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二世帯住宅とは?定義やメリット・デメリット、税金・補助金制度も紹介

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2022-05-10
選び方

二世帯住宅とはどのような住宅を指すのか、定義やメリット・デメリットを知りたい方もいるのではないでしょうか。今回は、二世帯住宅の意味や、3つの間取りタイプについてのほか、二世帯住宅建築時に利用できる税金の軽減措置や補助金制度もあわせてご紹介します。


親・子世帯が一緒に住む「二世帯住宅」を検討しよう


近年、核家族化が進み、親・子・孫が一緒に暮らす「三世代世帯」は減少傾向にあります。そのような中、子育てや介護について世代間で助け合い、健やかに安心して暮らせる環境づくりを目指し、国をあげて二世帯住宅の取得を支援しているのをご存知でしょうか。


親世帯は、子どもを近くでサポートしたいという気持ちから、一方で子世帯は、親世帯の老後の心配や、子育てで頼りにしたいといった理由から二世帯住宅を検討している方もいるかもしれません。


今回は二世帯住宅に注目し、定義や特徴、住宅購入で後悔しないために知っておきたいメリット・デメリットをわかりやすく解説します。


参考:厚生労働省政策統括官「令和3年国民生活基礎調査(令和元年)の結果からグラフでみる世帯の状況」


二世帯住宅の定義。同居や近居との違いは?


二世帯住宅の意味

二世帯住宅とは、親世帯と子世帯が一緒に暮らすために設計された住宅のことを指します。 間取りは、大きく分けて次のような3タイプに分かれます。


  • 完全同居タイプ
  • 部分共用タイプ
  • 完全分離タイプ


それぞれのタイプでは、親・子世帯がいっしょに利用する「共用部分」のつくり方に違いがあり、暮らし方の希望に合わせて間取りを決めることができます(詳しくは後述)。


二世帯住宅と「同居」「近居」の違い

二世帯住宅での暮らし方に近いものとして「同居」や「近居」があります。


同居とは、親世帯と子世帯が同じ住宅で暮らすことです。二世帯住宅だけでなく一般的な住宅での共同生活も含まれます。


近居とは、親世帯と子世帯が近い距離に住んでいる状態のことを指します。同居に比べ、世帯のプライバシーを守りやすいことがメリットでしょう。


それぞれにメリット・デメリットがあるので、親世帯と子世帯の理想的な距離感を考えて、住まいのあり方を検討することが大切ではないでしょうか。


二世帯住宅は、建築基準法で明確に定義されていない

これまで「二世帯住宅」という言葉を使って話を進めてきましたが、実は、建築基準法において「二世帯住宅」という建物区分はありません。一般的に二世帯住宅と呼ばれる建物は、その形態によって「専用住宅」や「共同住宅」「長屋」などに分類され、建物の登記上もこれらの区分に該当するものとして扱われます。便宜上、親世帯・子世帯が一緒に住む住宅を「二世帯住宅」と呼んでいるのだということを知っておきましょう。


【タイプ別】二世帯住宅のメリット・デメリット


ここからは、先述した間取りタイプごとの特徴を詳しく解説していきます。


二世帯住宅の間取り1:完全同居タイプ

親世帯と子世帯で、生活に必要な設備や部屋をすべて共有する「完全同居タイプ」は、親世帯と子世帯が非常に近い距離感で暮らせる間取りです。


玄関やリビング、キッチンや浴室などは1カ所のみで、そのほか同居する人数に応じた寝室を設けるケースが多いでしょう。


完全同居タイプのメリット

完全同居タイプは、ほかのタイプに比べて建築費や生活費を安く抑えることができます。生活に必要な設備が、一般的な住宅と同様、1カ所のみの設置で済むためです。将来一世帯で住むことになった場合、そのまま暮らしやすい点もメリットでしょう。


「親世帯と子世帯でコミュニケーションを密に取りたい」「大人数で賑やかに暮らしたい」という家庭にオススメの間取りです。


完全同居タイプのデメリット

完全同居タイプは親世帯と子世帯が同じ空間で生活するため、プライバシーを確保しにくい点でストレスを感じることがあるかもしれません。「世帯ごとに生活リズムが異なるため、気を遣わなければならない」という後悔の声が聞かれることもあります。


このほか、設備を共有して利用するため、光熱費などお金の負担について揉めないように、十分話し合っておくことも必要です。


二世帯住宅の間取り2:部分共用タイプ

親世帯と子世帯で生活空間の一部分だけを共有する「部分共用タイプ」。「玄関だけ共有する」「玄関とお風呂だけ共有する」など、さまざまなバリエーションから選べます。1階は親世帯、2階は子世帯という間取りにするケースが多く見られます。


