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太陽光発電と蓄電池をセットで導入するメリット・デメリット。補助金制度や注意点も

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2024-04-18
間取り・設備
住宅に太陽光発電システムと蓄電池をセットで導入することを検討している方もいるでしょう。近年は、地球温暖化の問題や光熱費高騰の影響から、再生可能エネルギーの利用やエネルギーの自給自足に関心を持つ方も多く、家づくりの際に検討する方も増えています。

今回は、太陽光発電と蓄電池をセットで設置するメリット・デメリットに加え、蓄電池購入時に活用できる補助金制度を解説します。蓄電池選びにおける注意点も紹介するので、家づくりの参考にしてください。


太陽光発電に蓄電池はあった方がよいか?



実際に、新築で「蓄電池」を導入している方はどのくらいいるのでしょうか。定置用蓄電システム普及拡大検討会で発表された資料によると、2019年の新築着工数(戸建・持家)に占める蓄電システム導入割合は「9%」という結果が出ています。

現状、蓄電池の普及率は低いと言えますが、今後は蓄電池価格の引き下げが検討されており、新築住宅の家庭用蓄電池の導入割合は2025年で24%、2030年で40%と大幅に増加すると予想されています

しかし、太陽光発電システムと蓄電池をセットで導入した方がよいかは、個々の状況や目的によって異なり、一概にどちらがよいかは言い切れません。ここからは、蓄電池導入に対する具体的なメリット・デメリットをわかりやすく解説していきます。

電気は生活を維持していく上で欠かせないエネルギーです。今だけでなく、将来の見通しを持って家づくりの参考にしてみてください。




蓄電池を導入するメリット



まずは、太陽光発電と一緒に蓄電池を導入することで得られる3つのメリットを見ていきましょう。


<メリット1>電気料金を安くできる

蓄電池を導入する一番のメリットは、太陽光発電によって得られたエネルギーを有効に活用し、電気代を節約できることです。

太陽光発電システムのみだと、発電するだけで電力を貯めておくことはできません。蓄電池を併用すれば、昼間は発電した電気を使い余剰電力は蓄電池に貯めて夜間に使用することで、電力の購入量を削減できます。発電量が多ければ、エネルギーの多くを自給自足でまかなうことができるでしょう。

また、電力会社によっては、時間帯ごとに電気料の単価を変えているプランがあります。蓄電池があれば、電気料金の安い時間帯に充電し、高い時間帯に蓄電池の電力を使用することも可能です。太陽光発電との相乗効果で、大きく電気料金を削減できるでしょう。


<メリット2>停電時も電気を使って生活できる

災害や停電などの緊急事態はいつ発生するか分かりません。太陽光発電とともに蓄電池を設置することで、停電時も電気を使った生活を一定時間維持できます。昼間の発電量にもよりますが、生活を維持していくために必要最低限のエネルギーをまかうことも可能。これは、大きな安心につながるのではないでしょうか。


<メリット3>売電価格が下がっても自宅で消費できる

蓄電池があれば、FIT制度の期間を終えた後に売電価格が下がっても、無駄なく効率的に自家消費が実現できます

FIT制度とは、住宅用太陽光発電システムによって発電された電力を、一定期間・一定価格で電力会社が買い取る国が定めた制度のこと。

FIT制度認定から10年を過ぎた場合は、FIT制度から外されてしまいます。その後も売電を続けたい場合は、電力会社が提供する「卒FIT向けの買取プラン」に移行する方法しかありません。

しかし、卒FIT向けの電力買取プランは売電価格が大きく下がります。そのため、ソーラーパネルによって発電された電力は、貯めて自宅で使用する全量自家消費に切り替えた方が得策となるケースが多いです。 

全量自家消費へ切り替え、無駄なく効率的に電気料を削減するためには、蓄電池の設置が欠かせません。太陽光発電システムと蓄電池を同時設置しておけば、卒FITの際もスムーズに自家消費へと移行できるでしょう。


