
【注文住宅】家づくりは何から始める?入居までの10ステップを詳しくご紹介
「家づくりの第一歩を踏み出したいけれど、何から始めればよいのかわからない」という方もいるのではないでしょうか。この記事では、資金計画から引き渡しまで、注文住宅の完成までに必要な10のステップをわかりやすく解説します。初めての方でも安心して理想の家づくりができるよう、各段階でのポイントや注意点も詳しくご紹介。自分らしい家づくりの参考にしてください。
家づくりは何から始めるの?まずチェックしたいこと
「家づくり」と一口に言っても、何から始めればよいのでしょうか。第一歩を踏み出す前に、全体の流れと各工程にかかる時間を把握しておきましょう。
全体のスケジュール
家づくりをスムーズに進めるためには、まず全体のスケジュールを把握することが大切です。ファーストステップから入居までは、おおまかに以下のような流れで進んでいきます。
【家づくりの流れ】
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それぞれのステップの詳細については、後ほどご紹介します。
家づくりの期間
家づくりは、一般的に計画開始から約1年かけて入居までたどりつきます。しかし、「土地の有無」や「設計の自由度(自由設計か規格住宅か)」など、さまざまな要因によって家づくりにかかる期間は大きく変動します。6カ月で完成することもあれば、1年半以上かかることもあり、一概にはいえません。
特に、土地探しは希望の条件に合う土地が見つかるまで時間がかかることも珍しくありません。そのため、引っ越しの時期が決まっている場合は、土地探しの期間を十分に考慮し、家づくり全体のスケジュールを逆算して立てることが大切です。長期的になることをあらかじめ想定して、余裕をもった計画を立てましょう。
家づくりから入居までの10ステップ
ここからは、各ステップにおいてやるべきことを、注意点をまじえてご紹介します。
ステップ1.予算・資金計画を立てる
注文住宅を建てる場合、土地購入費、建物本体価格、各種税金や手数料などの諸費用がかかります。家づくりを成功させるためには、まず自己資金(頭金)をどれくらい用意できるかを確認し、全体の予算感を把握することが大切です。
次に、住宅ローンでいくら借りられるかの目安を知るために、金融機関への事前相談やシミュレーションを行うことも重要です。金融機関やローンの種類によりますが、住宅ローンの借入可能額は一般的に年収の5倍~7倍程度といわれています。例えば世帯年収が500万円の場合、「500万円×5~7倍=2,500万円~3,500万円」が借入可能額の目安となります。ただし、これはあくまで目安であり、返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)や他の借入状況なども考慮されます。
また、予算を考える際は、建物本体価格だけではなく、以下の費用も忘れずに計上しておきましょう。
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さらに完成後の維持費(固定資産税、修繕積立金など)も考慮して、無理のない返済計画を立てることが大切です。予算オーバーを防ぐために、総予算の10%程度は予備費として確保しておくと、予期せぬ出費や仕様変更などにも柔軟に対応できます。
ステップ2.家づくりのイメージを共有する
家づくりを成功させるためには、家族全員の希望やライフスタイルを反映させることが大切です。この段階では、具体的な間取りやデザインを決めるのではなく、どのような暮らしがしたいのかという「暮らしのイメージ」を家族で共有しましょう。
まず、家族それぞれの希望をリストアップします。「書斎や仕事場がほしい」「子どもが安全に遊べるスペースがほしい」「洗濯物の室内干しができる場所がほしい」といった具体的な暮らし方の希望を家族みんなで出し合いましょう。雑誌やインターネットで気に入った住宅の写真を集めたり、住宅展示場を見学したりして、イメージを具体化させるのも効果的です。
次に、リストアップしたイメージに優先順位をつけましょう。すべての希望を叶えようとすると予算オーバーになりがちです。「絶対に譲れないもの」「あれば嬉しいもの」「将来的に考えるもの」といった形で整理し、取捨選択することが大切です。
このステップで大切なのは、家族全員が納得できる住まいのビジョンを共有すること。打ち合わせをスムーズに進めるためにもしっかり話し合い、イメージを一致させておきましょう。ハウスメーカーなどの担当者に希望を伝えるためのノートを事前に作っておくと、次のステップでの相談がスムーズになります。
ステップ3.ハウスメーカーや工務店を決める
家づくりのパートナーとなるハウスメーカーや工務店の選定は、理想の家を実現するための重要なステップです。複数の業者を比較検討し、自分たちに合った信頼できるパートナーを見つけましょう。
