農地転用とは?費用や手続き期間など自分で届出するためのポイントを解説

基礎知識 2021-08-27
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「農地転用とは?」「許可を得るために必要な費用や期間を知りたい」など、農地転用の手続きについて気になることもありますよね。自分で手続きを行うには、農地法「第4条」「第5条」の内容を知っておくことも大切です。今回は、農地を宅地に変える際などに必要な農地転用の手続き方法や費用、必要書類等を分かりやすく解説します。 


農地転用とは、農地を農地以外のものに転用すること


農地転用とは、農地を農地以外のものにすることです。例えば「農地に家を建てたい」「農地にコンクリートを敷いて駐車場にしたい」など、農地を宅地や駐車場などの他の用途に変更する場合が該当します。 


ここで言う農地とは、 「耕作の目的に供される土地」のことです 。農地であるかどうかの判断は、客観的事実状態によって決まるとされており、農地以外の地目であっても、端からの見た目が田や畑のようであれば、農地とみなされます


農地転用するためには、原則「許可」が必要

農地法に基づく「農地転用許可制度」によると、市街化を抑制する地域の「市街化調整区域内」において農地転用、または農地を転用するための権利移転などを行う場合は、都道府県知事又は指定市町村の「許可」を得る必要があります。


農地転用許可制度の目的は、国土を計画的かつ合理的に利用するために優良な農地を確保し、農業生産力の維持と農業経営の安定を図ることです。日本の農業生産力を守るためにも、個人の意思だけで転用してはならないことを覚えておきましょう。


農地転用の許可が不要なケース

市街化を推進している「市街化区域内」で農地転用を行う場合は、農業委員会事務局に設置されている農業委員会への届出制となっており、県知事等による許可を得るは必要ありません。


このほか、学校や病院などを建設するための農地転用についても、許可権者と協議を行い、整えば許可を受けたものとみなされるなど、例外となるケースもあります。


農地の無断転用は法律違反

転用許可が必要な農地を無断で転用した場合や、計画通りに転用していない場合は、法律違反となります。違反転用した場合、都道府県知事又は指定市町村の長は、工事の中止や原状回復等の命令を行うことができるとされていますが、これに従わない場合、個人では3年以下の懲役又は300万円以下の罰金という罰則が適用されることもあります。


農地転用を規制する法律は農地法「第4条」「第5条」


農地転用の許可申請を行う際の手続きは、農地法第4条と第5条に規定されています。農地法4条とは、自分の持っている農地を転用したい場合を対象とした規定を定めたもので、所有者など農地の権利を有する方が申請します。


一方で、農地法5条とは、農地を転用するために権利を設定すること又は移転する行為に関する規定で、農地の権利を設定(移転)する方とされる方が連名で申請をします。


どちらの場合も、農地が市街化調整区域内であれば「許可申請」、市街化区域内であれば「届出」をすることになりますが、揃える書類等に違いがあります。自分で手続きを行う場合には、余裕をもって必要書類や費用を確認し、準備を始められると安心ではないでしょうか。


許可申請や届出にかかる費用


農地転用申請にかかる手数料の相場は、届出の場合が3~5万円程度、許可の場合は6~8万円程度とされています。これは、提出に必要な書類を揃えるための手数料で、申請自体に費用はかかりません。専門的な書類が多いため、行政書士に依頼する方も多いですが、自分で手続きすることも可能です。


許可申請や届出時の必要書類


農地転用の許可申請や届出を行う際には、許可申請書や届出書のほかに以下のような書類が必要となります。


許可申請時の必要書類

  • 土地の位置を示す地図
  • 土地の登記事項証明書 ※全部事項証明書に限る
  • 申請に係る土地に設置しようとする施設の位置を明らかにした図面
  • 必要な資力及び信用があることを証する書面 ※残高証明書や融資証明書
  • (申請に係る農地を転用する行為の妨げとなる権利を有する者がある場合)その同意があったことを証する書面
  • (申請土地が土地改良区の地区内にある場合)その土地改良区の意見書 など


届出時の必要書類

  • 土地の位置を示す地図及び土地の登記事項証明書 ※全部事項証明書に限る
  • (賃借権が設定されている場合)解約の許可等があったことを証する書面
  • (都市計画法第29条の開発許可を必要とする場合)その許可を受けたことを証する書面

※農地法5条の場合のみ


転用の仕方など、状況に応じて必要書類が追加される場合もあります。お住まいの自治体によって対応が異なることもあるため、早めに自治体窓口等で確認しておくとよいでしょう。


