田園住居地域とはどこの地域?指定状況や用途制限について解説

基礎知識 2021-10-29
C4b0b3ac b706 45c2 9372 cee00add3595

「田園住居地域とは?」「どこが指定されているのか指定状況を知りたい」など、用途地域の一つである田園住居地域の役割や用途制限などについて気になる人もいるのではないでしょうか。今回は田園住居地域が創設された背景や建築時の用途制限などを、国土交通省の資料をもとに解説します。


田園住居地域は「住居系」用途地域。2018年4月に追加


田園住居地域とは、営農環境と住環境の調和を図る用途地域のこと

田園住居地域とは、住宅地と農地が混在し、双方が調和して良好な居住環境と営農環境を形成する地域を指します。用途地域の一つで、2018年4月に13番目の地域として追加されました


用途地域とは都市計画法に基いて、土地の使い方が定められたエリアのこと。防火地域や景観地区など、都市計画によって指定される「地域地区」の一つです。


用途地域は「住居系」「商業系」「工業系」の3つに大別されますが、田園居住地域は居住環境の保護を主な目的とした住居系用途地域に該当します。


関連記事:用途地域とは?検索の仕方や13種類の特徴。住宅建築時のポイントも解説


田園住居地域が用途地域に追加された背景

田園住居地域が新たな用途地域として追加された理由をご存知でしょうか。ここでは、田園住居地域が追加された背景について、国土交通省の資料をもとに解説します。


《背景1》農地が「都市にあるべきもの」へ転換した

田園住居地域が創設された背景のひとつに「都市農業に対する認識の変化」が挙げられます。宅地需要の落ち着き等により、市街地及びその周辺の地域において行われる農業は「都市にあるべきもの」として考えられるようになっているのです。


《背景2》営農環境の悪化を防止するため

マンションなどの建設によって都市農業を営む環境が悪化するのを防ぎたいという考えもあります。市街地に農地があることで、まちの環境保全にも役立つと言われており、その効果が期待されています。


《背景3》住居地域において農業を保護するため

住居専用の用途地域には、原則として農業用施設等を建てることができない状況が続いていたという背景もあります。そのような状況を鑑みて、農業地域を守るために田園住居地域が追加されました。


田園住居地域はどこが指定される?指定状況は?


田園住居地域は、どこが指定されているのか気になる方もいるのではないでしょうか。

東京都の資料によると、農業経営の活性化を図るといった観点から、営農意欲が高く、まとまりのある農地が存在するエリアや、住宅と農地が共存し、将来にわたって良好な住居環境と営農環境を維持していくエリアなどにおいて積極的な指定を図るとのことです。


最新の指定状況は、自治体の窓口にて確認することができるほか、近年は、電話で受け付けている自治体も多いようです。概略位置を表示した参考図は、インターネットで閲覧できるケースも多くあります。おおよその位置を確認したい場合の参考にするとよいでしょう。


参考:東京都「用途地域等に関する指定方針及び指定基準(令和元年10月改定)


田園住居地域の用途制限・建築制限


田園住居地域に建築物を建てる場合は、その地域で定められた用途規制や建築制限を守る必要があります。ここでは、どのような建築物を建てられるのかご紹介します。


田園住居地域で建てられるもの

田園住居地域では「低層住居専用地域に建築可能なもの」及び「農業用施設」の建築が認められています。生活に必要な建物として、住宅や老人ホーム、診療所のほか、大きさの制限はありますが日用品販売店舗や食堂・喫茶店、サービス業店舗などを建築できます。


さらに、農業用施設として以下のような建築が認められています。

・農業の利便増進に必要な店舗や飲食店等 (500㎡以内)

(農産物直売所や農家レストラン、自家販売用の加工所など)

・農産物の生産、集荷、処理又は貯蔵に供するもの

(温室、集出荷施設、貯蔵施設など)

・農産物の生産資材の貯蔵に供するもの

(農機具収納施設など)


田園住居地域の建築規制は、第一種低層住居専用地域と同じ

田園住居地域における建築物の建築規制は、第一種低層住居専用地域と同じです。


高さ制限

田園住居地域に建てる建築物の高さ制限に関しては、次のような規制があります。


・絶対高さ制限

建築物は10m又は12m以内とする。容積率に関係なく、これより高くしてはならない

・北側斜線制限

北側の家の日当たりを考慮して、南からの日照確保のために建築物の高さを規制したルール

・道路斜線制限

道路の日照や採光、通風を確保するほか、周辺に圧迫感を与えないよう建築物の高さを規制したルール


このほか、近隣に日照を確保するための「日影規制」によって建物の高さが制限されることも理解しておきましょう。


容積率・建ぺい率

田園住居地域の容積率は50~200%、建ぺい率は30~60%と、低層住居専用地域と同じ値です。日影等の影響を受けず営農継続可能な規制となっています。


関連記事:【第一種・第二種住居地域】高さ制限などの建築規制やまちの特徴を紹介


田園住居地域の開発規制に注意

田園住居地域では、農地の開発行為等について、市町村長の開発許可を受ける必要がある開発規制が設けられています。開発行為とは、土地の造成や建築物の建築、物件の堆積などを指します。


さらに、周辺環境が大きく変化するおそれがある一定規模(政令で300㎡と規定)以上の開発が、原則不許可であることに注意が必要です。


田園住居地域の土地ならではのメリット


田園住居地域の土地には、どのようなメリットがあるのでしょうか。暮らしや営農環境といった観点から、田園住居地域の魅力を解説します。


自然豊かで落ち着いた住居環境

田園住居地域は、住宅と農地が調和する地域なので、都市部であっても自然豊かな環境での暮らしが期待できます。「自然が身近に感じられる場所で子育てをしたい」「街の喧騒から離れた場所で暮らしたい」という方にはオススメの地域です。


農業を続ける場合は「特定生産緑地」認定で税制優遇が受けられる

市街化区域内の農地のうち、生産緑地法で指定された農地のことを「生産緑地」と呼びます。生産緑地は営農義務が課されていましたが、2022年に指定解除される予定となっており、解除後の急速な宅地化が懸念されています。


それを受けて、2017年に生産緑地法が改正され、新たに特定生産緑地制度が制定されました。営農を続ける予定があれば、特定生産緑地制度の指定を受けることで、生産緑地と同様に固定資産税の軽減や相続税の納税猶予といった恩恵を受けることが可能となりました。農業を続けたい方にとっては、農業を続けやすい環境が整っている田園住居地域のメリットを享受できそうです。


【事例紹介】田園住居地域の土地活用方法


田園住居地域にある土地を活用したいと考える方もいるのではないでしょうか。土地活用方法の事例をご紹介します。


  • 駐車場やコインパーキング
  • アパート経営
  • 店舗や飲食店
  • 農産物直売所・農業レストラン
  • 自家用倉庫 など


駐車場なら建築物を建てなくてよいため、建築制限を気にする必要がありません。田園住居地域の用途規制は、主に低層住居専用地域と同様ですが、土地活用方法はいろいろあります。ご自身にあった土地活用方法を検討してみてはいかがでしょうか。


田園住居地域は今後、制度変更の可能性もあり


田園住居地域は新しく追加されたばかりの地域のため、今後制度の内容が変更することも考えられます。自治体窓口やインターネットなどで積極的に情報取集し、今後どのような変化が見込まれるのか、常に確認することを心がけておくとよいでしょう。


用途地域の一つ、田園住居地域の特徴を知ろう