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勾配天井とは?メリット、デメリットと後悔しない照明などの設置ポイントを解説

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2024-03-01
間取り・設備

勾配天井とは「傾斜のついた天井」のこと。通常の天井よりも開放感が生まれるのが魅力の一つですが、メンテナンスやコスト面など気になることもあるでしょう。今回は、勾配天井のメリット・デメリットに加え、照明計画のポイントや家づくりの工夫などを解説します。勾配天井の特徴を知り、後悔のないマイホームを手に入れましょう。


勾配天井とは、傾斜がある天井のこと


勾配天井とは、「勾配」つまり傾斜をつけた天井のこと。読み方は「こうばいてんじょう」と言います。近年の注文住宅などでは、屋根の形状にあわせて天井を斜めにする方法がトレンドです。三角屋根の場合は「二方向に傾斜したもの」、片流れ屋根の場合は「一方向に傾斜したもの」などさまざまなタイプがあります。


通常の天井は水平に作られているため、天井裏や屋根裏にデッドスペースができやすいです。一方の勾配天井は、屋根裏部分まで部屋の空間として活用できるため、デッドスペースがなくなり天井を高くできます。「平屋」や「2階の居室」「上に2階部分がない1階の空間」に作られるケースが多いでしょう。


フラットな天井と比較して、勾配天井にはどのようなメリット、デメリットがあるのでしょう。照明設備の選び方や窓・シーリングファンを設置する場合の注意点なども気になるところですよね。勾配天井のさまざまな疑問について解説していきます。


勾配天井のメリット


まずは、勾配天井ならではの具体的なメリットを見ていきましょう。


《メリット1》部屋が明るく開放感のある空間になる

勾配天井の最大のメリットは、部屋が明るく開放感のある空間になることです。天井が高く、上部に視線が抜けるため、同じ面積の床部屋でもフラットな天井の部屋よりも居住空間が広々と感じられるでしょう。


さらに、天井面に天窓・壁の上部に高窓を付けると、採光を取り込みやすくなります。「部屋の奥まで全体が明るくなる」「空の景色を楽しめる」といった効果も得られるでしょう。


例えば、周囲への日照を確保するために規制が定められている「住宅密集地」などでは、傾斜の大きい片流れ屋根で勾配天井を採用するのがオススメ。周りの家の影響で明るさを確保しにくい環境であっても、季節や周辺環境に左右されずに十分採光を取り込めます。


《メリット2》2階リビングとの相性がよい

勾配天井は、日当たりがよく採光に優れる2階リビングと相性が抜群です。勾配天井を採用できるのは「平屋建て」や「上部に2階部分がない場合」に限られるため、2階リビングであれば明るく広々とした空間を作れます。


コンパクトな住まいでも、天井勾配を取り入れることで、リビングに開放感をもたらします。「勾配天井とロフトを組み合わせる」といった縦の空間の有効利用で、子どもの遊び場や書斎など多機能な活用ができるのも魅力のひとつでしょう。


《メリット3》通気がよくなる

勾配天井の場合、高い位置に換気窓を設置できるので、通気性のよい住宅になることも嬉しいポイントです。一般的に、暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へ動きます。この性質を利用して効率的な空気の入れ替えを実現したい場合には、勾配天井が適しています。


勾配天井であれば、高い位置の窓と低い位置の窓の高低差を大きくできるため、空気を循環させやすくなるのです。


《メリット4》梁を見せるなど高いデザイン性でこだわりの空間にできる

勾配天井は、「梁を見せる」「多彩なデザインを取り入れる」など、こだわりの空間を演出できるのもメリットです。木造住宅は、柱と梁で構造を組むのが一般的ですが、屋根などを支えるための構造材である梁は本来、天井の内側に隠れて見えない部分となります。


しかし勾配天井を利用し、あえて梁を見せることで、天井に奥行きや立体感を感じられる効果が期待できるでしょう。梁を中心としたデザイン設計にする場合は、梁そのものの「素材」や「塗装」にこだわるのもよいですね。


梁を見せる以外にも、勾配天井を板張りなど違う素材で仕上げたり、アクセントクロスを貼って壁面と色を変えたりして斜めのラインを強調することもオススメ。より広々としたおしゃれな空間を作り出せるでしょう。


勾配天井のデメリット


メリットが多い勾配天井ですが、注意すべき点もいくつかあります。設計時にきちんと検討しておかないと、建ててから後悔することも。勾配天井は後から変更することができないため、以下に紹介するデメリットを押さえて家づくりを進めましょう。


