固定資産税は減税できる?軽減措置や申請方法、注意点をご紹介
固定資産税は、固定資産(不動産)の所有者が支払う税金です。マイホーム購入を検討している人の中には、買った後の税負担が気になる人もいるのではないでしょうか。固定資産税にはさまざまな軽減措置があり、条件によっては減税が可能です。今回は、固定資産税の減税について、適用される制度やいつまでに申請すべきかなど、減税のための手続きを解説します。
固定資産税とは
固定資産税は、一戸建て住宅・土地・マンションなどの不動産に対して課税されます。不動産が利用されているかどうかに関わらず、毎年1月1日時点で固定資産を所有している人が対象です。
支払う税額は固定資産の価値や自治体にもよりますが、一般的には、不動産の経年劣化や老朽化と並行して税額は安くなっていきます。固定資産税は地方税のため、市町村(東京都23区内の場合は東京都)に納付します。
固定資産税が減税されるケース
「土地」と「建物」のそれぞれに課税される固定資産税には、さまざまな特例措置があります。適用される条件をクリアできれば、固定資産税の減税が可能です。どのような特例措置があるのか、具体的にご紹介します。
住宅用地の特例
「住宅用地」として使われている土地は、固定資産税の税率が下がるのが一般的です。減税の割合は土地の大きさによって異なり、200平方メートル以下の住宅用地は6分の1に減額、200平方メートルを超える部分は3分の1に減額されます。
新築住宅の特例
新築住宅の特例は、新築の建物部分について固定資産税が減税となる制度です。2024年3月31日までに建てられた新築住宅が対象で、税額が2分の1に軽減されます。減税の対象となる床面積が決まっており、上限は120平方メートルです。床面積が120mを超える住宅については、120平方メートル相当までが減税の対象となります。住宅の種類によって減税期間が異なるため、以下で説明します。
一般住宅の場合
新築住宅の特例は、一般住宅とマンションで適用される期間が異なります。減税の期間は、一般住宅は3年、マンションは5年です。一般住宅の場合は、4年目からは増税ということではなく、本来の税額で固定資産税を納付することになります。
参考:国土交通「新築住宅に係る税額の減額措置」
長期優良住宅の場合
長期優良住宅の場合は、減税となる期間が一般住宅よりも長くなっています。適用は5年間(マンションの場合は7年間)、税額が2分の1に減額となります。「長期優良住宅の特例措置」と「新築住宅の特例措置」を重ねて受けることはできません。
参考:国土交通省「認定長期優良住宅に関する特例措置」
一戸建て | マンション | |
---|---|---|
一般住宅 | 3年 | 5年 |
長期優良住宅 | 5年 | 7年 |
※ぞれぞれ固定資産税が2分の1に減額
新築住宅の固定資産税は、減税の特例期間が終了すると税率が元に戻ります。ただし、築年数が経つと経年劣化などで建物の評価額が下がるため、固定資産税も徐々に安くなっていきます。
【その他】適用対象外となるケース
全ての新築に対して特例措置が適用されるわけではありません。災害ハザードエリアにおける開発を抑制する観点から、危険があるとされる区域内において、適正な立地を促す「勧告」に従わず建築された住宅は、特例措置の適用対象外となります。
次の4つの条件に全て当てはまる住宅は、固定資産税の軽減措置が適用されません。
<適用対象外となる住宅>
- 「立地適正化計画の区域内」かつ「居住誘導区域外の区域」かつ「災害レッドゾーン内」で建設されている
- 一定の規模以上(3戸以上又は1戸若しくは2戸で規模が1,000平方メートル以上)の住宅を新築する行為によって建設されている
- 市町村長によって適切な立地を促すための勧告がされている
- 3の勧告に従わず建設されており、勧告に従わなかった旨が市町村により公表されている
参考:国土交通省「新築住宅に係る固定資産税の減額措置(適用の見直し)」
参考:国土交通省「令和4年度 国土交通省税制改正概要」
固定資産税の減税措置を受けるための手続き
固定資産税の減税措置を受けるには、申請が必要です。どこに申請するのか、期限はいつまでなのかなど、あらかじめ知っておくことによって手続きをスムーズに進められるでしょう。
申請の方法・どこでできる?
