
家の資産価値を決める要素とは。家づくりの前に押さえておきたいポイント
家の資産価値とは、ある時点での建物と土地の価格を合算したもの。一戸建て住宅の購入を検討している方のなかには、「家を買うときにも資産価値のことを知っておいたほうがよいのか」と考える方もいるのではないでしょうか。
今回は、購入前から家の資産価値を考えた方がよい理由や資産価値が高くなる要素、価値が下がりにくい家づくりのポイントについてご紹介します。資産価値の調べ方についても解説しますので、戸建て住宅を検討する際の参考にしてください。
一戸建て住宅の購入時に「資産価値」を考えたほうがよい理由
家の資産価値は購入時が一番高く、築年数に応じて下がっていきます。中古住宅やマンションを購入するとき、家を売却するときなどには多くの人が資産価値を調べますが、実は一戸建て住宅を購入する時点でも資産価値を意識することが大切です。
価値が高い家であれば、資産として次世代に相続することもできるでしょう。現時点では家を売却する予定がない場合でも、子どもが巣立ち、世帯主が高齢になってくると、現在の部屋数や間取りに不都合を感じることがあるかもしれません。介護施設への入居のために売却したり賃貸に出したりする可能性も考慮すると、資産価値は高い方がよいでしょう。
建物と土地で、年数に応じた資産価値は異なる
家の資産価値は、建物と土地の価値を合算したものですが、それぞれの価値の考え方には違いがあります。
国土交通省から指定を受けている「REINS TOWER」の調査によると、築年数に応じた中古戸建て住宅の成約価格は以下の通りです。
- 築5年以内:5,000万円台
- 築6~20年:4,000万円台
- 築21~30年:3,000万円台
- 築30年超:2,000万円台
建物は経年劣化が避けられないため、このように築年数によって資産価値が下がることがわかります。一方、土地価格は年数によって資産価値が大きく変化することはありません。
家の資産価値が高くなる要素
不動産査定時に、家の資産価値が高いと評価される要素について解説します。
利便性が高い立地にある
利便性が高い場所にある物件は、資産価値が落ちにくいと言えます。具体的には、次のような特徴が挙げられます。
- 駅や街の中心部が近い
- 土地の前の道路幅が十分にある
- 渋滞が起こりにくい地域 など
また、役所や銀行などの公共機関、病院や教育施設、買い物施設などが充実し、周辺環境が整っている土地も人気が高く、資産価値が落ちにくいでしょう。
建物に比べ土地の割合が大きい
建物と土地の割合で、将来の資産価値は大きく変化します。例として、新築時には同じ資産価値だった2つの住宅の、20年後の建物価格が2割になったケースを解説します。
住宅A | 住宅B | |
---|---|---|
新築時 | 資産価値5000万円 (土地3000万円・建物2000万円) | 資産価値5000万円 (土地1500万円・建物3500万円) |
20年後 | 資産価値3400万円 (土地3000万円・建物400万円) | 資産価値2200万円 (土地1500万円・建物700万円) |
2つの住宅の新築購入価格はどちらも5000万円で、20年後の土地価格にも変化はありません。しかし、建物の資産価値は耐用年数によって下がるため、1200万円の差が出ています。つまり、建物と土地の割合が、将来の資産価値に大きな影響を与えるのです。
間取りや広さに需要がある
一戸建て住宅を購入する層に人気の面積や間取りであることも、資産価値を高めるポイントとして重要です。
一戸建て住宅には、最低限必要とされる「最低居住面積水準」と、理想の広さを指す「誘導居住面積水準」があります。国土交通省の資料によると、世帯人数別のそれぞれの面積水準は以下の通りです。
3人家族の場合 | 4人家族の場合 | |
---|---|---|
最低居住面積水準 | 40㎡=約12.1坪 (35㎡=約10.6坪) | 50㎡=15.1坪 (45㎡=約13.6坪) |
誘導居住面積水準 | 100㎡=約30.3坪 (87.5㎡=約26.5坪) | 125㎡=37.8坪 (112.5㎡=約34坪) |