農地転用の手続きの流れと期間


許可申請・届出時の手続き

農地転用の許可申請手続きは、30a(アール)以下の農地を転用する場合と、30a(アール)超の農地を転用する場合とで異なります。


農地転用「許可申請」の流れ

【30a(アール)以下の農地を転用する場合】

  1. 申請者が「農業委員会」へ許可申請書を提出
  2. 農業委員会が意見を付して「知事又は指定市町村長」へ送付 ※必要に応じて「都道府県農業委員会ネットワーク機構」に意見聴取
  3. 知事又は指定市町村長から「申請者」へ許可等を通知


【30a(アール)超の農地を転用する場合】

  1. 申請者が「農業委員会」へ許可申請書を提出
  2. 農業委員会が「都道府県農業委員会ネットワーク機構」に意見聴取
  3. 農業委員会が意見を付して「知事又は指定市町村長」へ送付
  4. (4haを超える農地を転用する場合)知事又は指定市町村長は「農林水産大臣(地方農政局長)」と協議
  5. 知事又は指定市町村長から「申請者」へ許可等を通知


転用許可を受けられた場合、農業委員会によって転用許可証(指令書)が発行されます。転用許可証は、地目変更登記をする際の添付書類として必要となるため、大切に保管しておきましょう。


農地転用「届出」の流れ

市街化区域で農地転用する際に必要な届出時の流れは次のとおりです。


  1. 申請者が「農業委員会」へ農地転用届出書を提出
  2. 農業委員会が申請者に受理通知


手続き開始から許可が下りる期間の目安は6週間

農地転用許可申請の場合、手続きを開始してから通知が来るまでの期間は、およそ6週間が目安とされています。届出の場合だと、審査開始から1週間から10日ほどで返答をもらえることが一般的です。


ただし、農業委員会による受付は、毎月締切日が設けられています。締切日を過ぎてしまうと審査の開始が1ヶ月も遅れてしまうため、早めに段取りを組み、スケジュール調整を行いましょう。


農地転用できる?できない?2つの許可基準を解説


農地転用の許可を受けられるかどうかは、許可基準によってある程度知ることができます。ここでは2つの許可基準について、わかりやすく解説します。


<許可基準1>立地基準

一つ目の許可基準は「立地」です。農地転用を農業上の利用に支障が少ない農地へ誘導するため、土地の優良性や立地によって区分分けをしています。以下で、農地区分による許可基準を解説します。


農地転用の許可が下りる農地区分

農地転用が許可される農地区分は、以下の2つが主です。


  • 第3種農地
  • 第2種農地


「第3種農地」とは、市街地となっている区域又は市街地化の傾向が著しい区域にある農地のことを言い、原則農地転用の許可を得ることができます。「第2種農地」とは、市街地化が見込まれる農地、または生産性の低い小集団の農地のことです。農地以外の土地や第3種農地に立地困難と判断された場合に、許可を得ることができます。


農地転用が原則不許可の農地区分

良好な営農条件を備えている農地などは、原則不許可とされています。具体的には次のような農地区分があります。


  • 農用地区域内農地
  • 甲種
  • 第1種農地


「農用地区域内農地」とは、市町村によって策定された農業振興地域整備計画において、農用地区域とされたエリア内の農地を指します。「甲種農地」や「第1種農地」は、良好な営農条件を備えている土地として区分されており、原則転用することができません。


ちなみに、農業振興地域内における農用地区域内の農地は「青地」とも呼ばれます。一方、農用地区域外の農地は「白地」と呼びます。青地は原則として農地以外の利用が出来ませんが、白地は青地に比べ農地以外への規制が比較的緩やかと言えるでしょう。


参考:農林水産省「農業振興地域制度」


農地転用が難しい「農用地区域内農地」かどうかを調べたい場合、全国農業会議所が運営している全国農地ナビを使って検索することが可能です。ただし、最終的には、自治体窓口できちんと確かめるようにしましょう。


<許可基準2>申請書に基づく「一般基準」

農地転用における一般基準とは、「目的達成の確実性」と「被害防除」のために定められている基準です。具体的には「申請目的を実現できる資力や信用があるか」や「周辺農地に支障を生ずるおそれがないか」といった事などが確認されます。


農地転用の許可を得るには、 立地基準を満たすと同時に一般基準を満たす必要があることを覚えておきましょう。


農地転用する際に知っておきたいこと