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プレハブ住宅とは?価格相場やメリット・デメリット

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2024-01-29
基礎知識

プレハブ住宅は、柱や梁などの建築部材を工場で生産し、現場で組み立てる工法を用いた住宅のこと。プレハブ住宅の最大の魅力は価格の安さですが、「コストを抑えながらおしゃれで自分好みなプレハブ住宅を建てられるのか」と疑問を持つ方もいるでしょう。今回は、プレハブ住宅とはどのような住宅なのか、メリットやデメリット、ほかの工法との違いや価格相場などをわかりやすく解説します。


プレハブ住宅とは、どのような家のこと?


「プレハブ」と聞くと、物置小屋や仮設住宅のような簡易的な建物のイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし実は、多くのハウスメーカーが一般住宅を建築する際に採用している建築方法の一つです。まずは、プレハブ住宅がどのような家なのか解説します。


プレハブ住宅は、工場で生産から組み立てを行う建築工法の家

プレハブ住宅のプレハブは、現場で組み立てる前(=プレ)にあらかじめ作っておくこと(=ファブリケーション)を意味する「Pre-fabrication(プレ・ファブリケーション)」の略称


プレハブ住宅とは柱や梁、床や壁などの住宅構造体を可能な限り工場で生産し、それを建築現場で組み立てるシステムを採用した住宅を指します。


プレハブ住宅は、多くの建築部材が工場で生産されるため、以下のような特徴があります。


  • 品質が安定する
  • 工期を短縮できる
  • トータルのコストダウンになる


そのため、多くのハウスメーカーでは、プレハブ住宅の研究開発に多くの時間をあてて、独自の工法や構造を開発しています。安心して家づくりを任せられるという点もプレハブ住宅の大きな特徴でしょう。


プレハブ住宅の原点はダイワハウス工業の「ミゼットハウス」

1960年代に主要ハウスメーカーが続々と手掛けるようになったプレハブ住宅ですが、その原点は、大和ハウス工業が1959年に発売した「ミゼットハウス」です。そもそもミゼットハウスは、ベビーブーム到来で、多くの一般住宅が手狭となってしまった問題を解消するためにつくられた「子ども部屋」が始まり。これが予想を超える大ヒット商品となり、現在の本格的なプレハブ住宅につながっています。


プレハブ住宅の着工戸数

一般社団法人プレハブ建築協会の資料によると、2016~2022年度国内では年間平均11~15万戸ほどのプレハブ住宅が建てられています。また、国土交通省が公表した「建築着工統計調査報告 令和4年計」からは、新設住宅着工戸数が859,529戸の2022年においては、新築戸建て7戸に対して1戸がプレハブ住宅となっていることが読み取れます。


参考:一般社団法人プレハブ建築協会「プレハブ住宅完工戸数実績及び生産能力調査報告」

参考:国土交通省「建築着工統計調査報告 令和4年計」


プレハブ住宅でもおしゃれな間取り・外観の家づくりができる

プレハブ住宅は品質がよい一方で、「既製品的」なイメージを持つ方もいるのではないでしょうか。実際、プレハブ住宅を建てるための工法は、住まいの安全性に関して建設大臣の認定を受ける必要があり、その範囲内での設計・建築となります。


ただ近年では、個性化するニーズに柔軟に対応できるような次世代のプレハブ住宅を提案するハウスメーカーが増えています。住宅品質も年々高まっており、和・洋・モダンといったさまざまなテイストの家づくりが可能となるなど、おしゃれで自分好みの個性的なマイホームを実現できるでしょう。


プレハブ工法の種類



建物の部材の大部分をあらかじめ工場で生産し、現場で組み立てる「プレハブ住宅」と一口に言っても、工法の種類は、使う構造材の違いや工場と現場の作業割合によって大きく以下の4つに分類できます。


  • 木質系
  • 鉄鋼系
  • ユニット系
  • コンクリート系


ここでは、工法4タイプの特徴を紹介します。


木質系:木材によるパネルなどを主要構造部材とした住宅

木質系のプレハブ住宅は、主に「木材」を柱や梁(はり)などの主要構造部材とした住宅です。工場では、外部や水回りに使用する部材やパネルに、防腐や白蟻防止の処理が施されます。また、建物の外周に使われるパネルには断熱材が組み込まれます。現場では、厳しいチェックのもと、建材が正確に組み立てられるため、工期が比較的短く済むだけでなく、耐久性の高い住まいが実現できます。


