低炭素住宅で利用できる補助金や優遇措置、申請するための条件を紹介
新しくマイホームを建てる際に「低炭素住宅」として認定されると、補助金や税制の優遇措置などが受けられます。今回は、低炭素住宅で利用できる補助金・優遇措置のほか、申請に必要な書類や低炭素住宅を建てる際のポイントなどを解説します。エコな家づくりの参考にしてみてください。
低炭素住宅とは
低炭素住宅とは、建物内での二酸化炭素発生を抑制する対策が取られている、環境に配慮した住宅のことです。「エコまち法(都市の低炭素化の促進に関する法律)」によって定められた、「低炭素建築物新築等計画の認定制度」(低炭素建築物認定制度)の認定を受けることで、低炭素住宅であると認められます。
ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)と比較されることが多いですが、ZEHは住宅で消費するエネルギーを抑えつつ太陽光発電などでエネルギーを賄う、名前の通り「エネルギーの消費量をゼロにする」ことを目的としています。低炭素住宅は、ZEHと同じ水準の省エネ性能を求められますが、エネルギー収支をゼロにすることを要件としていない点で、ZEHよりもハードルが低いと言えます。
低炭素住宅で利用できる補助金・優遇措置
低炭素住宅に認定されると、補助金や優遇措置を受けられます。実際にどのような補助金や優遇があるのか、詳しく見ていきましょう。
こどもエコすまい支援事業
「こどもみらい住宅支援事業」が終了し、2022年3月から新しく始まったのが「こどもエコすまい支援事業」です。よく似ている名前の制度ですが、新制度では支援対象となる条件が、省エネ性能が高い住宅の中でもさらに限定されています。「旧制度のように、早々に終了する可能性はない」とは言いきれないため、省エネ性能の高い住宅建築を予定している子育て世帯・若者夫婦世帯の人は、情報をこまめにチェックしておくと安心でしょう。
参考:国土交通省「こどもエコすまい支援事業」
地域型住宅グリーン化事業
「地域型住宅グリーン化事業」とは、地域の「グループ」が建てた、省エネルギー性や耐久性などに優れた新築・中古の木造住宅に補助金が交付される制度です。グループを構成しているのは地域にある中小工務店で、地域型住宅グリーン化事業を利用するには、国土交通省の採択を受けたグループに建築を依頼する必要があります。
参考:地域型住宅グリーン化事業評価事務局「地域型住宅グリーン化事業(評価)」
住宅ローン減税
「住宅ローン減税」は、住宅ローンを利用して低炭素住宅を購入した場合に最大で13年間、年末の住宅ローン残高の0.7%が所得税額等から控除される制度です。
新築の低炭素住宅の場合は、借入限度額4,500万円〜5,000万円(入居年により異なる)の住宅がローン減税の対象です。既存住宅の場合は借入限度額が3,000万円で、減税の期間は10年となっています。
住宅ローン減税の適用には、要件を満たしていることと、初年度に確定申告を行う必要があります(給与所得者は、2年目以降に勤務先の年末調整で控除を受けられます)。「認定低炭素住宅建築証明書」などの書類が必要になるので、確定申告の期間内に提出できるよう、準備しておきましょう。
参考:国土交通省「住宅ローン減税」
自治体独自の支援制度がある
低炭素住宅の購入について、自治体によっては独自の支援を行っているところもあります。例えば横浜市では、2024年3月31日までに新築された認定低炭素住宅について、「新築認定低炭素住宅等に係る都市計画税の減額制度」が適用されます。減額になるのは都市計画税のみで、住宅がある区の担当窓口(郵送可)で申請することになります。
低炭素住宅を検討している人は、自分が家を建てる予定の地域に独自の支援制度があるかどうか、調べてみるとよいでしょう。
低炭素住宅の申請に必要な書類
低炭素住宅の補助金や優遇措置を受けるには、認定低炭素住宅だと証明する書類が必要です。次の書類を用意して、家を建てる地域の行政庁へ提出します。
(1)認定申請書(規則様式第五)
(2)添付図書
・設計内容説明書
・各種図面・計算書(1次エネルギー消費量の計算書、外皮平均熱貫流率、冷房機の平均日射熱取得率、PAK計算表等)
・その他必要な書類等(技術的審査の適合証など行政庁が必要と認める図書)
・建築確認に関する申請図書(法第54条委より認定申請と併せて建築確認を行う場合は、建築確認の申請図書を提出)
この審査には、手数料がかかります。一戸建て住宅の基本料金は55,000円で、「性能評価書の取得又は一次エネルギー消費量、外皮性能についての審査が省略できる場合」は33,000円となっています。計画的に準備しておきましょう。
参考:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会・一般社団法人 日本サステナブル建築協会
低炭素住宅を建てる際のポイント
低炭素住宅は建てられる地域が決まっており、「市街化区域内」の住宅であることが原則です。似ている名称の地域に「市街化調整区域」がありますが、こちらに建てた場合は低炭素住宅の申請ができないので、土地を選ぶ段階でよく確認しておくのがポイントです。認定の申請は着工前までとされており、着工後の申請はできないので、申請するタイミングにも注意しましょう。
大手ハウスメーカーの低炭素住宅
マイホームを検討している人の中には、大手ハウスメーカーでの低炭素住宅を考えている人もいるでしょう。大手ハウスメーカーには、低炭素住宅に対応しているところもあります。住宅の補助金制度は短期間での変更が多く、自治体による違いなどもあり複雑で、自分で調べるのは難しいかもしれません。補助金申請や住宅ローン減税などの準備は、施工するハウスメーカーの営業担当者に相談しながら進めるとよいでしょう。