部分共用タイプのメリット

部分共用タイプの間取りなら、生活空間をある程度分けられるので、プライバシーを確保しながらも、親世帯と子世帯で適度な距離感を保てます。


一部を共用にすることで、同じ広さの完全分離タイプに比べて建築費用を安く抑えられるほか、各世帯のリビングやダイニングといった独立ゾーンを広くとることが可能です。


部分共用タイプのデメリット

部分共用タイプの二世帯住宅も、完全同居タイプと同様に、世帯ごとに光熱費を把握するのが難しいでしょう。どのように費用を負担するのか、世帯間で決めておく必要があります。


また、完全に住まいを分離しているわけではないため、もう一方の世帯に対する配慮も、ある程度必要となります。生活のペースが乱れてストレスがたまることのないよう、生活音や遮音に配慮した間取りの工夫ができるとよさそうです。


二世帯住宅の間取り3:完全分離タイプ

親世帯と子世帯の生活空間を完全に分けた間取りが「完全分離タイプ」です。リビングやキッチン、浴室だけでなく玄関も全て世帯ごとに設けます。1つの住宅でありながらも、気兼ねなく別々に暮らすことが可能です。


完全分離タイプのメリット

完全分離タイプの二世帯住宅は、各世帯のプライバシーを確保しつつも、必要であればすぐに顔を合わせられるという安心感があります。


世帯ごとに各設備を設けるため、光熱費も把握しやすいでしょう。将来、一世帯になったときは「半分を賃貸に出す」という活用方法も検討できます。


完全分離タイプのデメリット

完全分離タイプの二世帯住宅は、住居に設備を2つずつ設置するので、ほかの間取りタイプに比べ、生活空間を確保するために広いスペースが必要となるほか、建築費用も高くなります


親世帯と子世帯の生活空間が完全に分かれるため、意識的にコミュニケーションを取らなければ、交流する機会がもてない点もデメリットでしょう。


二世帯住宅の間取りのポイント


二世帯住宅の間取りを検討する際に、意識して取り入れたいポイントをご紹介します。


バリアフリーに配慮する

親世帯の老後、将来的に介護が必要になることを想定して、バリアフリーに配慮した家づくりを行えるとよいですね。車椅子を使う場合を想定して段差をなくしたり、廊下幅やトイレ内スペースを検討したりしましょう。


生活音に配慮する

親世帯と子世帯が快適に暮らすため、できるだけ生活音が気にならないように配慮することも大切です。


たとえば、親世帯と子世帯の生活空間を上下階で分けるなら、水回りの設備は同じ位置になるようにしましょう。そうすることで、水回り使用時の音などが気になりにくくなります。


交流スペースを設ける

親世帯と子世帯が、どこで、どのような交流ができるとよいのかを考えて、間取りを工夫しましょう。和室や中庭など、意識して交流スペースを設けるのもよいですし、お互いの気配が感じられるよう、窓の配置を工夫するのもよいでしょう。


二世帯住宅の費用相場


二世帯住宅の建築費用の相場は、工法や採用する設備のグレードなどによっても大きく変わりますが、坪単価の相場は次の通りです。


  • 完全同居タイプ:坪単価 60万円
  • 部分共有タイプ:坪単価 85万円
  • 完全分離タイプ:坪単価 100万円


ハウスメーカーのプランによっても費用は変わるため、自分たちにあった施工会社に依頼することが大切です。理想の二世帯住宅をイメージしつつ、予算とのバランスを考えながら具体的に検討しましょう。


二世帯住宅購入時に検討したい住宅ローン


住宅購入の資金調達方法として、住宅ローンを利用するのは一般的です。二世帯住宅を購入する場合は、親・子世帯が協力してローン返済をできるのがメリットではないでしょうか。今回は、親子で返済を進めるタイプの「リレーローン」と「ペアローン」をご紹介します。


リレーローンとは

リレーローンとは、親子で1つの住宅ローンを契約し、二世代に渡りリレー方式で返済を行う借入方法です。まずは親が住宅ローンを借り入れてローン返済を行い、そのあと子が返済を引き継ぎます。


親が高齢となったときや定年を迎えたとき、または子ども側で返済が可能となったとき、子に返済をバトンタッチします。親が高齢であっても住宅ローンを組みやすく、最初は子世帯が返済しなくてもよい点などがメリットです。


ペアローンとは

ペアローンとは、親と子がそれぞれ住宅ローンを組み、同時に返済を進める借入方法です。親と子がお互いに連帯債務者となることで、ローン借入額を増やすことができます。


それぞれ別契約になるので、親子それぞれが住宅ローン控除などの減税措置を受けられることもメリットでしょう。双方がきっちり返済できるよう、計画的な返済スケジュールを立てることが大切です。


二世帯住宅購入時に活用できる税金・補助金制度