まずは、住宅展示場や完成見学会に参加するのがおすすめです。実際の建物を見ることで、建材の質感や空間の雰囲気、施工の丁寧さなどを自分の目で直接確認できます。また、すでに入居されている方の住み心地を聞く機会があれば、貴重な「生の声」として、カタログなどでは分からない情報も得られるでしょう。
業者選びをするときのチェックリストは、以下の通りです。
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特に担当者との相性は重要です。家づくりは長期にわたるプロジェクトなので、こちらの要望をしっかり理解し、適切なアドバイスをしてくれる、信頼できる担当者かどうかを見極めましょう。
複数の業者から見積もりを取り、比較検討することは大切ですが、単純な価格比較だけで即決するのは避けましょう。提案内容に何が含まれているか内訳をしっかり確認し、総合的に判断することが大切です。最終的に決める前に、実際に建てた人の評判や口コミもできる限り調査すると、より安心して選ぶことができます。
【関連記事】ハウスメーカーと工務店、どっちがいい?7つの違いと後悔しない選び方
ステップ4.理想の家づくりに合う土地を探す
理想の家を建てるためには、その土台となる適切な土地選びが重要です。土地は家の完成後には変えられない要素なので、慎重に選定しましょう。
土地探しでは、以下のポイントを考慮します。
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不動産会社やハウスメーカーの土地情報を活用しつつ、実際に現地を訪れて周辺環境を確認することが大切です。可能であれば、平日・休日の朝夕など、異なる時間帯に訪れると、騒音や交通量といった生活環境をより正確に把握できます。
土地が決まったら、専門家による敷地調査を行い、地盤改良の必要性も確認しましょう。また、上下水道、ガス、電気などのインフラ整備状況や、将来的な開発計画なども調べておくと安心です。
土地購入の際は、境界確定測量が済んでいるか、所有権に問題がないかなど、法的な側面も専門家に相談しながら進めることをおすすめします。土地選びは家づくり全体の予算にも大きく影響するため、焦らず、計画的に進めましょう。
ステップ5.家のプランニングをする
土地が決まったら、いよいよ具体的な家のプランニングを始めます。この段階では、ステップ2で共有したイメージをもとに、実際の間取りや仕様を決めていきましょう。
まず、取得した土地の形状・方角・周辺環境などの特性を考慮しながら、基本的なゾーニング(各部屋の配置)から考えます。「キッチンからリビングと庭が見渡せる空間に」「子ども部屋は将来的に間仕切り壁を設けて2つに分割できるように」など、生活動線や家族の過ごし方を想定して配置を検討しましょう。
特に、間取りや基礎的な設備は後からの変更が難しいため、自分の生活に適したリビング・ダイニング・キッチンの配置になっているか、各居室の収納の量は十分か、コンセントや照明のスイッチの配置は実際に使いやすくなっているかなど、細かくチェックしましょう。
プランの確定後は見積りを出してもらい、予算内で実現可能な内容かを確認することが大切です。現在の家族構成や生活スタイルに加えて、将来的な家族構成の変化や加齢による身体機能の変化も考慮すると、長く快適に暮らせるでしょう。
ステップ6.土地の購入手続きと住宅ローンの事前審査をする
家を建てたい土地が決まり、家の設計プランや見積りが確定したら、土地の購入申し込みと住宅ローンの事前審査のステップに進みます。
土地購入の意思が固まったら、その土地を購入したいという意思を明確に示す「買付証明書」を不動産会社に提出します。この段階で金銭は発生せず、買付証明書の記入と押印で済むことが一般的です。買付証明書を提出することで、他の人からその土地を購入されなくなります。
あわせて、住宅ローンの事前審査(仮審査)を申し込みましょう。住宅ローンの審査は、一般的に「事前審査」と「本審査」の2段階で行われます。土地の取得費も含めて住宅ローンの融資を受けたい場合、事前審査の結果がなければ、土地を購入できません。
事前審査では、申請者の年齢や職業、収入、資産、負債などの情報をもとに、どの程度の金額のローンが組めるかを大まかに把握できます。
ステップ7.土地と建物の契約を結ぶ
土地の売買契約
住宅ローンの事前審査が無事に通れば、土地の売買契約を締結します。土地の売買契約では、手付金として土地価格の5~10%程度を現金で支払う必要があります。
また、契約に先立ち、不動産会社の宅地建物取引士から土地に関する重要事項の説明を受けることが義務付けられています。この際に交付される「重要事項説明書」と売買条件を定めた「土地売買契約書」の内容を確認し、納得した上で署名・捺印します。少しでも不明な点があれば、遠慮せずに宅地建物取引士などの専門家に質問し、不安を解消しておきましょう。
