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【2024年】住宅資金贈与は最大1,000万円まで非課税。手続き方法や注意点

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2024-08-29
費用・制度

親や祖父母から資金援助を受けてマイホームを取得する場合、住宅資金贈与に関する非課税制度を利用できます。ただし、注意点を理解して活用しないと非課税にならないケースもあるため、制度の内容や手続き方法を十分確認しておくことが大切です。今回は、2024年度における住宅資金贈与の非課税制度について詳しく解説します。家づくりを進める上で参考にしてください。


マイホーム資金の贈与を受けた場合の非課税措置



「贈与」とは、保有している財産を無償で他人に渡し、それを相手が受け取ることを指します。そして、贈与の際には受け取る側に「贈与税」と呼ばれる税金が課せられます。


原則として、資金贈与を受けた場合は、たとえ親族からであっても贈与税が課せられます。しかし贈与資金を住宅購入資金に充てる場合に限り、「特別に贈与税を非課税とする制度」(住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置)が適用されます。


この住宅取得に関する贈与の非課税制度について、具体的な内容を解説していきます。


非課税措置の内容

父母や祖父母などの直系尊属から、住宅の取得や増改築のために資金援助を受けた場合、定められた金額までは贈与税が非課税となります。これが、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置です。


2024年に住宅取得に係る贈与税の税制改正があり、非課税措置の適用期限が2026年まで延長されました。


新たに住宅を取得する方に向けた資金援助に限定されるため、既存の住宅ローンの返済のための資金援助は非課税措置の対象外となります。


【非課税限度額】いくらまでの贈与が非課税になる?

非課税となる贈与資金の限度額は以下の表に示した通り、住宅の性能によって異なります。

住宅の種類
非課税限度額

質の高い住宅

1,000万円
一般住宅
500万円


上記のうち「質の高い住宅」の要件は、以下のいずれかに該当する必要があります。申請時に下記の基準に適合することを証明する書類を提出することで、制度の利用が認められます。

<新築住宅で質の高い住宅に該当する要件>

  • 「断熱等性能等級 5以上」かつ「一次エネルギー消費量等級 6以上」
  • 耐震等級 2以上または免震建築物
  • 高齢者等配慮対策等級 3以上


なお、非課税限度額を超える贈与金額は「課税財産」の扱いとなります。そのため、「暦年課税」または「相続時精算課税」のどちらかを選択し税金を収めることになります。


「暦年課税」とは

1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産の合計金額に応じて課税される方式のこと。

ただし、年間110万円の基礎控除額があるため、受け取った金額が110万円以下であれば、贈与税がかからず申告も不要。110万円を超える贈与を受けた場合、110万円を超える部分に贈与税が課せられる。


「相続時精算課税」とは

贈与を受ける子や孫が、2,500万円の特別控除まで贈与税を納めずに贈与を受けられる制度のこと。

特別控除額を超える贈与については、基礎控除額を除いた金額に一律20%の贈与税が課せられる。



贈与を受ける人(受贈者)の要件

次に、住宅取得資金贈与の非課税措置を受ける受贈者は、以下の5つの要件を全て満たす必要があります。


(1)
贈与時に贈与者(贈与する人)の直系尊属(子や孫)であること
(2)
贈与年の1月1日において、18歳以上であること
(3)

贈与年の合計所得金額が2,000万円以下であること

(床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は、1,000万円以下)

(東日本大震災の被災者には、合計所得金額の要件は課せられない)

(4)
贈与年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を住宅用の家屋の新築・取得、または、増改築等をすること
(5)

贈与年の翌年3月15日までにその家屋に居住する、または、同日後延滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること

(遅くとも同年12月31日までには居住する必要あり)


贈与対象となる住宅の要件

住宅の新築・取得の場合、家屋に対しては以下の4つの要件を全て満たす必要があります。


(1)
住宅を新築・取得する本人が居住する家屋であること
(2)

床面積が50㎡以上240㎡以下であること

(合計所得金額が1,000万円以下の場合は、40㎡以上)