蓄電池を導入するデメリット



太陽光発電と蓄電池の組み合わせはメリットが多い一方で、理解しておきたいデメリットもあります。具体的な内容を確認し検討時の参考にしましょう。


<デメリット1>導入や維持にかかるコストが高い

太陽光発電と蓄電池をセットで設置したいと考えた場合、導入や維持にかかるコストの高さが懸念点として挙げられます。

家庭用蓄電池は現在、リチウムイオン蓄電池を使用するケースが一般的です。リチウムイオン電池は原材料費や製造にかかる費用が高く、蓄電池自体の価格が高額となります

また、蓄電池は導入時だけでなく、経年劣化による交換コストも考えておく必要があります。蓄電池の寿命は10年から15年のため、設置したから安心ではなく、交換時期を見通した資金計画が大切でしょう。

なお、蓄電池は導入コストが高額ですが、条件次第では補助金制度を利用できます。補助金制度の詳しい内容は後述しますので、導入の参考にしてください。


<デメリット2>蓄電容量によって使用量に限度がある

蓄電池には容量があるので、貯めて使える電気量に限度があることも忘れてはいけません。蓄電池の容量はさまざまですが、「非常用を踏まえて蓄電容量が大きいものを設置したい」となると、その分費用は高額となります。

蓄電池を導入する場合は、設置する目的を明確にして、家庭の電気使用量も把握した上で必要な容量を見極めることが大切です。自身の生活スタイルと設置目的に合わせて、無駄なく効率よく運用できるものを選択しましょう。


<デメリット3>設置にスペースが必要になる

近年は蓄電池の小型化が進んでいるものの、導入時は設置スペースが必要となります。設置場所の条件はメーカーによって異なるため、長く適切に使用できるように、以下の項目を参考に販売店へ確認しましょう。


  • 設置場所は、屋内と屋外のどちらなのか
  • 蓄電池の大きさ(一般的には大型の空気清浄機程度だが、容量によって異なる)
  • 稼働中の音の有無


特に、屋内に設置する必要がある場合は、間取りの変更が必要になるケースもあります。屋外であっても、高温多湿を避けたり、蓄電池の安定を図るために設置場所にコンクリートを施す必要があったりと、配慮も必要となるでしょう。

新築建築時の蓄電池設置は住まいの間取りや設計に影響を及ぼすことが考えられるため、早めに方向性を決めたいですね。


蓄電池の導入にかかる費用相場



蓄電池の導入にかかる初期費用を検討した場合、蓄電池そのものの価格に注目しがちですが、蓄電池設置には3つの費用が発生します。


【1】本体価格:蓄電池本体を購入する費用
【2】設置費用:蓄電池の組み立て設置や基礎工事費用
【3】電気系統の工賃:配線のつなぎ込みや電気系統の工事費用


蓄電池の導入にかかる費用は、メーカーや容量によって価格が大きく異なります。検討時は、3つの費用がトータルでいくら必要になるのかきちんと把握し比較検討しましょう。

なお経済産業省等が中心となり実施している「定置用蓄電システム普及拡大検討会」で発表された資料によると、2019年度の定置用蓄電池システム価格と工事費を含めた総額は18.7万円/kWhです。この試算をもとに考えると、5.0kWhの容量であれば、約93万円程度で導入できることになります。

さらに、導入後のメンテナンスや保証に関する費用の有無は、メーカーによって異なります。設置にトータルでかかる初期費用とともに、維持費用を含めた確認が重要となるでしょう。


蓄電池の購入時に活用できる補助金制度



導入費用の負担が大きい蓄電池ですが、地球温暖化対策の一環として国や自治体では蓄電池設備設置に向けた補助金制度を設けています。補助金制度の詳細を確認し、賢いシステム導入を目指しましょう。


戸建住宅ZEH化等支援事業

戸建住宅ZEH化等支援事業とは、ZEHまたはZEH+などの新築注文住宅の建築や、要件を満たす戸建住宅への蓄電システム導入を支援する事業です。

ZEH住宅は、年間のエネルギー消費量がゼロとなることを目指した住宅のこと。住宅の省エネ・省CO₂化を目指し、国全体でZEH等住宅の支援を行っています。

補助金の上限額は、住宅の内容や追加設備によって異なります。例えば、蓄電システムであれば、以下のいずれか低い補助金が対象となります。


【1】初期実効容量、1kWhあたり2万円
【2】蓄電システムの補助対象経費の1/3
【3】補助額上限20万円


補助金事業の対象になるには細かな要件があるため、必ず詳細を確認しましょう。

参考:一般社団法人 環境共創イニシアチブ「ZEH支援事業 公募情報」

ZEH住宅について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。


各自治体の補助金制度

国だけでなく、全国の地方自治体でも蓄電池導入の補助金制度を用意しているケースがあります。例えば、東京都では以下のような補助金制度を設けています。


【例】東京都

  • 蓄電池は5kWh以下であれば、1kWhに対して19万円助成する
  • 蓄電池は5kWh以上であれば、1kWhに対して15万円助成する
    (5kWh以上6.34kWh未満の場合は一律95万円)


