
地盤調査の費用や方法。土地選びのポイントも紹介
地盤調査にかかる費用相場が気になる人もいるのではないでしょうか。地盤調査の費用は、買主負担となるのが一般的のため、正確な予算計画を立てるには早めに把握しておくことが大切です。今回は、地盤調査の種類ごとの費用やハウスメーカーが行う敷地調査についてのほか、土地選びのポイントもあわせてご紹介します。
地盤調査の費用相場を調査方法ごとに紹介
建物の土台となる土地の強度を調べることを「地盤調査」と言います。地盤調査は、住宅を建てる際に欠かせないプロセスで、次のような目的をもって行われます。
- 建物を支えるために十分な強度をもつのか
- 強度がない場合はどのように建築するか など
「地盤調査」にいくらお金がかかるのか、家づくりの予算を考える上で気になる方もいるのではないでしょうか。まずは、地盤調査の方法別に費用相場を見てみましょう。
地盤調査の種類ごとの費用
一般的な木造一戸建て住宅を建てる場合に用いられるのは、スクリューウエイト貫通試験(SWS試験)と呼ばれる調査方法です。ここでは、SWS試験とそれ以外の調査方法について、内容や調査費用の相場をご紹介します。
【スクリューウエイト貫通試験(旧名:スウェーデン式サウンディング試験)】5~10万円が相場
スクリューウエイト貫通試験(SWS試験)は、木造一戸建て住宅など小規模構造物を中心に普及している、もっとも一般的な地盤調査方法です。費用相場は5〜10万円程度です。
2020年10月にJISが改正され、スウェーデン式サウンディング試験(SS試験)からスクリューウエイト貫通試験(SWS試験)に名称が変更されました。
先端がスクリューになった棒状のものを回転させ、回転数によって地盤の固さを判断する方法を用います。調査期間は半日程度で済み、ほかの調査方法に比べてコストを抑えることができます。
【ボーリング調査】15~25万円程度が相場
ボーリング調査は、住宅だけでなくマンションなどの大規模建築物の地盤調査でも用いられる調査方法です。費用相場はおよそ15〜25万円程度です。
地面に穴を掘り進めながら、地盤の強さを調べる「ボーリング調査」は、SWS試験では調査不可能な「固い地盤」「深度」への対応が可能であるほか、「液状化判定」を実施することもできます。調査には、数日〜数週間程度かかります。
【表面波探査法】10万円前後が相場
表面波探査法は、人がわずかに感じる程度の小さな地震を起振機で発生させ、地面の中を伝わる「ゆれ」の速さを計測し、地盤の固さを判断する調査方法です。レイリー波探査法とも呼ばれ、費用相場は10万円前後かかります。
表面波探査法は土地を掘り起こさずに調査できる点が、ほかの調査方法との違いです。科学的な方法を用いた調査なので、短期間で、比較的正確に判定できます。
地盤調査の費用は「買主負担」がほとんど
地盤調査は、買主負担で実施するケースがほとんどです。なかには、土地の信頼性を高めるために売主側の負担で地盤調査を行っている場合もありますが、多くのケースでは建築時に地盤調査が必要であると認識しておく方がよいでしょう。
地盤改良の費用相場は50~200万円程度
地盤調査の結果、地盤が軟弱であると判定された場合、その土地に合わせた地盤改良工事が必要となります。地盤改良の費用は、工事内容によって幅がありますがおよそ50〜200万円程度かかります。
戸建て住宅の地盤改良方法は、以下の3パターンがあります。
地盤改良の方法 | 費用 |
---|---|
表層改良工法 | 50万円程度 |
柱状改良工法 | 100万円程度 |
鋼管杭工法 | 100~200万円程度 |
どの地盤改良方法を用いるかは、ハウスメーカーが判断して地盤改良工事を実施するのが一般的です。家づくりの予算を正確に把握するためにも、家を建てる土地の地盤調査を出来るだけ早めに行っておくことが大切でしょう。
新築以外の地盤調査の必要性
既存住宅の建て替えや中古住宅を購入する場合、地盤の確認はどうすればよいのか気になっている方もいるかもしれません。ここでは、それぞれのケースにおける確認方法をご紹介します。
【建て替えを行う場合】新築同様の地盤調査が必要
