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天井の高さの平均は?高天井のメリット・デメリットや選び方、空間演出のコツ

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2025-06-09
間取り・設備

住まいの天井の高さの平均をご存知ですか?開放感や快適性、住み心地に大きく影響する天井高は、注文住宅で後悔しない家づくりをする上で非常に重要なポイントです。今回は、一般的な住宅における天井高の平均から、建築基準法上の最低基準、高天井のメリット・デメリット、場所別の天井高の決め方、さらには空間を広く見せるデザインのコツまで、家づくりのプロが徹底解説します。


天井の高さの平均はどれくらい?


床の仕上げ面から天井までの寸法を表した「天井高」。その高さによって開放感を得られることもあれば、圧迫感を感じることもあります。まずは、天井の高さの平均を、建築基準法の制限や長期優良住宅の認定基準と合わせて確認しましょう。


一般的な天井の高さは2,400mm程度が目安

一戸建ての天井の高さの平均は、2200〜2400㎜(=2.2〜2.4メートル)が一般的とされています。マンションの天井高も2,400mmが平均ですが、近年では明るく開放的な空間を求めるニーズが高まっており、2,500mmの天井高を採用するマンションも増えています。


注文住宅を建築する場合は、ハウスメーカーによって標準天井高が複数設定されていたり、オプションで低く、または高くしたりできるケースがあります。天井高の選択肢もハウスメーカー選びの重要なポイントになるでしょう。


建築基準法による最低基準は2,100mm

建築基準法では、「居室の天井の高さは、2.1メートル以上でなければならない」と定められています。ここでいう「居室」とは、リビング、ダイニング、寝室など、人が長時間過ごす部屋を指します。


そのため、トイレや洗面所、浴室、廊下、収納スペースといった「非居室」については、2,100mmを下回る天井高でも問題ありません。


また、「天井の高さは、室の床面から測り、一室で天井の高さの異なる部分がある場合においては、その平均の高さによるものとする」とも記されており、勾配天井のように、一室の中で天井の高さが異なる部分がある場合は、その平均の高さが基準となります。


参考:e-Gov 法令検索「建築基準法施行令第二十一条」

【関連記事】勾配天井とは?メリット、デメリットと後悔しないための対策ポイントを解説


長期優良住宅における考え方

天井の高さは、直接的に長期優良住宅の認定基準として数値が定められているわけではありません。しかし、長期優良住宅の性能項目のひとつである「可変性(将来的な間取り変更や設備更新に柔軟に対応できる構造のこと)」と関連して、高天井が有利に働くケースがあります。


共同住宅では、メンテナンス対応と居住空間確保のために、躯体天井高さ2,650mm以上を認定基準としている場合があります。戸建て住宅の場合でも、この高さが将来的なリフォームや間取り変更の自由度を高める一つの目安となります。


参考:一般社団法人住宅性能評価・表示協会「長期優良住宅認定制度の概要について」

【関連記事】長期優良住宅とは?条件やメリット、申請時の注意点をわかりやすく解説


家の天井を高くするメリット


マイホームを検討する際、天井の高さで悩む方も多いですよね。まずは、家の天井を高くすることで得られるメリットを見ていきましょう。


開放感を得られる

天井を高くすると、空間に縦の広がりが生まれ、開放感のある住まいになります。開放感を感じるための条件として「広いこと」が挙げられますが、部屋の広さを変えられない場合でも、天井を高くするだけで、閉塞感や圧迫感がぐっと軽減され、ゆとりを感じられるでしょう。


採光や通風を取り入れやすい

天井を高くすると、高い位置に大きな窓を配置できるようになります。これにより、より多くの自然光を取り入れられ、窓を開けた際の通風効果も高まります


特に住宅密集地では、周囲の建物によって光が遮られがちです。部屋の奥まで光が届きやすくなり、明るさを確保するためには、窓の配置を工夫して高い位置からの採光を確保することがポイントです。


天井の高さを活かしたインテリアを楽しめる

デザインの自由度や可変性が高く、縦の空間を有効活用できるのは、天井が高い家ならではのメリットです。背の高い家具や大型の観葉植物を設置したり、壁の広さを活かして大胆なアートやデザイン性の高い壁面収納を取り入れたりするのもよいでしょう。


また、ペンダントライトやシャンデリアなど、存在感のある照明器具を選んだり、シーリングファンを設置したりと、インテリアの選択肢が大きく広がります。ロフトやスキップフロアなど、空間を立体的に活用する間取りにも相性抜群です。


家の天井を高くするデメリット


住宅の天井を高くするには、魅力的なメリットがある一方で、考慮すべきデメリットもあります。理想の住まいを実現するために、これらの点もしっかりと把握しておきましょう。


