長期優良住宅で後悔しない!メリット・デメリットや注意点を紹介
長期優良住宅で後悔したくないですよね。「実際建てた方の後悔談を知りたい!」という人もいるかもしれません。今回は、長期優良住宅とは何か、メリット、デメリットをお伝えするとともに、実際にあった後悔談をいくつかご紹介します。納得のいく長期優良住宅を建てるための参考にしてください。
長期優良住宅とは「長く安全に暮らせる」と認定された家のこと
長期優良住宅とは、どのような住宅を指すのかご存知でしょうか。まずは、長期優良住宅の概要を説明します。
長期優良住宅の概要
長期優良住宅とは、長く安全に暮らせると認定された家のこと。さらに具体的に言うと、長期的に良好な状態で使用するための構造や設備などが備わっている住まいを指します。
長期優良住宅を建てるには、定められた基準を満たし所管行政庁での認定を受けることが必要となります。
近年では、一戸建ての新築やリフォームだけでなく、長期優良住宅の認定を受けた「マンション」も見られるようになってきました。
参考:国土交通省「長期優良住宅のページ」
長期優良住宅の認定基準
長期優良住宅の認定を受けるには、下記に示した10項目の認定基準を満たす必要があります。
<1>劣化対策
数世代にわたって居住できる住宅構造であること。木造や鉄骨造など構造の種類に応じた基準がある。
<2>耐震性
大規模な地震が起きた場合でも、建物の損傷を低くおさえられること。
<3>維持管理・更新の容易性
配管などの設備において、点検や清掃、補修などの維持管理ができること。
<4>省エネルギー性
必要な断熱性能などの省エネルギー性能が確保されていること。
<5>居住環境
地域により定められた地区計画や景観計画などの条例に従い、良好な居住環境の維持・向上に配慮されていること。
<6>住戸面積
1階の床面積が最低でも40㎡以上、且つ一戸建ての場合は75㎡以上、マンションの場合は 40㎡以上であること。なお、地域の実情に応じて数値が変更となる場合もある。
<7>維持保全計画
建築時に住宅の耐久性を確保するとともに、引き渡し後も定期的な点検や補修などを行う計画が策定されていること。
<8>災害配慮
自然災害による被害の防止や軽減に配慮し、所管行政庁に確認をとること。
<9>可変性(共同住宅のみ適用)
居住者のライフスタイルの変化に応じ、間取りを変更できること。
<10>バリアフリー性 (共同住宅のみ適用)
バリアフリーに配慮し、スロープの設置などに対応できる廊下などのスペースが確保されていること。
参考:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会「長期優良住宅認定制度の概要について」
長期優良住宅購入の後悔談を紹介。デメリットは?
長期優良住宅の購入で後悔は避けたいもの。ここからは、長期優良住宅を購入した人の後悔談をご紹介します。ぜひ家づくりの参考にしてみてください。
後悔1:申請費用が思った以上にかかった
「長期優良住宅の認定を受けるための申請費用について、きちんと把握していなかったことを後悔しています。個人で申請するには書類が複雑で心配だったため、ハウスメーカーに手続きの代行を依頼しましたが、10万円ほどコストがかかりました」(20代女性)
長期優良住宅の申請費用は、自分で申請する場合5〜6万円ほどになるでしょう。ハウスメーカーなどの住宅会社に申請の代行を依頼する場合、10万円〜30万円程度かかるケースもあります。申請費用は条件や地域によって異なるため、事前に施工業者や所轄行政庁などで、詳しい費用を確認するのがオススメです。
後悔2:着工前に認定を受けなければならず、建築スケジュールが遅れた
「長期優良住宅の認定を受けてからでないと着工できなかったため、予定より家の引き渡しが遅くなりました。アパートに住んでいたので、引き渡しが遅れた分の家賃が余分にかかってしまい、後悔しています」(30代男性)
長期優良住宅を建てるには、着工前に各都道府県や市区にある所管行政庁へ申請書などを提出し、認定を受けなければなりません。一般住宅と比較すると建築期間が数週間〜1ヶ月ほど長くなるケースが多いため、建築スケジュールが遅れる場合もあります。技術的審査依頼書など審査に必要な書類の作成時間なども含めると、さらに時間がかかることもあります。余裕をもったスケジュールを立てておきたいですね。
