
「建売住宅の購入はやめたほうがいい?」理由やメリットを徹底解説
建売住宅の購入を検討する場合に、「やめたほうがいい」という意見が気になる方もいるでしょう。建売住宅を購入するときには、失敗や後悔した体験談、選ぶときのポイントを知っておくことが大切です。
今回は、建売住宅と注文住宅との違いや、建売住宅を購入するメリット・デメリットを紹介します。後悔しないためのポイントも解説していますので、家選びの参考にしてください。
建売住宅とは?注文住宅との違い
建売住宅とは、土地と建物がセットになって販売されている物件のこと。不動産会社やハウスメーカーが仕入れた土地に住宅を建てて、購入者に販売するものです。
以前は建築済みの物件販売が主流でしたが、近年では建築中や着工前など未完成の状態から販売されることも増えています。販売されるタイミングはさまざまですが、デザインや間取りなどの設計プランがあらかじめ確定しているのが建売住宅共通の特徴です。
注文住宅は、間取りや内装、外観などを一から決めていく一戸建て住宅です。ここでは建売住宅と注文住宅の違いを、4つの観点から簡単に解説します。
設計の自由度
建売住宅は既に建設プランが決まっているため、建設済み・建設中の物件の中から自分たちの希望にあったものを選択します。注文住宅は土地の場所や広さ、建物の間取りや設備のグレードなどを施主が不動産会社やハウスメーカーと相談しながら設計できるのが特徴です。
価格
設計プランが決まっている建売住宅は販売価格が決まっていますが、個別設計の注文住宅は住宅の大きさや間取り、選ぶ設備によって価格が決まります。
また、人件費を含んだ価格で販売する建売住宅に対し、注文住宅の場合は設計士やインテリア、エクステリアなどの担当者が希望に沿った家づくりをサポートするため、関わる人材や工数が増えるほど追加で人件費がかかります。
打ち合わせの回数
建売住宅は自分たちで決める項目が少ないため、家の引き渡しまでにかかる打ち合わせの回数も少なく済みます。自由度が高い注文住宅は、外観や間取り、設備のグレード、デザインや色など、決めなければならない項目が多岐に渡るため、打ち合わせを行う回数が多くなります。
入居までにかかる期間
既に完成している建売住宅であれば、建築期間がかからず契約だけで済むため、住宅ローンを組む場合でも1カ月〜3カ月程度で入居できるケースが大半です。一方、注文住宅は一から間取りを考えて家づくりを進めるため、一般的には資料請求から入居まで1年〜2年程度かかると言われています。
建売住宅はやめたほうがいいと言われる理由
「建売住宅の購入はやめたほうがいい」という意見を聞くことがあります。どのような理由によるものなのか、詳しく見ていきましょう。
間取りの自由度が低い
大きな理由のひとつが、間取りの自由度が低い点です。家族の人数や年齢、ライフスタイルに関わらず、あらかじめ間取りが決まっているため、立地や広さが気に入った建売住宅でも、「リビングは隣接する部屋とつながった間取りがよかった」「不要な勝手口がある」ということがあるかもしれません。
外観のデザインで個性を出せない
建売住宅は建設資材を一括注文し、同じ規格の住宅を複数建てることでコストを抑えます。そのため、分譲地などで同時期に建設された住宅は、似たような外観になることがあります。
外観で個性を出したい、他の家と同じような見た目に抵抗があるという方には向いていないでしょう。
工事中の様子がわからない
建設後の建売住宅を購入する場合、建設中の様子がわからないことが不安要素になることもあります。
建売物件は施行会社や分譲元が必要な検査を行ったうえで販売していますが、自分の目で確認していないことで、入居後に不具合があったときに「手抜き工事がされたかもしれない」「欠陥住宅なのではないか」と心配する声が聞かれることもあります。
建売住宅を購入する5つのメリット
ここからは建売住宅の5つのメリットをご紹介します。
1.注文住宅よりも低価格で購入できる
住宅市場では、一般的に建売住宅のほうが注文住宅よりも低価格で購入できる傾向にあります。まとめて土地を購入し、決まったプランの資材をまとめて調達することでコストを抑えられるからです。
個別に相談するコストや資材費を抑えた状態で価格を決定するので、予算が同じであっても建売住宅のほうが設備面にコストをあてられ、高品質な家になる可能性があるのです。
2.契約前に物件を確認できる
内部の防音性や生活動線などについて、注文住宅の場合、図面上での確認はできますが、事前に確認することはできません。
それに対し、住宅購入前に実際の物件内を確認できるところも建売住宅のメリットです。周辺環境や近隣の住宅との距離、窓の位置や採光、部屋の広さや天井の高さを見学したうえで購入を検討できます。
建物の細部はもちろん、図面上ではわかりにくい質感や雰囲気も把握できるため、イメージと違ったという後悔が少ないことが特徴です。
3.入居までの期間が短く済む
