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勾配天井とは?メリット、デメリットと後悔しないための対策ポイントを解説

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2024-10-30
間取り・設備

勾配天井とは「傾斜のついた天井」のこと。通常の天井よりも開放感が生まれるのが魅力のひとつですが、メンテナンスやコスト面など気になることもあるでしょう。


今回は、勾配天井のメリットのほか、デメリットに対する対策、照明計画や家づくりのポイントなどを解説します。実例集もご紹介しますので、後悔のない勾配天井の家づくりに向けて参考にしてください。


勾配天井(こうばいてんじょう)とは、傾斜がある天井のこと


勾配天井とは、「勾配」つまり傾斜をつけた天井のこと。近年の注文住宅などでは、屋根の形状にあわせて天井を斜めにする方法がトレンドです。三角屋根の場合は「二方向に傾斜したもの」、片流れ屋根の場合は「一方向に傾斜したもの」など、さまざまなタイプがあります。


通常の天井は水平につくられているため、屋根と天井の間に屋根裏といったデッドスペースができやすいです。一方の勾配天井は、デッドスペースとなる屋根裏部分まで居室空間として活用するため、高い天井により広い空間を演出できます。


「平屋」や「2階の居室」などの上に居室がない空間の間取りに取り入れやすいでしょう。


フラットな天井と比較して、勾配天井にはどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。照明設備の選び方や窓・シーリングファンを設置する場合の注意点なども気になるところですよね。


ここからは、勾配天井のさまざまな疑問について解説していきます。


勾配天井のメリット


まずは、勾配天井ならではの具体的なメリットを見ていきましょう。


《メリット1》明るく開放感のある空間になる

勾配天井の最大のメリットは、自然光が入り部屋が明るく開放感のある空間になることです。天井が高く、上部に視線が抜けるため、同じ床面積でも、フラットな天井の部屋に比べ居住空間が広々と感じられるでしょう。


さらに、天井面に天窓・壁の上部に高窓を付けると、光を取り込みやすくなります。「部屋の奥まで全体が明るくなる」「空の景色を楽しめる」といった効果も得られるでしょう。


特に、周囲への日照を確保するための規制が厳しい「住宅密集地」などでは、傾斜の大きい片流れ屋根で勾配天井をリビングに採用するのがおすすめ。季節や周辺環境に左右されずに十分な採光を見込めます。


《メリット2》2階リビングとの相性がよい

勾配天井は、日当たりがよく採光に優れる2階リビングとの相性が抜群です。勾配天井を採用できるのは「平屋建て」や「上部に居室がない場所」に限られるため、2階リビングであれば明るく広々とした空間が実現可能。


コンパクトな住まいでも、天井勾配を取り入れることで、リビングに開放感をもたらします。「勾配天井とロフトを組み合わせる」といった縦の空間の有効利用で、子どもの遊び場や収納スペースなど多機能な活用ができるのも魅力のひとつでしょう。



《メリット3》通気がよくなる

勾配天井の場合、高い位置に換気窓を設置することで、通気性のよい住宅になることも嬉しいポイントです。一般的に、暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へ動きます。この性質を利用して効率的な空気の入れ替えを実現したい場合には、勾配天井が適しています。


勾配天井であれば、高い位置と低い位置の窓の高低差を大きくできるため、空気を循環しやすくなるでしょう。


《メリット4》高いデザイン性でこだわりの空間にできる

勾配天井は、「梁を見せる」「多彩なデザインを取り入れる」など、こだわりの空間を演出できるのもメリットです。木造住宅は、柱と梁で構造を組むのが一般的ですが、屋根などを支えるための構造材である梁は本来、天井の内側に隠れて見えない部分となります。


しかし、勾配天井を採用しあえて梁を見せることで、天井に奥行きや立体感を感じられる効果が期待できるでしょう。梁を中心としたデザイン設計にする場合は、梁そのものの「素材」や「塗装」にこだわるのもよいですね。


