傾斜地に家を建てるメリットとリスク回避のポイント、費用を解説

選び方 2020-05-18
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「傾斜地に家を建てるメリットは?」「後悔しないようリスクを知っておきたい」という方もいるでしょう。住宅の建築費用や駐車場の作り方が気になる方もいるかもしれません。今回は、傾斜地における家づくりに注目し、地盤調査や擁壁(ようへき)についてなど、安心して住宅設計するためのポイント、注意点を解説します。


傾斜地とは、ななめに傾いている土地のこと


傾斜地とは傾斜、つまり傾いてななめになっている土地のことを言います。建築基準法では「傾斜地」だけでなく「がけ」「斜面」といった言葉の定義は特に示されていませんが、不動産業界において、広く一般的に使われている言葉です。


傾斜地に家を建てることを検討している方もいるのではないでしょうか。ここからは、傾斜地で家づくりを行う場合の、ポイントや注意点を詳しく解説していきます。住み始めて後悔することのないように、傾斜地でのマイホーム計画が立てられるとよいですね。


傾斜地に家を建てる3つのメリット


傾斜地は家を建てる土地として不向きなように感じられるかもしれません。しかし、傾斜地の特徴を活かして、住み心地の良い家を建てることは可能です。ここでは、傾斜地に住宅を建てる3つのメリットをご紹介します。


【メリット1】平らな土地に比べ土地代が安い

傾斜地は平地と比較して、安く土地を購入できるケースが多いと言われています。場合によっては擁壁が必要となったり、その土地を平らにするための費用がかかったりするケースもありますが、住宅設計を工夫すれば、家づくりの総費用を安く抑えることも可能でしょう。


【メリット2】傾斜地ならではの眺望を楽しめる

傾斜地の高低差を活かせば「自宅から景色を楽しめる」「花火が見やすい」など眺望を楽しめる住まいになるでしょう。傾斜地は斜面や崖地になっている土地なので、住宅が密集している平地に比べると、自然や緑が多いというメリットもあります。眺望の良さを最大限に活かした家を建てるなら、建築家に住宅設計を依頼するのもおすすめです。


【メリット3】ビルトインガレージを設けるなど地下部分を活用できる

傾斜地に斜面を活かした住まいを建てるなら、自ずと地下部分ができるため、平地とは違った個性的な家づくりが可能です。例えば、地下部分にはビルトインガレージを設けるなど、傾斜を利用した設計ができるとよいですね。


傾斜地のリスクを回避するための注意点と家づくりにかかる費用


傾斜地に住宅を建築する場合、その土地の地盤によっては建築リスクがあることも。ここでは、住宅建築時におけるリスクを回避するための注意点を解説します。


地盤調査をして安全性を確認。地盤改良が必要な場合もある

傾斜地に家を建てる場合は、地盤調査を行って地盤の状態や安全性を確認し、場合によっては地盤改良を行う必要があります。地盤が緩い状態で家を建ててしまうと、住宅倒壊などのリスクがあるためです。


地盤調査にかかる費用は、比較的低コストの方法で10万円程度からですが、どのような地盤調査をすればよいかは専門家とよく相談しましょう。地盤の状態によっては、その後の地盤改良に多額の費用を要するケースもあります。傾斜地での家づくりは、土地代に加え、地盤改良や斜面に対応できる形状の基礎工事といった建築費用も含め、総合的な費用で検討することをおすすめします。


擁壁(ようへき)の安全性をチェック

擁壁(ようへき)とは、コンクリートブロックや石などを利用して作った壁のことです。斜面の崩壊を防ぐのが大きな目的で、道路と敷地に高低差がある場合、高さを合わせるために作ることが多いでしょう。


もともと土地に擁壁が作られている場合は、住宅の基礎工事を始める前に亀裂がないかなど劣化していないか、安全性を十分確認する必要があります。擁壁が劣化している場合、何らかの原因で一部が突然倒壊してしまう恐れがあるため注意しましょう。


一方、もともと擁壁がない場合には、ご自身で土地の斜面に擁壁を設けなければならないケースもあるでしょう。2メートルを超える擁壁をつくる場合には、建築基準法による工作物の確認申請が必要です。また、擁壁の造成工事にかかる費用は、擁壁の形状や材質によるほか、傾斜の度合いや面積によっても大きく異なることを知っておきましょう。