鉄鋼系:鉄骨を主要構造部材とした住宅

鉄鋼系のプレハブ住宅は、主に「軽量鉄骨」を主要構造部材とした住宅です。建て方として、<1>軽量形鋼で柱や梁などを構成し、そのあと壁・床パネルを張りつける「軸組方式」と、<2>外壁パネルで構造耐力を持たせる「パネル方式」の2種類があります。


このほか、柱と梁を重量鉄骨で構成するラーメン構法が採用される場合もあります。鉄鋼系のプレハブ住宅は断熱性や遮音性、耐震性に優れているのが特徴です。


ユニット系:工場で生産したユニットを現場で連結し、完成させる住宅

ユニット系のプレハブ住宅は、鉄骨のフレームや木材のパネルで構成された箱(ユニット)を工場で生産し、それを建築現場で組み立て完成させる住宅です。


徹底した品質管理のもと、床や壁、天井に加え、キッチンや浴室といった設備や内部造作も工場で取り付け、専用トラックで現場へ搬入します。ユニット系では、工場で大部分の生産が終わっているため、基礎を除いた組み立ては1日で完了するなど、現場作業が大幅に短縮できます。工期短縮が、人件費の削減につながり、近隣への影響や現場廃棄物も少ない工法です。


コンクリート系:PC板などを主要構造部材とした住宅

コンクリート系のプレハブ住宅は、主に工場生産されるPC板(工場生産コンクリートパネル)を主要構造部材とした住宅です。現場では、工場から搬入されたコンクリートパネルで床・壁・屋根が組み立てられます。耐久性や耐火性、耐震性、さらには居住性に優れているのが特徴です。


プレハブ工法と「木造軸組み工法」「2×4工法」の違い


新築一戸建てを建てる工法としてよく知られているものに、「木造軸組み工法」や「2×4(ツーバイフォー)工法」などがあります。プレハブ住宅を建築する際のプレハブ工法は、これらの工法とどのような違いがあるのでしょうか。


木造軸組工法とプレハブ工法の違い

木造軸組工法は日本で昔から採用されてきた工法で、「在来工法」とも呼ばれています。柱と梁でつくられた骨組みに、筋交いを入れて補強し、そこに壁や天井を付けて家を建てる工法です。プレハブ工法と比較し、木造軸組工法は設計自由度や耐久性が高いというメリットがある一方で、職人の技術によって質が左右されるというデメリットがあります。


2×4(ツーバイフォー)工法とプレハブ工法の違い

2×4工法とは、アメリカ・カナダから導入された工法で「枠組壁工法」とも呼ばれます。天井、壁面、床の合計6面で箱をつくってから、窓などをくり抜いて家を建てる工法のことです。面で支える構造のため、外圧を分散しやすく、耐震性に優れているのが大きな特徴です。


2×4工法はあくまで現場で施工するという点でプレハブ工法と異なりますが、「部材がある程度、工場で製品化される」「建材のサイズが規格化されている」ことで工期が短くなるという点は、プレハブ工法との共通点だと言えるでしょう。


プレハブ住宅の価格相場


プレハブ住宅の建築価格は高いのか低いのか、コストについても気になるところです。プレハブ住宅の価格相場について見てみましょう。


プレハブ住宅の坪単価は約50万円から

プレハブ住宅の価格は、住宅の広さや採用する設備などによって異なりますが、坪単価は50~150万円程度が相場となります。延床面積が30坪の家を建てる場合だと、建築価格は1,500万円程度が目安となるでしょう。ただし、土地もあわせて購入する場合には、その分の費用も考慮して資金計画を立てる必要があります。


プレハブ住宅は、そのほかの一般的な住宅に比べて建物自体の価格が大幅に安いわけではありません。しかし、作業工程の一部を職人さんではなく工場の機械で賄うなど、あらゆる面でコスト削減の努力が続けられており、トータルコストの低減が期待できます


【関連記事】マイホームの平均坪数は何坪?理想の坪数を考えるときのポイント


工場生産の割合が高い「ユニット系プレハブ住宅」も価格相場は同じ

プレハブ住宅のなかでも、工場生産の割合がもっとも高いものを「ユニットタイプ」と言います。ユニットタイプの場合、床や壁、天井に加えてキッチンやトイレ、風呂場など建築の約80%が工場で行われます。


ユニットタイプなら工期をさらに短縮できるため、その分コストダウンが可能ですが、ほかのプレハブ住宅と同様、トータルコストは坪単価や土地の価格によって差が生まれます。坪単価もやはり50万円からが一般的な相場となるでしょう。


