
ハウスメーカーと工務店、どっちがいい?7つの違いと後悔しない選び方
ハウスメーカーと工務店の違いが分からず、どちらに家づくりを依頼すべきか悩んでいませんか?それぞれのメリット・デメリットを比較して自分に合った依頼先を検討したいですよね。今回は、ハウスメーカーと工務店それぞれの特徴や、選ぶ際に注目したいポイントをご紹介します。自分に合った依頼先の選び方を確認しましょう。
まずは知っておきたい!ハウスメーカーと工務店の特徴
「ハウスメーカー」と「工務店」はどちらも住宅の建設工事を請け負う業者ですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。まずは、それぞれの特徴を理解して、家づくりの基本をおさえましょう。
ハウスメーカー:広範囲の規模で展開する住宅メーカー
ハウスメーカーに明確な定義はありませんが、総じて部材生産から設計、施行に至るまで、家づくり全般のサービスを提供している全国展開の住宅メーカーを指します。各地域に営業拠点があり、別名「住宅メーカー」「住宅会社」と呼ばれることもあります。ハウスメーカーは対応エリアが広く、さまざまなテーマに沿った住宅商品を多数取り揃えているのが特徴です。
基本的には規格化された部材・建材を使用し、行政から認可を受けた仕様の範囲内で家を建てています。安心・安全な家づくりを目標に、住宅に関するさまざまな実験・商品開発をし、その結果として耐震性能や断熱性能などに優れた住宅が建てらています。研究開発には多額の費用がかかるため、それが建築費に反映される傾向があります。
工務店:地域に根差した家づくりの職人
工務店とは、特定の地域に密着して住宅工事の建設を手がける会社のことを指します。自由度の高い家づくりが可能で、新築だけでなく、増築やリフォームなどの住宅工事を請け負っており、柔軟性を持って施主の要望に応じてくれるのが特徴です。工務店と聞くと小規模というイメージがあるかもしれませんが、全国に営業拠点やモデルハウスがあるビルダーと呼ばれる工務店もあります。なお、工務店は形態や規模によって、次の3種類に分けられます。
種類1:地域密着型の工務店
地域密着型は、拠点を置く市町村に密着して、近隣の住宅施工を請け負う昔ながらのスタイルの工務店です。社長と数名の従業員で対応しているような規模が小さい会社や、家族経営の会社が多く見られます。社長との距離が近いため融通が効きやすく、そのエリアの気候や地盤への見識が豊富だったりするのが地域密着型工務店の特徴です。
種類2:フランチャイズの加盟店
フランチャイズの加盟店とは、本部のフランチャイズが開発した規格や工法、資材を各地域の工務店間で共有し、施工を行うような工務店です。
フランチャイズ型なので、各地域の工務店がハウスメーカーの名前を借りて施工するケースもあります。建築資材などを一括で仕入れるため、コストを抑えやすいのが特徴です。工務店によっては複数のフランチャイズに加盟しているケースもあります。
種類3:大規模な工務店(ビルダー)
大規模な工務店は、ハウスメーカーのように独自のブランドやコンセプトを持つ規模の大きな会社のことです。工務店の中では最も幅広いエリアで営業拠点を持ち、特定のエリアだけでなく周辺地域でも施工を行います。工務店でありながら、住宅展示場などにモデルハウスを建て、担当者が営業活動に注力しているケースが多いのも特徴です。この形態は「地域ビルダー」と呼ばれることもあります。
ハウスメーカーと工務店の違いを7つの項目で徹底比較
注文住宅を検討する際に、ハウスメーカーと工務店のどちらを選ぶと良いのか悩む方もいるでしょう。ここからは、7つのポイントから見たハウスメーカーと工務店の違いを解説していきます。
項目 | ハウスメーカー | 工務店 |
---|---|---|
住宅価格 | 高い | 価格を抑えられる |
施工エリア | 全国各地 | 都道府県内、近隣の市町村 |
住宅プランの自由度 | 低い | 高い |
工期の長さ | 短い | 長い |
施工の品質と技術力 | 平均的に高い | 依頼先によって変わる |
アフターメンテナンス | 安定したサービスが受けられる | 会社ごとにバラつきがある |
倒産リスク | 低い | 可能性はゼロではない |
※上記の内容は傾向を示しており、立地・建築条件によって実際と異なる場合があります。
1.住宅価格:価格差はどこから生まれる?
