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市街化区域とは?市街化調整区域との違いや特徴を分かりやすく解説

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2024-07-11
基礎知識

市街化区域とは「すでに市街地として賑わう地域」または「今後市街化が進む計画のある地域」を指します。土地や家の購入を検討する際は、土地の将来性を把握するため市街化区域の情報を理解しておくことは大切です。


今回は、市街化区域の概要や市街化調整区域との違い、市街化区域に家を建てるメリット・デメリットを解説します。市街化区域の場所を調べる方法も紹介するので、家づくりの参考にしてください


市街化区域とは?市街化調整区域との違い



都市を形成していく上での指針となる「都市計画法」。乱雑に街が広がらないように、建物の建築などを制限する法律ですが、そこで出てくる言葉が「市街化区域」です。まずは、市街化区域の概要や市街化調整区域との違いを確認しましょう。


市街化区域とは、現在もしくは将来に「市街地」となる区域のこと

市街化区域とは、都市計画法で指定されている都市計画区域の一つです。すでに市街地を形成している区域及び、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域を指します


なお都市計画区域は、住民が安心・安全・快適に暮らせる都市の形成を目的に、都道府県が指定します。地形や人の動き、都市の発展を総合的に考慮して、都市計画区域を「市街化区域」と「市街化調整区域」の2つに区分し、限られた土地の有効活用を図るのです。


市街化区域と市街化調整区域の違い


市街化区域
市街化調整区域
利用目的
積極的に住宅や店舗など建てたり、生活インフラを整備したりして、街の市街化を図る
市街化を抑制し、農地や緑地といった自然環境の保全を優先する
市街化整備の有無



「市街化区域」と「市街化調整区域」の違いは、利用目的とそれに伴う市街化整備の有無です。


市街化区域は、街が栄えることを優先します。「市街化の整備が進んでいる」または「今後整備される計画がある」区域です。住宅や商業施設が建ち、人が住みやすいように、公共交通機関や公共施設などが優先的に整備されるなどの特徴があります。


一方の市街化調整区域は、自然環境の保全や農業、林業などの営みを重視するため、市街化の整備が抑制されます。新しい建物を建築する場合は、一定の条件を満たしたうえで、申請を行う必要があります。


市街化区域は、用途地域ごとに土地の使い方が定められている

市街化区域に指定されているエリアには「用途地域」が定められています。用途地域とは、快適な住環境や街の利便性を図る目的で、土地利用に応じて制限をかけた地域のことです。


具体的には、土地の利用区分を「住居系」「商業系」「工業系」の3つに分け、使い道を13種類に定めています。それぞれに建てられる建築物の種類や大きさなどのルールが決められています。13種類の用途地域の特徴は以下の通りです。


区分
用途地域
特徴
住居系
第一種低層住居専用地域

・低層住宅のための地域

・住宅や小規模な店舗や事務所兼用の住宅以外に、小中学校などの公共施設が建築できる


第二種低層住居専用地域

・主に低層住宅のための地域

・小中学校や診療所のほか、床面積150㎡以下の店舗などが建築できる


第一種中高層住居専用地域

・中高層住宅のための地域

・低層住居専用地域に該当する建物に加えて、病院や大学など、床面積500㎡以下の店舗や飲食店などが建築できる


第二種中高層住居専用地域

・主に中高層住宅のための地域

・第一種中高層住居専用地域に該当する建物に加え、床面積1,500㎡以下の店舗や事務所などが建築できる


第一種住居地域

・住居環境を保護する地域

・床面積3,000㎡以下の中規模店舗や事務所、ホテルなどが建築可能


第二種住居地域

・主に住居の環境を保護する地域

・第一種住居地域に該当する建物に加え、カラオケボックスやパチンコ店などの建築が認められている


準住居地域

・道路の沿道地域に適した施設と住宅との調和を図る地域

・第二種住居地域に該当する建物に加え、倉庫や車庫、小規模の映画館、住環境を悪化させない小規模工場などが建築可能


田園住居地域

・農業と住宅が調和した低層住宅の環境を確保した地域

・住宅に加え、幼稚園から高校までの教育施設、病院や農産物の直売所などが建築可能

商業系
近隣商業地域

・近隣住民が日用品の買い物などを行うための地域

・住宅に加えて、学校や病院などの公共施設、映画館などの娯楽施設、小規模の工場が建築できる


商業地域

・主に商業などの利便性を増進する地域

・銀行や映画館、飲食店、百貨店などが集まる地域で、住宅や小規模の工場も建築可能

工業系
準工業地域

・主に軽工業の工場やサービス施設などが立ち並ぶ地域

・危険性や住環境悪化の恐れのある工場は建築できないが、それ以外のほとんどの建物は建築が認められている


工業地域

・主に工場の利便を増進する地域

・どのような工場でも建築可能

・住宅や店舗も建築できるが、学校や病院、ホテルなどは認められていない


工業専用地域

・工場のための地域

・どのような工場でも建築可能だが、住宅や店舗、学校、病院、ホテルなどは認められていない

・用途地域の中で唯一、住宅の建築が認められていない地域


用途地域について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。



市街化区域に家を建てるメリット



ここからは、市街化区域に家を建てるメリットを見ていきましょう。


誰でも住宅を建てられる

市街化区域は工業専用地域を除き、基本的に誰でも住宅を建てることができます


一方の市街化調整区域は、市街化の発展が抑制されているエリアのため、住宅の建築に制限がかかります。新しく家を建てるためには、個別で審査を受け許可を取得するなどの手続きが必要です。