建築コストがかかる

天井の高い家は、その分、壁の面積や使用する建材(壁紙や断熱材など)が増えるため、建築コストが高くなる傾向があります。構造材やカーテン・ブラインドなども長尺のものが必要になったり、高所作業が増えたりすることで、施工費などのコストが上がる可能性もあります。


天井高による予算への影響を事前に把握し、全体の予算計画を含めて検討することが大切です。


冷暖房効率が下がり、電気代が高くなる

天井が高く空間が広がると、部屋の容積が増えるため、冷暖房の効率が下がり、電気代が高くなる可能性があります。


特に、冬場は足元が冷えやすく、夏場は天井付近に熱がこもりやすくなります。光熱費を節約するためには、不必要な広さや高さを求めるのではなく、メリハリのある家づくりを行うことが大切です。シーリングファンを設置して空気を循環させる、床暖房を導入するなどの対策も有効です。


メンテナンスに手間・費用がかかる

天井が高いと、掃除やメンテナンスに手間と費用がかかります。たとえば「梁」を出して天井に高さを出している住宅では、ほこりが溜まりやすく、定期的な掃除が大変です。


また、照明やエアコンを高い位置に設置してある住宅は、電池交換やエアコンフィルターの清掃なども、脚立を使っても届かない場合は自分で行うことができません。高所作業には危険が伴うため、専門業者に頼むことが必要が出てくる可能性があることを覚えておきましょう。


【場所別】理想の天井高を検討するときのポイント


家全体の天井を一律に高くすることが、必ずしも最適な住心地につながるわけではありません。部屋の用途や機能に合わせて天井高を変えることで、空間にメリハリが生まれ、より快適で過ごせる住まいとなります。ここからは、場所別に理想の天井高を考えるときのポイントをご紹介します。


リビング・ダイニング|開放感とくつろぎのバランスを重視する

家族が集い、来客をもてなすリビングは、開放感と明るさを特に重視したい空間です。2.4〜2.7mほどの天井高があれば、採光を確保しやすく、明るい雰囲気になります。さらに、吹き抜けや勾配天井を採用することで、おしゃれでより開放的な空間を演出できるでしょう。


一方、椅子に座って食事をするダイニングは、リビングほどの高さは必須ではありません。座ったときの目線は約1.1mなので、その倍の2.2m程度の天井高が確保できていれば十分に快適に過ごせます。


近年主流となっている、リビングとダイニングが一体となった間取りの場合、あえてリビングとダイニングの天井高を変えることで、空間に緩やかな区切りとメリハリが生まれ、リビングの天井の高さを際立たせる効果も期待できます。


【関連記事】【事例紹介】吹き抜けのある家を建てたい!間取りやメリット・デメリット


キッチン|機能性と快適性の両立を考える

キッチンは、レンジフードや吊り戸棚、レンジ台など、さまざまな設備が配置される空間です。それら設備の高さと使い勝手を考慮して天井高を決めましょう。


キッチン本体の高さはJIS規格で80〜95cmのいずれかに定められており、そこに他の設備の高さを加えると、2.3mほどの天井高が欲しいところです。ただし、吊り戸棚の位置などは、身長や使用頻度に合わせて高すぎないよう配置するなど、使い勝手を最優先に考えることがポイントです。


寝室|落ち着いた空間で安眠を促す高さにする

心身を休め、リラックスした時間を過ごす寝室は、落ち着きと安心感を重視したい空間です。そのため、リビングのように開放感を追求するより、天井をやや低めに設定する人が多く見られます。


居室としての最低条件である2.1mを満たし、かつ、ベッドの高さに1mを加えた天井高を最低限確保できるとよいでしょう。


玄関・廊下|空間の広がりや明るさを意識する

玄関は、家の第一印象を決める重要な空間です。玄関ドアのサイズを基準に天井の高さを検討するのが一般的です。


最も採用されることの多い玄関ドアの高さは2.2〜2.3mです。玄関で靴を脱いであがる上がり框の段差(通常18〜20cm程度)のことも考えて、2.4〜2.5mほどの天井高をとっておくと、ドアを開けた際の開放感と使いやすさのバランスがよい空間になるでしょう。


また、移動のための廊下をあえて低めの天井に設定し、その先のリビングの天井を高くするなど、天井高を工夫することで、圧迫感を軽減し、奥へ続く空間の広がりを演出できます。


和室|低めの天井で落ち着いた空間を演出する

畳の上に座ったり、寝転んだりして過ごすことが多い和室は、天井をやや低めにすることでより落ち着いて過ごせる空間となるでしょう。和室の広さにもよりますが、具体的な天井高としては、2.1〜2.3mほどがおすすめです。


