
規格住宅とは?特徴やおすすめの大手ハウスメーカー8社を紹介
規格住宅を建てる場合、どのようにハウスメーカーを選べばいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。規格住宅とはどのような住宅を指すのか、平屋も建てられるのか、注文住宅や建売住宅との違いも気になりますよね。
今回は、大手ハウスメーカー8社が提案する規格・セミオーダー住宅の特徴についてくわしくご紹介します。規格住宅のメリット・デメリットや間取りの特徴、規格住宅を建てる際のポイントなども解説しますので家づくりのご参考にしてください。
規格住宅とは?
「規格住宅」は、近ごろの住宅価格(建築コスト)高騰の影響もあり、コストを抑えながらも上質な家づくりができるとして注目されています。規格住宅とは具体的にどのような住宅を指すのか、規格住宅が向いている人の特徴とあわせて詳しく見ていきましょう。
規格住宅とは、一定の「規格」に基づいて建てる住宅のこと
規格住宅とは、ハウスメーカーなどが用意した一定の規格(プラン)から間取りや仕様、設備などを選んで建てる住宅のことです。メーカーによっては「企画住宅」と表現している場合もあります。
ハウスメーカー毎に多種多様なプランが用意されているので、好みの仕様を選んだり、家族構成やライフスタイルに合わせた間取りを選択したりすることも可能です。近年では、各ハウスメーカーが新商品の発売や既存の商品・サービスのアップデートを行っています。おしゃれなデザインの規格住宅も増えており、若い世代を中心に人気が高まっています。
規格住宅はこんな方におすすめ
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規格住宅は、フルオーダー住宅のように一から全て自分で決める必要がないため、選択肢を用意してもらった方が決めやすいという方におすすめです。どの間取りプランやデザインも、専門家によってきちんと考えられた設計のため、時間や手間をかけなくても大きな失敗が起こらないという安心感があります。
自分の好みや希望も取り入れつつ、コストを抑えた高品質な住宅を、短期間に建てたいという方は「規格住宅」が向いているといえるでしょう。
規格住宅のメリット・デメリット
規格住宅のメリット
ここからは、規格住宅のメリットをご紹介します。
<メリット1>注文住宅に比べて販売価格が安い
規格住宅は、フルオーダーやセミオーダーなどの注文住宅に比べて販売価格が安い傾向にあります。規格型の住宅に用いる外壁や床材などは、あらかじめ用意された間取りや仕様をもとに、大量生産されている建材・資材が活用されるためローコストでありながら高品質な住宅を短期間で建築できるのです。
設計や耐震構造の計算も済んでいるため、そこにかかるコストも抑えられます。トータルでかかる建築費用を抑えられることで、フルオーダー住宅と比べ坪単価は10万から20万円程安くなると言われています。ある程度必要な費用が決まっていることで、住宅ローンなどの資金計画も立てやすいでしょう。
なお、規格化によってコストカットを実現しているため、品質はフルオーダーやセミオーダーと同等です。注文住宅に比べて、断熱・耐震性能が弱まるケースもありますが、大手ハウスメーカーの商品であれば、どれを選んでも安心して暮らせるくらいの品質となっています。
<メリット2>完成後をイメージしやすい
あらかじめ用意された設計プランで建てる規格住宅は、住みやすさに直結する生活動線やデザイン性など、住宅完成後をイメージしやすいこともメリットです。モデルハウスやハウスメーカーが実際に過去に施工した家とほぼ同じ仕上がりの家が建つので、注文住宅購入者が感じやすい「完成した家が、想像していた家と違った」「実際に住み始めてみたら使い勝手が悪かった」などという後悔も少ないでしょう。
<メリット3>短期間での家づくりが可能
規格住宅は、注文住宅と比べて家づくりをゼロから考える必要がないため、短期間での家づくりが可能です。打ち合わせ時間を短縮できるほか、カタログチェックなどの手間も省くことができます。施工面では、資材の搬入や建築の工程などがマニュアル化されているため、工期を短縮できるというメリットもあります。
「子どもの入園、入学に合わせたい」など、新居の完成を急ぎたい方は、規格住宅を検討してみてはいかがでしょうか。
規格住宅のデメリット
あらかじめ決められた選択肢から設備や仕様を選ぶ規格住宅には、メリットだけではなくデメリットもあります。規格住宅を検討する上で知っておきたいデメリットをご紹介します。
<デメリット1>設計の自由度が低い
