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位置指定道路とは?新築購入前に知りたい公道・私道との違い、固定資産税、購入時の注意点

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2025-11-20
基礎知識

土地を探しているとき、「位置指定道路」という言葉に出くわし、「ここに家を建てられるのか?」「後でトラブルにならないか?」と不安に感じていませんか?位置指定道路は、特定行政庁から正式に指定を受け、家を建てるための法律上の要件を満たした「私道」のことです。公道と同じように建築は可能ですが、所有者が個人や企業であるため、固定資産税や修繕費用の負担、近隣トラブルといった特有のリスクが存在します


この記事では、位置指定道路の基本的な定義から公道との違い、トラブルを避けるためのチェックポイントまでをわかりやすく解説します。


【重要】位置指定道路とは?家が建てられる私道の定義と役割


位置指定道路は「私道」の一種です。具体的にどのような道路を指すのでしょうか。まずは、位置指定道路の意味や公道と私道の違い、そしてこの道路を設ける必要性ついてわかりやすく解説します。


位置指定道路は、建築基準法上の道路として認められた私道

位置指定道路とは、都道府県知事や市町村長などの特定行政庁から、「この指定した土地部分は道路である」と公的に認定を受けた幅4m以上の私道のことを指します。


この道路が非常に重要なのは、建築基準法によって、特定の条件のもとで「法律上、道路として扱うことができる」と定められているからです。


(建築基準法第42条1項5号)

土地を建築物の敷地として利用するために、建物を築造する者(開発業者など)が、特定行政庁からその位置の指定を受けた場合に、法律上道路と扱うことができる。


つまり、位置指定道路に指定されると、その道路に面する土地は建築基準法上の「道路」に接していると認められ、建築物を建てることが可能となります。


位置指定道路として認められる主な基準

位置指定道路として認められ、安心して家を建てられる道路となるためには、主に次のような基準が建築基準法施行令で定められています。(建築基準法施行令第144条の4)


  • 幅員4m以上であること
  • 既存道路と接する場所には両側に隅切りを設けること
  • 道や接する敷地内に側溝など、排水に必要な施設を設けること
  • 砂利敷やアスファルト舗装など、ぬかるみとならない構造にすること


位置指定道路に指定されることで、建築確認申請のみで新築や建て替えが可能になり、さらに沿道の安全性や快適性が高まるというメリットが得られます。


参考:e-Gov法令検索「昭和二十五年法律第二百一号建築基準法」

参考:e-Gov法令検索「昭和二十五年政令第三百三十八号建築基準法施行令」


「接道義務」を果たすために必要とされる理由

位置指定道路を設ける理由は、建物を建てる際の最も重要なルールの一つである「接道義務」を果たすためです。接道義務とは、「建築物の敷地は幅員4m以上の道路に、間口を2m以上接しなければならない」という義務です。(建築基準法第43条)


この義務は、都市計画区域内または準都市計画区域内において適用されます。接道義務が設けられている最大の理由は、災害時の安全性確保です。道路に接することで、災害が起こった際に円滑な消火活動や救護活動が可能となります。




広い土地を分譲するケースの例

例えば、広い土地を分譲するケースを考えましょう。奥まった土地(上記図【C・D】のような土地)に家を建てるには、接道義務を果たすために、公道から各土地へ続く私道をつくる必要があります。その際の対応策となるのが、特定行政庁から道路の位置指定を受ける「位置指定道路」です。


上記のようなケースでは、分譲地を開発する不動産会社などが、特定行政庁に位置指定道路の指定申請手続きを行うのが一般的です。そのため、当初の位置指定道路の土地所有者は、開発した不動産会社である場合が多いでしょう。


公道・私道・位置指定道路の違いを比較

そもそも、道路は大きく分けて、道路法で定められた国や自治体が所有する「公道」と、個人や団体などが持つ土地に作られた公道以外の道路を指す「私道」の2種類に区別されます。位置指定道路がその中間的な性質を持つことを理解するため、双方の違いを以下にまとめました。


種類所有者・維持管理建築・利用の可否
公道国や自治体が所有・維持管理建築可能、誰でも通行可能
位置指定道路  個人や団体が所有・維持管理建築可能、通行制限は不可
私道個人や団体が所有・維持管理原則、建築不可、所有者等の許可が必要


