるとよいでしょう。防火地域について十分理解し、理想のマイホームを建てられるとよいですね。

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