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住宅購入に関する贈与税は最大1000万円まで非課税!申告方法や条件、注意点とは

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2023-07-28
費用・制度

親や祖父母からの支援で住宅を購入する際、贈与税の非課税措置について詳しく知りたい方もいるでしょう。今回は、具体的な制度内容や注意点に加え、手続き方法や夫婦間の口座移動など、家づくりに関する贈与税のポイントを解説します。


贈与税とは、個人から財産を受け取ったときにかかる税金



まず、「贈与税」について理解を深めるところからはじめましょう。そもそも「贈与」とは、自分が保有している財産を無償で相手に渡し、それを相手が受け取ること。そのため贈与税とは、個人から財産を受け取る際にかかる税金のことです。贈与税は1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与に対して課せられます。財産を受け取った側は、申告義務があります。


親や祖父母からの「住宅購入資金」贈与は最大1000万円が非課税に



贈与税の概要を理解したところで、住宅取得等資金の贈与について見ていきましょう。住宅の購入資金として親や祖父母から資金贈与を受けた場合、贈与税に関して非課税の特例を受けられます。これを「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」と呼びます。どのような制度なのか概要を解説します。


【2023年12月31日まで】親子間・祖父母等から孫への贈与資金が対象

「住宅取得等資金に係る贈与税非課税措置」とは、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、住宅を新築を取得、または増改築等を行った場合、一定の条件を満たせば、定められた非課税限度額まで贈与税が非課税となる制度です。


原則として、資金贈与を受けた場合は、たとえ親族からであっても贈与税が課せられます。しかし「贈与資金を住宅購入資金に充てる場合に限り、特別に贈与税を非課税とする」というのが非課税措置の内容です。この制度は、2022年に改正し、非課税となる最大金額が1,500万円から1,000万円へと縮小しています。


性能がよい住宅ほど、非課税限度額が増える

非課税となる贈与資金の限度額は、対象となる住宅の種類によって異なります。特に、質の高い住宅ほど、非課税限度額が増えるのが特徴です。


住宅の種類
非課税限度額

質の高い住宅

(省エネ・耐震・バリアフリーの住宅用家屋)

1,000万円
一般住宅
500万円


【主な要件】

適用期限
2022年1月1日から2023年12月31日までに贈与
所得要件
受贈者の贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下
質の高い住宅の要件

次のいずれかに該当すること

  • 断熱性能等級4以下もしくは一次エネルギー消費量等級4以下
  • 耐震等級2以上もしくは免震建築物
  • 高齢者等配慮対策等級3以上


参考:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」


贈与資金の非課税特例を受けるための要件



住宅取得等資金の非課税の特例を受けるためには、要件を満たす必要があります。要件には「贈与を受ける人の要件」「購入する住宅の要件」の2つに分けられます。主な要件について確認していきましょう。


贈与を受ける人の要件

贈与を受ける人の主な要件は以下の内容となります。


  • 贈与者の直系卑属(子や孫)であること
  • 贈与を受けた年の1月1日において18歳以上であること
  • 贈与を受けた年の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること

 (家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合には1,000万円以下)

  • 2009年から2021年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと
  • 住宅取得等資金の全額をあて、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その新築の住居に住み始めること

  

受贈者の要件は、上記の5つ以外にもいくつかあります。詳細な内容を確認したい場合には、国税庁のホームページをご確認ください。


参考:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」


購入する住宅の要件

住宅用の家屋の新築に関する要件は以下の内容となります。


  • 日本国内にある住宅であること
  • 新築で取得する住宅用の家屋の床面積が40㎡以上240㎡以下であること。さらに、その家屋の床面積に2分の1以上に相当する部分が受贈者の住居用であること。


詳細な内容を確認したい場合には、国税庁のホームページをご確認ください。


参考:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」


住宅取得の際の贈与税について知っておきたいポイント



ここからは、住宅取得の際、贈与税の非課税措置を活用するにあたり、知っておきたいポイントを紹介します。


土地のみの取得は非課税の対象外となる

贈与された住宅取得のための資金は、住宅だけでなく土地の購入に充てることも可能です。しかし、注意すべき点は、土地のみの取得は非課税の対象外になります。必ず、建物の取得の際にも、贈与資金の一部を充てるようにしましょう。