《デメリット1》建築やメンテナンスにコストがかかる

勾配天井の建築は、通常のフラットな天井と比較すると建築コストがかかります。勾配天井にすることで「壁の面積が増えること」や、「工事の際に足場を組む必要があること」がコストアップの要因です。


暮らしの中で、天井に設置した照明の取り換えや、シーリングファンの修理、窓掃除などは、天井が高い位置にあることで手間がかかることも予想されます。その際、場合によっては自分で対応できず専門業者に依頼するなど、メンテナンス費用がかかることも知っておきましょう。


《デメリット2》照明に工夫が必要になる

勾配天井は天井が高くなるため、フラットな天井と比較して照明計画に工夫が必要です。高さがある分、部屋全体を明るく心地よい空間にするために「どこにどんな照明を配置するか」「照らす強さや角度はどうするか」などを考える必要があります。


高い場所に照明器具を吊るす際には、ワイヤーで固定するなど、安全対策も検討することが大切となるでしょう。


《デメリット3》気密性や断熱性などの住宅性能が求められる

勾配天井の家では「部屋がなかなか暖まらない」などの声が聞かれることがあります。勾配天井は天井が高くなる分、冷暖房効率が悪くなるのが原因です。


ほかにも、一般的なフラットな天井は、屋根から受ける太陽の熱を室内に伝えないように、天井裏に断熱材を使う「天井断熱」を施します。一方の勾配天井は、天井裏スペースも居住空間の一部となるため、屋根の構造部分に断熱材を使う「屋根断熱」の方法を取ります。


その結果、屋根からの熱が伝わりやすいことで冷暖房効率が悪くなり、エネルギーコストの負荷が増えることも理解しておくことが大切です。勾配天井を取り入れる際は、屋根の断熱性や気密性といった住宅性能に優れた家づくりが重要となるでしょう。


勾配天井の照明選び。オシャレな空間にするポイント


勾配天井には念入りな照明計画が必要となりますが、照明(ライト)を選ぶときには、どのようなことを意識しておくとよいのでしょうか。ここでは、照明選びのポイントをご紹介します。


メンテナンスしやすい照明器具を選ぼう

勾配天井は天井の高さが魅力である一方、照明器具の掃除や交換などメンテナンスがしづらいという欠点があります。どうしても天井に照明器具を設置したい場合は、メンテナンスのしやすさを考えて、脚立で届く高さに吊るすことのできる「ペンダントライト」などを選ぶとよいでしょう。


勾配天井や梁にダウンライトを取り付けたい場合、メンテナンスや修理がしにくくなる可能性があり注意が必要です。脚立などを使って電球交換ができるかなど、メンテナンスの方法を事前に確かめておくようにしましょう。


照明の設置が天井以外でもよい場合は、「壁付のスポットライト」にすると簡単に手が届くためメンテナンスも楽です。特に、使用する電球は長く使えるLEDなどを選べば、交換頻度も少なく済みますよ。


照明を組み合わせて明るさにメリハリを

勾配天井でおしゃれな家を目指すなら、必要な場所にだけ光を当てる照明の組み合わせでメリハリのある空間を作るのもオススメ。大型の照明器具のみにこだわず、スポットライトやスタンドライト、間接照明などタイプの違う照明機器を取り入れてみてはいかがでしょうか。照明の種類に応じた特徴をご紹介しますので、参考にしてみてください。


ペンダントライト

ペンダントライトとは、天井から吊るすタイプの照明のこと。手元を明るく照らしやすい特徴から、ダイニングテーブルなどの上に取り入れる方が多いです。勾配天井でも照射角度が床と平行になるため、比較的取り入れやすい照明です。


デザインが豊富なため、見た目を重視して、部屋のアクセントとして活用するのもよいでしょう。なお、勾配天井にペンダントライトを設置する場合、コードに負担がかかるため、傾斜天井用引掛シーリングやコードハンガーを活用するのが一般的です。


ダウンライト

天井に埋め込むタイプのダウンライトは、圧迫感がないため、部屋をすっきり広く見せることができます。開放感のある勾配天井とシンプルなダウンライトは相性がよく、「角度を調整して壁面を照らす」「調光タイプで気分や時間帯で雰囲気を変える」など使い方を工夫するとよいでしょう。