後悔3:定期的なメンテナンスや点検が義務づけられており、手間がかかる
「建築後の定期的なメンテナンスや点検が正直面倒です。家の補修など、維持管理のための費用もかかるため、金銭面の負担も大きいと感じます」(40代男性)
長期優良住宅は、着工前に提出した「維持保全計画」に基づき、10年以内の定期的なメンテナンスや点検が義務づけられています。それを負担に感じ、後悔する人もいるようです。メンテナンス日や内容を記録・保存する必要もあるため、維持管理の大変さを感じることもあるでしょう。
「維持保全が適切でない」と判断された場合、指導や改善命令が下され、従わない場合は長期優良住宅の認定取消しや罰金を課せられる可能性もあることも知っておきましょう。
後悔4:床下や小屋裏などに点検口を設けなければならなかった
「床下や小屋裏に設ける点検口はあまり見た目がよくないため、目立たない場所に設置しようと考えていました。しかし、長期優良住宅では点検口の設置場所が決まっているため、普段家族がくつろぐ部屋の天井に点検口を設置しなけらばならず、後悔しています」(30代女性)
長期優良住宅では、床下や小屋裏などに点検口を設ける必要があります。点検口を自分の好きな場所に設置できる訳ではないため、点検口の見た目を気にする方には、デメリットとなるかもしれません。
長期優良住宅にはメリットもある!4つの魅力を紹介
長期優良住宅の後悔談をお伝えしましたが、一方で、多くのメリットもあります。ここでは、長期優良住宅の4つの魅力をご紹介します。
《メリット1》資産価値が落ちにくく、売却しやすい
長期優良住宅のメリットとして、家の資産価値が下がりにくく、一般住宅より売却しやすいことが挙げられます。建物の劣化対策や耐震性などの基準を満たし、定期的なメンテナンスなども義務付けられているため、資産価値の評価が高くなるのです。
《メリット2》住宅ローン金利の優遇を受けられる
長期優良住宅は、住宅ローン金利の優遇措置があることもメリットです。住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利型住宅ローンの「フラット35」を利用する場合、一般住宅より金利の優遇を受けられます。
具体的には、長期優良住宅の場合、【フラット35】S(金利Aプラン)と【フラット35】維持保全型の併用によって、金利を5年間、年0.75%引き下げることが可能です。
また、フラット35子育てプランを利用する、若年夫婦世帯または子ども(借入申込年度の4月1日時点で18歳未満の子を有する)1人のご家族であれば、上記プランとの組み合わせによって、金利を当初5年間、年1%引き下げることもできます。
若年夫婦世帯とは:借入申込時に夫婦であり、借入申込年度の4月1日時点で夫婦のいずれかが40歳未満である世帯 |
金利の引き下げの詳しい内容については、住宅金融支援機構のホームページをご確認ください。
参考:住宅金融支援機構「【フラット35】Sとは?」、「家族構成と建て方に合わせた組合せで金利を引下げ!」
《メリット3》地震保険の割引を受けられる
耐震性が備わっている長期優良住宅は、地震保険の割引が適用されます。地震保険は、建物の免震・耐震性能に応じた割引を受けられるため、保険料を安くすることができるでしょう。「耐震等級割引」または「免震建築物割引」のどちらかが適用されるのが一般的です。
《メリット4》補助金制度を活用できるケースがある
長期優良住宅は、「子育てエコホーム支援事業」を活用できる場合もあります。
子育てエコホーム支援事業とは、「高い省エネ性能を有する新築住宅(長期優良住宅もしくはZEH水準住宅)の取得」や「住宅の省エネ改修」などに対する補助金制度のこと。主な対象世帯は、エコホーム支援事業者と不動産売買契約を締結し、新築注文住宅・分譲住宅を購入・所有する子育て世帯と若者夫婦世帯です。
補助金額は、認定長期優良住宅であれば、1住戸につき100万円を受け取ることが可能。ただし、子育てエコホーム支援事業は予算額が決まっているため、予算の上限に達した時点で早期終了となる場合があるため注意しましょう。
