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建築確認申請とは?不要なケースや費用、建築時の流れなどを解説

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2024-08-20
基礎知識

「建築確認申請」は、新築や増築をする場合になぜ必要なのでしょうか。一度は耳にしたことがあっても、「申請書提出の流れや費用は?」「申請しなかった場合はどうなる?」などさまざまな疑問を持つ方もいるかもしれません。


今回は、建築確認申請の概要や流れ、費用相場や必要書類についてご紹介します。また、建築確認申請が不要なケースや建築確認後に設計を変更したい場合、交付書類を紛失した場合の対応などについても分かりやすく解説しますので、ぜひご参考にしてください。


建築確認申請とは


「建築確認申請」とは、住宅を新築するときや増改築する建物が、建物の安全性を守る建築基準法に適合したものであるかどうかを確認するための制度のこと。違法建築物を取り締まる目的で行います。


新築一戸建てなど建築物を建てるときは、自治体もしくは民間の指定確認検査機関に建築確認申請書を提出し、「建ぺい率や容積率が守られているか」「住環境や建物の耐久性に問題がないか」など、多岐にわたって確認を受ける必要があります。


住宅性能や安全性が合法であるという証明として検査済証の交付を受け、着工に進むことができます。


もし、建築確認申請をしないまま家を建ててしまった場合はどうなるのでしょうか。ここでは、建築確認が必要な理由や申請は誰がするものなのか解説します。


参考:e-Gov法令検索「建築基準法」


建築確認申請が必要な理由。しなかったらどうなる?

建築物は、建築基準法によってさまざまな制約が設けられており、何でも自由に建てられるわけではありません。


建築確認申請をしないまま、工事を始めたり家を建てたりした場合は、違法となってしまいます行政から施工会社や敷地の所有者に対して、違反を是正するための措置をとることが求められ、従わない場合は施工の停止や使用禁止命令などが下されます。さらにこの命令に従わない場合は、罰金刑や懲役刑が課されることもあります。


DIYが得意な方は「自分で建築物を建てよう」と考えることがあるかもしれませんが、それがたとえ自分の土地であっても、建築確認申請は建築主の義務なので、必ず申請しなければなりません。


建築確認申請は誰がするもの?

建築確認の申請者は建築基準法で「建築主」と定められているので、建築主自ら申請することも可能です。また一定規模以下であれば、建築士の資格がない人に代理申請をお願いすることもできます。


しかし実際には、建築主に代わって工務店やハウスメーカーなどの施工業者や建築士が代理人となり申請業務を行うことが一般的です。代行の場合、申請書には委任していることを証明する委任状が必要になることも覚えておきましょう。


建築確認申請が不要なケースもある 


これまで建築確認の必要性について述べましたが、一定の条件に該当する場合は、建築確認が不要となります。ここでは、建築確認申請が不要なケースについてご紹介します。


防火地域、準防火地域以外で計10㎡以内の増築や改築を行う場合

ガレージやプレハブ物置、カーポートなどの増築は、「防火地域、準防火地域以外で合計10㎡以内」という条件を満たすことで、建築確認が不要となります。ただし対象の地域が防火地域や準防火地域の場合は、10㎡以下でも建築確認申請が必要になるので忘れないよう気をつけましょう。


建築基準法上による建築物に該当しない場合

建築確認申請が必要なのは、建築基準法で以下の要件に当てはまる「建築物」です。


  • 屋根・壁・柱のある住宅
  • 建物の土地に定着する門や塀
  • 店舗や倉庫などの施設
  • 観覧のための工作物


つまり、地面に置くだけのプレハブ物置や建物に付随しない門や塀は、「建築基準法による建築物に該当しない」という理由で建築確認が不要と考えられます。


都市計画区域外などで四号建築物を建築する場合

都市計画区域外や準都市計画区域などで四号建築物に該当する建物を建築する場合も、確認申請が不要です。

四号建築物とは「建築基準法6条1項の四号に規定される建築物」のことで、一号から三号の建築物以外の建築物を指し、次のような建物が該当します。


  • 一定規模以上の特殊建築物ではない
  • 木造建築物は2階建て以下、延べ面積500㎡以下、高さが13m以下、軒高が9m以下
  • 非木造建築物は1階以下、延べ面積200㎡以下


都市計画地域外(都市的な活動が展開される可能性がない区域)など一定の地域において、上記のような条件を満たす建物は建築確認が不要となります。木造2階建てや平屋建て、コンテナハウスなどがこれに該当するケースがあるため確認してみるとよいでしょう。