固定資産税の減税措置を受けるために、まずは「住宅用地等申告書」を作成し、住宅がある市町村の担当部署に申請します。新築の一般住宅では、申請が不要な自治体もあります。自治体の担当者が、資料や家屋調査などで新築住宅を確認しているためです。
長期優良住宅の場合は、「固定資産税減額申請書」や「長期優良住宅の認定通知書の写し」を提出する必要があるので、早めに準備しましょう。
固定資産税は市町村(東京都23区内の住宅は東京都)に納付するため、詳細は市町村の公式サイトで確認できます。必要書類をダウンロードできることもあるので、市町村の公式サイトを確認してみてください。
申請の期限はいつまで?
固定資産税の減税申請には、期限があります。新築工事が完了した年の、翌年1月31日までに申請することが必要です。
注意したいのは、1月1日時点で所有している不動産が、固定資産税の課税対象ということです。1月1日に建物がまだ完成していない場合は、建物には固定資産税が課税されませんが、土地は課税の対象となります。この場合、土地は住宅用地ではなく更地とみなされるため、軽減措置は適用されません。新しい家づくりで減税の恩恵を受けるには、12月31日よりも前に建物が完成するスケジュールで検討するとよいでしょう。
申請を忘れた場合はどうなる?
固定資産税の減税は、市町村によって申請不要なケースもありますが、自分で申請するのが一般的です。申請を忘れて期限を過ぎてしまうと、軽減措置は適用されず標準の固定資産税を納付することになります。税負担を少しでも抑えたい人は、軽減措置の適用条件を満たしているか確認し、期限内に申請しておくと安心ですね。
固定資産税の減税について知っておきたいポイント
固定資産税の減税は、2022年度の税制改正によって、期間が延長されました。2024年3月31日までに所有の新築住宅について、減税が適用されることとなっています。この他にも、固定資産税の減税に関して知っておきたいポイントが3つあるのでご紹介します。
税額に誤りがあれば訂正しよう
固定資産税は、市町村から届く納税通知書が正しいとは限らず、金額が誤っていることがあります。固定資産税は、市町村が計算する「賦課課税方式」で算出されます。不動産の評価額の誤りや計算間違いなど理由はさまざまですが、数十年も誤った金額で納税していたというケースもあります。
新しいマイホームに納税通知書が届いたら、課税明細書をよく確認しましょう。建物の構造は正しいか、住宅用地の特例が適用されているかなど、自分でチェックすることをおすすめします。間違いがあれば、役所の担当部署での訂正が必要です。
都市計画税がかかる地域もある
固定資産税とは別に、都市計画税がかかる地域もあります。都市計画税は、毎年1月1日時点で市街化区域内に土地・建物を所有している人が対象です。都市計画税も軽減措置がありますが、固定資産税と同様に申請が必要です。
参考:総務省「都市計画税」
固定資産税を滞納するとどうなる?
固定資産税について、滞納するとどうなるのか気になる人もいるでしょう。固定資産税を納付期限までに納められない場合は、期限の翌日から延滞金が発生します。延滞金の計算方法は市町村によって異なりますが、期限から1カ月を過ぎると延滞金の割合が高くなる傾向があります。
役所からの督促状や催告書などで納税を促され、それでも納税しない場合は、固定資産税の滞納額に応じた財産が差押えられます。預貯金や給料だけでなく、住んでいる建物・土地も差押えの対象です。固定資産税を期日までに払えない事情がある場合は、市町村の窓口で、分納や徴収猶予の相談ができます。財産を差押えられてからでは遅いので、早めに相談しましょう。
固定資産税について分からないことはハウスメーカーに相談を!
新築住宅の固定資産税は、完成後に行われる家屋調査によって確定します。そのため、固定資産税の正確な金額は、建物ができるまでは分かりません。固定資産税について分からないことは、家づくりのプロであるハウスメーカーの営業担当者に相談するのがおすすめです。住宅ローンや後々の修繕費なども含めた資金計画を立てて、余裕を持って暮らせるプランが組めるといいですね。