梁を見せる以外にも、勾配天井を板張りなど違う素材で仕上げたり、アクセントクロスを貼って壁面と色を変えたりして斜めのラインを強調することもおすすめ。より広々としたおしゃれな空間をつくり出せるでしょう。


勾配天井のデメリットと対策


メリットの多い勾配天井ですが、注意すべき点もいくつかあります。勾配天井は後から変更することができないため、設計時にきちんと検討しておかないと、家を建ててから後悔することも。以下にご紹介するデメリットとその対策を押さえて、家づくりを進めましょう。


《デメリット1》建築やメンテナンスにコストがかかる

勾配天井の建築は、通常のフラットな天井と比較すると建築コストがかかります。勾配天井にすることで「壁の面積が増えること」「工事の際に足場を組む必要があること」がコストアップの要因です。


さらに天井が高い位置にあることで、照明の取り換えやシーリングファンの修理、窓掃除、梁のホコリ取りなどは、手間がかかることが予想されます。場合によっては、専門業者に依頼しなければならずメンテナンス費用がかかる可能性も知っておきましょう。


勾配天井を採用する際には、手入れがしやすいかを意識して設備を検討することでメンテナンスコストの削減につながります


《デメリット2》照明に工夫が必要になる

勾配天井は天井が高くなるため、フラットな天井と比較して照明計画に工夫が必要です。高さがある分、部屋全体を明るく心地よい空間にするために「どこにどんな照明を配置するか」「照らす強さや角度はどうするか」などの入念な検討が不可欠でしょう。


また、高い場所に照明器具を吊るす際には、ワイヤーで固定するなど、安全対策も検討することが大切です。


《デメリット3》気密性や断熱性などの住宅性能が求められる

勾配天井の家では「部屋がなかなか暖まらない」「夏場は日差しが強くて暑い」などの声が聞かれることがあります。勾配天井は天井が高くなる分、冷暖房効率が悪くなるのが原因です。


ほかにも、一般的なフラットな天井は、屋根から受ける直射日光の熱を室内に伝えないように、天井裏に断熱材を使う「天井断熱」を施します。一方の勾配天井は、天井裏スペースも居住空間の一部となるため、屋根の構造部分に断熱材を使う「屋根断熱」の方法を取ります。


その結果、屋根からの熱が伝わりやすいことで冷暖房効率が悪くなり、エネルギーコストの負荷が増えることも。勾配天井を取り入れる際は、屋根の遮熱性を高めるだけでなく、断熱性や気密性といった住宅性能に優れた家づくりが重要となるでしょう。


《デメリット4》音が響きやすい

勾配天井は、「音が複雑に反響しやすい」「屋根と居住空間が近い」といった理由から、雨音やテレビ、リモートワークの声が響きやすいといったデメリットも挙げられます。


音の反響を防ぐためには、遮音効果のある屋根材を採用することが得策。また、住宅性能を高める断熱材にも吸音の効果があります。勾配天井を採用する際は、施工会社とデメリットへの対策を相談しながら建材を選択しましょう


勾配天井を採用した注文住宅実例集



勾配天井が気になる方のなかには、家づくりにどのように取り入れたらよいのか悩んでいる方もいるかもしれません。ここからは、注文住宅における勾配天井の実例を見ていきましょう。


勾配天井によって開放感をアップした「平屋のリビング」

山型な切妻屋根の形状を活かした勾配天井で、開放感がアップした平屋リビングの実例があります。勾配天井に天窓を設置することで、自然光が部屋中を明るく照らし、日中は照明に頼らず電気代の節約にも貢献。


また、リビングとキッチンの天井の高さに高低差を施す工夫によって、リビング空間をより伸びやかに広く見せる効果を発揮。家族が自然と集まるお気に入りの場所になりそうです。


 高級感をプラスする「梁を見せた大胆デザイン」

勾配天井の醍醐味でもある梁を見せるデザインで、LDKに豊かな表情を生み出すことも可能です。白を基調とした壁と勾配天井に、ウォールナットの梁、柱、床など設計デザインに統一感を持たせることで、高級感とバランスのよさを演出。