(3)
店舗等併用住宅の場合は、床面積1/2以上が居住用であること
(4)

取得した家屋が既存住宅の場合は、以下のどちらかを満たすものであること

  • 1982年1月1日以後に建築されたもの
  • 建築後に使用されたことのある家屋で、耐震に係る基準に適合する家屋として、以下のいずれかにより証明されるもの

 ・耐震基準適合証明書

 ・建設住宅性能評価書の写し

 ・既存住宅売買瑕疵保険付保証明書


参考:国土交通省「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置について」


新築が前提であれば、土地購入のための贈与も対象

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税制度は、住宅の新築・取得または増改築のための住宅取得等資金が対象です。そのため、住宅用家屋の新築が前提であれば、贈与資金を土地購入資金に充てることもできます


ただし、住宅取得のために贈与を受けた年の翌年3月15日までに、取得した土地の上に住宅用家屋を新築する必要があります。


参考:国税庁「住宅用家屋を築するための土地の購入資金に充てるために金銭の贈与を受けた場合における住宅取得等資金の贈与の特例の適用の可否」


マイホーム資金の贈与に関する非課税措置の手続き方法



ここからは、実際に非課税措置の適用を受けるための手続き方法をご紹介します。


必要書類を揃えて税務署に申告する

住宅資金贈与の非課税特例を利用する場合は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、所定の書類を揃えて管轄する税務署に申告をする必要があります。必要書類は、以下の通りです。


<新築住宅・既存住宅の場合>

(1)
計算証明書(非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書)
(2)
贈与を受ける受贈者の戸籍謄本
(3)
合計所得金額を明らかにする書類
(4)
登記事項証明書
(5)
請負契約書・売買契約書の写し
(6)

質の高い住宅の基準に適合することを証明する書類(質の高い住宅のみ)

以下のいずれかを提出

・住宅省エネルギー性能証明書

・建築住宅性能の写し

・住宅性能証明書

・長期優良住宅認定通知書の写し、及び住宅用家屋証明書の写し、もしくは認定長期優良住宅建築証明書

・低炭素住宅認定の通知書の写し、及び住宅用家屋証明書の写し、もしくは認定低炭素住宅建築証明書


各種証明書の詳しい内容は、国土交通省のホームページをご確認ください。


参考:国土交通省「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置について」


贈与のタイミングに注意する

住宅取得等資金贈与の非課税制度は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅を新築または取得することが条件となります。


注文住宅においては、完成引渡しまで完了していなくても、翌年の3月15日までに屋根(骨組みを含む)があり、土地に定着した建造物として認められる状態であれば制度が適用されます。


一方で、戸建ての建売住宅や新築マンション、中古住宅を取得する場合、贈与を受けた年の翌年3月15日までに完成引渡しが完了している必要があります。3月15日以降の引き渡しになると、住宅取得等資金の贈与の特例の適用外となることを覚えておきましょう。


申告が漏れた場合は、特例が適用されない

1年間にもらった贈与金が基礎控除額の110万円を超えた場合は、住宅資金贈与であるかどうかに関係なく税務署に申告書を提出する必要があります。申告期限が1日でも遅れた場合、非課税特例の適用を受けることができず納税義務が発生します


申告漏れがあった場合、贈与税に加えて、無申告加算税や延滞税の支払いが求められるケースがあるため注意しましょう。


提出書類の内容に不明点がある場合は税務署に確認し、早めに必要書類の準備をして期限内に必ず申告することが大切です。


詳しい内容については、国税庁が公開している「チェックシート」及び「添付書類」を参考にしてください。


参考:国税庁「住宅取得等資金の贈与税の特例に係る『チェックシート』及び『添付書類』の区分」


住宅取得の際の贈与税について知っておきたいポイント



住宅資金の贈与を受ける場合にはいくつか注意すべきポイントがあります。ここでは特に知っておきたい注意点をご紹介します。


贈与額によって住宅ローン控除を受けられる金額が変わる

住宅の取得金額に比べて贈与額と住宅ローン借入額の合計金額が多い場合、住宅ローン特別控除(減税)の対象額がローン借入額よりも低くなってしまいます


例えば、住宅の取得費用が4,000万円で、贈与額1,000万円、住宅ローンの借入額3,500万円であった場合を考えてみましょう。このとき、取得価格4,000万円から贈与額1,000万円を差し引いた3,000万円が住宅ローン控除の対象とみなされます。