ただし、リビングの一角に小上がりの和室を設ける場合は、小上がりの高さ(段差)を考慮し、LDK全体とのバランスを考えて天井高を決めることが大切です。


浴室|室温維持と換気を考慮する

多くの住宅で採用されているユニットバスは高さは、1.8〜2.0mが主流です。浴室を他の居室に比べて低めにする理由としては、「浴室内の室温を効率的に保ちやすい」ことや「カビなどが生えやすい天井面を掃除するのに便利」といった点が挙げられます。


子供部屋・書斎|用途や学習環境に合わせる

子供部屋や書斎の天井高は、その部屋の用途や、そこで過ごす時間、学習環境に合わせて検討しましょう。子ども部屋は、成長に合わせて家具の配置が変わることを想定し、一般的な2.4m程度の天井高にしておくと無難です。


書斎は、集中できる落ち着いた空間として2.2m〜2.4m程度の天井高が適していますが、開放感を求めて高くすることも可能です。将来的なリフォームやライフスタイルの変化にも対応できるよう検討しましょう。


天井を高く見せるためのデザイン・照明テクニック3選


実際に天井の高さを変えられない場合でも、デザインや照明の工夫次第で、視覚的に空間を広く、天井を高く見せることは可能です。ここでは、手軽に実践できるテクニックを3つご紹介します。


1.照明を工夫する

照明は、空間の印象を大きく左右する重要なポイントです。天井や壁を照らす間接照明は、光を上部に拡散させ、天井を高く見せる効果があります。特に、天井と壁の境目を照らす「コーブ照明」などは、視線が上へ誘導され空間に奥行きを生み出します。


また、天井に埋め込むダウンライトは、天井面をすっきりと見せ圧迫感を軽減する効果があたtり、ペンダントライトやシャンデリアなど、上から光を放つタイプの照明は、光が上部全体に拡散され、低い天井を高く見せることができます。床から天井へ光を当てるフロアライトも、縦のラインを強調し、広々とした印象を与えられるでしょう。


2.背の低い家具を選ぶ

家具の高さも、部屋の印象を大きく左右します。ソファやテレビボード、キャビネットなど、背が低いロータイプの家具を選ぶと、天井から家具までの空間が広がり、視覚的に天井が高く見えます。


また、白やベージュなどの明るい色の家具、脚が細い、ガラス素材など透け感のあるデザインの家具を置いた方が、より天井を高く見せられます。


3.垂直ラインを強調できるカーテンを選ぶ

窓に設置するカーテンも、天井を高く見せるための重要なアイテムです。特に、リビングなど大きな窓を配置する部屋では、カーテン選びも一工夫するとよいでしょう。


カーテンは、床にすれるか、わずかに浮く程度の長さを選ぶことで、、窓辺に縦のラインが強調され、天井がより高く見えます。カーテンの色味はやわらかな印象のものを選ぶと、部屋全体が軽やかな雰囲気となり、低い天井の圧迫感を軽減できます。


カーテンレールに関しても、窓枠のすぐ上ではなく、できるだけ天井に近い位置に設置すると、視線が上へと誘導され、窓自体が大きく、天井が高く感じられる効果があります。


大手ハウスメーカーで理想の天井高を実現


大手ハウスメーカーで注文住宅をご検討中の方もいるでしょう。ハウスメーカーによって天井高の標準仕様は異なりますが、2,400mm(2.4m)が一般的です。


標準仕様よりも天井を高くしたい場合は、オプションで対応してくれるハウスメーカーが多いので安心してください。ただし、高さの上限はハウスメーカーや選ぶ商品によって違うため、特定の天井高にこだわりを持っている場合は、早めに確認しておくことが大切です。


住宅展示場などを訪れて、実際に確かめてみるのがオススメです。写真や図面だけでは伝わらない、実際の雰囲気を確かめることで、理想の天井高を具体的にイメージできるでしょう。


【関連記事】大手ハウスメーカーの特徴を一覧で比較!工務店との違いやおすすめポイント


まとめ|住まいの天井高は目的と場所に合わせて検討しよう


今回は、住宅の天井の高さの平均や建築基準法上の最低基準、高い天井のメリット・デメリット、そして場所別の天井高の考え方までくわしくご紹介しました。高い天井は、開放感や採光を取り入れやすいといった魅力的なメリットがある一方で、建築コストの増加や冷暖房効率の低下といったデメリットも伴います。


理想の住まいを実現するためには、リビングや寝室など、各部屋の用途や目的に合わせて天井高を検討することが大切です。天井高にメリハリをつけることで、より快適で機能的な空間が生まれるとよいですね。

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