規格住宅は、基本的な仕様が決まっている住宅のため、やはり設計の自由度が低くなります。細部までこだわった家づくりをしたい方や、人と違った個性的な家を建てたい方には不向きでしょう。とは言っても、ハウスメーカーによって選べる条件は異なる場合が多く、意外と選択の自由が効くという意見もあります。どうしてもこだわりたい部分がある方は、希望の条件を規格住宅でも叶えられるのか、メーカーの担当者に確認してみましょう。
<デメリット2>間取りが変更できない
規格住宅は、原則として各メーカーが用意した規格にない間取りへの変更ができません。一般的なファミリー世帯に好まれる間取りが主流のため、「スキップフロアを付けたい」「主寝室だけ1階にしてほしい」といった大幅な間取りの変更は難しい場合があります。
とはいえ、多くのハウスメーカーが、広さや方角に合わせてさまざまな間取りプランを用意しています。家を建てたいハウスメーカーが決まっている場合は、提供している規格住宅において、希望する間取りを選べるか確認しておきましょう。
<デメリット3>土地によっては建築が難しい
間取りがあらかじめ決まっている規格住宅は、土地の形状によっては規格での家の建築が難しいというデメリットもあります。狭小地や変形地、傾斜地などの複雑な形状の土地で規格住宅の建築を検討する場合は、その場所に施工可能かどうか事前に確認しておくことが大切です。
大手ハウスメーカーおすすめの規格住宅・セミオーダー住宅8選
大手ハウスメーカーの規格住宅・セミオーダー住宅は、選べる選択肢やコンセプトもさまざまです。予算的に大手ハウスメーカーでの家づくりが難しいと感じる場合でも、本体価格を抑えられる規格住宅なら、希望を叶えられるケースもあります。
ここからは、大手ハウスメーカー8社がおすすめする規格住宅・セミオーダー住宅を一覧でご紹介します。大手ハウスメーカーでの家づくりを検討する際の参考にしてみてください。
<ハウスメーカーの規格住宅一覧>
ハウスメーカー | 特徴 |
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積水ハウス | 累積建築戸数世界一に裏付けられた、施工品質が強み |
ダイワハウス | 安心・安全を追求したテクノロジーが魅力 |
住友林業 | 木材の質感にこだわりたい方におすすめ |
セキスイハイム | 「環境」「安心」「快適」において、一歩先を行く高性能住宅を実現 |
トヨタホーム | トヨタグループの総合力で、住まいの安心を守ります |
パナソニックホームズ | 「強さ」と「暮らしやすさ」を大切にした家づくり |
へーベルハウス | 充実の長期保証・点検システムでサポート |
ミサワホーム | 充実した商品ラインナップが魅力 |
積水ハウス ノイエ|積水ハウス ノイエ株式会社
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積水ハウスは、施工品質が強みの、累積建築戸数世界一を誇るハウスメーカーです。積水ハウスの子会社である「積水ハウスノイエ」では、多忙な20代〜30代に「心地よく、ちょうどいい」をテーマに暮らしを提案する「SEKISUI HOUSE noie」という商品があります。
それぞれの家族の暮らしに寄り添い、豊かな生活の基盤や思い出を育む環境として、さまざまなプランの中から提案してくれます。耐震性や耐久性、耐火性など、住まいに関する高い基本性能はもちろん、充実したアフターフォローと優れたコストパフォーマンスは必見です。
スマートセレクション|大和ハウス工業株式会社
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ダイワハウスは、外張り断熱通気外壁や高い耐震性能を維持する独自構造を採用し、業界トップレベルの安心・安全を追求するハウスメーカーです。
2024年1月に、これまで販売していたウェブ限定の規格住宅「Lifegenic(ライフジェニック)」から「スマートセレクション」へ移行しました。新しい「スマートセレクション」では、自分のライフスタイルやこだわりにマッチした住みやすい家づくりが可能です。300以上ある間取りから、2階建てや平屋なども選べます。設備や外装・内装はプロが厳選したパッケージからセレクトでき、価格や仕様も明快なので安心して理想の家づくりを進められるでしょう。
フォレストセレクション BF|住友林業株式会社
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木の家づくりに精通している住友林業は、木材の質感にこだわった家づくりをしたい方におすすめのハウスメーカーです。
規格住宅の”選ぶオーダーメイド「Forest selection BF(フォレストセレクション ビーエフ)」”は、多彩なプランが魅力です。家事動線や収納力など、お客様のニーズを考えたプランは1000通り以上。住友林業ならではの暮らしのアイデアを凝縮した間取りから、自由に選べる床材や壁紙のインテリアなど、理想に近い最適なプランを提案してくれます。
