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住宅ローン控除(減税)とは。適用条件や計算方法、手続きの流れを解説

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2023-07-20
費用・制度

住宅ローン控除は、住宅ローンを借りてマイホームを購入する場合に、一定の要件を満たすことで所得税等が控除される制度です。住宅ローン減税とも呼ばれます。住宅ローン控除を受けるためには、どのような対応が必要なのでしょうか。今回は住宅ローン控除の仕組みのほか、手続きの流れや注意点をわかりやすく紹介します。


住宅ローン控除とは


住宅ローン控除とは、住宅ローンを借りて新築や住宅などの取得をした場合、一定の要件を満たせば、納めた所得税や住民税が控除される制度です。この制度は、2022年に改正されました。2022年以降に住宅ローン控除が適用される方の場合、控除率は、住宅を購入した「年末時点でのローン残高に対して0.7%」、控除期間は「最大13年間」です。


なお、一般的に「住宅ローン控除」や「住宅ローン減税」と呼ばれていますが、正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。この制度の目的は、税制優遇することで住宅購入後にかかる金銭面の負担を減らし、住宅購入の促進を図る役割があります。


住宅ローン控除が適用される要件



住宅ローン控除の適用を受けるためには、一定の条件を満たす必要があります。新築と中古住宅、それぞれで条件が異なるので内容を確認していきましょう。


新築住宅の住宅ローン控除条件

新築住宅を購入する場合には、以下の条件を満たさなければなりません。


  • 住宅ローンの借り入れ期間が10年以上あること
  • 自ら居住するための住宅であること
  • 対象となる住宅の床面積が、登記簿上50㎡以上であること
  • 合計所得金額が2,000万円以下であること
  • 引き渡しまたは、工事完了してから6カ月以内に入居すること


ただし、2023年末までに建築確認を受けた新築住宅の場合は、合計所得金額1,000万円以下の場合に限り、床面積要件が40㎡以上である場合も適用されます。


中古住宅の住宅ローン控除条件

中古住宅を購入する場合には、新築住宅の適用条件に加えて、以下のいずれかの条件をクリアしなければなりません。


  • 昭和57年以降に建築された住宅であること
  • 現行の耐震基準に適合した住宅であること


なお、「住宅ローン控除」は、新築や中古住宅購入に限らず、リフォームや増改築の場合でも受けることが可能です。その際の適用条件は、細かく定められているため、自身が行う工事が適用対象となるのか確認しましょう。


「入居時期」と「住宅の性能別」の借入限度額や控除額


先述したように、住宅ローン控除は、新築以外にも中古住宅やリフォーム・増改築でも利用可能です。ここでは新築住宅を購入する場合の、借り入れ金額の限度額や控除される際の限度額について解説します。なお、入居時期や住宅の性能によって内容が異なるため、ご自身の希望する住宅が当てはまるか十分確認しましょう。


「2022年から2023年末までに」新築住宅に入居した場合

住宅の環境性能等

借入限度額

控除率

控除期間

控除限度額(年間)

長期優良住宅

低炭素住宅

5,000万円
0.7%
13年
35万円

ZEH水準

省エネ住宅

4,500万円
0.7%
13年
31.5万円

省エネ基準

適合住宅

4,000万円
0.7%
13年
28万円
その他の住宅
3,000万円
0.7%
13年
21万円


「2024年から2025年末までに」新築住宅に入居した場合

住宅の環境性能等
借入限度額
控除率
控除期間
控除限度額(年間)

長期優良住宅

低炭素住宅

4,500万円
0.7%
13年
31.5万円

ZEH水準

省エネ住宅

3,500万円
0.7%
13年
24.5万円

省エネ基準

適合住宅

3,000万円
0.7%
13年
21万円
その他の住宅
2,000万円
0.7%
10年
14万円


このように、2022年の改正で、環境に配慮した住宅がより優遇される内容に変更となりました。新築住宅の場合、住宅の環境性能の内容と入居時期によって、控除を受けられる借り入れ額の上限が異なるため、十分な確認が必要です。なお、最大控除限度額はあくまでも目安です。ローン残高金額に応じて、控除額も年々変化することを理解しておきましょう。


