
コンクリート打ちっぱなしの家は後悔する?デメリットと対策、費用を徹底解説
コンクリート打ちっぱなしの洗練されたデザインに憧れている方も多いですよね。しかし、「実際の住み心地はどうなの?」「メンテナンスは大変じゃない?」といった不安から、家づくりに踏み出せない方もいるのではないでしょうか。この記事では、コンクリート打ちっぱなしの家を建てる際に知っておきたいメリット・デメリットを徹底解説。さらに、デメリットを解消するための具体的な対策や、費用まで詳しくご紹介します。
「コンクリート打ちっぱなしの家」とは?
コンクリート打ちっぱなしの家とは、型枠にコンクリートを流し込んで固めた壁面を、そのまま仕上げとして使用した住宅を指します。一般的な住宅のように、外壁に塗装やタイルを貼る工程を行わないのが最大の特徴で、無機質な素材感を活かしたおしゃれなデザインで人気があります。
構造体そのものが外観になるRC・SRC造
コンクリート打ちっぱなしは、RC(鉄筋コンクリート造)やSRC(鉄骨鉄筋コンクリート造)の家を建てる際に選択できる方法です。これらの工法は、強固な構造体そのものが家の外観となるため、耐久性や耐火性、耐震性に優れているというメリットがあります。また、型枠の木目やコンクリートを流し込んだ際の跡がそのまま残り、一つとして同じものがない独特の風合いを生み出します。
【関連記事】鉄筋コンクリート造と鉄骨造の違いは?特徴や防音性、耐震性などを解説
外壁?内壁?コンクリート打ちっぱなしを採用できる場所
コンクリート打ちっぱなしは、家の外壁だけでなく、内壁にも採用できます。例えば、外観のみをコンクリート打ちっぱなしにし、内壁は通常の壁紙や塗装で仕上げるパターンがあります。
逆に、外観は通常の仕上げにして、リビングや寝室など、特定の部屋の内壁だけをコンクリート打ちっぱなしにするパターンも人気です。もちろん、外観も室内もコンクリート打ちっぱなしにするなど、採用する場所によって印象を大きく変えることができます。
コンクリート打ちっぱなしの家、5つのメリット
コンクリート打ちっぱなしの家には、デザイン性以外にも多くの魅力があります。ここでは、5つのメリットをご紹介します。
開放的な空間づくりが実現しやすい
コンクリート打ちっぱなしの家は、木造住宅で必要となる「柱」が不要です。そのため、開放的な大空間の部屋を作りやすく、家具のレイアウトも自由自在。間仕切りを減らすことで、家族同士のコミュニケーションがより円滑になる間取りを実現できます。
耐震性・耐火性・防音性が高い
コンクリート打ちっぱなしに採用されるRC(鉄筋コンクリート)造の家は、高い耐震性を誇ります。圧縮に強いコンクリートと、引っ張る力に強い鉄筋を組み合わせることで、地震の揺れに強い構造となるためです。
また、コンクリートは耐火性にも優れており、火災に強い安心感があります。さらに、素材の密度が高く質量が重いため、防音性が高いこともメリットです。映画や音楽も気兼ねなく楽しめ、外部の騒音も気にすることなく快適に暮らせるでしょう。
火災保険料が安くなる場合がある
先述のとおり、コンクリートは燃えにくい性質があるため、木造住宅と比べて火災のリスクが低いと判断されます。そのため、住宅の構造区分が優遇され、火災保険料が安くなる場合があります。また、建ぺい率も優遇されており、東京などの住宅密集地に家を建てる場合でも、敷地を有効活用した住まいづくりができます。
デザイン性が高く、おしゃれな空間を演出できる
コンクリート打ちっぱなしの最大の魅力は、そのデザイン性の高さです。無機質な質感を活かしたクールな質感は、インテリアの可能性を広げ、スタイリッシュな家を建てられます。また、コンクリートは形状の自由度が高いため、外観に曲線を用いたり、ガレージまでをトータルでデザインしたりと、こだわりのおしゃれな家づくりが叶います。
メンテナンス次第で高い耐久性を維持できる
コンクリートそのものは、非常に耐久性の高い素材です。定期的な再塗装などのメンテナンスを適切に行うことで、ひび割れや雨水の浸入を防ぎ、家の寿命を長く保つことができます。
コンクリート打ちっぱなしの家、5つのデメリットと具体的な対策
コンクリート打ちっぱなし住宅には、メリットだけでなくデメリットも存在します。住み始めてから後悔しないために、事前にデメリットを理解し、対策を検討しておきましょう。
