
新築時にかかる税金はいくら?控除制度や税金対策について解説
新築住宅を購入した際には、不動産取得税や印紙税、登録免許税などの税金がかかります。またマイホームを維持するためには固定資産税などを毎年支払わなければなりません。一方で、住宅ローン控除など、税金対策として活用できる優遇措置もあるため活用するとよいでしょう。今回は、新築購入時にかかる税金の種類や軽減措置についてのほか、住宅ローン控除や補助金などの制度についてまとめました。
新築住宅購入時にかかる税金5種類と軽減措置
土地や建物など不動産を取得する際には、さまざまな税金が課せられます。ここでは、新築住宅を購入するときに納める5つの税金と、軽減措置の内容について解説します。
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印紙税(国税)
印紙税とは、課税文書(税金が課せられる文書)に対して課される税金のことです。印紙税法によると、新築購入時に取り交わす「売買契約書」や「工事請負契約書」「ローン契約書」などが課税文書に該当します。原則として、印紙税相当額の収入印紙を課税文書に貼り付けることで納税を行います。
<印紙税の軽減措置>
不動産売買契約書や建設工事請負契約書の印紙税については、軽減措置が設けられています。対象となるのは、2024年3月31日までの間に作成された課税文書です。具体的な印紙税率については、下記のHPをご確認ください。
登録免許税(国税)
登録免許税は、取得した土地や家屋を登記する際に課せられる税金です。登記を受ける方が納税義務者となります。原則として現金で銀行等において納付し、その領収証書を登記等の申請書に貼り付けて、登記所に提出するのが一般的です。登記免許税が3万円以下の場合には、収入印紙を登記の申請書に貼り付けて提出することも認められています。納税のタイミングは、建物や土地の所有権が移り、施主の所有になる際に法務局で登記を行います。
なお、税額は固定資産税評価額に税率を掛けた金額となりますが、下記の表のように保存登記や移転登記など、登記の内容によって標準税率が異なることに注意が必要です。
実際に支払う際には、土地や住宅用家屋に対して設けられた軽減措置が適用されます。以下でその内容をまとめました。
<登録免許税の税額と軽減税率>
計算式 | 標準税率 | 軽減税率 | |
所有権保存登記(建物) | 固定資産税評価額 × 税率 | 0.4% | 0.15% |
所有権移転登記(土地) | 固定資産税評価額 × 税率 | 2.0% | 1.5% |
住宅ローン等に係る抵当権設定登記 | 債権金額 × 税率 | 0.4% | 0.1% |
不動産取得税(地方税)
不動産取得税とは、土地を購入や住宅の建築などで不動産を取得した際にかかる税金です。地方税のため、自治体から納税通知書が送られてきます。税額は、固定資産税評価額(課税標準額)に税率を掛け合わせた金額です。
不動産取得税 = 固定資産税評価額(課税標準額) × 税率(標準税率4%) |
<不動産取得税の軽減措置>
土地及び建物に関する不動産取得税は、軽減措置が受けられます。標準税率が軽減され3%で計算できるほか、一定の要件を満たせば、土地と建物でそれぞれの軽減措置を受けることができます。
- 建物:固定資産税評価額から1,200万円を控除した金額を課税標準額として計算できる
不動産取得税 = (固定資産税評価額 − 1,200万円) × 3% |
- 土地:固定資産税評価額の2分の1を課税標準額として計算し、さらに一定の控除が受けられる
不動産取得税 = (固定資産税評価額 × 1/2 × 3%) − 控除額(下記AまたはBの多い方) |
A=45,000円
B=(土地1㎡当たりの固定資産税評価額 × 1/2) × (課税床面積 × 2(200㎡限度)) × 3%
参考:東京都主税局「不動産取得税」
建物にかかる消費税(国税)
新築住宅を購入する場合、建物に対してのみ消費税が課されます(土地代は非課税)。建物代金が2,000万円の場合、消費税は200万円(=2,000万円×10%)となります。
なお、土地の売買において不動産会社を経由して土地を取得した場合、仲介手数料にも消費税がかかります。
贈与税(国税)
人から財産を受け取った場合には、贈与税がかかります。しかし、住宅取得のための資金として財産を受け取った場合、一定の要件を満たせば非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。
具体的には、2022年1月1日から2023年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与で、自分で住む住宅を新築、取得又は増改築等するケースなどが挙げられます。住宅の種類によって、非課税限度額が異なるため注意しましょう。
参考:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
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新築住宅購入後にかかる税金の種類と軽減措置の内容
