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長期優良住宅とZEHの違い|補助金・住宅ローン控除などメリットと注意点

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2025-05-29
基礎知識
「長期優良住宅」と「ZEH」は、どちらも高性能な住宅として知られていますが、その目的や特徴は大きく異なります。マイホームを検討する際に、どちらを採用するか迷っている方もいるのではないでしょうか。今回は、長期優良住宅とZEH住宅それぞれの特徴と、メリットや注意点などを解説します。どちらが理想の家づくりに適しているのか、住宅選びの参考にしてみてください。


「長期優良住宅」と「ZEH」の違い



長期優良住宅とZEHは、どちらも高性能住宅として注目されています。しかし、どちらの基準を採用するかによって、家づくりは大きく変わります。住宅ローン控除や税制面などの優遇措置も異なるため、できるだけ理想の暮らしに近い方を選びたいですよね。まずは、それぞれの違いから見ていきましょう。


長期優良住宅とZEHの違い
項目     長期優良住宅        ZEH       
目的住宅の長寿命化消費エネルギーの削減と環境負荷の軽減
主な特徴耐震性・耐久性・維持管理を重視

高断熱・高気密・再生可能エネルギー活用を重視

エネルギー性能一定の省エネ性能を求められるが、再生可能エネルギーの活用は必須ではない高断熱・省エネ・創エネでエネルギー収支ゼロであることが求められる
優遇措置住宅ローン控除・固定資産税の軽減などZEH補助金や自治体による助成金の利用など
コスト建築コストは高めだが、耐用年数が長く数世代にわたって住める初期費用がかかるが、光熱費の削減や余剰電力の売電でトータルコストが下がる
メンテナンス長期的な維持管理計画が必要設備の定期メンテナンスが必要
適用条件「劣化対策」「住戸面積」
「維持保全計画」「自然災害への配慮」など

「強化外皮基準のクリア」
「再生可能エネルギーの導入」
「1次エネルギー消費量の削減率100%」など

こんな方におすすめ      
  • 耐震性を重視する方
  • 長く快適に住み続けたい方
  • 光熱費を抑えたい方
  • 環境に配慮した家にしたい方


長期優良住宅は、省エネ性能、耐震性、維持管理・更新の容易性など、さまざまな規定の基準をクリアした住宅です。現在の基準ではZEH並みの省エネ性能が求められますが、太陽光発電などの発電設備の設置義務はありません。


一方、ZEHは、高断熱・省エネ性能に加え、太陽光発電などの創エネ設備を導入することで、年間の1次エネルギー収支を実質ゼロにすることを目指した住宅です。ZEH住宅の種類には、一次エネルギー消費量の削減率や高い条件設定によって「ZEH+」や「Nearly ZEH」などもあります。ソーラーパネルのような利用エネルギー分を賄う設備を必要とする点が、長期優良住宅との違いといえます。


また、長期優良住宅とZEHでは、補助金や住宅ローン控除などの優遇措置も異なります。



補助金制度の比較

新築で注文住宅を建てる際には、さまざまな支援制度を利用できます。長期優良住宅とZEHでは、それぞれどのような補助金を受けられるのでしょうか。具体的な補助金の種類と金額は以下の通りです。


補助金の種類  対象住宅

補助額       

備考
子育てグリーン住宅支援事業
長期優良住宅・ZEH水準住宅・GX志向型住宅
  • 長期優良:80万円    
  • ZEH水準:40万円
  • GX志向型:160万円     
長期優良住宅もしくはZEH水準住宅で、古家の除却が伴う場合は加算あり
ZEHの補助事業ZEH基準を満たす住宅

55万円

追加設備による加算あり
ZEH+の補助事業     ZEH+基準を満たす住宅100万円さらに高性能なZEH住宅が対象
自治体の助成地元の施工業者によるZEH、ZEH+など自治体により異なる国の補助金と併用できる場合がある
※子育てグリーン住宅支援事業は2025年度、ZEHの補助事業は2024年度の「ZEH補助金」を参考にしています。今後内容が変更される可能性があるため、行政の公式サイトなどで最新情報をご確認ください。


長期優良住宅では、国による補助が少ない印象ですが、補助金以外にも、登録免許税の軽減、不動産取得税の軽減、固定資産税の減額など、さまざまな優遇措置を受けることができます。また、住宅ローン控除も、長期優良住宅の方が控除額が大きくなっています。