例えば、贈与金額が1,000万円で、土地の購入を補いたい場合、土地取得に800万円、残高の200万円を建物取得分というように、それぞれの取得時に資金を充てます。なお、この配分について決まりはありません。


非課税枠は基礎控除額110万円と併用できる

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置は、暦年課税と呼ばれる贈与税の基礎控除110万円と併用ができます。基礎控除額も含めた場合、最大で1,100万円まで贈与税が非課税の対象となります。


なお、暦年課税とは、1年間に受け取った財産の合計金額に応じて課税される方式のことで、受け取った額が110万円以下であれば、贈与税がかからず、申告も不要というものです。住宅取得等資金の贈与税申告の際は、基礎控除額の110万円を超えた金額について申請を行いましょう。


相続時精算課税も活用できるが注意が必要

住宅取得時は、暦年課税以外に相続時精算課税制度も選択できます。相続時精算課税制度とは、受贈者が2,500万円まで贈与税を納めずに贈与を受けられるもので、贈与者が亡くなった時に、贈与財産の贈与時の時価と、相続財産の合計額から相続税額を計算し、一括で相続税として納税する制度です。


(例)

父親から1,500万円の贈与があった場合、相続時精算課税制度を利用すれば、贈与税は発生しない。その後、父親が亡くなった際に、相続財産が3,000万円だった場合、先に贈与された1,500万円を加えた「4,500万円」が相続税の計算対象となる。


なお、贈与額が2,500万円を超えた金額については一律20%の贈与税がかかります。


この制度は通常、贈与者が60歳以上であることが条件となります。しかし、特例として、両親又は祖父母からの贈与で住宅取得等資金を得た場合、贈与者が60歳未満であっても一定の要件を満たせば、相続時精算課税を選択できるとされています。


一見すると、相続時精算課税の方が非課税になる金額が大きいため、贈与者にとっては節税効果が高いと感じられますが注意が必要です。相続時精算課税で贈与を受けた金額は、将来相続税の対象となるため税金面でマイナスとなる可能性が高いのです。また、相続時精算課税を選択すると、それ以降は110万円の非課税枠をもつ暦年課税が活用できないことも注意すべき点と言えるでしょう。


参考:国税庁「No.4503 相続時精算課税選択の特例」


住宅資金贈与を利用する際の注意点



住宅資金贈与を利用する場合には、注意点を理解して活用することが大切です。実家の将来の見通しを含め、注意点を確認していきましょう。


贈与額が多いと住宅ローン控除が減るケースも

住宅の取得金額に比べて、贈与額と住宅ローン借入額の合計額が多い場合、住宅ローン控除(減税)の控除対象額がローン借入額よりも低くなるケースがあります


例えば、住宅の取得費用が4,000万円で、贈与額1,000万円、住宅ローンの借入額3,500万円であった場合を考えてみましょう。


このとき、取得価格4,000万円から贈与額1,000万円を差し引いた3,000万円が住宅取得のための借入額とみなされます。住宅ローンの年末残高が3,500万円であっても、差額の500万円は住宅ローン控除の対象外となってしまうことを覚えておきましょう。


参考:国税庁「マイホームを持ったとき」


小規模宅地等の特例が使えない

小規模宅地等の特例とは、親が亡くなり自宅として使用していた土地を相続する場合、330㎡までであれば相続税を8割減額できるという制度です。例えば、320㎡の土地の評価額が1000万円の場合、相続税は200万円になります。


原則として、この特例は配偶者や同居の親族に適用されます。しかし、どちらも存在していない場合には、「被相続人と別居しており、持ち家を持たずに借家に住んている親族」も特例を受けることができます。


つまり、小規模宅地等の特例は子供が持ち家を所有すると使えない制度となることを知っておきましょう。


参考:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」


遺産分割において兄弟間で揉めることも

兄弟など相続人候補がいる場合、親からの住宅支援が将来の遺産分割において揉める原因になることがあります。住宅取得等資金の贈与は遺産の前渡し扱いになるため、親が亡くなり相続が発生した場合、住宅支援の贈与も加味して遺産の分配を行うのが一般的です。


しかし、兄弟の関係性によっては、過去の贈与をうやむやにするケースが考えられます。生前贈与の金額に差がある場合、相続の際にトラブルに発展しないような対策が不可欠と言えるでしょう。