新築住宅を購入し、所有している期間に必要となる税金もあります。ここでは、固定資産税と都市計画税について解説します。
固定資産税
固定資産税とは、毎年1月1日時点における固定資産の所有者を対象に課される税金です。土地や家などの資産価値に応じて計算された税額を、固定資産がある市町村(東京都23区内においては、特例で東京都)に納めます。
固定資産税額は、固定資産の評価額に一定の税率を掛けて算出され、土地や新築住宅に対しては軽減措置が適用されます。本人の手続きは不要で、4月以降自宅に納税通知書が送付され、そこに記載された期日までに税金を納めるという流れです。
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都市計画税
都市計画税とは、都市計画事業又は土地区画整理事業を進めるための費用に充てられる税金です。原則として、都市計画区域の一つである「市街化区域」内に所在する固定資産が対象となり、毎年1月1日時点における所有者が納税義務を負います。
税額は固定資産税と同じく、固定資産税評価額に一定の税率を掛けて算出されますが、住宅の敷地となっている土地は、減税措置の対象です。固定資産税とともに税額を記載した納税通知書が届いたら、期日までに納税を行いましょう。
「住宅ローン控除」の優遇制度と補助金制度を活用して税金対策
新築住宅を購入する際には、税金対策として何ができるのか気になる方もいるのではないでしょうか。ここでは、家づくりの際に知っておきたい税金の優遇制度や補助金制度をご紹介します。
住宅ローン控除:住宅ローンを借入れ時の金利負担を減らす制度
住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合、一定の要件を満たせば住宅ローンの年末残高に応じた控除額が、10年または13年間にわたって所得税や住民税から控除されます。この制度は「住宅借入金等特別控除」といい、一般的に住宅ローン控除(減税)などと呼ばれています。
2024年以降に新築の建設認定を受けた場合、省エネ基準を満たしていない住宅は住宅ローン減税の対象外となるため注意が必要でしょう。住宅ローン控除は取得する住宅の性能に応じて、借入限度額が定められている点も知っておきたいポイントです。
住宅の種類 | 入居時期 | 借入限度額 | 控除期間 |
長期優良・低炭素住宅 | 2022年~2023年 | 5,000万円 | 13年間 |
2024年~2025年 | 4,500万円 | 13年間 | |
ZEH水準省エネ住宅 | 2022年~2023年 | 4,500万円 | 13年間 |
2024年~2025年 | 3,500万円 | 13年間 | |
省エネ基準住宅 | 2022年~2023年 | 4,000万円 | 13年間 |
2024年~2025年 | 3,000万円 | 13年間 | |
その他の住宅 | 2022年~2023年 | 3,000万円 | 13年間 |
2024年~2025年 | 住宅ローン控除は適用されない |
参考:国土交通省「住宅ローン減税」
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高性能な住宅なら税制優遇に加え補助金制度も活用できる
「認定長期優良住宅」や「認定低炭素住宅」、「ZEH住宅」といった性能の高い住宅なら税金の優遇措置を最大限に活かせます。税制優遇率が大きくなる以外にも、住宅性能に応じた補助金制度が受けることが可能です。
例えば、ZEH住宅は条件を満たしていれば、100万円程の補助金を受けられる制度があります。最新の減税や補助金制度の情報を確認しながら、自分にあった賢い住宅取得の方法を検討していけるとよいでしょう。
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軽減措置の条件を確認し、税金を含めた予算を検討しよう
税金の軽減措置は一定の要件を満たした場合に適用されるケースがほとんどです。新築住宅を購入する際には、「予想以上に税金にお金がかかってしまった」といった後悔がないよう、土地や建物が軽減措置の適用条件を満たしているかどうか早めに確認し、予算を立てるようにしたいですね。
新築購入時にかかる税金や軽減措置について理解しておこう
今回は、新築住宅を購入する際にかかる税金について解説しました。マイホームと一口に言っても、新築を購入するか、中古住宅をリフォームするかによって納付すべき税金額は変わります。新築購入時には、印紙税や登録免許税、不動産取得税がかかるほか、土地や建物などの不動産を取得すると、毎年、固定資産税や都市計画税の納付が必要となることを覚えておきましょう。
多くの税金には、軽減措置が設けられており、要件を満たせば税金負担を減らすことができます。税金対策として、住宅ローン控除なども活用できるとよいでしょう。新築取得に関する税金について分からないことがあれば、家づくりのプロであるハウスメーカーの営業マンに相談するのもおすすめです。税金についてしっかり理解して、新築住宅の資金計画が立てられるとよいですね。