住宅ローンの年末残高が3,500万円であっても、差額の500万円は住宅ローン控除の対象外となってしまうことを覚えておきましょう。


参考:国税庁「住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」「No.1213 認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」


【関連記事】住宅ローン控除(減税)とは。適用条件や計算方法、手続きの流れを解説


小規模宅地等の特例が使えない

小規模宅地等の特例とは、親が亡くなり住居として使用していた土地を相続する場合、330㎡までの土地に関して、その土地の相続税評価額を8割減額できる制度です。これにより、土地にかかる相続税を大幅に減らすことができます。


原則として、この特例は配偶者や同居の親族に適用されます。しかし、どちらも存在していない場合は、「被相続人と別居しており、持ち家を持たずに借家に住んている親族」が特例を受けられます。つまり、小規模宅地等の特例は子供が持ち家を所有すると使えない制度となることを知っておきましょう。


参考:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」


遺産分割において兄弟間で揉めないように対策を

兄弟など相続人候補がいる場合、将来の遺産分割において、親からの住宅資金援助が揉める原因になることがあります。住宅取得資金の贈与は遺産の前渡し扱いになるため、親が亡くなり相続が発生した場合は、住宅支援の贈与も加味して遺産の分配を行うのが一般的です


しかし、兄弟の関係性によっては、過去の贈与をうやむやにするケースも。生前贈与の金額に差がある場合は、相続の際にトラブルに発展しないよう対策を検討することが不可欠といえるでしょう。


贈与契約書を作成しておくのがおすすめ

住宅資金贈与を受けた場合には、贈与契約書を作成しておくのがおすすめです。贈与契約書とは、財産の贈与をする(贈与を受ける)の際に作成する契約書のことを指します。


参考として、贈与契約書の項目例を以下に挙げます。

  • 「贈与者」と「受贈者」の身元
  • 贈与日
  • 贈与金額
  • 贈与方法


住宅取得資金の贈与適用を受ける場合、贈与税の申告書に贈与契約書を添付する必要はありません。しかし、税務調査などで税務署から贈与事実の有無について万が一説明を求められた場合は、「贈与契約書」の形で残しておくと贈与契約を客観的に証明できます


住宅資金贈与の特例は、年度によって制度の内容が変更する可能性があるため、贈与契約書には「贈与を受けた日」や「贈与金額」を明確に記載しましょう。


実際に贈与を受ける場合は、現金ではなく銀行振込などで金銭の受け渡しが記録として残るようにしておくことが大切です。

なお、贈与契約書の作成を依頼する専門家として、税理士や司法書士、弁護士などが挙げられます。贈与契約書の作成だけであれば、司法書士に依頼すればよいでしょう。一方で、「相続税・贈与税の節税まで相談」したい場合は税理士、「将来相続で揉めそう」といった場合は弁護士に相談するなど、目的に応じて依頼先の検討が重要になるでしょう。


住宅購入時にかかる贈与税は非課税特例を活用しよう



今回は、2024年度の「住宅購入資金の贈与を受けた際の非課税特例制度」について解説しました。親や祖父母から住宅取得に関わる資金の贈与を受ける場合、要件を満たすことで、一定金額までは非課税になるお得な制度です。


一方で、内容が複雑な部分もあるため、制度の活用にあたって不明点があるときは、所轄税務署に確認しながら正しい知識のもと家づくりを進めましょう。引渡しや申請時期などのスケジュールを確認し、非課税特例制度を上手に活用できるとよいですね。


【関連記事】新築時にかかる税金はいくら?控除制度や税金対策について解説

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