参考:国税庁「未分割の場合の課税価格(相続時精算課税適用財産がある場合)」


贈与契約書を作成する

住宅資金贈与を受けた場合には、贈与契約書を作成しておくことをおすすめします。住宅取得資金の贈与適用を受ける場合、贈与税申告書に贈与契約書を添付する必要ありません。しかし、税務調査などで税務署から贈与事実の有無について万が一説明を求められた場合には、「贈与契約書」の形で残しておくと贈与契約の立証を簡単にできます


住宅資金贈与の特例は、年度によって制度の内容が変更する可能性があるため、贈与契約書には贈与を受けた日や贈与金額を明確に記載しましょう。実際に贈与される場合も、現金ではなく銀行振込などで金銭の受け渡しが記録として残るようにしておくことが大切です。


非課税特例の適用を受けるための手続き



ここからは、住宅資金贈与の非課税特例の適用を受けるための手続きを紹介します。


必要書類を揃えて税務署に申告する

住宅資金贈与の非課税特例を利用したい場合は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、所定の書類を揃えて納税地の所轄税務署に申告をする必要があります。主な必要書類は、以下の通りです。


  • 非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書
  • 戸籍謄本
  • 新築や取得の契約書の写し
  • 住宅性能証明書などの一定の書類 など

建築する建物が省エネ住宅などの質の高い住宅の場合、非課税特例を受ける申請手続きの際には「住宅性能証明書などの一定の書類」が必要となります。住宅の性能を証明する書類が添付されないと、1000万円までの非課税限度額を利用できないため注意しましょう。


マイナンバー制度が導入されたことにより、個人番号を記載した各種申告書等を提出する際は、本人確認書類の提示または写しの添付が必要となります。


参考:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」


申告漏れの場合は、特例が適用されない

税務署への申告漏れがあった場合、特例の適用を受けることができず納税義務が発生するため注意が必要です。基本的に、1年間にもらった贈与金が基礎控除額の110万円を超えた場合は、住宅資金贈与であるかどうかに関わらず申告書を提出する必要があります。


万が一、申告漏れがあった場合、贈与税に加えて、無申告加算税や延滞税の支払いが求められるケースがあります。この特例は、申告期限を1日でも遅れると非課税の対象になりません。そのため、提出書類の内容に不明点がある場合は必ず税務署に確認し、早めに必要書類を準備をして必ず期限内に申告しましょう。


夫婦間で贈与税が発生することも。住宅購入する際の注意点



夫婦で住宅を購入する場合、夫婦間で資金の口座移動を行わなければならないケースもあるでしょう。ここでは、夫婦間でのお金の取り扱いに関する注意点を解説します。


夫婦間でも高額の口座移動は贈与とみなされる

夫婦間でも、原則として贈与税は発生します。ただし、生活費や教育費に充てるために必要と認められたものに関しては、贈与税がかかりません。


夫婦で住宅を購入するケースでは、夫婦間で多額のお金を口座移動するケースも考えられますが、住宅購入費用は非課税となるケースに該当しません。授受された金額や背景によっては「贈与である」とみなされ、贈与税の対象となる可能性があるため注意しましょう。


住宅購入時は負担金額に応じた共同名義にする

共同名義で不動産を取得する場合は「不動産の持ち分」と「取得費用の負担割合」を同じにすることが大切です。なぜなら、夫が不動産の取得費用を全額負担しているのに、名義を100%妻にした場合は、夫が妻に贈与をしたとみなされ贈与税が課せられます。不動産を夫婦による共有名義とする場合は、必ず支払い負担に応じた持ち分の割合にする必要があるのです。


また、妻の親から住宅取得等資金の贈与があった場合に、残りの住宅取得費用を夫の住宅ローンで賄う場合も共有名義とし、支払金額の配分に応じた登記申請を行うことが大切です。


住宅購入時にかかる贈与税は非課税特例を活用しよう



今回は、住宅購入資金の贈与を受けた場合の非課税特例について解説しました。親や祖父母から子や孫へ住宅購入資金の贈与があった場合、要件を満たすことで、一定金額の贈与税を非課税にできます


特例の適用を受けるためには、定められた期間内に税務署へ申請しなければなりません。不明点があるときは、所轄税務署に確認し正しい知識のもと進められると安心です。スケジュールを確認しながら申請漏れのないように手続きを行いましょう


【関連記事】新築時にかかる税金はいくら?控除制度や税金対策について解説

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