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高気密・高断熱のメリット・デメリット。後悔のない家づくりのポイントは?

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2022-06-08
基礎知識

高気密・高断熱住宅について、「メリット・デメリットは何か」「後悔しないのか」といった疑問や不安を抱く人もいるでしょう。今回は高気密・高断熱とは何か、特徴やメリット・デメリットをくわしく紹介します。「住んでみて失敗した」ということのないよう高気密・高断熱の知識を得て、納得のいく住まいづくりを進めましょう。


高気密・高断熱住宅の特徴


高気密・高断熱の家とは、一体どのような住まいを指すのでしょうか。まずは「高気密」「高断熱」という言葉の意味を確認しましょう。


高気密とは、隙間をつくらず空気の出入りを最小限にすること

高気密の意味

高気密とは、空気の出入りを最小限にして気密性を高めた状態のこと。家づくりにおいては、精度の高い建築部材や、防湿シート、断熱材、気密テープなどを使用して、できるだけ隙間をなくすように施工して高気密住宅を作り上げます。


「C値」が低いほど、気密性能は高い

空間の気密性能を測る際に用いられるのが「C値」という値です。家全体の隙間の面積を延床面積で割った値で、C値の値が低ければ低いほど、気密性が高いことになります。


高断熱とは、室内温度が外気に左右されないようにすること

高断熱の意味

高断熱とは、室内の温度が外気の影響を受けないようにする状態のこと。家づくりにおいては、断熱材を用いたり、断熱性の高い窓を使ったりして、断熱性を高められるよう施工します。断熱材を入れる場所の違いで「内断熱」と「外断熱」という2種類の工法があります。


関連記事:外断熱・内断熱の違いとは?工法の特徴やメリット・デメリットを解説


「Q値」「Ua値」が低いほど、断熱性能が高い

住宅の断熱性能を知る数値に「Q値」があります。Q値は、家から出ていく「熱量」を延床面積で割った値で、数値が小さいほど断熱性能が高いことを表します。


Q値のほかに「Ua値」という数値もあります。Ua値は、家全体から逃げる熱量を家の表面積(外皮面積)で割った値です。Q値とは異なり、換気で逃げる熱量は考慮されません。こちらも数値が小さいほど、断熱性能が高いことになります。


これらの数値は住宅の打ち合わせなどで耳にすることもあるかもしれません。大まかな概要を理解しておくとよいでしょう。


高気密・高断熱は、省エネ基準の評価対象のひとつ


近年、地球環境問題への対策として、住宅に対しても環境に配慮した省エネ化が求められています。住宅建築に関しては「建築物省エネ法」で省エネに関する基準(省エネ基準)が定められており、家づくりの際には、建築家が依頼主へ「省エネ基準を満たすかどうか」などを説明することが義務付けられています(説明義務)。


そして、今回のテーマである「高気密・高断熱」は、この省エネ基準の1つ「外皮基準」というものに該当します省エネ基準はさまざまな観点から評価されますが、高気密・高断熱を意識した住まいづくりが、省エネ化において重要なポイントであることを覚えておきましょう。


高気密・高断熱住宅のメリット


高気密・高断熱を実現することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは7つのメリットを紹介します。


<メリット1>年間を通じて快適に過ごせる

高気密・高断熱住宅は、外気の影響を受けにくいのが特徴です。室内の空気も外に逃げにくいため、環境を一定に保つことができ、年間を通じて心地よく過ごせるでしょう。夏は涼しく冬は暖かく過ごせる住宅が実現します。


<メリット2>ヒートショックのリスクを減らせる

高気密・高断熱住宅なら住宅全体の温度差を縮められるため、ヒートショックのリスクも減らせます。ヒートショック現象とは、急激な温度変化によって血圧が乱高下したり脈拍が変動したりする現象のこと。


例えば、冬場に「寒い洗面所で服を脱ぎ、温かいお風呂に入る」ことがヒートショックの原因となることもあります。高気密・高断熱住宅なら、そのような環境を回避できるでしょう。


<メリット3>結露が起きにくく、カビも発生しにくい

結露は外気温と室内温度に急激な差ができることで発生します。高気密・高断熱の住宅は外気温の影響を受けにくいほか、現在は24時間換気システムの設置が義務付けられているため、結露発生のリスクが少ないでしょう。結露がなくなると、カビが発生する可能性も低くなります。


<メリット4>湿気がたまりにくく、洗濯物が乾きやすい

外から湿気が入ってくることも少なく、洗濯物が乾きやすいことも高気密・高断熱住宅の特徴です。梅雨の時期や、花粉の季節などは室内干しでもよく乾くため、大きなメリットとなるでしょう。


<メリット5>空調を保ちやすく、光熱費を節約できる

高気密・高断熱住宅は冷暖房費の削減もできます。室内の環境を一定に保ちやすく、エアコンなどを効率的に使えるからです。毎月の出費となる光熱費を節約できるのは、うれしいメリットですよね。


<メリット6>断熱材のおかげで防音効果が高まる

高気密・高断熱住宅は、外気の侵入を防ぐのと同様、音の侵入も防いでくれます。断熱材があることや気密性が高いことで、防音効果が高まるでしょう。小さな子どもがいる場合や、ペットを飼っている場合でも、安心して過ごせるのではないでしょうか。


<メリット7>ホコリが付きにくく、掃除の負担を減らせる

室内の温度差が一定で空気の対流が少ない高気密・高断熱住宅では、静電気が発生しにくく、ホコリが付きにくいというメリットもあります。 掃除の負担が減るので、毎日の暮らしが楽になるでしょう。


高気密・高断熱住宅のデメリット


つづいて、高気密・高断熱住宅のデメリットも見ておきましょう。


<デメリット1>建築コストがかかる

高気密・高断熱住宅は、気密性や断熱性を高めるために使用する建材・設備の内容によっては、建築コストが高くなります。依頼するハウスメーカーや住宅の大きさなどによって費用は異なるため、見積もりを取って検討しましょう。


<デメリット2>乾燥しすぎてしまう可能性がある

メリットで述べた「洗濯物が乾きやすい」というメリットは、言い方を変えれば、空気が乾燥しやすいことを表します。過乾燥となり喉を痛めるといったことのないよう、加湿器を置くなどの対策を検討するのがオススメです。


<デメリット3>暖房器具の選択肢が狭くなる

高気密・高断熱住宅の場合、石油ストーブの利用はオススメしません。石油ストーブは、燃焼に使った排気を室内に放出するため、一酸化炭素が発生するリスクが考えられるからです。暖房器具としては、エアコンや床暖房、または全館空調などを採用するとよいでしょう。


<デメリット4>壁内結露をおこしやすい

断熱材を使用する場合、壁の中で結露してしまう可能性があります。この壁内結露は、壁に断熱材を入れる際、柱と断熱材の間に小さな隙間ができることで発生しやすくなります。壁内結露を防ぐためには、壁面や床下へ防湿層・通気層を設置するなど、住宅にあわせた適切な施工が重要となります。


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