参考:一般社団法人環境共創イニシアチブ「ZEH補助金」


住宅ローン控除の比較

住宅ローンを利用してマイホームを建てる際、気になるのが住宅ローン控除です。長期優良住宅とZEHでは、控除額にどれくらい違いがあるのでしょうか。


住宅ローン控除の違い(2025年度の場合)

長期優良住宅  ZEH水準省エネ住宅
借入限度額4,500万円3,500万円
控除率0.7%0.7%
控除期間(新築)13年13年


例年、借入限度額は、長期優良住宅の方がZEHよりも高めに設定されています。
ただし、新築住宅に対する支援制度は毎年変更があります。上記の情報は2025年度の予定であり、国会で予算が成立した後(3月末頃)に詳細が公表されます。いずれの住宅を選ぶ場合でも、行政の公式サイトなどで最新情報を確認するようにしましょう。


参考:国土交通省「住宅ローン減税」


長期優良住宅とは



国土交通省の定義にあるように、長期優良住宅は「長く住める家」を目指した住宅です。近年では、耐久性や省エネ性といったさまざまな基準をクリアした長期優良住宅を、標準仕様とするハウスメーカーが増えています。

参考:国土交通省「長期優良住宅のページ」


長期優良住宅のメリット

長期優良住宅の最大のメリットは、その名の通り、長期間にわたり安心して快適に暮らせる点にあります。耐震性や劣化対策が強化されているため、世代を超えて住み続けることも可能です。

また、経済的なメリットも豊富で、申請費用はかかるものの、固定資産税や住宅ローンなどさまざまな優遇措置が用意されており、住宅購入時の負担を軽減できます。

さらに、耐震性能に優れた長期優良住宅は、地震保険料が一般住宅よりも安く設定されています。将来的に資産価値が下がりにくく、住み替えの際に売却しやすい可能性があります。


長期優良住宅を建てる際の注意点

長期優良住宅は、そのメリットの裏側で、いくつかの注意点も存在します。建築を検討する際には、以下の点に留意しておきましょう。


1.建築期間とスケジュール

長期優良住宅を建てるには、「長期優良住宅認定制度」の基準を満たす計画を作成し、行政に申請して認定を受ける必要があります。申請手続きには時間がかかり、申請書類の準備期間も含めると、通常の住宅よりも工期が1カ月ほど長くなることがあります。そのため、余裕をもったスケジュールで家づくりを進めることが大切です。


2.申請手続きと費用

申請手続きは煩雑で、専門的な知識が必要となります。多くの場合、施工業者などに手続きのサポートを依頼することになりますが、その際には手数料が発生します。また、審査手数料は地域や条件によって金額が異なるため、早い段階でハウスメーカーの担当者などに相談し、申請費用も含めた予算計画を立てることが大切です。


3.維持保全計画と定期的なメンテナンス

長期優良住宅は、建てた後も定期的なメンテナンスや点検が求められます。これは建物を長く良好な状態に保つために必要なことですが、定期的なメンテナンス費用がかかります。また、維持保全計画に基づいた、既定の点検口の設置が必要です。内装にこだわる人にとっては、点検口の設置場所が自由に選べない点がデメリットとなるかもしません。



ZEHとは



ZEH(ゼッチ)とは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、住宅の省エネ性能を重視した住宅のこと。家庭で消費するエネルギーと太陽光発電などで創出するエネルギーのバランスをとることで、年間のエネルギー収支を実質ゼロにすることを目指しています。そのため、ソーラーパネルのような創エネ設備の設置が不可欠です。



ZEHのメリット

ZEH住宅の最大のメリットは、快適な室内環境と光熱費の削減です。断熱効果が高いため、年間を通して室温が安定し、快適に過ごすことが可能です。場所による温度変化が少ないため、ヒートショックによるリスクも軽減できるでしょう。

また、冷暖房にかかる光熱費を大幅に削減できるのも大きな魅力の一つです。自宅には、ソーラーパネルや蓄電設備などを設置することになるため、災害などによる停電時でも「電気を使える」という防災面での安心感もあります。

政府は、脱炭素社会の実現に向けてZEHの普及を推進しており、さまざまな補助金制度を設けています。ZEH住宅は一般的な住宅よりも建築コストはかかりますが、補助金を利用することで、トータルコストを抑えることができます。


