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掃き出し窓とは?特徴やメリット・デメリット、設置時のポイントを解説

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2024-11-25
間取り・設備

掃き出し窓は、採光や通風に優れた窓のひとつです。一方で、都市部や集合住宅地に住んでいる方のなかには、防犯などの観点から掃き出し窓が必要なのか気になる方もいるのではないでしょうか。


今回は、掃き出し窓の特徴や種類、メリット・デメリットなどをご紹介します。設置する際のポイントも解説しますので、家づくりの参考にして下さい。


掃き出し窓とは?床面まで開口部がある背の高い窓のこと


掃き出し窓とは、床面まで開口部がある背の高い窓のこと。主にリビングなどに設置し、庭やベランダ、バルコニー、ウッドデッキといった場所に出入りするために使うことの多い窓です。


なぜそのような名前がついたのかには諸説ありますが、かつてはほうきで部屋の埃などのゴミを窓から外に掃き出していたことから、「掃き出し窓」と呼ばれるようになったようです。


掃き出し窓と他の窓との違い



窓には、掃き出し窓以外にもさまざまな種類があります。ここでは、イラストを参考にそれぞれの窓の特徴と掃き出し窓との違いを見ていきましょう。


種類設置場所
天窓天井に取り付けられた窓
高窓壁の高い位置に設置した窓
腰窓(腰高窓)大人の腰程度の高さに設置した窓
出窓壁よりも外に突き出した窓
コーナー窓部屋の角に取り付けられた窓
地窓壁の低い位置に設置した窓

このように、窓には場所や高さに応じて多様な種類があります。掃き出し窓と他の窓の違いは、「床面から天井近くまでの大きな窓であること」「窓から外部に出入りできること」の2点です。


家を建てる際には、さまざまな種類の窓をバランスよく組み合わせて設計することで、快適で暮らしやすい空間を実現できるでしょう。


掃き出し窓の種類。開閉方式による違い


掃き出し窓の種類は、開閉方式によって分けることができます。掃き出し窓の開閉方式は、上記のイラストのように「引き違い窓」と「片引き窓」の2パターンが一般的です。

引き違い窓(2枚)2枚の窓を、左右にスライドする方式で開閉できるタイプ
引き違い窓(4枚)4枚の窓があり、それぞれ左右にスライドして開閉できるタイプ
片引き窓「開閉できる窓」と「開閉できないFIX窓」を組み合わせたタイプ
引き分け窓(両引き窓)片引き窓を2つ合わせた、両サイドがFIX窓になっているタイプ。中央の2枚の窓を左右にスライドして開閉する。

掃き出し窓には、バリエーションが豊富にあるので、部屋の雰囲気や用途に合わせて種類を選ぶことができます。

なお、一般的な掃き出し窓の標準サイズは、幅が約170cm〜180cm、高さが約180cm〜220cmです。近年では、開放的な住まいへの憧れから「大開口窓にしたい」という要望も多く、サッシが240cmほどの天井部まで届くような高さを持つ種類も見られます。


掃き出し窓のメリット4つ


掃き出し窓は、大きい窓ならではのさまざまなメリットがあります。ここでは、代表的な掃き出し窓の魅力をご紹介します。


<メリット1>部屋が明るくなり開放感がある

ガラス面が大きい掃き出し窓は、室内に光を取り入れやすく、外の景色にまで視界が広がることで開放感が生まれます。床面から高さがある大きな窓によって、壁で囲まれた部屋よりも部屋が広く感じられ、リラックスした雰囲気も生まれやすくなるでしょう。


<メリット2>風通しがよい

掃き出し窓には、網戸を取り付けられるので、ガラス窓を開ければ虫の侵入を気にすることなく風を取り入れることができます。腰窓に比べて開口部が大きいため、換気しやすく室内に湿気がこもりにくいのも大きな魅力です。