位置指定道路は所有者や管理者が個人や団体であるため、法律上は「私道」として扱われます。しかし、建築基準法上の道路として指定を受けた時点で、所有者は一方的に他者の通行の廃止したり、通行を妨害するような行為(私物を置くなど)は行ったりすることはできないとされています。この点は、単なる私道と大きく異なるため注意が必要です。


トラブル回避!所有権のパターンと位置指定道路の調べ方



位置指定道路は私道であるため、誰が所有しているかによって将来のトラブルリスクが大きく変わります。土地を購入する前に、道路の所有権と、その道路が本当に位置指定道路であるかを自身で確認する方法を知っておきましょう。


トラブルの元!位置指定道路の所有権3パターンとリスク

土地を検討している方のなかには、「気になる土地が位置指定道路に面していた」というケースもあるでしょう。ここからは、位置指定道路の所有者が誰になるのか、具体的な所有権のパターンをご紹介します。位置指定道路の所有形態は多様ですが、リスクを理解するために、まずは主要な3パターンを押さえておきましょう。


  • 主要パターン1:共有所有(図【1】に近い)
  • 主要パターン2:単独所有(図【2】に近い)
  • 主要パターン3:第三者所有(図【6】に近い)


6つの所有パターン図解と解説

位置指定道路の所有パターンは、以下の図のような6つのケースが想定されます。検討している土地のケースがどれに当てはまるか、確認してみましょう。




パターン所有形態の解説
【1】共有名義       位置指定道路に面する土地A~Fの所有者全員が共有名義で所有する
【2】単独所有(隣接者)土地A(もしくはいずれかの土地)の所有者が、1人で位置指定道路全体を所有する
【3】中心線での分割所有位置指定道路を中心線で分け、土地A~Fの所有者がそれぞれ自身の建物がある土地に面する場所を所有する
【4】片側所有位置指定道路に面する片側の土地所有者が所有する
【5】飛び地での分割所有土地A~Fの所有者がそれぞれ分筆した土地を飛び地で所有する
【6】第三者単独所有土地A~Fの所有者は位置指定道路を所有せず、地主や不動産会社などの第三者が1人で所有する

※分筆とは、1つの土地を複数に分けて登記をすることです。


位置指定道路の所有は、その道路に面する土地の所有者で共有しているケース【1】が比較的多いですが、上記の図のようにさまざまな所有パターンがあります。特に古くからある位置指定道路や分譲地では、複雑な所有パターンが混在していることも。そのため、将来のトラブルを避ける上で、以下の2点を不動産会社を通じて必ず確認しておくことが大切です。


  1. 道路の持分が自分の購入する土地にセットで含まれているか
  2. 道路所有者や共有者が、将来のインフラ工事や建て替えを承諾している文書(通行掘削承諾書など)が確実にあるか


次に、これらの確認がなぜ重要なのか、具体的なリスクと併せて解説します。


検討中の道路が「位置指定道路」か調べる具体的な方法

土地を所有する前に「隣接する道路が、位置指定道路か否か」を正確に把握することは、建築不可物件のリスクを避けるために必須です。不動産会社任せにせず、自分自身で調べる方法を知っておきましょう。該当の土地を管轄する役所の建築課や路管理課(自治体によって名称は異なる)の窓口で確認できます。


1.「道路位置指定図」を閲覧する

検討中の土地の地番を伝え、道路台帳や指定道路図を閲覧・確認します。ここで、その道路が建築基準法第42条1項5号(位置指定道路)として正式に指定されているかを確認できます。これにより、将来的なセットバック(道路の中心線から2m後退して建物を建てること)が必要となるか否かなど、土地面積に関する予期せぬトラブルを未然に防ぐことができます。


2.「指定道路調書証明書」を入手する

申請をすれば、道路の詳細な図面や指定年月日などが記載された「指定道路調書証明書」が入手できる場合があります。この書類は、将来的に土地を売却する際にも建築可能な土地であることの証明になるため、取得しておくことをおすすめします。


参考:国土交通省「建築基準法道路関係規定運用指針の解説」


位置指定道路に関するQ&A|固定資産税、維持・修繕、公道化の可能性



位置指定道路は「家が建てられる」というメリットがある一方で、私道であることから、税金や維持管理に関して公道とは異なるルールが適用されます。特に金銭面のリスクを理解することは、将来のトラブル回避につながる重要なポイントです。


固定資産税は誰が支払う?

