軽量鉄骨造とは?メリット・デメリットや木造・RC造との違いを解説
軽量鉄骨造とは何か、耐用年数や耐震性、防音性など構造の特徴を知りたい方もいるのではないでしょうか。鉄筋コンクリート造・木造との違いも気になるところです。今回は、軽量鉄骨造に注目し、騒音が気になる場合の対策を含めたメリット・デメリットなどをご紹介します。
軽量鉄骨造とは?
軽量鉄骨造とは、家を建てる建材に軽量鉄骨を用いた構造の建物を指します。まずは、軽量鉄骨造にはどのような特徴があるのか、重量鉄骨との違いとあわせてご紹介します。
軽量鉄骨造とは、厚さ6mm未満の鋼材を使った構造のこと
軽量鉄骨造とは、柱や梁(はり)などの建物の骨組みに、厚さ6mm未満の鋼材を使用した構造のことです。「Steel」の頭文字をとり「S造」と略して表現することもあります。軽量鉄骨造の住宅を建築する際には、建物の部材を工場で生産し、建築現場で組み立てる「プレハブ工法」を用いるのが一般的。木造に比べて工期が短く、耐用年数の高さが特徴的と言えるでしょう。
「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」の違い
鉄骨造には、「軽量鉄骨造」のほかに「重量鉄骨造」という構造があります。双方の違いは、構造材として使う鋼材の厚さです。重量鉄骨造は厚さ6mm以上の鋼材を使用するものを指します。
軽量鉄骨造は一般的な戸建て住宅で多く採用されているのに対し、重量鉄骨造は、主に大型のマンションや高層階ビルなどで採用されています。
軽量鉄骨造のメリット
住宅建築の工法・構造には軽量鉄骨造以外にも「木造」や「鉄筋コンクリート造」などがあります。ここでは、軽量鉄骨造の住宅を建てるメリットをご紹介します。
<メリット1>部材が規格化されており、品質が安定している
軽量鉄骨造住宅の多くで採用されているプレハブ工法は、部材が規格化されているため品質が安定しています。建築現場では部材を組み立てるだけでよいため、工期も比較的短くなります。
<メリット2>耐用年数が長く、耐久性が高い
軽量鉄骨造の住宅は、耐久性が高いこともメリットの一つです。不動産の減価償却費用を計算する際に用いられる軽量鉄骨造の「法定耐用年数」は、厚さ3mm〜4mmで27年、厚さ3mm以下で19年とされています。木造住宅の耐用年数は22年です。適切なメンテナンスを行えば、法定耐用年数よりもさらに長く住み続けられるでしょう。
<メリット3>耐震性に優れ、地震による倒壊の危険が少ない
新築住宅を建てる際には、どの構造・工法を用いても最低限の耐震性をクリアしていることが前提です。軽量鉄骨住宅の耐震性は、重量鉄骨造や鉄筋コンクリート(RC)造の建物には劣りますが、木造住宅よりも高い耐震性があり、倒壊の危険が少ないと言われています。
軽量鉄骨造のデメリット
軽量鉄骨造の住宅を建てる際にはメリットだけでなくデメリットを理解しておくことも大切です。軽量鉄骨造のデメリットを解説します。
<デメリット1>防音性が低く対策が必要
軽量鉄骨造の防音性は、木造住宅と同等程度でそれほど高いというわけではありません。生活音や騒音でトラブルが発生しないよう注意したいところです。
対策として、防音効果や遮音性のある素材などを採用することで防音性を高めることが可能です。例えば次のような工夫を講じることができます。
- 部屋に防音マットやカーペットを敷く
- 壁に防音シートを貼る
- 遮音性の高い防音カーテンを選ぶ など
ハウスメーカーとよく相談し、騒音・防音対策を検討してみてはいかがでしょうか。
<デメリット2>木造住宅に比べて通気性や断熱性が低い
軽量鉄骨造は木造と比べ、通気性や断熱性が低いこともデメリットです。「夏は暑く、冬は寒い」といった住環境にならないよう、断熱対策を行い快適に暮らせる家づくりをしたいですね。軽量鉄骨造でも通気性がよい構造の建築は可能ですが、その分音が抜けてしまうため、遮音性が低くなる可能性もあるので注意が必要です。
<デメリット3>部屋の間取りを変えにくく、リフォームが難しい
軽量鉄骨造住宅の多くは、ハウスメーカー独自の工法で組み立てられます。軽量鉄骨造の壁には筋交いが入っていることが多く、工法のなかには部屋の間取りを変更しにくく、リフォームに制約が出てしまうケースもあるでしょう。将来的にリフォームを想定している場合は、軽量鉄骨住宅のリフォーム実績が豊富なメーカーに依頼すると安心です。
「木造」とは。軽量鉄骨造との違い
木造とは、建物の柱、梁など主要な部分に木材を使った構造のことです。日本は木材が豊富にあったことなどから、昔から多くの住宅で採用されています。
木造は、軽量鉄骨造に比べて材料費が安く、工期も短いので建築コストを安く抑えられる傾向にあります。部屋の間取りや設計の自由度が高いのもメリットでしょう。一方で、工事現場を担当する職人の腕次第で品質が左右されることがデメリットと言えます。