結露やカビが発生しやすい
コンクリートは高気密で湿気を吸収しやすいため、結露が発生し、カビが生えやすいというデメリットがあります。カビは見た目が悪いだけでなく、健康にも影響を及ぼすため、しっかり対策を行いましょう。
【対策】こまめな換気と除湿で湿度をコントロールする
カビの発生を防ぐには、こまめな換気が最も効果的です。天気の良い日は窓を開けたり、常に換気扇を回したりする習慣をつけましょう。除湿機やエアコンの除湿機能を活用するのもおすすめです。結露を防止するために、窓に使うサッシの断熱性を高めたり、結露が出たらこまめに拭いたりすることも大切です。 |
夏は暑く、冬は寒い
コンクリートは、熱伝導率が高いため外気温の影響を直接受けてしまいます。そのため、「夏は暑く、冬は寒い」といった環境になりやすく、冷暖房費が高額になるというデメリットがあります。
【対策】高性能な断熱工法を取り入れる
外気温の影響を減らすためには、機能性の高い冷暖房機器を検討するのも一つですが、より効果を得るために外断熱工法を取り入れるのがよいでしょう。外壁を断熱材で覆うことで室内の温度を一定に保ち、コンクリート打ちっぱなしのデメリットを解消できます。内壁を打ちっぱなしにしたい場合は、外断熱工法がおすすめです。 |
建築費用やメンテナンス費用が高くなる
コンクリート打ちっぱなし住宅の建築費用は、一般的な木造住宅と比較して、約1.5倍~2倍ほど高くなるのが一般的です。また、将来的なメンテナンス費用も考慮しなければなりません。
【対策】初期費用だけでなく、総額で資金計画を立てる
建築費用だけでなく、断熱工事などの追加費用や、定期的なメンテナンス費用も含めた総額で資金計画を立てることが重要です。施工会社による違いや、工事内容により金額幅がありますが、早めに資金計画を立て、安心して家づくりを進めましょう。 |
強固な地盤が必要なため、土地が限定される
コンクリートは非常に重い素材のため、建てる際にはコンクリートの重量に耐えうる強固な地盤が必要です。
【対策】事前に地盤調査を行い、地盤改良工事を検討する
地盤が弱い土地では、地盤沈下や建物の傾きが発生する恐れがあります。土地の契約前に地盤調査で問題が無いかを確認し、必要に応じて地盤改良工事を行うことも視野に入れておきましょう。 |
ひび割れや汚れが目立ちやすい
コンクリートは、乾燥収縮や温度変化によって、ごく小さなひび割れが発生することがあります。また、無機質な素材であるがゆえに、雨だれや排気ガスなどによる汚れが目立ちやすいというデメリットもあります。
【対策】定期的な再塗装で防水性を維持する
ひび割れや汚れを防ぎ、防水性を維持するためには、定期的な再塗装が重要になります。見た目が悪くなるだけでなく、ひび割れから雨水が侵入し、雨漏りや家の劣化につながるリスクもあるため、専門業者に相談し、適切なメンテナンスを行いましょう。 |
コンクリート打ちっぱなしの家に必要な外壁メンテナンスと費用相場
コンクリート打ちっぱなしの家で長く快適に過ごすには、定期的な外壁メンテナンスが必要です。ここからは、具体的なメンテナンス方法と費用相場について解説します。
メンテナンスの主な種類と費用の目安
コンクリートの外壁メンテナンスの主な種類は以下の3つです。
撥水剤を塗布する
撥水材は、コンクリートに防水性を持たせるために塗布する無色透明の塗料です。コンクリート本来の質感を損ねることなく、雨染みや汚れを防ぐことができます。しかし、耐久年数は2~7年程度と短く、メンテナンスの頻度が高くなります。
費用相場: 1,000〜2,000円/㎡程度 |
弾性塗料で塗装する
弾性塗料は、伸縮率に優れ、コンクリートのひび割れを防ぐ効果が期待できる塗料です。すでにひび割れが起きている場合の補修にも適しています。ただし、コンクリートの表面を塗りつぶしてしまうため、コンクリートならではの独特な質感は損なわれてしまいます。弾性塗料の耐久年数は6~15年程度です。
費用相場: 2,500円〜3,000円/㎡程度 |
カラークリヤー工法
カラークリヤー工法は、透明な塗料に着色剤を混ぜた色つきのクリヤー塗料を塗布するメンテナンス方法です。コンクリートの質感や風合いを活かしながら、シミや補修跡をカバーし、美しく仕上げることができます。防水性能も高いため、コンクリートの中性化や劣化防止も期待できます。耐久年数は5~10年程度です。
