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全館空調のメリット・デメリット。注文住宅で導入する際の注意点を解説

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2024-02-29
間取り・設備

マイホームに全館空調システムを導入するメリット・デメリットを知りたいという人もいるのではないでしょうか。今回は全館空調の家の特徴や、新築時に全館空調を導入する際の注意点、ハウスメーカーが提供する全館空調の住宅事例などをご紹介します。ぜひ家づくりにお役立てください。


全館空調は家中すべてを快適に保つシステム


住宅の全館空調とは、空調設備によって家の中の空気を循環させ、トイレや廊下などを含む家中すべてを暖めたり冷やしたりする冷暖房システムのこと。エアコンなどの「個別空調」とは異なり、家全体の室温を快適に保てることが魅力で「高断熱・高気密」の住宅と相性がよいと言われています。


全館空調のメリット


まずは、全館空調の4つのメリットをご紹介します。


メリット(1)家中を快適な温度に保てる

全館空調システムならではの最大の特徴は、家中を快適な温度に保てることです。エアコンなどの個別空調では難しい廊下・トイレ・洗面所・脱衣場なども、他の部屋と均一な温度に保てるため健康面におけるメリットも大きいです。


例えば、冬場の入浴で心配なヒートショックは、急激な温度変化で血圧に負担がかかり生じます。全館空調によって均一な温度が保たれれば、ヒートショックのリスクが軽減します。


さらに快適な室温環境は、健康診断の結果や住宅内での活動量によい効果をもたらすと実証されており、長く健康な体を維持しやすいといえるでしょう。


参考:消費者庁消費者安全課「◎高齢者の事故に関するデータとアドバイス等」

参考:一般社団法人日本サスティナブル建築協会「「省エネ住宅」と「健康」の関係をご存知ですか?」


メリット(2)住宅の外観や内観がスッキリする

全館空調導入によって、壁掛けエアコンが不要になると室外機の設置も置かなくてよいので、家の外観や内観の見た目をスッキリ見せることが可能です。さらに個別空調のように、壁や扉で空気の遮断を作り冷暖房効率を保つ必要がないため、吹き抜けやリビング階段といった開放感のある間取りも採用しやすいでしょう。


エアコンやストーブ、ファンヒーターの設置が不要になることで、個別の掃除や使用時の出し入れの手間がなくなるのも嬉しいポイントです。


メリット(3)きれいな空気を保てる

全館空調は、室内の空気をきれいに保つ仕様となっていることも特徴です。天井等からの吹き出し方式の全館空調は、冷暖房と24時間換気システムがセットになっているため、常にきれいな空気が家の中を循環します。


さらに、高機能な換気システムが搭載されているタイプもあります。例えば「空気清浄機と同様のフィルターで、花粉やPM2.5などを除去できる」「気になる生活臭やペット臭が消臭される」といった機能を搭載しているものなどさまざまです。小さな子どもがいる場合は、きれいな空気で過ごせる住まいだと安心ではないでしょうか。


<メリット4>直接風が肌に当たらない

エアコンによる個別空調の場合、風が直接肌にあたることに不快感を感じる方もいるでしょう。特に夏場の冷房は、夜寝るときに体が冷え過ぎてしまい体調を崩す原因になることもあります。


全館空調であれば空気がゆるやかに循環するため、風が直接肌にあたることはありません。昼夜を問わず冷暖房が効いた中でも快適に過ごせるので、質のよい眠りにつながるでしょう。


全館空調のデメリット


ここからは、全館空調システムのデメリットを紹介します。導入前に理解し、後悔のない家づくりを目指しましょう。


デメリット(1)初期費用やメンテナンス費用がかかる

マイホームに全館空調を導入する場合はコストがかかります。初期費用は採用するシステムによってさまざまですが、40坪程度の住宅で平均200~300万円前後だと言われています


全館空調の種類によっては室内機を設置する専用の空調室が必要になることも。そうなると、その分建築コストも上がります。


また、保守点検費用やフィルターなどの部品交換費用などもかかることも忘れてはいけません。メンテナンスの頻度や必要な費用を把握し、ランニングコストも含めた検討が大切です。