生活インフラが整備され利便性が高い

市街化区域は、人が住み栄えることを目的とした地域です。そのため、公共交通機関や道路、電気、上下水道など生活インフラが整備されている、または今後整備される予定があり、利便性の高さも魅力の一つです。学校や病院といった公共施設のほか、商業施設や娯楽施設も隣接するため、将来にわたって住みやすいエリアと言えるでしょう。


不動産が売却しやすい

市街化が促進され利便性が高く、誰でも家を建てやすいエリアのため、不動産を売却しやすいのもメリットです。買い手が多く需要も高いことから、売却価格は上がる可能性もあるでしょう。


一方の市街化調整区域は、土地を購入しても家の建築に制限がかかるため、不動産を取得したいと希望する人は少ない傾向にあります。将来土地を売りたいと思っても、思うように買い手が付かない、売却価格を低く設定せざるを得ないといった可能性も出てくるでしょう。


市街化区域に家を建てるデメリットや注意点



誰でも家を建てられ、利便性の高さが魅力の市街化区域ではありますが、家を建てる上ではデメリットもあります。市街化区域に家を建てる際に知っておきたい注意点をご紹介します。


都市計画税がかかる

市街化区域内の土地・建物を所有する場合には、毎年、都市計画税が課税されます。都市計画税とは、市街化を進める都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てることを目的にした税金です。都市計画税は、固定資産税と合わせて徴収されます。


都市計画税は、以下の計算式で算出されます。
「土地または家屋の評価額」×「0.3%(税率)」=「都市計画税」


税率は市町村の条例により変動があります。なお、住宅用地の場合には軽減措置の適用もありますが、一定額の課税が課せられることを理解しておきましょう。


参考:総務省「都市計画税」


土地や住宅の価格が高い

市街化調整区域に比べると、住みやすいように整備が進み街の利便性が高いことから土地や住宅の価格が高い傾向にあります。土地単価が高い場合には、希望する広さの土地が購入できず、理想の家づくりを叶えられないことがあるかもしれません。


また、市街化区域は用途地域によって、建てられる建物の高さや大きさに制限がかかることも考えられます。あらかじめ用途地域の特徴を把握しておき、理想に応じた地域をピックアップしておきましょう。


市街化区域の場所を調べる方法



これから土地や物件の購入をする場合、どこが市街化区域に指定されているのか知りたい方もいるでしょう。ここでは、市街化区域を調べる方法についてご紹介します。


なお、市街化区域は、将来の不動産価格や住みやすさを左右する大事なポイントです。自分が購入しようとする土地が、市街化区域の近くなのかも確認しておくとよいでしょう。


自治体窓口で都市計画図を閲覧する

市街化区域を調べたいときは、行政が公表している都市計画図を閲覧することで、今後の計画などを把握できます。都市計画図を閲覧する場合には以下の2つの方法があります。


  • 購入予定の住宅や土地がある自治体の役場に出向き、都市計画課などの担当部署に依頼して確認する
  • 自治体のHPで都市計画情報を閲覧し、購入予定地の番地を入力し詳細を確認する
    (HPに都市計画の詳細を掲載しているかは自治体によって異なる)


物件資料を確認する

すでに購入したい土地や物件に目途が付いている場合は、不動産屋などで入手する物件資料の都市計画の記載で確認ができます。物件資料の概要欄や備考欄にある「用途地域」の項目で具体的な内容を把握しましょう。


市街化区域の農地転用はできる?



農地転用とは、田んぼや畑を農地以外の使い方に変えることです。市街化区域にある田畑を農地転用して、家を建てたいと考える方もいるでしょう。一般的に、田んぼや畑として使用されている土地は、許可なく住宅や駐車場などに転用できないことになっています。


しかし、市街化区域にある農地は、農業委員会へ届け出を出せば農地転用が可能です。一方で、自治体によっては条例などで転用できないケースもあるため、詳しい内容を知りたいときは農業委員会へ相談するとよいでしょう。



市街地区域の特徴を知り家づくりに活かそう



街の整備が進められ市街化している区域や、今後10年以内に市街地として整備される予定のある区域を指す、市街化区域。誰でも家が建てられ、生活インフラが整備された利便性が高い好条件のエリアです。


一方で、土地・物件自体の価格が割高であることや、用途地域によって建築する建物に制限がかかることは念頭に入れておく必要があるでしょう。市街化区域の特徴を理解し、理想の家づくりを進めていけるとよいですね。

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