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耐震等級3は必要?耐震等級の意味や調べ方、証明する費用やメリットを解説

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2022-05-27
基礎知識

「耐震等級とは?」「耐震等級3を証明するメリットは?」など、新築住宅を建築する際に気になる人もいるのではないでしょうか。地震に強い建物を建てるためには、どのような家づくりをするとよいのでしょう。今回は耐震等級の意味や調べ方、耐震等級の認定を受ける方法や費用などについて、わかりやすく解説します。


耐震等級とは、地震に対する建物の強さを表したもの


住宅の耐震性能を表す指標として「耐震等級」という言葉があります。ここでは耐震等級とは何か、わかりやすく解説します。


耐震等級の意味

耐震等級とは、地震の力の作用がどの程度大きさになるまで、柱や梁などの構造躯体が傷を受けたり、壊れたりしないかを「等級」で示す判断基準です。等級は1~3の3段階にランクが分かれ、数字が大きいほど耐震性能が高くなります。


耐震等級は、2000年施行の「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」で定められた「住宅性能表示制度」に基づく評価基準で審査されます。


住宅性能表示制度とは、法律に基づき、住宅の性能を評価し表示するための基準や手続きが定められた制度のこと。新築住宅における性能の表示項目には、外からでは判断しにくい10分野32項目の評価基準が設けられており、その中に「地震などに対する強さ」という分野があります。


具体的には、倒壊防止と損傷防止に分けて耐震等級が表示されます。加えて、建築基準法で定める「免震構造をもつ建築物」であるかどうかも評価対象となるほか、免震建築物として性能を維持するために必要な免震材料等の維持管理ルールを設定しているかという点も確認されます。


この住宅性能表示制度は、「申請」を行うことで利用できます。評価方法基準に従って住宅の性能評価が行われ、その結果が「住宅性能評価書」として交付される仕組みです。


中古住宅の売買を行う際にも、住宅性能表示制度を利用していれば、売買する当事者間で物件情報を共有しやすく、適切な維持管理やリフォームにも役立てることができるでしょう。


参考:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会「住宅性能表示制度とは」

参考:国土交通省住宅局住宅生産課「既存住宅の住宅性能表示制度ガイド」


耐震等級の調べ方

中古住宅を購入する場合など、すでに建築されている建物の耐震等級を調べたい場合は、先に述べた「住宅性能評価書」で確認することが可能です。住宅性能評価書は、新築を建てるときに作成するのが一般的ですが、中古住宅によっては作成をしていない場合もあるため、評価書があるかどうか不動産会社に確認してみてください。


また、マンションの耐震性能を知りたい場合も、不動産会社の担当者に確認してみるとよいでしょう。住宅性能表示制度を受けているマンションなら、耐震性能を知ることが可能なので、購入の参考にするとよいでしょう。


一方で、新築の注文住宅を建築する場合は、建築基準法の最低基準を守れば設計時に自分で住宅の耐震等級を決めることが可能です。建売住宅の場合は、基本的にハウスメーカーや工務店が耐震等級を事前に決めているケースが多いので、事前に確認しておくのがオススメです。


耐震等級の3つの区分


耐震等級は1から3までの3つの区分に分類されます。それぞれの等級における耐震基準を解説します。


耐震等級1:建築基準法の耐震力と同等

耐震等級1は、建築基準法で定められている、最低限の耐震性能を満たすものです。数百年に一度発生する大地震でも倒壊や崩壊をせず、数十年に一度発生する地震に対して損傷しないよう構造計算されています。耐震等級1は、建築許可がおりる建築基準法の最低条件です。


耐震等級2:長期優良住宅の認定基準

耐震等級2は、耐震等級1の1.25倍の耐震性能があることを示しています。「長期優良住宅」として認定してもらうには、耐震等級2以上の住宅を建てなければなりません。学校など公共建築物に多い等級です。


耐震等級3:消防署や警察署など防災拠点の耐震基準

耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の耐震性能があることを示しています。住宅性能表示制度で定められた耐震性の中でも最も高い耐震基準です。震度6強〜7の大地震が起きても、軽い補修程度で住み続けられるレベルで、消防署や警察署など防災施設に多い等級となります。


耐震性が決まる4つのポイント


安心して暮らすためには建物の設計時にどのようなポイントを検討するとよいのでしょう。耐震等級は、住宅の耐震性によって決まります。耐震等級1(建築基準法)では、建物の重さ・耐力壁の数やそのバランス・接合部分の強さなどがチェックされ、等級2や3になると床の強さについても検討されます。ここでは、住宅の耐震性に影響する4つのポイントを解説します。


<ポイント1>建物は軽い方が耐震性が高い

「建物は重たいほうが地震に強いのでは?」と思われがちですが、実はそうではありません。建物や屋根が軽いほど、地震の揺れに対しての振幅が小さくなり、耐震性が高くなります。そのため、軽量な木造住宅は、耐震性能を強化しやすいと言われています。