なお、蓄電池の補助金制度は全ての自治体で必ず実施されているものではありません。検討する場合は、必ずお住いの地域の都道府県や市区町村のホームページを確認したり、問い合わせたりしながら、詳細な情報を把握してから進めましょう。


蓄電池選びにおける注意点



蓄電池を選ぶ際の注意点を紹介します。


蓄電池の設置目的に応じて予算を決める

先述したように、蓄電池を選ぶ際は、設置の目的を明確にした上で予算を決めることが大切です。目的が定まっていないと本体価格の安さだけで購入を決定し、結果的に「蓄電容量が足りない」「工事費やメンテナンス費が追加でかかり、予算が余計にかかってしまった」という事態も生じかねません。

蓄電池選びのポイントは以下を参考にしてください。
ポイント
内容
蓄電容量
太陽光パネルの積載容量や1日の電力量を参考にする
蓄電池の保証期間
  • 一般的に10年から15年保証
  • 保証期間中のメンテナンスにかかる費用の有無はメーカーによって異なる
設置場所
  • 屋内と屋外設置用がある
  • 災害対策として、屋内であれば水没しない場所、屋外では地面から離して設置できるか確認
  • 沿岸部では、重塩害対応タイプがあるか確認


蓄電池の後付けも可能だが、種類による注意点の確認を

蓄電池を検討する方の中には、マイホームに後付けで蓄電池を設置したいと考える方もいるでしょう。後付けで設置する場合「ハイブリッド型」と「単機能型」の2種類から選べます。それぞれの特徴や注意点を以下にまとめたので参考にしてください。


種類
ハイブリッド型
単機能型
仕組み  

太陽光発電と蓄電池で1台のパワーコンディショナを共有する

太陽光発電用のパワーコンディショナと別に、蓄電池用のパワーコンディショナを設置する
特徴
太陽光パネルで発電した電気変換が1回で済むため、蓄電池に効率よく電気を貯められる
  • ハイブリット型と比べると安く設置できる
  • 蓄電池は独立したシステムで構築されるため、太陽光発電自体の保証期間が切れることはない
注意点
既存の太陽光発電のパワーコンディショナの交換が必要となるため、交換によって太陽光パネルの保証が消失することがある
2台のパワーコンディショナ間を発電した電気が送電するため、変換効率の低下で充電容量の減少につながりやすい


ハウスメーカーが手掛ける「太陽光発電と蓄電池セット」の暮らし



大手ハウスメーカーでは、それぞれの強みを活かし太陽光発電システムと蓄電池を併用した快適で安心な住宅を建築できます。

例えば、万が一の停電時でも、ライフライン復旧までの目安となる約3日間の電気を確保できるシステムを提供するハウスメーカーがあります。

他にも、太陽光設置容量における高い実績を誇るハウスメーカーでは、先進技術で大容量蓄電池を搭載し、創った電気を賢く活用し地球に優しい暮らしを提供しています。

ハウスメーカーならではの技術や実例をより詳しく知りたい方は、住宅展示場に足を運んだり、資料請求をしたりしてみるのがおすすめです。


太陽光発電と蓄電池の併用はメリット・デメリットを理解して検討を



電気の安定供給に対する懸念や地球温暖化の問題から、太陽光発電システムや蓄電池への関心は高まっています。一方で、太陽光発電と蓄電池の併用する場合は、メリット・デメリットを理解した上での検討が不可欠です。

導入に悩んだ際には、信頼できるハウスメーカーに相談するのがおすすめです。補助金制度についても申請方法など丁寧に教えてもらえるでしょう。太陽光発電と蓄電池の仕組みを理解し、納得のいく家づくりを進めていけるとよいですね。

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