費用相場: 2,000〜4,000円/㎡程度 |
メンテナンスの適切な頻度
コンクリート打ちっぱなしの美しい外壁を保つためには、定期的な塗装メンテナンスが欠かせません。コンクリート打ちっぱなしの外壁メンテナンスは、10〜15年に1回の頻度で行うのが一般的です。
この期間は、コンクリートの乾燥によるひび割れや、経年によるサビ、シミ、カビが発生しやすくなる時期と重なります。これらの汚れや傷みを放置すると、構造上の問題につながるリスクも高まるため、早めの対処が重要です。
コンクリート打ちっぱなしの家をおしゃれに彩るインテリアのコツ
コンクリート打ちっぱなしの家をよりおしゃれに見せるには、どのような工夫があるのでしょうか。無機質な素材を活かしながら、自分らしい空間を創り出すための3つのコツをご紹介します。
温かみのある素材と華やかな素材をプラス
コンクリートのクールな質感と、温かみのある木材は相性抜群です。フローリングの床や木製家具を取り入れることで、無機質な空間が温もりある空間になるでしょう。間仕切りやドアに木材を使用すれば、家全体に統一感のある心地よい雰囲気を演出できます。
また、無機質なコンクリートに華やかな素材を組み合わせるのも効果的です。ドライフラワーやゴールドの小物、シープスキンなどの上質な素材をコーディネートすることで、お互いの素材が引き立ち、より洗練された空間を演出できます。
グリーンを効果的に使う
無機質なコンクリートに、植物の「緑」を加えるのもおすすめです。観葉植物を飾ることで、コンクリートのグレーに爽やかなグリーンが映え、居心地の良い空間となります。大きな観葉植物を置いたり、複数の小さな鉢植えを並べたりするなど、グリーンの取り入れ方によっても部屋の印象を変えられます。
間接照明でコンクリートの質感を際立たせる
コンクリート打ちっぱなしの家では、照明の使い方も重要です。ダウンライトやスポットライト、フロアライトなどの間接照明を上手に活用することで、コンクリート壁の凸凹した独特の陰影が際立ち、空間に奥行きが生まれます。照明の光を壁に当てることで、無機質なコンクリートの質感が際立ち、よりおしゃれな雰囲気を演出できるでしょう。
コンクリート打ちっぱなしの家で後悔しないためのポイント
コンクリート打ちっぱなしの家は、事前にしっかり準備することで、後悔のない家づくりができます。
メリットだけでなく、デメリットや費用面も理解しておく
コンクリート打ちっぱなしの家に憧れる気持ちは大切ですが、メリットだけでなく、デメリットや長期的な費用も理解しておくことが大切です。特に、断熱性やメンテナンス費用は、日々の暮らしや将来の家計に大きく影響します。事前にしっかりと情報を集め、現実的な計画を立てることで、理想と現実のギャップを防ぎましょう。
予算に合わせた断熱工法を検討する
コンクリートは熱伝導率が高く、断熱対策が欠かせません。家の快適性を左右する重要なポイントであるため、予算に合わせた断熱工法を検討しましょう。外断熱工法は、高い断熱性能を発揮しますが、費用も高くなりがちです。ご自身の予算に合わせて、どの程度の断熱性能を求めるかを決めておきましょう。
コンクリート施工の実績が豊富な業者を選ぶ
コンクリート打ちっぱなしの家をきれいに仕上げるためには、高い技術とノウハウが必要です。施工会社の腕によって仕上がりが左右されるだけでなく、ひび割れや雨漏りといったトラブルに繋がる可能性もあります。後悔しない家づくりのためにも、コンクリート施工の実績が豊富で、技術力の高いハウスメーカーに依頼するとよいでしょう。
【関連記事】大手ハウスメーカーの特徴を一覧で比較!工務店との違いやおすすめポイント
まとめ:コンクリート打ちっぱなしのメリット・デメリットを知って、理想の家づくりを
今回は、コンクリート打ちっぱなしの家のメリット・デメリットや、費用、対策までくわしくご紹介しました。コンクリート打ちっぱなしは、デザイン性の高さが魅力である一方で、断熱性やメンテナンスといった課題も存在します。しかし、これらのデメリットも、正しい知識と適切な対策を講じることで、十分解消できます。この記事でご紹介したポイントを参考に、ライフスタイルに合った家づくりを進めてください。