参考:一般社団法人 環境共創イニシアチブ「ZEH補助金」


ZEHを建てる際の注意点

ZEH住宅を建てる際の注意点についても確認しましょう。


1.光熱費

ZEH住宅のように、省エネ・創エネ・断熱性能に優れている住宅でも、ある程度の光熱費はかかります。ZEH基準とされる消費エネルギーは、照明・エアコン・換気・給湯設備の4点のみであり、そのほかの家電製品はZEHの光熱費計算に含まれていません。また、太陽光などで発電する電力量については、注意が必要です。発電量は、地域や季節、天候などに大きく左右され、年間を通じて一定量を確保できるわけではないことを覚えておきましょう。


2.住宅のデザインや設計

ZEHの認定基準は厳しく、住宅のデザインや設計にも制約が生じる場合があります。例えば、吹き抜けのような室温に影響を与える間取りは、認定を受けられない可能性があります。補助金申請も、断熱性能など綿密な計算の上で行う必要があるため、申請後に設計を変更できません。

3.初期費用とメンテナンス費用

ZEHを建てる際は、初期費用とメンテナンス費用も考慮する必要があります。創エネ設備の設置が不可欠であり、ソーラーパネルや蓄電池などの購入費用がかかります。また、入居後のメンテナンス費用も加味して検討する必要があります。



長期優良住宅とZEH住宅のどちらを選ぶべきか?



ライフスタイルで選ぶ

長期優良住宅とZEHのどちらを選ぶのかは、予算や住宅に求めるものなど、各ご家庭の価値観によって異なるため、一概にどちらがよいとはいえません。

長期優良住宅は、耐久性や維持管理を重視し、長期間快適に暮らせる住宅を求める方に向いています。一方、ZEHは、省エネルギー性能や環境負荷の低減を重視し、光熱費の削減やエネルギー自給自足を目指す方に適しています。

住宅ローン控除や税制の優遇措置、補助金制度などは、適用条件がそれぞれ異なります。条件を満たせば、長期優良住宅とZEHの両方を申請したり各自治体の補助制度と併用したりすることも可能です。しかし、手数料がかかることや、複数の補助金を併用できない場合もあるため、どちらか一方で申請するのが一般的です。詳しくは、行政の窓口やハウスメーカーの担当者に相談してみましょう。

初期費用や維持管理の手間、長期的なコストなどを総合的に考え、ご自身のライフスタイルに合った最適な選択ができるとよいですね。


2030年以降の新築住宅はすべてZEH水準に

政府は2050年のカーボンニュートラル実現に向け、2030年以降の新築住宅をすべて「ZEH水準」にする方針を示しています。これにより、高断熱性能を有する建材や省エネ設備の導入が標準化され、太陽光発電などの再生可能エネルギーの活用が推奨されます。結果として、光熱費の削減やCO2排出量の削減など、環境負荷の低減が期待できます。

今後、新築住宅の建設では、省エネ性能を考慮した計画が必須となり、補助金などの支援制度の活用も重要になります。新しい家づくりでは、ZEH基準を満たす住宅を検討するなど、将来を見据えた選択が必要になるでしょう。



大手ハウスメーカーのフォローで安心の家づくり



長期優良住宅やZEH住宅を建てるには、専門的な知識や技術が求められます。実績のある大手ハウスメーカーであれば、基準を満たす設計・施工はもちろんのこと、申請書類の作成や補助金・住宅ローンに関する相談まで、家づくりをトータルでサポートしてくれます。

高耐久・高性能な住宅を建てられるだけでなく、アフターサービスも充実している点も魅力です。定期的なメンテナンスや点検を受けられるため、長期にわたって住宅の維持管理がしやすくなります。

理想のマイホームづくりに向けて、まず住宅展示場を訪れたり、資料を請求したりして、信頼できるハウスメーカーを探してみましょう。



長期優良住宅とZEHの違いを理解して、これからの家づくりを検討しよう



長期優良住宅とZEHは、それぞれ違う特徴を持つ優れた住宅です。マイホームを検討する際は、どちらのメリットがご自身のライフスタイルや価値観に合うか、そして長期的なランニングコストなどを十分に考慮し、理想の家に近い方を選びましょう。それぞれの特性を理解し、将来にわたって満足できる家づくりができるとよいですね。

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