注意点として、確認申請が不要であっても建築基準法は原則すべての建築物に適用されます。建物によっては固定資産税が課税されるケースもあるため、建築物を建てる際は、建築確認の要否だけでなく、固定資産税についても確認しておくと安心でしょう。


参考:e-Gov法令検索「建築基準法」


建築確認申請の流れと期間、交付書類について


建築申請は、建築主に代わって工務店やハウスメーカーなどが代理人となり申請業務を行うことがほとんどですが、建築確認申請の流れを理解しておけば、家づくりのスケジュールも立てやすいでしょう。ここでは、建築確認申請を踏まえた家づくりの流れや期間を解説します。


建築確認申請をして家づくりを行うときの流れ

建築確認は、基本的には着工前か完成後に以下のような流れで行われます。



着工前の「建築確認」

新築一戸建てを建てる場合、1回目の建築確認は着工前に行われます。まずは、特定行政庁(自治体)または自治体による民間の指定確認検査機関に申込を行い、設計図などの書類をもとに確認を受けます。問題がなければ「建築確認済証」が交付され、これをもって工事に着手することができます。


工事中の「中間検査」

「3階建て」など自治体が指定した一部の建築物についてのみ、施工途中に「中間検査」が行われます。中間検査は、建物完成後に外からの目視で確認できなくなる箇所(天井裏・壁の中・床下など)についての確認が主な目的です。工事の工程チェックが終わり合格すると「中間検査合格証」が交付され、次の工程に進むことができます。


完成後の「完了検査」

家が完成したら、申請通りに建てられているか現地確認を行う「完了検査」があります。申請は工事終了後、4日以内に行うことになっており、申請後7日以内に完了検査を受けます。検査で問題なければ着工前同様に特定行政庁(自治体)または建築検査機関から「検査済証」が交付され完了です。建築物がいつでも使用開始できる状態となり、この後「引き渡し」が行われるのが一般的です。


もっと詳しく住宅購入の流れや期間が知りたい方はこちら


建築確認申請にかかる期間

国土交通省が公表している「建築確認審査に係る法定期間に関する基礎データ」によると、着工前の建築確認や完了検査などの審査(確認済証の交付)にかかる日数は、確認申請受理後から1~3号建築物で最長35日以内、4号建築物で7日以内と定められています。


何も不備がなければ1週間程度で終わることが多いようですが、不備があった場合は、再度審査を受けることになるため、数週間程度~1カ月以上かかることもあります。さらに特定建築基準適合判定資格者(ルート2建築主事)による適合性判定が必要になると、最長70日かかります。


参考:国土交通省「建築確認審査に係る法定期間に関する基礎データ」 

参考:国土交通省「建築物省エネ法のページ」


建築確認申請を含めた一戸建ての建築期間について知りたい方はこちら

【関連記事】新築一戸建ての建築期間はどれくらい?スケジュールや大切にしたいポイント


建築確認申請で交付される書類は2つ

建築確認申請においては、着工前の建築確認後に「建築確認済証」が、建物完成後の完了検査が終わると「検査済証」が交付されます。


「建築確認済証」は住宅ローンを組む際の本審査や、家を建てた後の登記時のほか、建物の売却時にも必要となるため、大切に保管しておきましょう。


建築確認申請にかかる費用相場


建築確認申請時には、それぞれの検査ごとに建物の床面積に応じて決まった手数料がかかります。


例えば、東京都のケースを見ると、床面積の合計が30㎡を超え100㎡以内の場合、着工前の確認申請で9,400円、中間検査申請と完了検査申請にそれぞれ11,000円かかります。


一般的には床面積が広くなるほど手数料が高くなるので、床面積の合計が100㎡を超え200㎡以内の場合は、着工前の確認申請で14,000円、中間検査申請と完了検査申請で各15,000円かかります。さらに、手数料は自治体ごとに異なるため、実際の費用は申込先の自治体ホームページを確認するとよいでしょう。


確認申請は、先述のように自治体のほか「自治体が指定した民間検査機関」に申し込むことも可能ですが、手数料は民間検査機関の方がやや割高となっているようです。いずれにしろ、手数料は決められた期日内に現金で支払う必要があるため、早めに費用相場を確認し準備しておくことが大切です。


参考:東京都都市整備局「建築基準法関係申請・通知手数料」


建築確認を申請する際の必要書類