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薪ストーブのある家とは。間取りやメリット・デメリット、後悔しないためのポイントを紹介

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2022-07-22
基礎知識

薪ストーブのある家の間取りやメリット・デメリットを知りたい方もいるのではないでしょうか。設置費用や後悔しないためのポイントが気になる方もいるでしょう。今回は、薪ストーブの種類や特徴、家づくりで気をつけたいことや平屋などのオススメ間取り実例をご紹介します。


薪ストーブとは?暖炉やペレットストーブとの違いも解説


薪ストーブとは、鋳鉄または鋼板で作られている、薪を燃料とした暖房器具のことです。インテリア性に優れており環境に優しいイメージがあることから、薪ストーブのある暮らしに憧れを抱く方もいるでしょう。


近年よく耳にする「薪ストーブ」ですが、「暖炉」や「ペレットストーブ」との違いとはどのような点になるのでしょうか。まずは、薪ストーブの概要について見ていきましょう。


薪ストーブの放熱方法は「輻射式」と「対流式」

薪ストーブの放熱方法は、以下のように「輻射式」と「対流式」に大別できます。


・輻射式

ストーブ本体を燃焼熱で暖め、その熱が出す赤外線(輻射熱)を利用して空間を暖める方法。ストーブ周辺を暖めるのに向いており、部屋全体をじんわりと暖めてくれるという特徴がある。天板が高温になるため、料理をすることもできる。


・対流式

ストーブで熱した空気を循環させることで、空間を暖める方法。部屋の隅まで暖められるため、吹き抜けのある間取りや部屋全体を暖めたい場合に向いている。空気を攪拌するシーリングファンとの相性がよい。


このほか、別荘や商業施設で多く導入されている放熱方法が「開放式」です。開放式は、火室にドアやガラスがないため、燃焼している薪が見えます。一方で、気密性がないため、暖房効率があまりよくないというデメリットがあります。


暖炉との違い

薪ストーブとよく似た暖房器具に「暖炉」があります。どちらも薪を燃料として部屋を暖める点は同じですが、いくつかの違いがあります。薪ストーブと暖炉の違いは以下の通りです。


薪ストーブ
暖炉
構造
・ストーブ部分が、建物から独立している

・暖炉本体がレンガや石材で作られており、壁と一体化している

扉の有無

・扉あり

・薪が燃える音や匂いを感じにくい

・扉なし

・薪が燃える音や匂いを感じやすい

熱効率
・部屋全体を暖める
・薪を燃やした熱のほとんどが煙突から放出されてしまうため、部屋全体は暖まりにくい


薪ストーブと暖炉は、素材や構造などに違いがあります。双方のメリット・デメリットを比較し、検討することが大切です。


ペレットストーブとの違い

ペレットストーブは、薪ではなく、木製ペレットを燃料とする暖房器具です。薪ストーブとペレットストーブには以下のような違いがあります。


薪ストーブ
ペレットストーブ
燃料・薪

・木質ペレット

・電力を必要する機種と不要のタイプがある※

煙突の有無
・煙突が必要

・煙がほとんど出ないため、煙突不要

(屋外につながる排気筒は必要)

設置費用やメンテナンス

・初期費用が高い

・定期的に煙突掃除を専門業者に依頼する必要がある

・薪ストーブに比べると安い

・自分で掃除が可能

※電力を使用する機種は、着火や火力調節、消火までを自動で調整できる機能などが付いている


薪ストーブのメリット


ここからは、薪ストーブのメリットをご紹介します。


<メリット1>遠赤外線や輻射熱の効果で暖かさを体感しやすい

薪ストーブのメリットは、一度室内が暖まってしまえば暖かさを体感しやすい点です。遠赤外線や輻射熱の効果により、身体をじんわりと暖めてくれるでしょう。


<メリット2>災害時に使える暖房器具である

薪ストーブは、電気やガスを使わない暖房器具です。そのため、災害時や停電時にも暖房や調理に使用することができます。災害時などに役立つ点がメリットです。


<メリット3>リラックス効果がある

薪ストーブは炎や音が楽しめるため、まるで焚き火をしているかのような、癒やし効果があるでしょう。視覚的に暖かさを感じられ、デザイン性が高い点もメリットです。


<メリット4>直火の料理ができる

機種によりますが、高音になる天板を利用して直火の料理ができることも、薪ストーブのメリットです。炉内ではピザ、天板の上では煮込み料理などを楽しめます。お湯を沸かすこともできるなど、暖を取りながら薪ストーブの熱を最大限に活用することができるでしょう。


