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片流れ屋根のメリット・デメリット。外観の特徴や雨漏り・風対策について解説!

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2022-10-17
基礎知識

片流れ屋根とは一方向に勾配をつけた屋根のこと。「片流れ屋根の外観はおしゃれ?」「構造上気をつける点はあるのか」など、マイホーム検討時に気になることもあるでしょう。今回は、片流れ屋根の特徴や切妻屋根(三角屋根)など、ほかの屋根との違いについて解説します。メリット・デメリットを把握して、後悔のないおしゃれな家づくりに是非ご参考ください。


片流れ屋根とは、一方向に勾配のついた屋根


片流れ屋根とは、一方向に向かって勾配がついた屋根形状のことをいいます。以前は物置や倉庫に用いられることが多かった片流れ屋根ですが、現在ではそのスタイリッシュさが人気となり、戸建て住宅に採用されることが増えてきています。


片流れ屋根の構造や特徴

住宅の屋根としてよく知られているのが、2面で形成された「切妻屋根」や、4面で形成された「寄棟屋根」などではないでしょうか。それらに比べ、片流れ屋根は一方向のみにしか屋根がなく、非常にシンプルな構造をしているのが特徴です。


片流れ屋根は、南面を高くすることで高いところに窓を設置し多くの光を取り入れたり、北面を高くすることで太陽光パネルを広く設置したりすることができます。近年では、平屋や総二階の住宅など住宅の階数や形状に関係なく採用されています。


屋根の勾配によって使用できる屋根材が異なる

片流れ屋根は屋根の傾きが大きい印象を持つ方もいるかもしれません。しかし、屋根勾配(=屋根の傾斜の度合い)は、使用する「屋根材の種類」によって必要な勾配が決められています。


屋根勾配は見た目だけでなく、雨水や雪解け水などを効率よく流すために作られています。片流れ屋根などといった屋根の種類に関わらず、使用したい屋根材と屋根の勾配が適切かを事前に把握しておく必要があるのです。


【屋根材の種類に応じた必要な勾配】

金属屋根
1寸勾配以上
スレート屋根
3寸勾配以上
瓦屋根
4寸勾配以上

屋根勾配の単位には「寸」が使われます。たとえば10寸平行方向に進んで、5寸垂直方向に高くなる場合は「5寸勾配」と表されます。つまり、数字が大きくなるほど、急勾配の屋根ということになるのです。一般的な屋根勾配は、4.5~6寸程度です。


片流れ屋根の場合も、使用する屋根材は勾配によって決める必要があります。疑問点や不明点は、ハウスメーカー担当者に質問すると的確に答えてくれるでしょう。


平屋は片流れ屋根が多い

高齢になっても暮らしやすい理由から人気の平屋住宅。将来を見据えて平屋の家に住みたいと考えている方も多いでしょう。そんな平屋の家に、片流れ屋根が使われているケースが増えています。


平屋の屋根を片流れ屋根にすると、軒先のない方の壁面に高さが出るため、高い位置に窓をつくることが可能です。高い位置から外光を取り入れられるため、家全体が明るくなるほか、風通しもよくなります。天井高も高くなることから、開放的な空間を作り上げることができるでしょう。


外観デザインに関しても、切妻屋根や寄棟屋根に比べておしゃれな印象を与えられることから、平屋住宅と片流れ屋根は相性がよいと言われているのです。


片流れ屋根のメリット


近年多くの住宅で採用されている片流れ屋根。これまでに採用されることの多かった切妻屋根や寄棟屋根と比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットを見ていきましょう。


<メリット1>おしゃれでモダンな外観になる

片流れ屋根を採用するメリットの1つは、外観がおしゃれでモダンな雰囲気になることです。とくに若い世代を中心に、片流れ屋根のシンプルなデザインが人気を集めています。また、総二階の家は外観がイマイチという人も多いですが、片流れ屋根と組み合わせればスタイリッシュに仕上げることができるでしょう。


<メリット2>屋根裏スペースを広くとれる

片流れ屋根は屋根に傾斜をつけることで、屋根と天井板の間にスペースをつくることができます。その屋根裏スペースを「小屋裏収納部屋」として有効活用できるでしょう。収納スペースを多く確保できるのは大きなメリットですね。


ただし、小屋裏収納は「天井高140cm未満」、「面積が階下の1/2までの広さ」など、条件を満たしていないと延床面積に含まれてしまいます。小屋裏収納を検討する際は、メーカー担当者と事前に相談をしておきましょう。


<メリット3>太陽光発電を設置しやすい

片流れ屋根は、太陽光パネルを設置して発電するにもってこいの形状です。片流れ屋根を南向きにすることで日照時間を長めに確保でき、太陽光発電の効率がよくなるほか、屋根の面積が広いので、より多くの太陽光パネルを設置することも可能です。


片流れ屋根のデメリット

片流れ屋根はおしゃれな外観になるメリットがある一方、片流れ屋根にすることで生じるデメリットもあります。事前に把握してから片流れ屋根を検討しましょう。


<デメリット1>雨漏りのリスクが高い

片流れ屋根は、ほかの形状の屋根と比べて雨漏りのリスクが高い傾向にあります。屋根の頂点にあたる棟(むね)部分に屋根の裏側をつたった雨水が、「屋根の下地と破風板(屋根と壁の間にある板)の間から」、もしくは「軒天(屋根の裏側)と外壁の取り合い部分から」浸入することで雨漏りとなってしまうのです。


