
ピットリビングとは?後悔しない間取り実例やメリット・デメリットを解説
ピットリビングとはどのような空間を指すのか、広さや間取りの目安、メリット・デメリットを知って後悔のないよう検討したい方もいるでしょう。今回は、ピットリビングの特徴を実例を交えて解説します。「ピットリビングを入れて失敗した」ということのないよう、しっかり知識を得て、納得のいく住まいづくりに役立てましょう。
ピットリビングとは、ほかより一段低い位置に作られたリビング
ピットリビングとは、リビングスペースのみ一段下がった部分のリビングのことで「ダウンフロア」とも呼ばれています。通常は、床をほかのリビングスペースよりも30cm前後下げるケースが多いでしょう。
ピットリビングによって、部屋全体の空間にメリハリが生まれ、デザイン性の高い住まいが実現できることから、デザイナーズマンションやモダンスタイルの注文住宅などで採用されています。
ピットリビングの間取り実例
ピットリビングを取り入れた場合にどのような家づくりができるのか、まずはハウスメーカーで建てられる注文住宅の施工実例をご紹介します。
<間取り実例1>大開口のそばにピットリビングを配置した開放的な住まい
大開口に面したピットリビングを設けて、開放的な空間を実現した住まいの実例があります。道路からの視線をさえぎるためのフェンスを設ければ、プライバシーも気にならないでしょう。
延床面積がそれほど大きくない家でも、洗面所と浴室を2階に配置するなど間取りを工夫すれば、広々としたLDKを設けることが可能。心置きなく家族とおだやかな時間を過ごせそうです。
<間取り実例2>ピットリビングから自然を感じられる住まい
ピットリビングは、そこに座ることで視線が低くなることも特徴です。坪庭やウッドデッキを視線の先に設ければ、外の景色を楽しめる贅沢な空間となるでしょう。室内にいながらも自然を感じたいという方におすすめの間取りです。
<間取り実例3>ワンフロアでプライベートを確保した住まい
優雅で贅沢なプライベート空間を実現した間取りの実例もあります。リビングに高さの異なるフロアを設けることで、家族の気配を感じつつも、自分だけの空間をつくることができます。腰掛けや本棚などで緩やかに区切ると、よりパーソナルな異空間となるでしょう。天井を高くとると、より一層そのメリットが感じられます。
ピットリビングのメリット4つ
ここからは、ピットリビングを設置する際のメリットをご紹介します。
<メリット1>段差をソファや収納として活用できる
ピットリビングを設けることで生まれた「段差」は、さまざまな用途に活用できます。例えばベンチやソファ代わりに使うのはどうでしょうか。絨毯やカーペットを敷けば座り心地もよくなります。
一時的に「置き畳」を敷くのも1つの方法です。床が低くなっている分、空間がのびのびとゆったりとした印象になるでしょう。また、段差を収納スペースとして利用することも可能です。床を下げることで有意義に使える空間を確保できるでしょう。
<メリット2>狭いリビングでも空間の広さを感じられる
狭いリビングでも開放感のある空間を演出できるのもピットリビングのメリットです。座った際に天井が高く感じられ、空間に奥行きが生まれます。延床面積が狭く、リビングスペースを広くとれない狭小住宅の欠点をカバーできる間取りと言えるでしょう。
<メリット3>空間を区切ることができ、メリハリがつく
ピットリビングを設けることで立体感が生まれ、メリハリのある空間になります。段差が仕切りの役目を果たしてくれるため、スペースを仕切るための壁をつくらずに済むのもうれしいポイントです。
<メリット4>個性的でおしゃれな空間を演出できる
ピットリビングはおしゃれな空間づくりにもおすすめの間取りです。多くの家庭にはない空間となるため、個性的でおしゃれな空間として、友人など招いてパーティなども行うのもよいですね。家族や、友人との距離感も程よく近づけてくれるスペースとなりそうです。
ピットリビングのデメリット4つ
つづいて、ピットリビングを設置した場合のデメリットをご紹介します。
<デメリット1>長期優良住宅の認定が下りないケースがある
ピットリビングを採用した住宅は、長期優良住宅の認定が下りない場合があります。長期優良住宅とは、「将来に渡り長く住み続けられると国から認められた住宅」のこと。国が定めた基準をクリアすることで、税制面などで優遇措置を受けることができます。
ピットリビングを設置した場合、床下スペースが十分に確保できないため、認定基準を満たすことが難しくなるのです。
ハウスメーカーによって認定が取れる場合とそうでない場合があるため、営業担当者や設計担当者にピットリビングを設置した際の認定実績があるか、事前に確認するのがよいでしょう。
<デメリット2>レイアウトの選択肢が減る
ピットリビングはインテリアのレイアウトが限られてしまうというデメリットがあります。一般的なリビングであれば、自分の好みによって家具を選んだり、ライフスタイルに合わせて自由にレイアウトを変更したりすることもできます。
スペースが決まっているピットリビングは、家具の大きさや場所が限られてきてしまうため、インテリアを楽しみたい方にとっては物足りないかもしれません。
<デメリット3>段差がある分、掃除が大変になる
掃除機は「ロボット掃除機を使いたい」という家庭も多いかもしれませんね。ピットリビングの場合、段差があることでロボット掃除機をうまく活用できないデメリットが考えられます。隅にほこりが溜まりやすいため、こまめな掃除も必要です。
<デメリット4>高齢者や小さな子どもにとっては危ない場合も
子どもや高齢者がいる場合、段差で転倒しケガをする危険性があります。ピットリビングを設置する場合は、キッチンから目の届く場所に配置するなど、家族や自分自身が危ない目にあうことがないか慎重に検討することを心がけたいですね。
ピットリビングにリフォームする場合の費用相場
新築購入時にはピットリビングを採用していなくても、ライフスタイルの変化に合わせて、ピットリビングにリフォームすることを検討する方もいるでしょう。
ピットリビングにリフォームする場合の費用相場は、1畳あたり5万円から8万円ほどです。
ファミリー向けのリビングは16畳から20畳が平均的な広さなので、80万円から120万円ほどがピットリビングにかかる費用の目安になります。
ただし、質の高い素材にこだわったり、デザイン性にこだわったりした場合は、その分単価が高くなることを覚えておきましょう。
ピットリビングのメリット・デメリットを知り後悔・失敗のない家づくり
ピットリビングとは何か、メリット・デメリットや間取りの実例をご紹介しました。ピットリビングを設けることで、空間にメリハリが生まれ、おしゃれでこだわりのある空間を演出することができます。一方、長期優良住宅の認定が下りないケースがあることや、子どもや高齢者にとって危険性が高いことなどがデメリットであり、建築後、後悔する人もいるようです。
ピットリビングを設置する際は、危険がないかなど生活動線をイメージし、費用面なども含めてポイントを押さえておくことが大切です。理想的なピットリビングのある家を建てられるとよいですね。