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建築面積とは?他の面積との違いや建ぺい率との関係をわかりやすく解説

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2025-12-10
基礎知識

「建築面積」は、家づくりを進める上で知っておくべき建築に関する専門用語の一つです。自分の土地に建てられる建物の最大サイズ(上限)を決める大切なルールの基盤となるものですが、「延床面積」「敷地面積」など、他の面積との違いがわからないという方も多いのではないでしょうか。


今回は、建築面積の意味から、間違いやすい延床面積や敷地面積との違い、バルコニーやカーポートが建築面積に算入される具体的な条件までをわかりやすく解説します。


建築面積とは?


建築面積とは、建物を真上から見たときの面積を指します。専門用語では「水平投影面積(すいへいとうえいめんせき)」といい、建物の真上から光を当てたときに、地面に影となって映る部分の面積をイメージするとわかりやすいです。


建物に凸凹がある場合でも、建物を平らな地面に投影したものとして算出されます。建物の外壁だけでなく、内側にある柱や壁などもすべて建築面積に含むため、建築面積よりも実際の居住空間は小さくなります。


また、「建築面積」と類似した言葉に「建坪(たてつぼ)」がありますが、これは建築基準法で定義されている言葉ではありません。施工業者によって建築面積と同じ意味で用いる場合と1階床面積だけを指す場合というように意味が異なるケースがあるため、依頼先が建坪という言葉を使うときは、どちらの意味を指すのか確認するようにしましょう。



建築面積・延床面積・敷地面積の違い



建築面積、延床面積、敷地面積は、すべて「広さ(面積)」を示す言葉ですが、それぞれ建築基準法上で意味が異なります。家づくりにおける広さのルールを正しく理解するために、その違いを確認しましょう。


延床面積(延べ面積)との違い

延床面積(のべゆかめんせき)とは、各階の床面積を合計した面積のことを指します。「建物面積」や建築基準法に記載されている「延べ面積」も同じ意味です。この3つの面積を比較すると、建築面積が建物を真上から見た「影の面積」(平面)であるのに対し、延床面積は各階の床を合計した「建物の空間の体積」(立体)と捉えるとわかりやすいです。


2階建て住宅の場合、1階と2階の床面積の合計が延床面積となるため、一般的に建築面積よりも延床面積の方が大きくなります。なお、バルコニーや出窓などは、一定の要件を満たしていれば延床面積に算入されません。




敷地面積との違い

敷地面積は、家が建っている(またはこれから家を建てる)土地そのものの面積を指します。建築面積が「建物」の広さの上限に関わるのに対し、敷地面積は「土地」の全体像を決定するものです。敷地面積も土地を真上から見たときの面積とするため、傾斜地の場合は、実際の土地面積に比べて敷地面積(水平投影面積)が小さくなることがあります。


建築面積の計算ルールと建ぺい率



建築面積は、建築基準法で「水平投影面積」と定義されています。土地に建てられる建物の最大の広さを決める「建ぺい率」の計算基準となるため、家づくりにおいては最も重要な面積の一つです。ここでは、建築面積の上限を定める建ぺい率と建築面積を導き出すためのルールを解説します。


建築面積は建ぺい率の上限で決まる

土地を購入して家を建てる際、敷地面積いっぱいに建物を建てられるわけではありません。建物の最大サイズは、地域ごとに定められた建ぺい率によって制限されます。建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことで、以下の計算式で建てられる建築面積の上限が算出されます。


建築面積の上限=[ 敷地面積 × 建ぺい率 ]


自治体や土地の用途地域によって建ぺい率は異なるため、同じ敷地面積でも場所によって建築面積の上限が変わってきます。


いざ家を建てようとしたときに、「イメージより小さな家しか建てられない」とならないよう、購入前に必ず建ぺい率を調べておくことをおすすめします。そうすることで、どのぐらいの大きさの家を建てられるか正確に予想しやすくなるでしょう。




建ぺい率には緩和規定がある

実は、特定の条件を満たす土地では、建ぺい率が緩和され、計算上の上限よりも広い建築面積の家を建てることが認められています。敷地の条件によっては建ぺい率が最大10%加算されるケースもあります。少しでも広い家を建てたい方にとってはうれしいルールです。


《建ぺい率の緩和規定の代表例》
  • 角地緩和:敷地が二つの道路に面している場合や、特定条件を満たす角地にある場合
    • 防火地域内の耐火建築物:都市計画の防火地域または準防火地域内において、建物を耐火性能の高い建物で建てる場合


検討している土地が緩和規定の対象となるか、ハウスメーカーや建築士に確認してみましょう。



「水平投影面積」の考え方:2階建ての家はどの階の面積になる?