間取りや資材、設備を一つひとつ決める注文住宅は入居までに長い期間を必要とします。一方、完成済みの建売住宅は家を建てるための事前準備や内装・設備、検討手続きなどに時間をかけずに一戸建ての購入が可能です。
建売住宅は、家族の年齢やライフプランなどによって、時間や手間をかけずにマイホームを購入したい方に向いていると言えるでしょう。
4.資金計画が立てやすい
注文住宅は自分たちで設備の種類やグレードを選択し、必要によっては追加工事も行うため、当初の予算から変動がある可能性があります。建売住宅は購入価格が決まっており、資金計画が立てやすい点がメリットです。
予算がスムーズに決まると、新居の家具・家電や引っ越しにかかる費用、入居後の生活の見通しが立ちやすくなります。
5.住宅ローンが組みやすい
建売住宅と注文住宅では、住宅ローンの借り方に違いがあります。一般的に、住宅ローンは住宅が完成した際に融資が実行されます。また、土地の購入から始める場合は、土地代や着工費など建設途中に支払いが必要になることがあります。
その際、住宅ローンの資金はあてられないため、住宅ローンを担保とした融資(つなぎ融資)が必要です。土地と建物がセットで販売されている建売住宅では、土地と建物にかかる費用をまとめて借りられるため、審査や手続き、支払いがスムーズに行えます。
後悔しない建売住宅選びのポイント
建売住宅を購入してから後悔しないためには、以下のポイントを押さえたうえで購入を検討しましょう。
立地や周辺環境に不安がない
建売の新築住宅を購入する際はつい建物に意識がいきがちになりますが、立地や周辺環境を確認しておくことも重要です。徒歩で通勤や通学をする場合は、バス停や駅までの距離や本数を、車通勤の場合は交通量を調べておきましょう。
街灯の明るさや繁華街からの距離によって、周辺環境の印象は変わります。昼と夜、平日と休日でも周辺の雰囲気が変わるため、さまざまなタイミングで周辺を見学することをおすすめします。
また、万が一災害が起こることも想定して、ハザードマップや避難経路も確認しておくといいでしょう。
間取りがライフスタイルに合っている
購入の候補となる建売住宅が決まったら、間取りが自分たちのライフスタイルに合っているかを確認しましょう。「家具を配置した際に部屋や通路が狭くならないか」「荷物の量と収納スペースの広さが合っているか」「家電を置きたい場所にコンセントがあるか」など、快適に暮らせるイメージと実際の建物を具体的にすり合わせておくことが大切です。
また、5年後や10年後の暮らしをイメージして内覧しておくと、将来の見通しが立てやすいです。子育てや介護、老後など変化していくライフスタイルに対応できるかも念頭に置き、部屋の広さや数、生活動線で気になる部分がないかをチェックしましょう。
建築会社が信頼できる
契約後に不安が残らないよう、信頼できる建設会社の住宅を選ぶこともポイントです。引き渡しから10年間は、施工業者が「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」を負うことが法律で定められています。
瑕疵担保責任とは、土地や建物などの売買物件に不具合や欠陥が見つかった際に、売主がその責任を負うもの。このほかに、どのようなアフターサービスがあるかについても確認しておきましょう。
点検やメンテナンスの間隔や内容に納得したうえで契約した住宅であれば、入居後に気になる部分があった際に相談しやすくなります。また、住宅性能表示制度を取り入れているかを確認するのもいいでしょう。
大手ハウスメーカーが手がける建売住宅
大手ハウスメーカーが建築する建売住宅は、独自の技術や知見、実績を活かした家づくりが魅力です。建売住宅は間取りの自由度が低いと言われることもありますが、大手ハウスメーカーでは、バリエーションが豊かなコンセプト住宅を建設し、顧客ニーズの多様化に対応しています。
また、大手ハウスメーカーが提供する分譲地は、一戸建て住宅の建築に適した土地です。堅実な土台を造成し、隣接する建物との関係を考慮したうえで、安心して快適に暮らせる家をつくります。より付加価値のある建売住宅を、注文住宅よりも低価格で購入できる点も魅力です。
住宅探しの相談はもちろん、住宅ローンの申込や審査、契約の流れなども相談可能です。それぞれのハウスメーカーごとの特徴や強みは、以下の記事でご紹介しています。
建売住宅の購入は「求める条件」を明確にして後悔のない選択を!
建売住宅は間取りの自由度や外観に個性が出しにくいことなどから「やめたほうがいい」と言われることもあります。しかし、契約前に完成した住宅を見学でき、低価格で購入できるほか、住宅ローンの手続きがスムーズというメリットもあります。
求める条件とフィットした建売住宅を購入すればその後悔は防げるため、建売住宅を購入する際には、事前に譲れない条件などを明確にしておきましょう。
「具体的な条件が浮かばない」「何を基準に判断するといいのかわからない」という場合は、建売住宅の見学がおすすめです。実際に間取りや環境などを確認したり、豊富な知識をもつ専門家に相談したりして、納得のいく建売住宅を選べるといいですね。