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ベタ基礎・布基礎とは?見た目やメリット・デメリットの違いを紹介

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2025-09-10
基礎知識

ベタ基礎や布基礎という言葉を耳にしても、「何が違うの?」「自分の家にはどちらを選べばいいの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。基礎は、大切な住まいを足元から支える重要な土台です。後悔のない家づくりには、その特徴を理解しておくことが大切です。


この記事では、ベタ基礎と布基礎の違いを、断面図を用いてわかりやすく解説します。メリット・デメリットから最適な選び方まで徹底的にご紹介するので、ぜひあなたの家づくりにお役立てください。


家づくりにおける「基礎」の重要性


建物の下にあるコンクリート部分を「基礎」と呼びます。基礎は、地盤(地面)と建物をつなぎ、住宅のなかで目立たない部分ですが、家を支える重要な役割を担っています。


具体的には、建物の荷重(重さ)や、地震・風など外から加えられる力をバランスよく地盤に伝える役割があります。また、建物の一部分だけが沈み傾いてしまう不同沈下(ふどうちんか)を防いだり、湿気の侵入を抑えたりするなど、家づくりに必要不可欠な部分と言えるでしょう。


基礎にはさまざまな種類がありますが、日本の住宅で多く採用されるのが「ベタ基礎」と「布(ぬの)基礎」です。今回は、この2種類に注目して、その違いをくわしくご紹介します。


【図解】ベタ基礎とは?特徴や見た目、メリット・デメリット


まずは、ベタ基礎の特徴や見た目の違い、メリット・デメリットについて見ていきましょう。


ベタ基礎とは、床下全体にコンクリートを打つ基礎工法

ベタ基礎は、阪神淡路大震災以降から普及しはじめ、現在日本の住宅でもっとも多く用いられている工法です。建物の重みを大きな面で支えるため、荷重が基礎全体に分散され、地盤が比較的弱い場所や、重量のある家を建てる場合に適しています


見た目としては、基礎の立ち上がり部分だけでなく、床下一面が鉄筋コンクリートでおおわれているのが特徴です。


ベタ基礎のメリット

ベタ基礎には主に2つのメリットがあります。


  • 耐震性に優れている
  • 湿気・シロアリに強い


ベタ基礎は、建物を面で支える構造のため、耐震性に優れています。地震の力を効率良く地盤に伝えることができ、建物が傾く「不同沈下」を防ぐ効果が期待できます。また、床下の地面全体を15cmほどの厚いコンクリートで覆うため、地面からの湿気が建物に伝わりにくくなります。そのため、木造住宅に使われる木材の腐食を防ぎ、シロアリの侵入も物理的に防ぐことができるでしょう。


ベタ基礎のデメリット

ベタ基礎の主なデメリットは以下のとおりです。


  • コストがかかる
  • 寒冷地では不向きな場合がある


ベタ基礎は、布基礎に比べて多くの鉄筋とコンクリートを使用するため、その分コストが高くなります。さらに、基礎をつくるために掘り起こした「残土」の量も布基礎より多くなるため、処理費用や人件費などもかさむ傾向にあります。しかし、地盤改良工事が不要になるケースも多く、その分の費用は抑えられるでしょう。


冬の寒さが厳しい寒冷地では、冬の寒さで地盤が凍り、膨張して基礎が持ち上げられるリスクがあります。これを防ぐには、建築基準法で定められた「凍結深度」よりも深く基礎を埋めなければならず、費用が高額になるケースがあります。


【図解】布基礎とは?特徴や見た目、メリット・デメリット


布基礎の特徴や見た目についてご紹介します。


布基礎とは、壁に沿ってコンクリートを打つ基礎工法

布基礎は、昭和初期から採用され始めた歴史のある基礎工法です。建物の柱や壁などの下に、連続した逆T字状の鉄筋コンクリートを打ち込み、面ではなく「点と線」で建物を支える構造だと言えるでしょう。