ただし、床を照らす目的で勾配天井にダウンライトを設置する場合は、注意が必要です。床に光を当てられるように、角度を自在に調整できるタイプを選びましょう。また、高い位置に設置する場合は電球交換が難しいこともあるため、交換しやすい場所を選ぶことが大切です。


シーリングライト

シーリングライトとは、部屋の天井に直接設置するタイプの照明機器のこと。部屋全体を明るく照らす特徴があります。しかし、高い位置に設置すると手元まで光が届かない可能性があります。見栄えもあまりよくないため、勾配天井には不向きかもしれません。


なお、一般的なシーリングライトは、水平な天井に設置する想定で設計されているため、シーリングライトを採用する際は「勾配天井対応」のものを選ぶようにしましょう。


間接照明

間接照明とは、天井や壁に光を当てて、その反射で空間を照らす照明のこと。スポットライトなどを活用し、光源が直接視覚に入らないように設置するため、光のグラデーションによってやわらかな明るさで部屋を包み込んでくれる特徴があります。照明の位置や光の向きによっては、勾配天井の高さも際立つでしょう。


一方で、食事や読書をする場合は、間接照明だけでは手元が暗くなるため、ペンダントライトやスタンドライトなどで補うのがオススメ。部屋の中で明るさの強弱があることで、快適性が保たれながらも機能性を向上できるでしょう。


勾配天井で後悔しないための設備の選び方


勾配天井を採用する場合は、照明だけでなく、窓やカーテン、シーリングファンといった設備についても検討することが大切です。後から設置することは難しいため、住み始めてから後悔しないよう選び方のポイントを押えておきましょう。


窓やカーテン

勾配天井の場合、高い位置に窓を設置できます。そのため採光を取り込みやすいほか、周囲の視線も気になりにくいという特徴があります。開閉する必要がない窓であれば、FIX窓(はめ殺し窓)を採用するのがオススメ。壁とガラスが一体となりスッキリとした印象を持ちやすく、気密性も高いです。


日差しの状況や冷暖房効率を考慮して、高い位置にある窓のカーテンをどうしたらよいか気になる方もいるでしょう。手の届かない位置には、電動のロールスクリーンやタテ型ブラインドを付ける方法があります


シーリングファン

勾配天井に「シーリングファンを設置したい」と考えている人もいますよね。シーリングファンはファンが回ることで空気が循環し、室内の温度を均一にしてくれます。冷暖房効率がよくなるため、勾配天井の部屋に有効な設備です。


シーリングファンは「勾配天井対応」になっているものがほとんどですが、対応できる勾配の角度を確認したり、部屋の広さとのバランスを考えてシーリングファンの大きさを決めたりすることが大切。ほかにも「設置場所に下地を入れる」「メンテナンスのしやすさを考慮した高さにする」といったポイントを意識するとよいでしょう。


シーリングファンはデザインも豊富なので、設置する空間のインテリアにあわせて選んでみるのもよいですね。


勾配天井の家をハウスメーカーで建てよう


ハウスメーカーでは、独自の技術を活かした勾配天井のある家を建てられます。例えば、三角屋根を活用し、2階リビングを大胆な勾配天井にするアイデアがあります。天窓をつくれば、昼間は太陽の光がリビングを暖かく包み込み、夜には星空を楽しむこともできますよ。


家づくりの実績があるハウスメーカーには、勾配天井を活かしたさまざまな住まいのアイデアがあります。資料請求をしたり住宅展示場へ足を運んだりして、理想の住まいを探してみてはいかがでしょうか。


【関連記事】大手ハウスメーカーの特徴を一覧で比較!検討初期に知りたい基本情報まとめ


勾配天井の家は設備の工夫で、開放感のある暮らしやすい住まいを


勾配天井とは、屋根の形状を活かして斜めになった天井のことで、平屋や2階リビングと相性のよいプランです。勾配天井にすることで、開放的な空間になり採光を取り入れやすいほか、通気がよくなるといったメリットもあります。梁を活かした設計にすれば、おしゃれな住まいづくりも叶うでしょう。


一方で、勾配天井の照明計画には工夫が必要です。ペンダントライトやスポットライトなどは、手が届きやすく、メンテナンスが楽でしょう。注文住宅で勾配天井を取り入れる際は、今回紹介したポイントを参考にしながら、勾配天井の住まいづくりを進めてみてはいかがでしょうか


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