建築を制限する「がけ条例」を理解して家づくりをしよう

「がけ条例」とは、崖のすぐ上や下での建築に制限をかけることを目的として、都道府県等の自治体が定めた条例です。地震や大雨などで土砂災害が起き、建物に住んでいる人が巻込まれて被害に合うのを防ぐために作られました。


がけ条例の規制内容は、各都道府県によってそれぞれです。斜面に擁壁を作るなどの対策が必要となると、その分の工事費用を施主が負担しなければなりません。傾斜地に家を建てたい場合は、そもそも建物の建築が可能かどうかや、必要となる工事の内容について、ハウスメーカーなど専門家にアドバイスを求めるとよいでしょう。


傾斜地に駐車場をつくる方法は2パターン


傾斜地に住宅を建てる場合、あわせて駐車場も作りたいという方もいるのではないでしょうか。ここでは傾斜地に駐車場を設ける場合の設計について、2つのパターンをご紹介します。


住宅の敷地が道路より高い場合は「掘り込み車庫」

住宅の敷地が前にある道路より高くなっている場合、その高低差を利用し、住宅の下の土地に埋め込むような形で駐車場を作ることができます。このような駐車場は「掘り込み車庫」と呼ばれています。掘り込み車庫の多くは、住宅の下の土地に横穴を掘り、コンクリートやブロックなどで固め天井や床、壁を作って車庫にしたものです。地盤がしっかりした傾斜地で、道路と敷地の高低差が2メートル以上あると作りやすいでしょう。


住宅の敷地が道路より低い場合は「架台(がだい)車庫」

住宅の敷地が道路より低い場合は、敷地から上部に伸びる骨組みを組んで高低差をなくし、道路とフラットな状態の駐車場をつくる方法があります。このような駐車場は「架台(がだい)車庫」と呼ばれます。駐車スペースとなる部分には、骨組みの上にコンクリートを打つことが多く、そうすることで通常の駐車場と同じような使い方ができます。この場合、住宅の間取りを上下逆転させて玄関を2階に設ける設計にすると、外とのつながりがスムーズになるでしょう。


傾斜地を購入するときは「危険な区域」でないか確認しよう


ここでは、傾斜地を購入する際に確認したい「区域」について解説します。


急傾斜地崩壊危険区域

急傾斜地とは、傾斜度が30度以上の土地のことで、「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」により定められています。急傾斜地崩壊危険区域とは、急傾斜地のうち、高さが5m以上ある土地で、崩壊によって相当数の居住者、その他に土砂災害などの危害が生ずるおそれのある区域のことを指し、都道府県知事等が指定をします。


急傾斜地崩壊危険区域では、急傾斜地の崩壊を誘発しかねないさまざまな行為が制限されます。住宅の建築もその一つで、建築したい場合には自治体の許可が必要となります。ほかの土地に比べ危険性が高く、住宅やマンションの建築時には崩壊防止工事が必要な場合もあります。崩壊防止工事は都道府県が行うのが一般的ですが、金銭的な負担も大きいことから、工事が行われていない場所も多いので注意が必要です。


宅地造成工事規制区域

宅地造成工事規制区域とは、宅地造成に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地等を指し、都道府県知事が指定をします。宅地造成工事規制区域内の土地で、一定の宅地造成に関する工事を行う場合には、都道府県知事等の許可が必要で、場所によっては擁壁や排水施設等を設置する必要があります。宅地造成工事規制区域かどうかを知りたい場合は、自治体に確認するとよいでしょう。


参考:国土交通省「災害防止上の観点から社会福祉施設等の建築物の建築に際して行為制限をかけている法令について」


地すべり防止区域

地すべり防止区域とは、地すべり等防止法の施行に基づき、国土交通大臣又は農林水産大臣が指定した区域です。この区域に指定された土地は、斜面の地すべり発生による被害を防止又は軽減するため、地すべりの発生を誘発するおそれのある一定の行為について制限されます。地すべり防止区域に建築等を行う場合も、都道府県知事の許可が必要です。


参考:国土交通省「地すべり防止区域の解説」


傾斜地を活かした住まいの実例