建築面積の基本ルールである「水平投影面積」を理解するうえで、「2階建て以上の建物の場合、どの階の面積が建築面積になるのか?」という疑問が浮かんだ方もいるかもしれません。建築面積となるのは、建物を真上から見たときに最も広く影が映る部分(面積が最大となる階)です。

一般的な住宅は、1階部分が2階よりも広いため、1階部分の面積がそのまま建築面積となります。しかし、特殊な設計で2階の方が1階の外壁よりも大きく突き出している場合は、2階部分が建築面積となります。

建ぺい率とともに建築面積の上限を把握した上で、敷地内でどのような配置、どのような形の家を建てたいかをイメージすることが大切です。


【場所別】建築面積に算入される?外周部分の具体的な考え方



建築面積は「建物を真上から見たときの面積」が原則です。建築面積に算入されるかどうか、場所別に具体的なルールを確認しましょう。


【バルコニー・ひさし・屋外階段】外壁から1m以内であれば算入しない

バルコニー・ひさし・屋外階段などを建築面積に算入するかどうかは、外壁からどのくらい突き出ているかによって判断されます。


建築基準法では、建物の端から水平距離1m以上突き出た部分がある場合、その突き出た部分の端から水平距離1m後退した線までを建築面積に含めることになっています。


このルールにより、ひさしやバルコニーが外壁から1m以内であれば、建築面積には算入されません。これを利用することで、建ぺい率を気にせずバルコニーやひさしを設置できます。



【屋根のあるカーポート】建築面積に算入するケース・しないケース

壁やシャッターなどのあるガレージ(駐車場)はもちろん、屋根と柱のみのカーポートも原則として建築面積に算入されます。これは、建築基準法において、屋根と柱・壁があるものはすべて「建築物」として扱われるためです。たとえ居住スペースでなくても、建築面積の計算対象となります。


ただし、高い開放性の条件を満たすカーポートについては、緩和措置の対象となります。その条件は次項の「壁がない構造(ピロティなど)の特例」と同じです。


【壁がない構造(ピロティ・車庫など)】の特例

カーポートや外気に開放されたポーチ、ピロティ(柱だけで壁がない空間)など、壁がない「高い開放性」のある建築物については、以下の条件全てを満たすと、建築面積の緩和規定が適用されます。

緩和規定が適用されると、建物の先端から1m後退した部分までは、建築面積に不算入となります。

《高い開放性を有すると認められる構造の4条件》
  1. 外壁を有しない部分が連続して4m以上であること
  2. 柱の間隔が2m以上であること
  3. 天井の高さが2.1m以上であること
  4. 地階を除く階数が1であること


この緩和規定は、主に防火地域・準防火地域内における制限として定められています。一般的なカーポートの緩和措置も、上記の開放性の条件が適用されることが要件です。



【出窓】建築面積に算入されない条件

デザイン性や採光性のために設けられる出窓についても、以下の全ての条件を満たせば、建築面積に算入されません。出窓が建築面積に算入されないことで、建ぺい率を気にせずに間取りの幅を広げることができます。


《出窓が不算入となる主な要件》

  1. 床面から30cm以上の高さに設けられていること
  2. 壁から突き出た部分の水平距離が50cm未満であること
  3. 見付面積の半分以上が窓などの開口部であること


これらの条件を満たさず、単に床を広げるように設置された出窓は、一般的な床の延長とみなされ、建築面積に算入される場合があるので注意が必要です。


参考:国土交通省「床面積の算定方法について」


家づくりで後悔しないための建築面積の確認方法と注意点



家づくりを進める中で、建築面積は一度決めたら簡単に変えられません。完成後のトラブルを防ぐためにも、実用的な確認方法と注意点を知っておきましょう。


建築面積が記載されている書類(確認済証・検査済証)

建物の建築面積や延床面積といった情報は、以下の公的な書類で最終的に確認されます。設計段階においては、設計図書で確認し、完成時には検査済証を確認することが大切です。


書類名内容確認タイミング
建築確認済証建築計画が法規に適合していることを証明する書類。計画上の建築面積の上限(建ぺい率)が守られているか、この申請図面でチェックされる着工前
(建築確認申請時)      
検査済証建物完成後、建築確認済証通りに建てられたか、自治体や指定機関が検査し発行する書類。最終的な建築面積が確定する建物完成・引渡し前
登記事項証明書    建物が完成し登記された際に発行される公的書類。延床面積は記載されるが、建築面積自体は原則として記載されない建物完成・登記後


設計図書(平面図)を受け取ったら、設計士任せにせず、バルコニーやひさしが1mを超えていないかなど、算入ルールの特例が適切に適用されているかを確認し、疑問点はその都度質問しましょう。


建築面積をオーバーした場合のリスク

最終的に建築面積が建ぺい率の上限を超えてしまった場合は、「建築基準法違反」となります。違反が発覚した場合、自治体から違反部分の撤去や増築部分の解体といった是正命令が出される可能性があります。


住宅ローンの審査に通りにくくなったり、将来的に建物を売却する際に担保価値が認められなかったりするケースも。また、火災保険や地震保険の加入を断られたりするリスクが発生する可能性もあるため注意が必要です。


仮に、設計士や施工業者のミスで建築面積がオーバーした場合でも、最終的な責任は施主が負うことになります。信頼できる業者を選ぶとともに、計画段階でルールを理解し、面積を把握しておくことが何よりも大きな対策となります。


【関連記事】大手ハウスメーカーの特徴を一覧で比較!工務店との違いやおすすめポイント


建築面積の意味や計算方法を知って、新しい家づくりに役立てよう



今回は、建物の最大サイズを決める「建築面積」について、その意味や延床面積・敷地面積といった他の面積との違いを解説しました。


建築面積は、土地ごとに定められた建ぺい率によって厳しく制限されますが、バルコニーの1m緩和や角地緩和といった特例を上手に活用することで、敷地を最大限に活かした家づくりが可能になります


建築面積や建ぺい率といった基本的なルールを理解しておくことが、スムーズに家づくりを進めるための第一歩となります。ぜひこの記事で学んだ知識を活かし、イメージ通りの家づくりができるとよいですね。

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