南側に「掃き出し窓」、北側に「腰窓」というように対角線上に窓を設置すれば、風の通り道ができて空気が循環し、心地よい環境をつくれるでしょう。


<メリット3>家と外の出入りがしやすい

掃き出し窓は床面まで開口部があるため、他の窓とは違い、人が出入りできる窓であることも特徴です。室内と外(ベランダや庭)を簡単に行き来できることで、より利便性の高い住まいになるでしょう。


引越しの際には、玄関の代わりにソファやベッドといった大型家具の搬入・搬出口としてするのに便利です。災害が発生したときには、屋外への緊急避難ルートとしても利用できます。


掃き出し窓は必ずしも必要な設備ではありませんが、「家具の搬入場所」や「避難経路」として検討するのもひとつの方法でしょう。


<メリット4>デザイン性の高い部屋づくりができる

掃き出し窓を採用することで、デザイン性の高い住まいづくりができるのも魅力です。大きい窓は開放感を生み、部屋全体をより広々とした空間に見せることができるでしょう。


近年は、レールの段差がほとんどない掃き出し窓を設け、テラスやウッドデッキと地続きにして、内と外が一体化して見えるようなデザインを採用するケースも増えています。


掃き出し窓のデメリット5つ


掃き出し窓は開口部の面積が大きいがゆえに、それがデメリットとなってしまうこともあります。ここでは、掃き出し窓を取り入れることによる5つのデメリットを解説します。


<デメリット1>プライバシーや防犯面に配慮が必要になる

掃き出し窓の配置次第では、外からの視線が気になるなどプライバシー面に不安が生じるかもしれません。カーテンを開ければ開放的な景色を味わえる一方で、きちんと対策をしていないと、外から家の中が丸見えになってしまい、落ち着かないでしょう。


また、空き巣被害の多くは「窓」からの侵入です。特に、人が出入りがしやすい掃き出し窓は、鍵をかけていても窓ガラスを割って開錠し室内に入られる危険性があります。


掃き出し窓を「通りから近い場所」や「人目に見えにくい場所」に配置する場合は、防犯対策が重要となるでしょう。


<デメリット2>外気の影響が大きく「暑さ・寒さ」を感じやすい

ガラスは熱伝導率が高く、外気の影響を受けやすいものです。そのため、ガラス面が大きい掃き出し窓がある部屋は、冷暖房が効きにくいといったデメリットが生まれてしまうこともあります。


リビングなどの広い空間に掃き出し窓を広く取り入れると、その分、家全体の断熱性能が下がり、光熱費の増加につながる可能性も出てくるでしょう。


<デメリット3>家の防音性が下がる

ガラス素材の窓は壁に比べると音を通しやすいため、開口部の広い掃き出し窓は、音漏れが気になることも念頭に置いておく必要があります。換気のために窓を開けているときだけでなく、閉めている状態であっても子どもの声やピアノの音などが外に漏れてしまう可能性があるでしょう。


また、家の近くに線路や車通りの多い道路があると、外部の騒音が気になるケースも。音漏れや騒音トラブルを回避するためには、防音対策が必要になります。


<デメリット4>部屋のレイアウトに制約が生じる

掃き出し窓を配置することで壁が減る分、部屋のレイアウトに制約が生じてしまうこともデメリットです。掃き出し窓の前に壁につけて配置したい大きなソファやテレビなどがあると、人の出入りの際に不便に感じることもあるでしょう。


掃き出し窓を設計する際には、どのような家具をどこに配置するのか十分検討することが大切です。さらに、掃き出し窓の外に洗濯物を干す場合は、家事導線も含めた部屋のレイアウトを考えておきましょう。実際に家具を置く段階になって後悔することのないようにしたいですね。


<デメリット5>床が日に焼けて劣化しやすい

掃き出し窓は日差しが入り込みやすい分、窓際の壁や床が日に焼けて劣化しやすくなります。紫外線による日焼けのほか、時には雨水が入り込み床が色あせてしまうことも。さらには、外との出入りが多い分、汚れやすくなります。