位置指定道路の固定資産税は、原則として位置指定道路の所有者に支払い義務が生じます。共有名義としている場合は、持ち分に応じた税金の支払いが必要です。また、所有者は「都市計画税」も納める必要があることを覚えておきましょう。


なお、袋小路のように行き止まりの路地などで、特定の人の通行のみに使用されると判断された場合は、土地本来の評価額の30%相当額で評価され、その額に応じて固定資産税が課されます。


参考:国税庁「No.4622 私道の評価」


固定資産税が非課税となる私道もある?「みなし公道」の条件

位置指定道路が、「公衆用道路(一般交通の用に供する道路)」と認められた場合、固定資産税が非課税になる措置があります。これは私道であっても公衆の利益のために使われていると見なされるためです。


具体的な条件は自治体によって異なりますが、主に以下の要件を満たす必要があります。

  • 不特定多数の人が自由に通行していると認められること
  • 私道所有者が通行を制限していないこと
  • 道路幅など、自治体が定める細かな規定を満たしていること


非課税となるには、所有者が自治体に「公衆用道路認定申請書」を提出し、認定を受ける必要があります。所有者が複数人いる場合は、全員の合意がないと申請できません。購入を検討する際は、現在非課税になっているか、または非課税申請が可能かを自治体に確認しましょう。


管理や修繕は誰が行う?費用負担の考え方

位置指定道路は私道となるため、道路の舗装補修や、道路の下に埋設されている上下水道管などの維持管理や修繕なども基本的に所有者や利用者が行う必要があります。道路の舗装や、水道管の老朽化による交換が必要になった際、費用は所有者や利用者で分担することになります。特に共有者が多い場合、費用負担の割合や修繕の是非について意見が対立し、トラブルに発展しやすい傾向があります。


一方で、自治体によっては、地域住民の生活道路の安全性を確保するため、補修費用の一部を助成したり、所有者に代わって補修工事に対応したりする制度を儲けていることがあります。詳しい内容は、自治体に確認しましょう。


位置指定道路は「公道」にできる?公道化・廃止の条件

固定資産税の支払いやメンテナンスなどの負担があるため、「所有者全員の合意があれば、公道に変更できないのか?」と考える方もいるかもしれません。実際、位置指定道路を公道にしてもらう「公道化」は困難といわれています。なぜなら、公道と認められるための認定基準が非常に高く設定されており、基準をクリアするのは難しいケースがほとんどだからです。


また、管理が国や自治体になった場合、税金を投入して維持管理を行わなければならないため、双方が納得できる理由や高い公共性が認められない限り、公道に変更できるケースはあまり聞かれません。


位置指定道路付きの土地を購入する際の注意点



位置指定道路付きの土地は、公道に面した土地に比べて価格が安い傾向がありますが、その反面、将来大きなトラブルにつながる特有のリスクを抱えています。後悔のない家づくりを実現するため、特に注意すべき4つのポイントを確認しましょう。


注意点1:将来の工事承諾を妨害されるリスク

位置指定道路が共有名義ではなく特定の個人が所有している場合、その道路を利用した人の通行や掘削工事などが妨害される可能性が考えられます。


例えば、新築の家を建てる場合、水道やガス管を通すための掘削工事が必要となるケースが多いです。その際、利用する位置指定道路を他の人が所有している場合は、工事車両の駐車や掘削工事の許可を取る必要があります。場合によっては、なかなか許可が下りず工事が遅れたり、トラブルに発展したりするリスクがあることも知っておきましょう。


購入を検討する際は、過去に位置指定道路に関するトラブルが発生していないかの確認が重要です。また、土地を購入し新築工事を行う際、共有名義でない場合は「私道通行・掘削に関する承諾」を所有者全員からもらうのがトラブル回避において得策でしょう。承諾は、土地の決済前のタイミングに、不動産会社などの仲介業者から売主にとるのが一般的です。