<ポイント2>耐力壁が多いほど耐震性が高い

耐力壁とは、地震や風など横からの力に抵抗することができる壁のこと。耐力壁は、通常の壁とは違い、筋交いや構造用面材などを入れて強度を高めています。この耐力壁が多ければ多いほど、耐震性が高くなり、耐震等級は上がります。


<ポイント3>耐力壁や耐震金物の配置場所で耐震性が変わる

耐力壁は、どこに配置するかが大切です。住宅に耐力壁や耐震金物を多く使っていても、耐力壁が一部分に集中しているなど、配置バランスが悪ければ、その効力を十分に期待することができません。耐力壁の効力を最大限に発揮するためには、偏りのないようにバランスよく配置することが大切です。


<ポイント4>床の耐震性能が良いほど耐震性が高い

床も建物全体の耐震性能を高めるポイントの一つです。耐震等級2以上になると、床の強度についても検討します。地震に耐える住宅を建てる上で重要なのは耐力壁ですが、壁と床はつながっているため、大きな地震が起きた際に、耐力壁がしっかり踏ん張れるよう、強度のある床が求められます。


耐震等級の認定を受ける方法や費用


耐震等級1は建築基準法で定められている最低基準のため、認定を受ける必要はありません。しかし、耐震等級2や3は、住宅性能評価機関という専門機関で行われる審査に合格することで認定されます。専門機関での評価方法は、許容応力度計算などによるデータでの証明を行った上で、適正に審査されます。認定費用は10〜15万円程度かかる場合が多いでしょう。


耐震等級の認定を受けるメリットは、地震保険の割引を受けられること


新築住宅の地震による損害は火災保険でカバーできないため、地震保険への加入も検討している方が多いのではないでしょうか。耐震等級の認定を受け、品確法に基づく建設住宅性能評価書を取得すると、地震保険の割引が受けられるというメリットがあります。地震保険の割引率は、耐震等級1で10%、耐震等級2で30%、耐震等級3で50%となっています。


耐震等級を確認するときのポイント


「耐震等級3相当」は、耐震等級の認定を受けていない場合に使われる

物件の広告やパンフレットなどで「耐震等級3相当」という言葉を目にすることもあるかもしれません。耐震等級3相当の家とは、「住宅性能評価機関への申請はしていないが、耐震等級3と同等の耐震性を持つ物件」のことを指します。


耐震等級の認定には、認定機関による審査のために数十万円の費用がかかります。そのため、少しでも住宅コストを下げようと、あえて耐震等級の審査を受けず安く住宅を提供することを選ぶケースがあります。実際に認定を受けてない場合は、地震保険の割引などのメリットを享受できないため、設計時にはそのことも踏まえ、認定の取得が必要かどうかを検討してはいかがでしょうか。


構造計算の方法も確認しよう

住宅性能評価をする際に用いられる構造計算は2種類あります。一つ目は「壁量計算」といい、揺れに対する耐力壁の量が十分かをチェックする簡易的な方法です。壁量計算では、住宅にかかる水平の力に対して「必要な耐力壁の量を満たしているか」を調べます。


二つ目は「許容応力度計算」といい、壁量計算よりも細かく複雑な計算方法です。一般的に耐震等級2や3を希望する場合に用いられる計算方法です。建物を作る柱や壁などの部材が、地震や風などに対してどのくらいの荷重(ちから)まで耐えられる強さがあるのか(許容応力)を計算します。同じ壁量である場合、許容応力度計算の方が、上下階の耐力壁をバランスよく配置できるため、より強い構造にすることが可能です。


建築確認や性能評価では、どちらの計算を用いてもよいため、計算方法によって耐震性に差が生まれます。また、建築基準法の中には、構造計算をしなくてもよいという特例(4号特例)も設けられており、一般的な木造2階建ての住宅については構造計算の必要がありません。家選びの際には、耐震等級だけでなく、構造計算の有無や方法にも注目したいですね。


ハウスメーカーで地震に強いマイホームを建てよう


ハウスメーカーでは、これまでの家づくりの実績を活かし、独自の技術やシステムを駆使して、地震に強い家を建てることができます。設計時には営業マンが豊富な知識を活かして、建物を地震から守るための住宅性能についても相談に乗ってくれるでしょう。


住宅展示場などへ足を運ぶと、実際どのような技術や構造で家を守ることができるのかを知ることもできます。ハウスメーカーごとに基準や特徴があるので、対応している耐震等級などを色々見比べてみてはいかがでしょうか。


耐震等級についてしっかり理解し、住宅購入を!


耐震等級とは、地震に対する建物の強さを表したものです。耐震等級1は建築基準法における最低限必要な条件ですが、耐震等級2や3の取得には、専門機関に申請し認定を受ける必要があります。


耐震等級を証明すれば、地震保険の割引を受けられるなどのメリットがありますが、その分費用もかかります。新築住宅を建築する際には、どのレベルの耐震等級が必要か、また、等級認定を受ける必要があるかどうかを考えて、マイホームを建てられるとよいですね。


合わせて、耐火建築について、軽量鉄骨造住宅について知りたい方はこちら。


関連記事:防火地域・準防火地域とは?木造でも大丈夫?調べ方や建築制限について解説

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