見た目としては、基礎の立ち上がりの部分以外はコンクリートが薄く、その下が地面になっているのが特徴です。


布基礎のメリット

布基礎の2つのメリットはこちらです。


  • コストを抑えられる
  • 部分的に強度を高められる


布基礎は、柱や壁部分のみに基礎をつくるため、ベタ基礎に比べて使用する鉄筋やコンクリート量が少なく、その分コストを抑えられます。掘り起こす残土の量も少ないため、輸送費や人件費なども比較的安価になるでしょう。


ベタ基礎の倍以上も地中深くから基礎立ち上がりをつくる布基礎は、部分的な強度が非常に高くなります。そのため、鉄骨部分に荷重が集中しやすい鉄骨造の住宅や、地面が凍結しやすい寒冷地には適していると言われています。


布基礎のデメリット

布基礎の主なデメリットは以下のとおりです。


  • 耐震性がやや劣る
  • 湿気やシロアリ対策が別途必要


布基礎は「点と線」で支える構造のため、「面」で建物を支えるベタ基礎に比べて耐震性がやや劣ります。地盤が弱いと基礎の一部が沈み、建物が傾いたり、ゆがんだりする可能性があります。


布基礎の床下部分(基礎がない部分)は、薄いコンクリートでおおわれているか、地面がむき出しになっている部分があります。そのため、地面からの湿気が建物に伝わりやすく、木材が腐食したり、シロアリ被害にあったりするリスクが考えられます。防湿・防蟻シートや床下換気口などを設けるといった対策を、ハウスメーカーとよく相談して行うことが大切です。


【関連記事】床下換気扇や床下換気口の必要性。除湿方法や換気扇設置時に知っておきたいポイント


ベタ基礎と布基礎のどちらがよい?地盤から考える選び方



ベタ基礎と布基礎の特徴をお伝えしましたが、マイホームを建てる場合にどちらの基礎が適しているのか迷うこともあるでしょう。基礎選びで最も重要となるのが、建物を建てる土地の「地盤」です。 基礎の選定は、まず地盤ありきで考えることが大切です。ここでは、その地盤の特性を踏まえ、基礎を比較する際の重要なポイントを見ていきましょう。


コスト|見積もりを比較して検討

一般的に、布基礎はベタ基礎に比べて基礎工事費用自体は安い傾向にあります。以下の表は、それぞれの基礎の費用目安を比較したものです。


項目ベタ基礎布基礎

1㎡あたりの費用


約1万円~1.4万円約0.9万円~1.3万円
総額の目安
※30~35坪の住宅の場合
約150万円約120万円
地盤改良費不要になるケースも多い  別途必要になる可能性あり 


上記の金額はあくまで目安です。地盤が弱い土地では、布基礎を選んだとしても地盤改良工事が別途必要となり、その費用が100万円以上かかることも珍しくありません。この費用を含めると、布基礎を選んだ方が結果的にコストが高くなる可能性もあります。


資材価格の変動や地域、施工会社によって大きく変わるため、ハウスメーカーに相場を相談する際は、「標準仕様の基礎は何か」「地盤改良が必要な場合の費用はどれくらいか」といった点もあわせて確認しましょう。


【関連記事】地盤改良工事とは?工事の種類や必要となるケース、依頼時の注意点などを解説


耐震性|基礎だけでなく住まい全体の耐震性を考える

住まいの耐震性は、基礎だけで考えるのではなく、建物や地盤を含めた住宅全体で考えることが大切です。基礎だけでみるとベタ基礎の方が優れていますが、布基礎の場合でも、「建物自体の構造を強化する」「地盤を強固にする」「立ち上がり部分を厚くする」といった工夫で耐震性を高めることは可能です。


また、家の荷重が全体に分散する「木造住宅」はベタ基礎が、荷重が一部に集中する「鉄骨住宅」は布基礎が向いているなど、建物の構造と基礎の相性も重要です。


湿気・シロアリ|どちらも定期的な点検が必要

ベタ基礎は湿気やシロアリ被害のリスクが少ないと述べましたが、定期的な点検は必要です。ベタ基礎であっても、10年に1回以上は点検口から確認した方が安心でしょう。布基礎の場合は、2〜3年に1回の確認がおすすめです。