デメリット(2)個別の温度調整ができない

全館空調は1台の設備で家中を管理するため、エアコンとは異なりすべての部屋が同じ温度帯になるのが一般的です。


そのため、「子ども部屋の温度設定を下げたい」「おじいちゃんとおばあちゃんの部屋は暖かめに」といった部屋ごとの温度差をつけることはできません。家族の中で、快適温度が大きく異なる場合には注意が必要です。


全館空調システムのなかには、部屋ごとに2℃程度の温度調節をできるタイプもあります。気になる場合にはハウスメーカーなどに確認してみるとよいでしょう。


デメリット(3)故障したらすべての空調が止まる

ほとんどの全館空調メーカーでは、設備機器の定期メンテナンスを推奨しています。そのため、日頃のメンテナンスをしっかりしていれば故障することはめったにないでしょう。


しかし万が一、全館空調の管理システムが故障してしまったら、家中すべての空調が止まってしまうことがリスクとして考えられます。全館空調を導入する際は「定期的なメンテナンスの対応があるか」また「消耗品の部品に対する交換時期を案内してくれるか」といったことも確認しましょう。


デメリット(4)部屋中が乾燥しやすい

全館空調システムを導入した場合、冬場は部屋中の空気が乾燥しやすいことも注意点です。一般的な、石油ストーブなどの燃焼式の暖房は水蒸気が発生し加湿されます。

しかし、送風式である全館空調システムは、設定温度よりも高い温度の空気が吹き出されるため、水分を奪い湿度が低くなります。

対策として、加湿器の導入や乾燥をカバーするような加湿機能つき全館空調の検討もオススメです。


全館空調を導入した方の後悔談を知りたい方は、こちらの記事もご参考にしてください。

【関連記事】全館空調の家での後悔談。デメリットや対策を知って後悔のない家づくり


注文住宅で全館空調を取り入れる際に押さえておきたいポイント


ここからは、注文住宅で全館空調の導入を検討する際に、押さえておきたいポイントを紹介します。


冷暖房の方式による違いを理解し選択する

全館空調の冷暖房の方式には4つのタイプが存在します。それぞれ「設置コスト」「設置場所」「メンテナンス方法」などの特徴が異なるため、ご自身の要望にあった設備を選ぶことが大切でしょう。


なお、ハウスメーカーや工務店によって扱う全館空調システムは異なります。そのため、希望の方式を優先する場合、それを扱う建築会社を選ぶことが重要です。4つのタイプの冷暖房の方法を以下にまとめました。


冷暖房方式の種類
冷暖房の方法
・天井吹き出し方式
天井内にダクトを設置し、天井の吹き出し口から冷暖気を送る
・壁掛けエアコン方式
1台の壁掛けエアコンの機能を使い、各部屋に送風場所を設けて冷暖気を送る
・壁パネル方式
壁に大型の冷暖房パネルを設置し、冷液や温液を循環、輻射熱で家全体を冷暖する
・床下暖房方式
床下の基礎部分に断熱した冷暖気を蓄熱し、床からの輻射熱とガラリから送風する


住宅の断熱性・気密性を高める

全館空調システムの導入を検討する際は、住宅の断熱性や気密性を高めることが重要です。断熱性が低いと快適な温度の空気を外に逃がすことになり、温度を維持するため多くのエネルギーがかかり電気代がかさみます。


また、気密性が低いと外の外気の影響を受けやすくなり、計画的な換気も難しくなります。空気が循環しないことで結露やカビも発生しやすくなるでしょう。


現在国が推奨している「高断熱・高気密」の住宅は、全館空調システムとの相性がとてもよいとされています。建物の性能がよくなることで、冷暖房費を下げたり、健康な生活を送れたりとメリットは大きいです。新築マイホームは高断熱・高気密住宅の採用を検討してみてはいかがでしょうか。



アフターフォローが充実した建築会社を選ぶ

全館空調システムは定期的なメンテナンスによって、長期間・快適な使用が可能となります。依頼先を選ぶ際には「アフターフォローの内容がしっかりしているか」を確かめるようにしましょう。

日常の掃除方法や故障した場合の対処方法に加え、定期的に部品交換の案内をしてくれるなど、小まめにフォローしてくれる会社がオススメです。


ハウスメーカーが提供する全館空調のマイホーム