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縁側のある家のメリット・デメリット。つくる際のポイントと実例を紹介

家選びネット公式 (ie-erabi.net) 2024-11-11
間取り・設備

最近では「縁側のある家」に魅力を感じ、モダンな形で取り入れている注文住宅も増えています。今回は、縁側の役割や魅力、縁側のある暮らしのメリット・デメリットをご紹介します。間取りの実例とつくる際のポイントなども解説しますので、家づくりの参考にしてみてください。


縁側とは、屋内と屋外との間にある板張りの空間のこと


縁側とは、部屋と庭との間にある板張りのスペースのこと。古くからの日本家屋に見られる独特な構造であり、屋内と屋外をつなぐ役目を果たします。


純和風の家は減少傾向にありますが、近年は縁側のよさが見直され、注目されるようになりました。新築住宅や賃貸物件のほか、中古住宅をリノベーションする際などに縁側を設けるケースも多くあります。


縁側の役割や魅力とは

日本家屋において、縁側は廊下や居室と外部を調和させる役割を担っています。家族で外の風景を楽しんだり、近所の人と世間話をしたりするスペースとして機能的に取り入れられてきました。


また、縁側には心地よい空間としての役割だけでなく、快適な暮らしを実現する効果もあります。外部と居室の間にワンクッションスペースがあることで、部屋に夏の直射日光が入ることを防ぎ、冬は陽だまりのような暖かな空間をつくります。


さらに、外部につくる縁側は、掃き出し窓とセットで設けるニーズが高いです。室内と庭とをつなぐ中間スペースとして、「自由で多目的に使える空間」「外観上のアクセント」など幅広く活用されています。


縁側の種類や特徴


縁側には、大きく2つの種類があります。ここからは、それぞれの特徴をご紹介します。


くれ縁(内縁)

くれ縁(内縁)とは、雨戸や窓の内側に設けられた縁側のことです。屋内に設けるので、雨に濡れることなく外の景色を楽しめるほか、部屋と部屋をつなぐ廊下のような役割も果たしています。


屋内空間ではあるものの、部屋とは建具などで仕切られているのが特徴。くれ縁のうち、幅を広く取ったものを「広縁(ひろえん)」と呼びます。


濡れ縁(外縁)

濡れ縁(外縁)とは、雨戸や窓の外側に設けられた縁側のことです。屋外にあり雨に濡れてしまうことから、「濡れ縁」と呼ばれています。


生活するスペースである屋内にホコリなどが入りにくいように、屋内とは一段下げた場所に設置する「落ち縁」も、濡れ縁の一種です。


ウッドデッキとの違いは、軒があること

縁側と同じような用途として使うスペースに、「ウッドデッキ」があります。縁側とはどのような違いがあるのでしょうか。


縁側とウッドデッキの違いは、上部をカバーする軒があるかないかです。基本的に、縁側は軒下に収まる大きさであるのに対して、ウッドデッキは軒から大きく張り出しています。


そのため、縁側は家の一部分、ウッドデッキは家とは独立した外構の一部として捉えられるケースが一般的です。



縁側のある家のメリット



住宅に縁側を設けることで、以下のようなメリットがあります。


室内温度を快適に保てる

縁側を設置するメリットのひとつに、夏の暑さと冬の寒さをコントロールする機能によって、1年を通して快適な室内温度を保てることが挙げられます。


縁側を南に面して設置した場合、太陽の位置が高い夏は、縁側や軒によって直射日光を遮れます。一方で、太陽の位置が低くなる冬は、暖かな日光を積極的に室内に取り込める効果も。日光を上手に活用することで室内の温度を快適に保て、省エネ効果も期待できるでしょう。


風通しがよくなる

縁側をつくる場合、大きな掃き出し窓を設置し開口部を広く採るのが一般的でしょう。そのため、広い開口部を活かして居室に多くの風を取り込むことができるのも魅力の一つです。


とくに近年人気が高まっている平屋は、周囲よりも建物が低く、四方を建物で囲われてしまうと風通しが悪くなるといったデメリットがあります。縁側の大きな窓を活かすことで、風の流れが生まれ、心地よい空間をもたらすでしょう。


屋内と屋外をつなぎ開放的な空間が生まれる

縁側によって内と外が緩やかにつながることで、空間に広がりが生まれる効果もあります。リビングの開放感を重視するなら、段差をつけず、リビングから縁側の床をフラットに続くように設置するのがおすすめです。