注意点2:駐車場や私物設置は近隣トラブルの元

「位置指定道路は、駐車スペースとして使える?」「私物を置いても問題ない?」など、位置指定道路での利用について気になる方もいるかもしれません。結論として、位置指定道路はあくまでも「道路」であるため、駐車スペースとして利用することはできず、駐車違反となります。「自動車の保管場所の確保等に関する法律」には、「何人も、道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならない」と規定されています。


車が道路上の同一の場所に、12時間以上もしくは夜間に8時間以上駐車することは違法行為です。また、位置指定道路は私道ではありますが、通路として利用する権利が公的に認められているため、プランターやゴミ箱などの私物を置いて通行を妨害することも、近隣住民とのトラブルの元となることを念頭に置いておきましょう。


参考:e-Gov法令検索「自動車の保管場所の確保等に関する法律」


注意点3:インフラ(水道管など)の修繕費用を負担するリスク

一般的に、道路の下には水道管や下水管などが埋められています。位置指定道路を所有する場合、その水道管が「私設管」なのか「公設管」なのかも確認しておきたいポイントです。公設管であれば、行政または公共団体が維持管理を行ってくれますが、私設管の場合は、所有者または利用者が水道管やガス管などにおいても維持管理を行わなければなりません。それに伴って、補修費などの負担が発生します。


一方で、自治体によっては道路の修繕と同様に、水道管やガス管においても補修費用の一部を助成、または代わりに補修工事を行なってくれる場合があります。土地の購入を検討する際は、事前に水道管やガス管の状態についても仲介業者から説明を受け、誰が維持管理しメンテナンス費を負担するのかなどを、しっかり確認しましょう。


注意点4:道路の持分と承諾書をセットで確認

土地を購入する際は、位置指定道路の「持分(所有権)」と「通行・掘削承諾書」の両方が確保されているかをセットで確認することが大切です。


前述したように、位置指定道路の所有権パターンはさまざまであり、建物のある土地と位置指定道路が隣接せずに飛び地になっているケースも見受けられます。売主が位置指定道路の存在を忘れて土地のみを販売し、「突然、位置指定道路の所有者から道路の使用料を請求された」といったトラブルに発展するケースもあります。


特に、将来土地と建物を手放す際においても、位置指定道路の持分をセットで売却しないと、引き続き位置指定道路の管理を行う必要が出てきます。相続や売却をする場合は、持分が明確に確認することが重要です。持分がない場合や、共有名義の場合でも、将来の工事を確実に行うために、「私道通行・掘削承諾書」という利用の権利を保証する文書が売買契約前に存在するかを必ず確認しましょう。


大手ハウスメーカーで安心の土地探しと住まいづくり



新築一戸建てを検討する中で、今回解説したような位置指定道路の専門的な知識やトラブルリスクへの対応に不安を感じる方も多いでしょう。そうした不安を解消し、安心して土地探しを進めたい方にとって、大手ハウスメーカーは強力なパートナーとなります。


大手ハウスメーカーの魅力は、知識豊富な営業担当者や専門家に相談できる点です。家づくりの情報に長けた担当者であれば、住宅だけでなく、土地に関する周辺の道路情報を踏まえてアドバイスをもらったり、安心して建築できる土地を紹介したりすることも可能です。


資料請求や実際に住宅展示場へ足を運び、気に入ったハウスメーカーを見つけたら、まずは土地選びの疑問点や不安点を相談することから始めてみるとよいでしょう。


【関連記事】ハウスメーカーに注文住宅の土地探しを依頼!メリット・デメリットや注意点を解説

【関連記事】大手ハウスメーカーの特徴を一覧で比較!工務店との違いやおすすめポイント


位置指定道路を理解して、家づくりをはじめよう



位置指定道路は、私道の一種でありながら、家を建てるための建築基準法上の道路として欠かせない役割を果たしています。土地の購入とともに位置指定道路の持分を所有する場合は、公道とは異なり、固定資産税の支払いやメンテナンス管理も行っていくことになります。


位置指定道路に面する土地の購入時には、「所有者から承諾をとる」などのトラブル回避に向けた対応はもちろん、日頃から土地所有者との良好な関係を保つことが将来にわたる安心につながります。位置指定道路の意味や役割だけでなく、付随するリスクや義務を理解し、後悔のない安心なマイホームづくりをスタートさせましょう。

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