プレハブ住宅4つのメリット


ここからは、プレハブ住宅を建てる場合に得られるメリットをお伝えします。


<メリット1>建築価格の低減

先述したように、プレハブ住宅は建築価格の低減が期待できます。ハウスメーカーでは資材購入から生産設備、現場施工などにおいて合理化努力が続けられているためです。


また、工場生産の割合が多く原価管理が明確に行われるため、価格が適切に設定されやすいこともメリットです。


<メリット2>工期が短い

プレハブ住宅は多くの部材があらかじめ工場生産されるため、現場での作業が大幅に軽減できます。工法の中でもユニット系なら1日で組み立てが完了するなど、一般的な住宅に比べて着工から完成までの工期が短くなります。早く新居に引っ越しをしたいと考える方にとっては大きなメリットでしょう。


<メリット3>部材や施工の品質が安定している

プレハブ住宅の材料の大部分は、工場において徹底した品質管理のもとに生産されます。現場での組み立て時には、厳しいチェック項目による管理制度によって工事が進められるでしょう。加工のほとんどを機械が行うので、品質のばらつきがなく、安定した品質の高い住宅を完成させることが可能です。


<メリット4>工場ならではの特殊な「技術・性能」を採用できる

プレハブ住宅の部材は、コンピューター、ロボットなど最新技術を導入した工場で生産されます。特殊な加工法、塗装など、現場では実現しにくい技術・性能が実現できるのもプレハブ住宅ならではの特徴です。


プレハブ住宅4つのデメリット


一方、プレハブ住宅のデメリットも見ておきましょう。


<デメリット1>設計プランが制限されることもある

プレハブ住宅は、各ハウスメーカーごとに規格化されている分、設計の自由度が限られるというデメリットがあります。注文住宅のように細かい部分まで自分のこだわりを実現させるのは難しく、希望プランに沿えないケースもあるでしょう。


各メーカー独自の工法や構造となるため、将来リフォームを行う際にもさまざまな制約を伴います。土地の形状や道路条件によっては、部材を現場に運び込めないケースもあるため土地選びの際には注意が必要です。


<デメリット2>施工中に計画を変更しにくい

プレハブ住宅の場合、当初の計画から仕様を変更しにくいというデメリットがあることも覚えておきましょう。注文住宅とは違い、仕様変更によって変更する部分ができると、品質にバラつきが生じてしまうなど、プレハブ住宅特有のリスクが発生する可能性があるので注意が必要です。


<デメリット3>リフォームによる間取り変更が難しい

ライフステージの変化に合わせて、住宅リフォームを検討する方もいるかもしれません。プレハブ住宅の場合、内装の簡単なリフォームは可能ですが、大幅な間取り変更は難しいでしょう。工場で頑丈に組み立てられたプレハブ住宅は、大規模なリフォームをするのに高い技術を要します。


専門の施工業者に依頼すれば、リフォーム費用が高額になるケースもあるため、基本的に大幅な間取り変更はできないものと考えていた方がよさそうです。プレハブ住宅を選ぶ前には、将来のことも想定して検討しましょう。


<デメリット4>工法によっては経年劣化に注意が必要なケースも

プレハブ住宅の工法の種類によっては、経年劣化に注意が必要なケースがあります。例えば木質系の場合、使用している木材が湿気により腐朽する可能性が高いです。また、鉄骨系住宅では赤サビが、コンクリート系でもコンクリートが中性化することで鉄筋にサビが発生し、ヒビ割れが生じることがあります。


プレハブ住宅は、採用したい工法でハウスメーカー選びを


大手ハウスメーカー各社でも、プレハブ住宅を提供しています。長年の研究で作り上げた独自の工法を採用しているため、安心・安全な品質の高い住まいを手に入れられるでしょう。


ただし、ハウスメーカーによって採用しているプレハブ工法は異なります。


  • 木質系:ミサワホーム
  • 鉄鋼系:積水ハウス、ダイワハウス、パナソニックホームズ、トヨタホーム
  • ユニット系:セキスイハイム


自分の理想とする仕様やデザインが実現できるハウスメーカーを探し、マイホームづくりの成功につなげましょう。


【関連記事】:大手ハウスメーカーの特徴を一覧で比較!検討初期に知りたい基本情報まとめ


プレハブ住宅のメリット・デメリットを理解しておしゃれな家づくり


プレハブ住宅は、工場で住宅構造体を生産し現場で組み立てる方法で建築した住宅のことで、多くのハウスメーカーが採用している工法の一つです。


トータルコストを抑えられ、工期も短縮できるほか、安定した品質の住宅づくりが可能であることがプレハブ住宅の大きな魅力である一方、施行中の仕様変更やリフォームが難しいというデメリットがあります。プレハブ住宅の意味や特徴を知って、マイホームづくりの参考にしてくださいね。

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