※()内は、世帯人数の内3~5歳児が1名いる場合の面積
お住まいの地域によって需要や土地価格は異なりますが、一つの目安として参考にしてください。
参考:国土交通省「住生活基本計画における『水準』について」
耐震性や省エネルギー性がある
近年は東日本大震災を始めとした各地での大規模な地震や、エネルギー価格の高騰が話題になりました。高い性能が備わっている家は、長く住み続けられる家とも言い換えられるため、資産価値を維持しやすいでしょう。
管理やメンテナンスがされている
「壊れた部分がない」「設備が手入れされている」など、定期的にメンテナンスが行われていることも、資産価値を高める要素のひとつです。築年数が経つにつれて老朽化が進んだとしても、管理が行き届いていれば建物の経年変化のスピードが緩やかになり、資産価値を保てます。
資産価値が下がりにくい家づくりのポイント
これから家づくりを始める方のなかには、資産価値が下がりにくい住宅にしたいと考える方もいるでしょう。ここからは、資産価値が下がりにくい家づくりのポイントをご紹介します。
人気エリアの情報収集をする
土地探しから家づくりをする方は、情報収集から始めましょう。過去の土地取引価格の推移や事例を調べたり、自治体の情報やハザードマップを確認したりすることで、人気のあるエリアが見えてきます。
人気のあるエリアの土地価格は高めではありますが、価値変動が起きにくい資産となることから、家を建てる際の重要なポイントとなるでしょう。
幅広い層に人気の間取りやデザインを取り入れる
将来の資産価値を考えるときには、より広い層に需要があることも重要なポイントです。中古住宅を購入するのはファミリー層が多いため、3LDKや4LDKの間取りに人気が集まります。
また、資産価値の観点では、注文住宅を建てる際、一般的に受け入れられやすいデザインを採用するのがおすすめです。個性を出したい部分はインテリアで楽しみ、建物内外のデザインは幅広い層に受け入れられるものを選ぶと需要が高まるでしょう。
専門家の知識を借りる
マイホームづくりは一生に一度の大きな買い物です。多くの方は初めて家づくりをするため、「自分のやり方でよいのだろうか」と心配になったり、「建てた経験のある人に相談したい」と思ったりすることもあるでしょう。
家づくりで後悔をしないためにも、専門家の知識を借りることも一つの手段です。大手ハウスメーカーの担当者は豊富な知識と事例を兼ね備えているため、土地探しから間取り、デザインまで相談できます。
資産価値の調べ方
マイホームを購入後、自分の家の資産価値が気になることもあるかもしれません。最後に、家の資産価値の調べ方を4つご紹介します。
1.固定資産評価証明書で確認する
固定資産評価証明書とは、固定資産税の課税対象となる不動産の評価額を証明する書類のこと。東京23区内の場合は都税事務所に、他の地域の場合は市町村の役場に申請することで取得できます。
2.固定資産税納税通知書で確認する
家の資産価値は、毎年4~5月に届く固定資産税納税通知書でも確認できます。固定資産税納税通知書には、家や土地の時価の70%を目安とした固定資産税評価額が記載されています。
3.不動産情報ライブラリで確認する
国土交通省が運営する不動産情報ライブラリは、不動産取引に関わる情報を提供するオンラインプラットフォームです。不動産の取引価格や地価公示・都道府県地価調査の価格が確認できます。
参考:国土交通省「不動産情報ライブラリ」
4.不動産会社で査定する
不動産会社に家を査定してもらうことで資産価値を調べることもできます。一社ずつ査定してもらうほか、必要事項を一度入力するだけで複数の不動産会社に一括で査定してもらうサービスもあります。
将来のために資産価値を考慮した家づくりを
家の資産価値は、残念ながら築年数を重ねるごとに下がっていきます。しかし、建物の間取りやデザイン、立地、メンテナンスによって価値が下がりにくい家にすることは可能です。家を建てた後では変えられないこともあるため、土地探しや家づくりの段階から資産価値を意識できるとよいですね。