また、選んだ間取りにオーダーを加えることで変更も可能なため、自分だけの理想のマイホームを実現できます。
セミオーダーハイム|積水化学工業住宅カンパニー(セキスイハイム)
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セキスイハイムは、住宅の性能の中でも根幹となる環境・安心・快適において、新しい生活様式に対応した一歩先行く高性能な住宅を開発しています。施工工程のほとんどを工場で行うため、品質が安定していて現場での工期も短いという特徴があります。
国が推進するレジリエンス住宅チェックリスト(健康を支え災害に備える住まいと暮らしのためのツール)の4つの力を備え、人生100年時代に対応するための独自要素をプラスし、「家族の幸せな暮らしを末永く守れる家」を提供しています。
おすすめの規格住宅は、「スマートパワーステーションアーバン」や2×6工法が採用されている「グランツーユーV」です。鉄骨造と木造のどちらも可能で、人気の平屋や2階建て、3階建てのデザインを選べます。
シンセLQ|トヨタホーム株式会社
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トヨタホームは、「品質力」「保証力」「企業力」の3つの安心で、家づくりをサポートするハウスメーカーです。
「プロがつくる。私がアレンジ」がコンセプトの「LQ(エルキュー)」では、外観などの品質や技術力はそのままに、デザインや空間などを好みに選択した、自由な空間づくりができます。鉄骨ラーメン構造を採用しているので、大空間・大開口も実現可能です。
V'esse(ヴェッセ)|パナソニックホームズ株式会社
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パナソニックホームズは、安心で快適な住まいを大切にし、強い耐震構造や独自の空調システムを提供しています。
パナソニックホームズでは、「価値をセレクトする家づくり」をコンセプトに、オンラインで家づくりができる規格住宅「V'esse(ヴェッセ)」を販売しています。WEB上で好みのプランや仕様を2つの方法でシミュレーション可能です。同時に概算見積りも確認できるので、自分のペースで家づくりが進みます。
my DESSIN(マイデッサン)|旭化成ホームズ株式会社(へーベルハウス)
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ヘーベルハウスは、基本躯体構造での耐久性60年以上を実現し、60年無料点検システムなどのアフターサービスが充実しているハウスメーカーです。
セミオーダースタイルの家づくりを提案する「my DESSIN(マイデッサン)」では、おうちのプロ目線で厳選した、5つの空間アイデアと、500種類以上のプランを提供しています。家にいながら、好みの外観や仕様などを選び、簡単に満足いく家づくりを進めることが可能です。
SMART STYLE(スマートスタイル)|ミサワホーム株式会社
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ミサワホームは、充実した商品ラインナップが魅力のハウスメーカー。日本の風土や暮らしに適した住まいづくりを得意としています。
規格住宅の「SMART STYLE(スマートスタイル)」シリーズは、コンセプトが3種類。高品質と普遍性の高い設計やデザイン性、施主のこだわりに応える柔軟性を兼ね備える商品です。高強度・高断熱・高耐震設計に加え、アフターサポートも充実。約3mの高天井や、ミサワホームならではの、大収納空間「蔵」などもデザインに取り入れています。
規格住宅を建てるときの費用相場
規格住宅の費用相場は、注文住宅と建売住宅の中間ほどの価格になります。
規格住宅を建てる場合、坪単価は40万円前後が相場なので、例えば30坪の規格住宅を建てる場合、家の本体工事費は1200万円程になる計算です。以下は注文住宅との比較になります。
<30坪の住宅を建てる場合>
規格住宅 | 注文住宅 | |
---|---|---|
坪単価 | 40万前後 | 60万前後 |
本体工事費 | 1200万円 | 1800万円 |
注文住宅の場合は、坪単価60万円以上であることも多いため、仮に30坪の住宅を建てる場合は1800万円程度の本体工事費がかかることになります。こちらはあくまでも一例なので、自分がどのような家を建てたいかによって費用は大きく異なることを覚えておきましょう。
規格住宅の間取りは、3LDKが主流。平屋は建てられる?