薪ストーブのデメリット


薪ストーブ設置後に後悔しないためにも、薪ストーブのデメリットについても把握しておきましょう。


<デメリット1>部屋が暖まりにくいケースがある

薪ストーブのデメリットは、部屋がすぐには暖まりにくいケースがあることです。着火してから部屋全体が暖まるまで、1時間ほどかかる場合もあります。薪ストーブの機種や部屋の広さなどによっても部屋の暖まり方は異なりますが、部屋をなるべく早く暖めたい場合は、輻射式の薪ストーブを検討するのがオススメです。


<デメリット2>薪集めや薪割りが大変

薪ストーブには薪が必要ですが、薪集めや薪割りが大変なこともデメリットです。薪は、ホームセンターや薪の販売業者などで購入する方法や、森林組合や造園業者などで無償または格安で提供してもらう方法などがあります。ただし、1シーズン使用するために必要な薪の量は多いため、調達に苦労するケースも考えられるでしょう。また、薪ストーブに使用できるサイズにするためには、薪割りを行う必要があることも把握しておくとよいですね。


<デメリット3>煙突掃除などのメンテナンスが必要

薪ストーブは、炉内や煙突の掃除が必要です。定期的に、煙突の煤(すす)や炉の灰を掻き出すといった作業が発生します。煙突掃除の場合、年に一回程度はメンテナンスをしなければいけません。メンテナンスは自力で作業すると危険があるため、専門業者などに依頼するのがよいでしょう。


<デメリット4>設置費用が高い

薪ストーブは、一般的な暖房器具であるエアコンやヒーターなどと比較すると、設置費用が高くなります。設置費用の概要については、以下の通りです。


本体価格:20~70万円程度

材料価格(煙突部材など):30~70万円程度

設置工事費用:20~50万円程度


薪ストーブの機種や使う部材などによっても価格は異なりますが、トータルで70万円以上費用がかかることを把握しておきましょう。


後悔しない!薪ストーブのある家づくりで気をつけたいポイント


薪ストーブのある家で後悔しないために、気をつけたいポイントを見ていきましょう。


間取りを工夫する

家づくりで薪ストーブを設置する場合、間取りに配慮が必要です。煙突掃除などメンテナンスのしやすさを考えた場合、煙突をまっすぐに伸ばせるように2階の部屋の配置を工夫しましょう。また、薪を補充しやすいような動線を考えた間取りにすることも大切です。施工会社や建築家と相談しながら、間取りを工夫すると後悔しないでしょう。


設置場所に注意する

薪ストーブの設置場所は法律により基準が定められています。設置場所は、壁面から一定の距離を確保するなどの基準が定められているため、ストーブを設置する周囲には、ある程度の空間が必要となります。メンテナンスや煙の排気をスムーズに行うためには、煙突の設置場所も気をつけたい点です。薪ストーブは、煙突を真っすぐ伸ばせるような場所に配置することも大切となります。


また、薪ストーブは高温となるため床に直置きするのではなく、「炉台」や「遮熱壁」を設置する必要がある点も、把握しておきましょう。


近所迷惑にならないよう煙や臭い対策をする

薪ストーブの煙や臭いは、近所迷惑となる場合もあります。「煙が室内に入ってくるので臭い」「外に干している洗濯物に臭いがつく」といった苦情を受けるなどのトラブルに発展するケースもあるため、注意が必要です。トラブル対策として、ストーブの煙が近隣に影響しないか、予定地の風向きについて事前に検証しておくとよいでしょう。煙突掃除をこまめに行ったり、乾燥した薪を使ったりすることも、トラブル対策として有効です。


薪の保管スペースを確保しておく

間取りの設計時には、薪ストーブに使う大量の薪を保管するスペースについて考えておきましょう。薪は乾燥している方がよいため、屋外の風通しのよい場所を選ぶのがポイントです。その際は、道路沿いや隣家に近い場所から離して、安全に保管できるようにしましょう。屋根付きの薪小屋にすれば、虫がついたりカビになるのを防いでくれます。


薪ストーブのある家の間取り実例