リビングの床を一段下げるロースタイルリビングによる高天井は、ホテルライクな印象を与え、家族にくつろぎのひとときをもたらしてくれるでしょう。


 勾配天井でロフトをつくり「空間の有効活用」

平屋の勾配天井でできた空間にロフトをつくれば、部屋全体に開放感が生まれるだけでなく、多目的なスペースとして有効活用もできます。プライベート空間をつくりつつも、リビングとロフトがつながっているため、家族とのコミュニケーションが生まれやすい魅力的な間取りです。


換気口や窓を設置すれば、暑さ対策や採光の問題も解決し、快適性がアップした充実の平屋ライフとなるでしょう。


勾配天井の2階リビングで「プライベート空間を実現」

土地の条件によっては、2階リビングに勾配天井を取り入れたいと考える方もいるでしょう。2階リビングは、眺望とプライバシーに配慮して窓を設計すれば、開放的なプライベート空間を実現できます。


⼤胆に光を採り⼊れる間取りは、時間や季節によって刻々と変わる影の変化を楽しめ、家での暮らしをより豊かにしてくれそうです。


勾配天井の照明選び。おしゃれな空間にするポイント


勾配天井には念入りな照明計画が必要となりますが、照明(ライト)を選ぶときには、どのようなことを意識しておくとよいのでしょうか。ここでは、照明選びのポイントをご紹介します。


メンテナンスしやすい照明器具を選ぶ

勾配天井は天井の高さが魅力である一方、照明器具の掃除や交換などメンテナンスがしづらいという欠点があります。どうしても天井に照明器具を設置したい場合は、メンテナンスのしやすさを考慮して、脚立で届く高さに吊るす「ペンダントライト」などを選ぶとよいでしょう。


照明の設置が天井以外でもよい場合は、「壁付のスポットライト」にすると簡単に手が届くためメンテナンスも楽です。特に、使用する電球は長く使えるLEDなどを選べば、交換頻度も少なく済むでしょう。


照明器具の組み合わせで明るさにメリハリをつける

勾配天井でおしゃれな家を目指すなら、必要な場所にだけ光を当てる照明の組み合わせでメリハリのある空間をつくるのがおすすめ。一部屋に複数の照明を設置する「一室多灯」を意識すると、部屋に奥行きが生まれ落ち着いた空間を演出しやすくなります。


大型の照明器具のみにこだわらず、スポットライトやスタンドライト、間接照明など、タイプの違う照明器具を取り入れてみてはいかがでしょうか。


照明の種類に応じた特徴をご紹介しますので、参考にしてみてください。


ペンダントライト

ペンダントライトとは、天井から吊るすタイプの照明のこと。手元を明るく照らしやすい特徴から、ダイニングテーブルなどの上に取り入れる方が多いです。勾配天井でも照射角度が床と平行になるため、比較的取り入れやすい照明です。


デザインが豊富なため、見た目を重視して、部屋のアクセントとして活用するのもよいでしょう。なお、勾配天井にペンダントライトを設置する場合は、コードに負担がかかるため、傾斜天井用引掛シーリングやコードハンガーを活用するのが一般的です。


ダウンライト

天井に埋め込むタイプのダウンライトは、圧迫感がないため、部屋をすっきり広く見せることができます。開放感のある勾配天井とシンプルなダウンライトは相性がよいです。「角度を調整して壁面を照らす」「調光タイプで気分や時間帯で雰囲気を変える」など、使い方を工夫するとよいでしょう。


ただし、勾配天井にダウンライトを設置する場合、ダウンライトの「拡散・集光」と呼ばれる配光タイプへの注目が必要です。拡散タイプは「光が広く拡散し空間全体に明るさを出す」、一方の集光タイプは「光が下向きに落ちポイント的に照らすのに効果的」です。使用目的に考慮して、配光タイプを検討しましょう。