基礎工事の流れ


ベタ基礎と布基礎の構造にはそれぞれ異なる特徴がありますが、住宅の基礎をつくる工程や工期はほぼ同じです。一般的な基礎工事は、次のような流れで進められます。


  1. 地盤調査を行う
  2. 地縄張り・遣り方工事を行う
  3. 掘削工事を行う
  4. 砕石(さいせき)を敷く
  5. 捨てコンクリートを流す
  6. 配筋
  7. 型枠を組んで、コンクリートを流す
  8. 型枠を外して、完成


まず、家を建てる土地の地盤調査を行います。どんなに基礎や建物の耐震性を高めても、地盤が弱いままでは意味を成さないからです。次に、建物を建てる位置や基礎の高さを決める地縄張りや遣り方(やりかた)工事を行い、そのあと、基礎をつくるために地盤を掘り起こす掘削工事を行います。


掘削した部分に砕石を敷いて地面を固めたあと、このあとの作業がしやすくなるようにコンクリートを流す「捨てコンクリート」を打設します。そして、基礎の強度に大きな影響を与える配筋と呼ばれる鉄筋を組み、枠組を組んでコンクリートを流し込みます。最後に、一定の日数を置いてコンクリートが固まったら型枠を外し、ひび割れなどの不良がないか確認して完成です。


基礎の寿命とメンテナンス



住宅の基礎は、建物の寿命とほぼ同じくらい長持ちするように設計されています。しかし、地震や経年劣化によってひび割れが発生するなど、ダメージを受ける可能性はゼロではありません。大切な住まいを長く快適に保つためには、定期的な点検やメンテナンスが不可欠です。特に、以下のような症状が見られた場合は、早めに専門家に相談するようにしましょう。


  • ひび割れ:幅0.3mm以上のひび割れは注意
  • コンクリートの剥離:内部の劣化が進行している可能性
  • 基礎の傾き:建物全体への影響も


定期的な点検と適切なメンテナンスを行うことで、基礎を良い状態に保ち、住まいの耐久性を向上させることができます。


基礎選びで迷ったら?知っておくべき3つポイント



ベタ基礎と布基礎の違いを理解しても、「結局、自分の家にはどちらを選べばいいの?」と迷う方も多いのではないでしょうか。最終的な基礎選びで後悔しないために、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。


地盤の状態を最優先で考える

基礎の選定では、建物を建てる土地の「地盤」の状態を最優先で考えることが大切です。地盤が弱い土地では、建物の重さを面で支えるベタ基礎が適しています。一方、強固な地盤であれば、コストを抑えられる布基礎も選択肢に入ります。まずは専門家による地盤調査の結果をハウスメーカーに確認し、最適な基礎を検討しましょう。


基礎の費用だけで判断しない

布基礎は基礎工事費用自体は安い傾向にありますが、地盤改良が必要になった場合、最終的な総費用がベタ基礎より高くなることがあります。また、シロアリ対策や湿気対策にかかる費用も考慮しなければなりません。基礎工事だけでなく、住宅全体のコストを比較検討し、総合的な判断を下しましょう。


複数のハウスメーカーに相談して比較する

ハウスメーカーや工務店によって、標準仕様としている基礎の種類が異なります。「耐震性にこだわる」という方針のハウスメーカーは、ほとんどの場合ベタ基礎を標準としています。複数のハウスメーカーに相談し、どんな基礎を標準としているかを確認しましょう。


【関連記事】大手ハウスメーカーの特徴を一覧で比較!工務店との違いやおすすめポイント


まとめ:理想の家づくりは、強固な基礎から


住宅の基礎である「ベタ基礎」と「布基礎」の特徴やメリット・デメリット、基礎工事の流れや選び方のポイントをご紹介しました。基礎は、家を支える目立たない部分ですが、家族の暮らしを守る上で非常に重要な役割を担っています。地盤の状況や住宅の構造によって最適な基礎は異なるため、自分の判断だけで決めることは難しいものです。


大切なのは、家づくりを任せるハウスメーカーと一緒に土地に最適な基礎を考えること。間取りやデザインだけでなく、見えにくい「基礎」にも注目することで、安心で納得のいく家づくりにつながるでしょう。

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