規格住宅は、一般的なファミリー世帯(3~4人家族)に合わせ3LDKの商品が多く採用されています。間取りは、収納スペースが充実していたり、家事動線にこだわっていたりとハウスメーカー毎にさまざまなパターンを用意しています。希望に合った家づくりができるハウスメーカーを探してみてください。
また、今人気の「平屋」でも規格住宅を建てられるのをご存知でしょうか。平屋は2階建てに比べて、階段が不要で廊下も少なく済むため、延床面積を小さくできるといった特徴があります。不要なスペースを削り、コンパクトな一戸建てを考えている方におすすめです。一方で、平屋の方が一坪あたりの建築コストは高くなる傾向にあるため、予算の都合で諦めてしまう方もいるかもしれません。
そんな中、規格化によってコスト削減した「平屋の規格住宅」が人気を集めています。メーカーによっては、ローコストでありながらおしゃれな平屋住宅の建築プランを提供しているところもあるので、ぜひ理想の家づくりが可能なハウスメーカーを探してみてください。
【関連記事】大手ハウスメーカーで建てる平屋の特徴を比較!おすすめ商品や人気の間取り
規格住宅を建てるときのポイント
規格住宅で後悔しないためには、いくつかのポイントを抑えておく必要があります。家づくりのポイントは以下の通りです。
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注文住宅に比べて自分で決められる範囲が狭い規格住宅の場合、外観や内装、デザインや設備など全てにこだわることは難しいでしょう。そこで、家事動線にこだわりたい、キッチンの設備だけは譲れないなど、自分が叶えたい住まいの条件を明確にし、優先順位をつけるのがおすすめです。
ハウスメーカー選びに関しては、オプションやプラン、アフターサービスなどから自分の理想を叶えるメーカーはどこか比較・検討しましょう。信頼できる営業担当者を見つけることも大切です。
【関連記事】大手ハウスメーカーの特徴を一覧で比較!工務店との違いやおすすめポイント
規格住宅と、注文住宅・建売住宅との違い
ここからは、規格住宅と、一般的な注文住宅や建売住宅との違いについてご紹介します。
住宅の種類 | 特徴 |
---|---|
注文住宅|フルオーダー住宅 | 設計自由度が最も高い住宅 |
注文住宅|セミオーダー住宅 | 一定の選択肢から設備などを選ぶ住宅 |
注文住宅|規格住宅 | 間取りや設備などを自由に選んで建てる住宅 |
建売住宅 | 土地と建物をセットで販売している住宅 |
規格住宅と「注文住宅」の違い
注文住宅とは、間取りや設備などを自由に選んで建てる住宅のことです。「フルオーダー住宅」と「セミオーダー住宅」に分類されるのが一般的ですが、注文後に建築を始めるという意味では「規格住宅」も注文住宅の一種と言えるでしょう。
フルオーダー住宅
フルオーダー住宅とは、建築基準に沿った範囲であれば、間取りや仕様を細部に至るまで自分で選べる、設計自由度が最も高い住宅です。その分、打ち合わせに時間を要するほか、資材が別注になるなど建築コストは高くなります。1から自分好みの家を建てられることから、自由設計と呼ばれるケースもあります。
セミオーダー住宅
セミオーダー住宅とは、基本的な仕様があらかじめ決まっていて、一定の選択肢から設備などを選ぶ住宅です。規格住宅に比べると設計の自由度は高く、ある程度のこだわりを反映できますが、フルオーダーのように細かい部分まで指定するのは難しいでしょう。
フルオーダー住宅やセミオーダー住宅を指す「注文住宅」と「規格住宅」との違いは、設計自由度の高さです。規格住宅は設計の自由度が低い分、ローコスト・短期間で家が建てられるという特徴があります。
規格住宅と「建売住宅」の違い
建売住宅とは、土地と建物をセットで販売している住宅のことです。建築中や着工前など未完成の状態から販売する物件もあれば、完成後の物件を販売する場合もあります。
建売住宅は、基本的に仕様などが決定しており、自分の希望を反映させるのは難しいでしょう。ただし、建築初期に購入する場合は、多少の設備や仕様変更が可能なケースもあるようです。建売住宅と比べると規格住宅の方が、さまざまな規格から、自分の好みやライフスタイルなどを反映して選択できるため、家の仕様の自由度は高いと言えるでしょう。
さらに、建売住宅と規格住宅との大きな違いは、「土地の有無」です。建売住宅は土地が決まっているのに対して規格住宅は建物のみの購入となるため、自分の理想に合う土地を探すことができます。
規格住宅の良さを活かした、理想的な家づくりをしよう
今回は規格住宅の概要やメリット・デメリット、各ハウスメーカーが提供している規格住宅のプランなどをご紹介しました。規格住宅は、高品質でありながら、ローコスト・短期間で家づくりをできることが大きなメリットですが、設計の自由度が低く、土地が限られるというデメリットもあります。
納得のいく規格住宅を建てるには自分にあったメーカー選びが重要です。人気の平屋住宅のプランを提供しているハウスメーカーもあるので、ライフスタイルに合わせて検討してみてはいかがでしょうか。規格住宅の特徴をしっかりと理解した上で後悔のない理想の家づくりができるとよいですね。