ほかにも、「雨樋」が軒先側の一箇所にしかないことも、雨漏りの原因となることがあります。雨樋自体の負担が大きく、劣化が早まることで雨漏りのリスクが高くなるのです。


最近では、全く軒のない「軒ゼロ住宅」も見られます。軒がないということは、紫外線や雨風の影響を外壁が直接受けてしまい、雨漏りを誘発してしまう恐れも。シンプルなデザインを追求しすぎて軒が全くなかったり、軒が短い屋根は、結果的に家の劣化を招いてしまうリスクがあることを覚えておきましょう。


<デメリット2>風の影響を受けやすい

屋根の形状に関して、傾斜のある面数が増えるほど風による影響を受けにくいと言われています。理由は屋根の面数が増えれば、一方向からの風を受ける部分の面積が小さくなるからです。つまり一面しかない片流れ屋根は、強風による影響を受けやすいという点もデメリットとして挙げられます。


<デメリット3>屋根や外壁が劣化しやすい

片流れ屋根は一方向にしか屋根がないため、軒先のない壁面は雨風や紫外線の影響を受けやすいことも知っておきましょう。屋根に当たる雨風も一方向に流れるため、一箇所にしかない雨樋が負担となって劣化し、外観を損ねる可能性も。加えて片流れ屋根は換気がしにくい構造のため、結露により屋根の劣化が起きるケースもあります。


<デメリット4>傾斜が北向きの場合、メリットを享受できない

地域によっては建築時、「北側斜線制限」と呼ばれる制限がかけられる場合があります。「北側斜線制限」とは、近隣の住宅の日照を確保するために、建築物の高さを制限する決まりのこと。このような制限のある地域の場合、住宅の高さによっては屋根の傾斜を北向きにせざるを得ないこともあるのです。


屋根の向きが北向きになれば、上で紹介した「太陽光発電を設置しやすい」というメリットを享受できないため、戸建て建築予定地が制限のかけられた地域でないか事前に確認しておきましょう。


片流れ屋根のデメリットを解消する方法


片流れ屋根にすることで生じるデメリットをお伝えしてきましたが、デメリットを解消する方法もあります。理想の片流れ屋根にするためには、どのような方法があるのか見ていきましょう。


雨漏り対策として透湿ルーフィングを活用する

屋根の雨漏り対策として、「透湿ルーフィング」を用いた方法があります。屋根材の下に敷く「ルーフィング(下葺材:したぶきざい)」で棟部を覆い、破風板(屋根と壁の間にある板)に垂らすことで伝い水や雨風の吹き込みを防ぐのです。


雨漏り対策には通常のルーフィングよりも、強度があって破れにくく、柔らかい素材のため覆いやすい「透湿ルーフィング」が向いています。


湿度対策として、屋根裏の換気や通気をよくする

屋根は、その形状に関わらず湿気がこもりやすい特徴があります。つまり、換気や通気をよくしておかないと「結露」がたまり、家の性能を悪くしてしまうのです。


結露は屋根全体の腐食を招く恐れもあるため、できるだけ換気を行い湿気を溜めないことが非常に重要です。湿度対策として、換気棟や換気口の設置を積極的に取り入れていきましょう


ケラバに専用の水切りを設置する


「ケバラ」とは、屋根部分のうち、地面に対して傾いている、建物の外壁から出っ張った部分のことをいいます。ケラバは日当たりの調整や、外壁の紫外線劣化防止、雨水の吹込み防止などの役割をもっています。一方で、屋根の端ということもあり、雨漏りしやすい箇所でもあります。ケラバ用水切り板金を用いることで、雨漏りを防ぐという方法も考えられるでしょう。


片流れ屋根の建築で起こりやすいトラブル


オシャレで太陽光発電とも相性がよい片流れ屋根。その一方で片流れ屋根は、近隣トラブルが起こることもあるようです。


例えば、自分の家の北側に太陽光パネルが設置された住宅がある場合、「今まで太陽光がしっかり当たっていたのに、家が建ったことで日照を確保できなくなった」と近所トラブルに発展することがあります。


これは切妻屋根や寄棟屋根でもよく耳にする話ですが、片流れ屋根で目立つデザインの家だと余計に印象を悪くしてしまうことも考えられます。


片流れ屋根にする場合は、近隣住民の迷惑とならないよう、家の高さや家同士の間隔を十分考慮し、検討する必要があるでしょう。


大手ハウスメーカーでおしゃれな片流れ屋根の住まいを建てよう


大手ハウスメーカーで片流れ屋根の家を建てたいと考えている方もいるのではないでしょうか。大手ハウスメーカーなら、片流れ屋根ならではのシルエットに合わせた外壁の提案など、希望にあった住まいづくりが可能となるでしょう。

資料請求をしたり、住宅展示場へ足を運んだりして、理想的な家を建てられるハウスメーカーを探しましょう。


大手ハウスメーカーの特徴を詳しく知りたい方はこちら
大手ハウスメーカーの特徴を一覧で比較!工務店との違いやおすすめポイント


片流れ屋根のデメリットを解消して後悔のない家づくり


片流れ屋根は、住宅の形に左右されずに取り入れられている人気の屋根。おしゃれでシンプルな外観が特徴で、太陽光発電との相性もよいというメリットがある反面、対策をしないと雨漏りが発生したり、外壁などを劣化させてしまったりというデメリットもあります。


また建築場所によっては、希望通りの勾配にできない場合や、近所トラブルになる可能性もあるため、担当者と事前にしっかり確認をとっておきましょう。デメリットの解消方法も把握して、後悔のない、すてきな片流れ屋根のマイホームを建てられるとよいですね。

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