床材や天井材も室内と縁側で統一すると、より一体感が生まれおしゃれな空間をつくり出せます。扉を開け放せば、アウトドアリビングのような活用もできるでしょう。


【関連記事】アウトドアリビングとは。つくり方や間取りの実例、注意点を解説


コミュニケーションスペースとして活用できる

縁側は、住む人の憩いの場として、コミュニケーションを育みやすいのも嬉しいポイントです。庭で子どもたちを遊ばせながら夫婦で縁側に座ってリラックスしたり、友人を招いてバーベキューを楽しむ際にくつろいだりと、気軽な交流をもたらしてくれるでしょう。


庭の植栽や借景を楽しめる

縁側には屋外と室内をつなぐ役割があるため、庭の植栽や景色を楽しむ場としても活用できます。庭にある植栽の色づきで季節の移り変わりを感じたり、自然の風景を庭の一部として生かす「借景」も楽しんだりすることができるでしょう。


ほかにも、庭で採れた野菜の下処理やDIY、工作など、外の風景を感じながら多様な活動を楽しむ場としても利用できます。


縁側のある家のデメリット


魅力的なメリットが多い縁側ですが、デメリットもあります。縁側を設置する際は、デメリットに配慮した設計が不可欠になるため、あらかじめ具体的な内容を確認しておきましょう。


土地の広さを確保する必要がある

縁側をつくる際は、その分の土地や建物のスペースを確保する必要があります。建ぺい率や容積率などの建築制限によっては、思い描いた縁側の広さを確保できないケースも出てくるでしょう。


例えば、くれ縁(内縁)は、敷地面積に対する建築可能な面積の割合を指す「建ぺい率」に含まれます。建ぺい率いっぱいに家を建てる場合、くれ縁をつくることで部屋が狭くなり使いづらいと感じる可能性もあるでしょう。


そのため、家を設計する際は縁側の利用目的や必要性、広さを十分に検討することが大切です。


【関連記事】建ぺい率とは?計算方法や容積率との違いをわかりやすく解説!


プライバシーの確保や防犯面に心配がある

縁側は屋外に開けたオープンな空間が魅力のひとつですが、プライバシーの確保や防犯面は気をつけたいポイントです。プライバシーの確保などを意識して目隠し壁を設置するケースもありますが、縁側からの景観が悪くなるといったデメリットも考えられます。


縁側を設ける際には、外部からの視線が気になることを念頭に、「目隠し壁と植栽を組み合わせる」「ロールスクリーンで外からの視線を遮る」といった工夫が必要でしょう。掃き出しタイプの開口部についても、「防犯合わせガラスを使う」「シャッターを設置する」など、あらかじめ防犯対策をしておくのがおすすめです。


縁側のある家の間取り実例


ここからは、縁側のある家の間取りをご紹介します。縁側のある家をつくる際の参考にしてください。


<間取り1>景色を楽しめる縁側と「深い軒のある平屋」の家

縁側でゆったりと自然の景色を楽しみたい、という方もいるのではないでしょうか。深い軒の下に縁側を配置し、天気に関係なく外の景色を楽しむことができる平屋の間取り実例があります。


全ての居室を縁側に面して配置し、窓は天井と同じ高さのものを選定。窓を開ければ、縁側までがワンルームであるかのような開放感が得られます。光や風が家の中を通り抜ける、自然を感じられる住まいとなるでしょう。


<間取り2> スタイリッシュなデザインに「格子戸や縁側が調和する和モダンの家」

和のイメージがある縁側ですが、現代風の家にもよく合います。スタイリッシュなイメージの屋内と縁側との間に格子戸を設けた、和風とモダンがセンスよく調和した間取りもおすすめです。


夜には、やさしい明かりが格子戸を照らします。和の趣がある庭を眺めながら過ごす時間は、癒しのひとときとなるでしょう。


<間取り3>「白木の縁側で明るさを演出」する洋風の家

洋風建築の家にも、縁側は取り入れられます。濡れ縁に使用する建材を白木にすることで、洋風の家にも違和感なくマッチした間取りを実現できるでしょう。縁側が明るい空間となることで植栽の緑が引き立ち、シンプルでオシャレな外観を演出。庭が家族の憩いの場所となります。


<間取り4>中庭に面した縁側で「バーベキューを楽しめるモダンな家」

縁側を中庭に面した間取りにすると、人目を気にせずに過ごせます。プライバシーを確保しながら、縁側に腰かけ、バーベキューやランチなど家族団らんの時間を過ごせるでしょう。物干し竿が設置できるつくりになっていると、実用的な使い方も可能です。