参考:国税庁「No.1213認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除」

参考:国土交通省「住宅ローン減税」


住宅ローン控除額の計算方法とシミュレーション



実際にどのくらいの所得控除が受けられるのか、住宅ローン控除額の計算方法と、それに伴ったシミュレーションをもとに解説します。


住宅ローン控除額の計算方法

毎年のローン控除額(住宅借入金等特別控除額)は、下記のいずれかのうち低い金額が適応されます。

  • 年末時点の住宅ローン残高 × 0.7% = 控除可能額
  • 1年間の控除限度額


例えば、2023年に入居予定のZEH水準省エネ住宅を建築した場合、年間の控除限度額は31.5万円です。

一方、年末時点での住宅ローン残高が4400万円だった場合、残高から計算した控除可能額は、

4,400万×0.7%=30.8万円になります。31.5万円よりも計算した控除可能額の方が低いため、実際に受けられるのは30.8万円となります。


具体的な住宅ローン控除のシミュレーション

控除可能額の考え方を把握したうえで、納めるべき所得税や住民税の金額を当てはめて、実際にどのくらい控除されるのか把握しましょう。なお、条件や結果は世帯ごとに異なるため、あくまでも参考として確認ください。


取得住宅の内容
新築の省エネ基準適合住宅、2023年入居予定
住宅取得金額
4,000万円
年末時点の住宅ローン残高
3,900万円
所得税額(源泉徴収額)
8万円
翌年の住民税
17万円


まず、上記の条件から、年間の控除可能な金額を確認しましょう。令和5年入居予定の省エネ基準適合住宅の控除限度額は、28万円。

一方の、住宅ローン残高を基準とした場合の年間の控除可能額は、3,900万円×0.7%=27.3万円となります。この結果から、28万円よりも低い27.3万円が、実際に控除可能な金額となります。


次に、所得税と住民税を見ていきましょう。本来納めるべき所得税8万円よりも、控除額21.3万円のほうが大きいため、所得税の納付は不要となります。所得税から控除しきれなかった13.3万円分は、翌月の住民税から控除されます。


しかし、ここで注意すべき点は、住民税からの控除額は上限で9.75万円と決まっていることです。そのため、実際に控除される金額は以下となります。


所得税8万円 + 住民税9.75万円=合計17.75万円


つまり、計算された控除額がすべて戻って来るわけではありません。あくまで支払った所得税や住民税の納税額を基準に控除額が決定することを理解しておきましょう。


参考:国土交通省「住宅ローン減税制度について」


住宅ローン控除を受けるための手続き方法


住宅ローン控除が適用されるためには、条件を満たすだけでなく、確定申告や年末調整などの手続きが必要となります。最後に、住宅ローン控除を受けるための手続き方法を紹介するので、住宅取得を予定している方は参考にしてください。


初年度は確定申告が必要

国税庁のホームページによると、初年度は住宅ローン控除を受けるための手続きとして、確定申告をする必要があります。1年目に手続きを行うことで、翌年以降は年末調整で控除が受けられる仕組みとなっているため、忘れずに対応しましょう。


確定申告は、税務署に直接持参しなくても、郵送やインターネットでも手続きが可能です。なお、確定申告時に必要な書類は以下の通りです。早めに必要書類を確認しておき、準備しておくと安心でしょう。


<必要書類>

書類入手先
確定申告書
国税庁ホームページや最寄りの税務署
本人確認書類の写し(マイナンバーカード)
市役所・区役所
建物・土地の登記簿謄本
法務局窓口またはオンライン申請システム
建築請負契約書または売買契約書の写し
工務店や不動産会社など
住宅ローンの残高証明書
金融機関
住宅の性能に応じて必要になる書類
工務店や不動産会社など

2年目以降は年末調整

住宅ローン控除手続きは毎年必要ですが、2年目からは確定申告が不要となります。会社員の場合、2年目以降は会社で行われる年末調整調整において手続きが可能です。年末調整の際は、税務署から送付される「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」と、金融機関から届く「年末残高を証明する書類」を勤務先に提出する必要があります。




住宅を購入したら住宅ローン控除の手続きを忘れずに


今回は住宅を取得したときに受けられる、住宅ローン控除の内容や計算例、手続き方法などについてご紹介しました。特に2022年の改正によって、内容が大幅に変更したため、これから住宅を取得する場合には、住宅の性能も踏まえた十分な検討が必要でしょう。


ハウスメーカー各社では、住宅を購入する際に必要な税金や税制優遇制度についてわかりやすく説明してくれる営業担当者が揃っています。不明点がある場合には、家づくりのプロであるハウスメーカーに相談するのも一つの方法でしょう。税金についてしっかり理解した上で、住宅ローン控除を上手に活用できるとよいですね

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