また、高い位置に設置すると電球交換が難しいこともあるため、交換しやすい場所を選ぶことが大切です。


シーリングライト

シーリングライトとは、部屋の天井に直接設置するタイプの照明器具のこと。部屋全体を明るく照らす特徴があります。しかし、高い位置に設置すると手元まで光が届かない可能性があります。


なお、一般的なシーリングライトは、水平な天井に設置する想定で設計されているため、シーリングライトを採用する際は「勾配天井対応」のものを選ぶようにしましょう。


間接照明

間接照明とは、天井や壁に光を当てて、その反射で空間を照らす照明のこと。スポットライトなどを活用し、光源が直接視覚に入らないように設置するため、光のグラデーションによってやわらかな明るさで部屋を包み込んでくれるでしょう。照明の位置や光の向きによっては、勾配天井の高さも際立ちます。


一方で、食事や読書をする場合は、間接照明だけでは手元が暗くなるため、ペンダントライトやスタンドライトなどと併用するのがおすすめ。部屋の中で明るさの強弱があることで、快適性が保たれながらも機能性を向上できるでしょう。


勾配天井で後悔しないための設備の選び方


勾配天井を採用する場合は、照明だけでなく、窓やカーテン、シーリングファンといった設備についても検討することが大切です。後から設置することは難しいものもあるため、住み始めてから後悔しないよう選び方のポイントを押えておきましょう。


窓やカーテン

勾配天井の場合、高い位置に窓を設置できるため、採光しやすく、周囲の視線も気になりにくいという特徴があります。開閉する必要がない窓であれば、FIX窓(はめ殺し窓)を採用すると、壁とガラスが一体化します。スッキリとした印象となり、気密性も高いのでおすすめです。


日差しの状況や冷暖房効率を考慮して、高い位置にある窓のカーテンへの対応が気になる方もいるでしょう。手の届かない位置には、電動のロールスクリーンやタテ型ブラインドを付ける方法があるため、設計時に検討しましょう。


シーリングファン

勾配天井に「シーリングファンを設置したい」と考えている人もいますよね。シーリングファンはファンが回ることで空気が循環し、室内の温度を均一にしてくれます。冷暖房効率がよくなるため、勾配天井の部屋に有効な設備です。


シーリングファンは「勾配天井対応」になっているものがほとんどですが、対応できる勾配の角度を確認したり、部屋の広さとのバランスを考えてシーリングファンの大きさを決めたりすることが大切です。


ほかにも「設置場所に下地を入れる」「メンテナンスのしやすさを考慮した高さにする」といったポイントを意識するとよいでしょう。シーリングファンはデザインも豊富なので、設置する空間のインテリアにあわせて選んでみるのもよいですね。


勾配天井の家をハウスメーカーで建てよう


ハウスメーカーでは、独自の技術を活かした勾配天井のある家を建てられます。デザイン性はもちろん、住む人の希望のイメージに寄り添って、快適で暮らしやすい住まいに向けた複数のプランを提案してくれるでしょう。


勾配天井は、「住んでみると落ち着かない」といった意見もあるため、実際の雰囲気を体感するためには、モデルハウスや完成見学会などに足を運ぶのがおすすめです。


ハウスメーカーならではの「高機能住宅の技術」「細部までこだわった設計」を実感しながら理想の住まいを探してみてはいかがでしょうか。


【関連記事】大手ハウスメーカーの特徴を一覧で比較!工務店との違いやおすすめポイント


勾配天井の家は設備の工夫で、開放感のある暮らしやすい住まいを


勾配天井とは、屋根の形状を活かして斜めになった天井のことで、平屋や2階リビングと相性のよいプランです。勾配天井にすることで、開放的な空間になり光を取り入れやすいほか、通気がよくなるといったメリットもあります。梁を活かした設計にすれば、おしゃれな住まいづくりも叶うでしょう


一方で、勾配天井にはコストがかかり、照明計画には工夫が必要です。注文住宅で勾配天井を取り入れる際は、今回ご紹介したポイントを参考にしながら理想の住まいづくりを進めてみてはいかがでしょうか

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