土地購入後には、地盤調査の実施が可能です。地盤調査は、その土地の地盤強度や沈下に対する抵抗力をチェックする調査のことで、法律により義務付けられています。もし、地盤強度が基準を満たさない場合は地盤改良工事が必要になり、土地の状況と工法によっては数百万円単位の費用がかかる可能性もあります。そのため、事前に近隣の地盤データを調べておくことが賢明です。
建物の工事請負契約
土地の契約が完了したら、次に建物の建築工事に関する「本契約」(工事請負契約)へと進みます。この本契約は、あなたが選んだハウスメーカーや工務店との間で結ぶ具体的な建築工事に関する契約で、間取りや設計プランが決まり、本見積もりが完成した段階で結ばれます。この段階では、契約内容をしっかりと確認し、後々のトラブルを防ぐことが重要です。
建物の本契約では、以下の点を特に注意して確認しましょう。
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契約書に添付される設計図書や仕様書も重要な書類です。間取りや設備、使用する建材などが希望通りになっているか、細かいところまで確認しましょう。
不明点や疑問点があれば、必ず契約前に解消しておくことをおすすめします。また、クーリングオフ制度についても理解しておくと、万が一の際に安心です。
契約後は、確認申請の手続きが始まります。これは、建物の計画が建築基準法に適合しているかを確認する行政手続きのことで、検査済証を受け取ると正式に工事を始めることができます。
ステップ8.住宅ローンの本審査を受ける
土地の売買契約と工事請負契約を締結したら、事前審査を通過した銀行または金融機関に住宅ローンの本審査を申し込みます。本審査では、完済時の年齢や返済負担率などの項目がチェックされます。本審査に通過後、金融機関と金銭消費貸借契約(住宅ローン契約)を締結します。
住宅ローンの金利は、変動金利・全期間固定金利・固定金利期間選択型の3種類です。ご自身の収入や支出を踏まえた上で、返済可能な月々の返済額、金利を選びましょう。
なお、本審査では事前審査とは異なり、さまざまな書類の提出が必要です。書類に不備があると審査に遅れが出るため、必要書類は早めに準備しておきましょう。
ステップ9.工事に着工する
住宅ローンの契約を締結したら、いよいよ着工です。施主の希望に応じて地鎮祭などの儀式が執り行われた後、工事が始まります。工事中は騒音や工事車両の出入りがあるため、着工前に近隣住民の方々に挨拶しておくことをおすすめします。
建物の規模や間取り、工法、季節によって完成するまでの期間は異なりますが、一般的に3~6カ月程度が工事期間の目安です。ただし、特殊な工法や建物の規模が大きい場合には、さらに長期にわたることもあります。工事中は定期的に現場を訪問して、進捗状況を確認しましょう。
ステップ10.完成|引き渡し後、入居を開始する
建物の引き渡しの際には、依頼先の業者と施主が立ち合い、施工ミスや不具合などがないか、設計通りに仕上がているかなどを細かく確認します。修繕や補修は、引き渡し後には対応してもらえないこともあるため、気になる箇所は必ずその場で確認するようにしましょう。
また、入居後に建物の不具合やトラブルが発生した際に、スムーズに対応してもらえるよう、アフターフォロー体制についても確認しておくのをおすすめします。
別途費用はかかりますが、ホームインスペクション(住宅診断)を受けると、プロの目で細かくチェックしてもらえます。特に不具合がなければ、鍵と保証書を受け取り、引渡確認書に署名すれば引き渡しが完了し、入居開始です。
土地探しから設計・施工まで、大手ハウスメーカーにおまかせ
大手ハウスメーカーの多くは、全国展開しており、豊富な土地情報を持っています。そのため、希望エリアや予算に合わせた土地の提案をしてくれます。また、その土地に最適な住宅プランの提案から、法規制や周辺環境を考慮した設計・施工まで一貫して任せることができます。
豊富な建築実績と質の高い営業担当者によるサポートがあるので、安心して家づくりを進められるでしょう。ハウスメーカーを選ぶ際には、「最新の住宅性能を備えた家に住みたい」「自由度の高いデザインや間取りを取り入れたい」など、住宅に何を求めるのかを明確にしておくと、住宅展示場などで比較検討するときに役立ちます。
それぞれの違いを比較し、あなたにぴったりのパートナーを見つけてください。
家づくりは何から始めるかを把握して理想の住まいを実現しよう
注文住宅の家づくりは、多くの人にとって人生で一度あるかないかの大きな決断です。初めて経験することばかりで、「何から始めるべきか」と、一歩を踏み出すのには勇気がいるかもしれません。しかし、各プロセスをきちんと理解し、信頼できる家づくりのパートナーと協力しながら進めることで、不安を解消できるでしょう。
今回ご紹介した10ステップの流れに沿いながら、理想の住まいへの道のりを一歩ずつ進んでいってくださいね。