長期優良住宅で受けられる「税制優遇」とその注意点
長期優良住宅は、一定の条件を満たせば、「所得税・登録免許税・不動産取得税・固定資産税」の優遇措置が受けられます。ここからは、それぞれの税金優遇の内容と注意点を解説します。なお、お伝えする内容は2024年12月18日時点のものです。
所得税:一般住宅より税金を控除することが可能
所得税は、以下の制度で税制優遇を受けることができます。
- 住宅ローン減税制度
住宅ローン減税とは、住宅ローンを利用して家を購入したりリフォームしたりする場合に、一定の条件を満たすことで、控除対象限度額の範囲内で年末時の「住宅ローン残高の0.7%」が13年間、所得税と住民税から控除される制度です。
長期優良住宅に認定されると、一般住宅に比べ、住宅ローン控除対象「限度額」が引き上げられます。例えば、2024年末まで入居のZEH水準省エネ住宅の控除限度額は3,500万円に対し、長期優良住宅は4,500万円です。
さらに、子育て世帯(19歳未満の子を有する)または若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが40 歳未満)の場合であれば、2024年末までの入居は、控除対象借入限度額が5,000万円となります。
- 投資型減税制度
2025年12月31日までに居住した場合、一定の条件を満たせば「投資型減税制度」を利用することも可能です。
投資型減税制度とは、住宅ローンを利用していなくても活用できる制度で、標準的な性能強化費用相当額(上限650万円)の10%相当額を、その年の所得税額から控除(控除しきれない場合は翌年の所得税からも控除)できます。
なお、住宅ローン減税と投資型減税の併用はできず、どちらか一方を選択し適用されるかたちとなります。
参考:国土交通省「認定住宅等新築等特別税額控除(投資型減税)について」
登録免許税:税金額が軽減される
登録免許税とは、土地や建物に所有権を登記する際、国に納める税金のこと。長期優良住宅は、一般住宅に比べ登録免許税の優遇を受けられます。
保存登記をする場合の登録免許税は、一般住宅が不動産の価格に対して0.15%かかるのに対して、長期優良住宅は0.1%に軽減されます。
不動産取得税:税金を安く抑えることができる
土地や建物など不動産を取得した場合、不動産取得税がかかります。長期優良住宅の場合、不動産の価格である「課税標準額」の控除額が一般住宅よりも大きいため、不動産取得税を安く抑えることができます。
一般住宅の場合の控除額は1,200万円ですが、長期優良住宅の場合は1,300万円です。
固定資産税:税金の軽減期間が延長される
長期優良住宅の場合、一般住宅に比べて固定資産税の軽減期間が長くなります。新築の長期優良住宅であれば、一戸建ての場合は5年(一般住宅は3年)、マンションの場合は7年(一般住宅は5年)、固定資産税が2分の1に軽減されます。
参考:国土交通省「認定長期優良住宅に関する特例措置」
税制優遇の恩恵が受けられない場合もある
税制優遇について説明しましたが、注意点として、認定長期優良住宅における税制優遇の恩恵が受けられない場合もあることを理解しておきましょう。
例えば、「住宅ローン減税制度」の控除額対象額の拡充は、住宅ローンの借入額や収入が多い方にメリットがあります。
実際に払っている税金額以上の控除は受けられないため、住宅ローンの借入額や、所得が少ない場合、控除額上限いっぱいの控除は受けられず、税金控除の効果を感じにくいこともあるでしょう。
大手ハウスメーカーで後悔のない長期優良住宅を建てよう
豊富な実績やノウハウのある大手ハウスメーカーなら、長期優良住宅の家づくりを安心して任せられるでしょう。長期優良住宅の申請手続きや「維持保全の状況に関する記録」の作成や保存についてのアドバイスも期待できます。
資料請求をしたり住宅展示場を訪れたりして、理想的な家づくりを叶えるハウスメーカーを探してみてください。
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