住み始めてからは、こまめにカーテンを閉めるだけでなく、定期的な掃除やメンテナンスが必要となることを頭に入れておきましょう。


掃き出し窓を設置する際の6つのポイント


マイホームに掃き出し窓を取り入れる場合は、どのようなことを意識するとよいのでしょうか。ここでは、掃き出し窓で快適な暮らしを実現するための6つのポイントをご紹介します。


1.断熱性・防音性の高い窓を選ぶ

掃き出し窓のデメリット対策として、断熱性や防音性など高機能な窓を選ぶのがおすすめです。窓の断熱性能が上がれば、外気の影響を受けにくくなり、光熱費の抑制や結露の防止といったメリットもあるでしょう。


高機能な窓の設置方法としては以下の2つの方法があります。

1.複層ガラスを設置する

複層ガラスとは、2〜3枚のガラスが重なっているもの。複層ガラスは、ガラス部分を支えるフレーム部分も含めて断熱性能が高いことが特徴です。なお、断熱効果の高いフレーム素材は樹脂フレームです。


2.二重サッシを採用する

通常の掃き出し窓の内側に、もう一枚窓を設置する方法です。複層ガラス同様に高い断熱性があり、遮音・結露防止効果も期待できます。リフォームで対応することも可能です。


2.防犯性の高い窓やシャッターなどを取り入れて安全性を確保する

掃き出し窓を検討するときは、防犯面に関しても配慮できると安心です。頻繁な人の出入りがないのであれば、金属製の格子を設置する「格子窓」を取り入れると防犯性が高まります。

人が出入りすることを前提で掃き出し窓を設置するのであれば、「CPマーク」が入った防犯窓の採用を検討してみてはいかがでしょうか。なお、CPマークとは、防犯性の高い建物部品であることを証明するマークのことです。

「シャッター付きの掃き出し窓」や「補助錠」などの防犯アイテムも併用すると、さらに安心できるでしょう。


3.目隠しアイテムや窓の配置を工夫してプライバシーを守る

外からの視線が気になる場合には、目隠しアイテムを活用しましょう。道路や隣家との境に目隠しフェンスや植栽を設置すれば、カーテンを開けて採光や景色を楽しむことができます。


ほかにも、外部から見えにくくなる「目隠しフィルム(シート)」や、カーテンの代わりに「ブラインド」「ロールカーテン」を取り付けるのも工夫のひとつです。ブラインドやロールカーテンは、角度や長さを調整することで、外から室内を見えにくくできます。


4.ステップ・ウッドデッキの設置で段差を解消する

掃き出し窓を外部との出入り口として活用する場合、大きな段差があると不便に感じることがあります。段差を埋めるために「ステップ」の設置を検討してみましょう。


ステップは設計時に木製やコンクリート製のものを作ることもできますが、ベンチや踏み台など簡易的なものをDIYで後付けするのもよいでしょう。


このほか、掃き出し窓からフラットな状態で設置する「ウッドデッキ」は、室内空間が広がったような感覚で使えるのでおすすめです。子どもの遊び場や布団を干す場所など、外と室内をつなぐ中間スペースとして多様な使い方ができるでしょう。


5.カーテンを工夫しておしゃれな空間を演出する

掃き出し窓に取り付けるカーテンは面積が大きい分、選んだ柄やデザイン、色次第で部屋の印象が大きく変わります。インテリアを決めるときは、家具やカーテンの色も考慮しながら部屋全体の色合いを決められるとよいでしょう。


なお、カーテンは大型のものになると費用が高くなるため、カーテンの予算も事前に考慮しておくと安心です。カーテン購入時は、図面を見て窓寸法を正確に把握するなど、採寸ミスのないようにしたいですね。


6.テラス屋根の設置など日差し対策を検討

日当たりのよい家では、掃き出し窓から入る日差しがきついと感じる場合もあるかもしれません。日差しを遮る対策として、テラス屋根やサンシェードを取り入れてみてはいかがでしょうか。


これらの対策は床の劣化を防げるだけでなく、直射日光による温度上昇や紫外線対策などの効果も期待できます。


掃き出し窓はリフォームも可能。費用やデザインに注意しよう