既存の家を取り壊して建て替えを行うケースでも、地盤調査は必要となります。なぜ必要かと言うと、地盤調査が住宅建築時に加入する「瑕疵担保保険」の申し込み条件となっているためです。
家を建てる場合には、売主側が「瑕疵担保責任」を負います。瑕疵担保責任とは、何らかの欠陥や不具合(=瑕疵)が見つかった場合に、売手側が10年間責任を負う制度です。
このとき、万が一、売手側が倒産した場合にも責任を果たせるよう、買手側は必ず保険へ加入しますが、この保険を「瑕疵担保保険」と言います。瑕疵担保保険に加入するため、建て替え時にも、ほとんどのケースで地盤調査が行われています。
【中古住宅・建売住宅を購入する場合】地盤調査報告書をチェック
すでに家が建っている状態の中古住宅を購入する場合は、どのように地盤の安全性を確かめるとよいのでしょうか。
地盤調査を実施している場合は、地盤調査報告書を確認
中古住宅を建築する際に地盤調査を行っている場合は、当時の調査結果をまとめた「地盤調査報告書」を確認することで、地盤の安全性を確かめることができます。地盤改良工事を実施している場合は、地盤改良・補強工事の施工報告書もあわせて確認しておくとよいでしょう。
地盤調査報告書がない場合の対応方法
古い中古住宅を購入する場合、地盤調査を行っていたとしても、地盤調査報告書が残っていないケースも考えられます。
そのような場合は、自治体に近隣の地盤についての情報を問い合わせるなど、ご自身での情報収集が必要となります。売主の承諾を得て、購入前に敷地内の一部で地盤調査をすることも選択肢として考えられるでしょう。購入後に後悔することのないよう、地盤の安全性を確かめたうえで、契約するようにしたいですね。
地盤調査会社を選ぶときのポイント
地盤調査は安心・安全な住まいを建てるために重要な役割を担っており、信頼できる施工会社を選ぶことが重要です。
同じ土地であっても、地盤調査を行う会社によって、結果や判断が異なることもあります。地盤調査を依頼する場合は、その会社に「地盤調査に関する資格を有した専門家がいるか」「十分な実績があるか」を確認しておくと安心して任せられるでしょう。
大手ハウスメーカーは地盤調査から家づくりまでを安心サポート
大手ハウスメーカーの中には、無料で敷地調査を行っているところもあります。敷地調査では、地盤調査はもちろんのこと、その土地の法規制から分かる建てられる家の条件や、日当たりや風通りなどの立地環境を調べ、その土地に最適な家づくりの提案を行ってくれます。気になるハウスメーカーがある場合には、一度相談してみるとよいでしょう。
大手ハウスメーカーの特徴を詳しく知りたい方はこちら
大手ハウスメーカーの特徴を一覧で比較!検討初期に知りたい基本情報まとめ
注文住宅を建てる土地を探すときの注意点
地盤改良工事の費用はけっして安くはありません。家を建てる際には、硬く締まった性質を持つ「硬質地盤の土地」を選ぶのがオススメです。ここでは、土地選びをするときに注意したいポイントをご紹介します。
田んぼや河川、池などを埋め立てた土地は地盤が弱い可能性
柔らかな粘土や緩い砂から成り立っている軟弱な地盤は、土地の強度が著しく弱く、耐久性が低くなります。田んぼや河川、沼や池だった場所を埋め立てて造成された土地は、水分を多く含んでおり、軟弱な地盤である可能性もあるため注意が必要です。
人工造成地は、自然に形成された土地よりも注意が必要
盛土や切土によって作られた人工造成地も注意が必要です。傾斜のある土地や凹凸がある土地に家を建てる場合、「盛土」や「切土」を行って、地面を平らに整える必要があります。
例えば、以下のようなケースでは、年月が経つにつれて家が傾く「不同沈下」が起こる可能性があります。
- 盛土をした際に、土を固めて強化する作業が不十分な場合
- 盛土と切土を両方行った場合に、地盤の強度が一定でないとき
土地選びをする際には、「その土地には過去に何があったのか」「どのようにして作られたのか」を確認して、その土地の持つ性質を予測することも大切でしょう。
地盤調査の費用を把握して、住宅予算を検討!
地盤調査について内容や費用、よい地盤を選ぶためのポイントなどについてご紹介しました。家を建てる上で、地盤調査は必要不可欠なプロセスです。地盤調査の依頼は早めに検討し、余裕をもってマイホームの予算計画を建てられるとよいですね。