縁側の価格相場


縁側の暮らしに憧れはあるものの、新築時の設置費用が気になる方もいるのではないでしょうか。


縁側の設置費用は、縁側の広さや使用建材などによって異なります。また、屋内に設置する「くれ縁」なのか、屋外に設置する「濡れ縁」なのかによっても変わるでしょう。


一般的な価格相場は以下の通りです。


  • 濡れ縁の場合:15,000円/㎡程度(床のみの工事)
  • くれ縁の場合:100,000円/㎡程度


壁や窓、屋根の設置費用がかかる「くれ縁」の方が、濡れ縁よりも価格が高くなります。一方の「濡れ縁」は、建物の外側に設置するだけなので、くれ縁よりも費用を抑えることが可能です。床材の種類によっても価格は異なるため、事前に施工業者に確認しておくとよいでしょう。


なお、濡れ縁は、簡易的なものであればあとから設置することも可能です。建築費を踏まえて「新築時に設けるのか」「将来的に設けるのか」についても検討しましょう。


新築で縁側をつくる際の注意点・ポイント


新築で縁側をつくる際、どのような点に注意するとよいのか、ポイントを見ていきましょう。


<ポイント1>縁側をつくる目的を明確にする

注文住宅において縁側を検討する場合、設置の目的を明確にすることが大切です。「縁側のある家に憧れる」「あると便利そう」などと漠然とした理由でつくってしまうと、使い方に悩み、失敗したと感じる原因にもなりかねません。


例えば、「庭の植栽を楽しみながら、物干しスペースとして活用する」「家庭菜園やDIYの作業スペースとして利用する」など、理想の暮らしにおける具体的な活用方法を想像しましょう。


縁側の使い道が具体化されることで、設計プランに希望を反映しやすくなり、より快適な縁側が実現できます。


<ポイント1>設置場所に注意する

縁側は、設置する場所に気をつけることもポイントです。縁側を設ける魅力のひとつに、人との交流が生まれやすいことが挙げられますが、近年は防犯面が気になる方も多いでしょう。


縁側はリビングに面して設けるケースが多いため、設置する際は以下の点を意識するのがおすすめです。

  • 外部から簡単にアクセスできない位置に設計する(中庭など)
  • 人通りの多い方向への設置を避ける
  • 外部から見えにくいように外構にフェンスを設置する


<ポイント2>縁側のイメージを固めておく

ポイントの3つ目は、どのような縁側をつくりたいのか、事前にイメージを固めておくことです。ハウスメーカーや建築家との打ち合わせ時は、設置場所を屋内にするのか屋外にするのかだけでなく、縁側に求める理想のデザインを伝えられるようにしておくとよいでしょう。


また、濡れ縁は家の外部に設置するため、その上の屋根のデザインや使い勝手についても検討が必要です。濡れ縁の上にひさしを設けて屋根にする方法以外にも、「平屋の軒を長く伸ばして屋根にする」「2階のテラスや部屋の下に縁側をつくる」などさまざまな方法があります。


縁側のイメージが明確なことで、施工業者との打ち合わせもスムーズに行えるでしょう。


【関連記事】軒とは?軒先・軒下・軒天の意味やメリット、軒ゼロのデメリットやリスク対策


<ポイント4>庭の計画やメンテナンスを検討する

庭の計画やメンテナンスについてもセットで検討しましょう。縁側をつくったことで庭のスペースが狭くなっては、縁側の魅力が損なわれてしまいます。そのため、敷地面積に応じて、庭と縁側のバランスを考えることが大切です。庭にある程度の広さがあることで圧迫感が軽減され、室内から屋外に向けて空間の広がりを感じられるでしょう。


また、濡れ縁は外部に設置されているため、日々のメンテナンスも必要です。縁側の素材によっては、雨による劣化を想定して防腐剤や防水剤などを塗布しましょう。こまめな掃除や、定期的に庭の手入れをすることで、リラックスした空間を維持できます。


ハウスメーカーでつくる縁側のある家


大手ハウスメーカーは、豊富な実績やノウハウが魅力です。縁側のある家の間取りについても、さまざまなパターンを提案してくれるでしょう。


経験豊富な営業担当者なら、縁側のある家に対する疑問などにも親身に相談に乗ってくれます。住宅展示場に足を運んだりホームページを確認したりして、ハウスメーカーで縁側のある家を建ててみてはいかがでしょうか。


【関連記事】大手ハウスメーカーの特徴を一覧で比較!工務店との違いやおすすめポイント


縁側のある家で理想の住まいを叶えよう


縁側のある家は、近年、新築時や中古住宅のリノベーション時などに「実用的な使い方もできる」と人気の間取りです。縁側を設けることで、四季を感じられる開放的な空間づくりができるといったメリットがあります。一方、防犯面が心配といったデメリットもありますが、設置場所やフェンスの設置などの工夫によって回避もできるでしょう。


平屋や洋風、和モダンといった家のイメージに合わせた間取り実例などを参考にして、縁側のある理想の家づくりを実現させてみてはいかがでしょうか

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