全館空調の家での後悔談。デメリットや対策を知って後悔のない家づくり
マイホームに全館空調を採用して後悔しないのか気になる方もいますよね。全館空調とは、家中の空調を一括で管理することができるシステムのこと。メリットが多くある一方で、個人ブログなどで費用面やメンテナンスなどに関してネガティブな意見を目にすることもあるかもしれません。しかし、家づくりのコツを知り、デメリットを上手く回避することで、満足できる全館空調の家づくりは可能です。今回は全館空調での後悔事例をもとに、全館空調導入時のポイントをお伝えします。
全館空調とは、家全体の空調をコントロールし快適に保つシステムのこと
全館空調とは、家全体の空調を一括でコントロールするシステムのことです。個々の部屋にエアコンを設置するのとは異なり、玄関やトイレのようなエアコンがない場所も快適に保ちます。
室内機を設置しないため自由な間取りの家づくりができ、家の中での温度差がないためヒートショックを防ぐ効果も。換気が行える空気清浄機付きのものもあり、花粉症の方やペットのいる家庭でも人気があります。
全館空調導入時の後悔とは?知っておきたいデメリット
せっかくの新築マイホームなら、全館空調を導入したことに後悔はしたくありませんよね。ここでは、全館空調導入の後悔事例について、体験談をもとにご紹介します。
<後悔1>ランニングコストやメンテナンス費用が高い
「うちは寒冷地にあるので、寒い冬場は電気代が高額になってしまいます。過去には3~4万円かかったときもあり、そのときは全館空調にしたことを後悔しました」(40代男性)
全館空調は基本的に24時間365日動かすシステムのため、それなりに電気代がかかります。メーカーや住宅性能などによって費用は変わりますが、酷暑の夏や寒冷地の冬では電気代が高額になり、後悔している人もいるようです。
また、全館空調は定期的なメンテナンスが必要です。頻度や価格は空調設備やメーカーによってさまざまですが、専門業者による点検やフィルタの交換などを考えると、エアコンのメンテナンスに比べて費用がかかってしまいます。
<後悔2>季節によっては乾燥が気になる
「冬場などは、部屋の乾燥が気になって過ごしにくいと感じます。結局、加湿器を買って対応していますが、『全館空調にしない方がよかったのかな』と考えることがあります」(30代女性)
全館空調システムには加湿機能が付いている商品もありますが、部屋の湿度管理は難しいのが実情です。特に小さな子どもがいる場合、ある程度の湿度は保ちたいもの。加湿器などを使って湿度をコントロールすることが必要となるかもしれません。
<後悔3>個別の温度調節が難しい
「部屋ごとに温度管理ができないので、それが不便だなと感じます。私は冷え性なのですが、小学生の息子はとても暑がりなので、私が我慢して生活しています」(30代女性)
全館空調は家の中全体での温度差をなくすことができる一方で、部屋ごとの温度を調節することができません。個別空調のように細かな温度設定ができないので、家族の誰かが寒がりだったり暑がりだったりした場合に後悔することがあるようです。
<後悔4>運転音や臭いが気になる
「全館空調システムを設置した場所が悪かったのか、夜は運転音が気になってゆっくり眠ることができません。検討時には、まさかそのようなデメリットがあるとは思わず、もっと慎重に検討すればよかったと感じています」(40代男性)
全館空調は基本的に24時間365日使用します。そのことで、夜、寝るときになっても機械の音が聞こえてきて気になって眠れないということもあるようです。家中のダクトがつながっているので、臭いが気になるという声も聞かれました。
<後悔5>カビや虫が発生するため定期的な清掃が必要となる
「全館空調システムを点検していたとき、ダクト内にカビが発生していて驚きました。ここを室内に送り込まれる空気が通っていると思うとゾッとしました」(40代女性)
全館空調にはさまざまな方式がありますが、例えば「天井吹き出し型」と呼ばれるタイプの場合、天井内に設置したダクトを通して、冷暖房や換気のための空気を送ります。このダクト内にホコリが溜まると家中にホコリを送ることになってしまい、溜まったホコリにカビが生えることもあるため、ダクトの定期的な清掃は欠かせません。外気を取り入れるフィルタに外から入り込んだ虫がついていることもあり、フィルタについても定期的な清掃が必要です。
全館空調の家で快適に暮らすための対策とは
全館空調システムに対して後悔の声はあるものの、きちんと対策を講じれば快適な暮らしを手に入れることができます。ただし、対策の多くは建築設計の前に考えておく必要があるので、しっかり覚えておきましょう。
<対策1>高気密・高断熱住宅にすることで電気代を抑える
気密性や断熱性の高い家づくりをすることで、熱効率がよくなり電気代を抑えることができます。一般住宅に全館空調を採用した場合、エネルギーを通常より多く消費してしまうことになってしまいます。全館空調の良さを最大限活かすには、高気密・高断熱住宅の家づくりが望ましいと言えるでしょう。
<対策2>自分に合ったシステムを取り入れる
全館空調といっても、さまざまなシステムがあります。
- 部屋ごとに風量を制御できるもの
- フロアごとに温度を調整できるもの
- 加湿機能が付いているものなど
換気の一つである第一種換気システム(全熱交換式)は、換気の際に湿度も交換するため、乾燥を和らげることができます。その他にも温度管理方法や保証期間など、商品によって特徴が異なります。それぞれの特徴を理解して、家庭にあったシステムの全館空調を選びましょう。
<対策3>間取りを工夫する
家の中を空気が循環する全館空調を導入する場合は、間取りに工夫が必要です。料理や強力な洗剤など室内で強い臭いが発生すると、家中に臭いがまわってしまいます。空調で室内の空気と外気が少しずつ入れ替わるため臭いは消えていくものの、キッチン・浴室・トイレには局所換気を付けたり、居室は吹き出し口からの風が直撃しない間取りにしたりするとよいでしょう。
夜など静かなときに「音が気になる」というケースでも、間取りの工夫が重要です。空調室は、寝室から離れたところや違うフロアへの設置をおすすめします。室外機の音も、室内では聞こえなくても隣家とトラブルになるケースがあります。室外機は隣家の建物近くには置かないよう配慮するとよいでしょう。
全館空調のメリット
全館空調の後悔事例を挙げてきましたが、もちろんメリットも多くあります。
- 廊下や納戸のような空間も同じ温度にできて快適
- 常に空気がきれいで赤ちゃんや花粉症の家族がいても安心
- 脱衣場やお風呂も同じ温度になるのでヒートショックを防げる
- 間取りの自由度が高く理想のデザインの家をつくれる
- ペットが留守番のときも安心して出かけられる など
昨今は家にいる時間が長くなっているだけに、家中を快適な温度にして過ごせる全館空調はとても魅力的といえるでしょう。
ハウスメーカーごとに全館空調システムの特徴は異なる
大手ハウスメーカーで全館空調のあるマイホームを建てたいと考えている人もいるのではないでしょうか。全館空調システムは、ハウスメーカーごとに温度管理方法や機能性などが異なります。
近年は高性能な全館空調システムが増えており、部屋ごとに温度調節が可能なものや、冷暖房だけでなく換気や除湿・加湿機能までそろったものなど、多様な商品から選ぶことができるようになりました。
気になる導入コストやランニングコストはハウスメーカーが扱う商品によって異なるので、特徴とあわせて調べてみるのがおすすめです。ぜひ自分の希望にあった全館空調システムを採用できるハウスメーカーが見つかるとよいですね。
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