住宅価格は、どのような家を建築するのかで大きく変わります。同じ土地に同じ住宅を建てる場合だと、工務店の方がハウスメーカーに比べて建築コストを抑えられる可能性が高いです。
ハウスメーカーの場合、全国規模で展開するための広告宣伝費や住宅展示場の運営費用、研究開発費などが建築費に含まれるため、価格が高くなる傾向があります。一方、工務店は建築費に直接関係しない費用が発生しにくい分、建築費を安価に抑えられることが多いです。その結果、建物に価格差が生まれるのです。
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2.施工エリアと対応範囲:全国どこでも対応可能?
全国各地に拠点を持つハウスメーカーは施工エリアが広く、全国どこにでも家を建てられます。地域ごとにモデルハウスを公開しており、実物をじっくり見学することや、家づくりの専門家に気軽に相談することが可能です。住宅展示場に行けば、さまざまなハウスメーカーの情報を一度に集められるでしょう。
工務店の場合は、都道府県内、市内など地元を営業エリアに限定しているケースが多く、地域の風土に適した家づくりを実現しやすいです。ただし、地域密着型であるゆえに広告を出しているケースが少なく、情報収集に困ることがあるかもしれません。地元で評判の良い工務店の情報を知るには、身近な人からの口コミを聞くなど、地道な情報収集が大切になります。
3.住宅プランの自由度:こだわりの家はどちらで実現できる?
ハウスメーカーは、ベースプランにオプションを追加する形で家づくりを進める「セミオーダー住宅」や、あらかじめ用意された複数の住宅プランから希望のものを選ぶ「規格住宅」がメインの商品となります。規格住宅は間取りや設備など選択肢があるため、「どのような家にしたいかわからない」という方におすすめです。中には、完全自由設計の「フルオーダー住宅」を得意とするメーカーもあるので、希望に合わせて選ぶと良いでしょう。
工務店の場合は、自分で一から設計や設備を検討できることが多いです。ハウスメーカーに比べて住宅プランの自由度が高いため、希望する間取りや設備が明確で、細部までこだわりたいという方におすすめです。
4.工期の長さ:いつから住める?
ハウスメーカーの工期は3~4カ月程度が目安で、工務店に比べて短期間である場合が多いです。理由は、設計から施工までがマニュアルに沿って進められるよう、家づくりの流れがシステム化されているためです。大量生産した建材は工場で加工し、現場ではそれを組み立てるだけなので、効率的に作業が進められます。
工務店の場合は、設計や住宅建築にあわせた資材の加工から始まります。住宅プランによって工期が変わることがあるため、ハウスメーカーより工事期間が少し長くなる傾向にあります。
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5.施工の品質と技術力:職人の腕に左右されるって本当?
ハウスメーカーは平均的に技術力が高く、一方の工務店は依頼先によって技術力が変わると言われています。ハウスメーカーのほとんどは自社工場を持っており、規格化された部材や建材を用いて建築を行うケースが多く、品質を均一に保てます。
一方の工務店は、部材の加工から組み立てまでを現場で行うことが多く、大工の技術力によって住宅の品質が左右される可能性が高まります。信頼できる工務店を見極めるには、実際に建てた人の口コミを調べたり、完成見学会に参加して実際の建物の仕上がりをチェックしたりすることが大切です。
6.アフターメンテナンス:建てた後の安心感は?
逆に、トラブルがあったらすぐに駆けつけてくれるなど、地域密着型のよさを活かしたアフターサービスが期待できるのが工務店です。ただし、会社の規模によっては人手不足で担当者が忙しく、対応までに時間がかかる場合があることを念頭に置いておきましょう。
7.倒産リスク:もしもの時の備えは?
経営規模の小さい工務店に比べると、ハウスメーカーの方が経営基盤が安定しているため倒産リスクは低いでしょう。倒産によりサービスが利用できなくなるといったリスクを避けられます。
工務店のなかには、万が一倒産した場合でも、支払ったお金や住宅建築を保証する「住宅完成保証制度」に加入しているところもあります。これにより「お金は払ったのに家が建たない」といった事態を免れることができるので、工務店への依頼を検討する場合には加入の有無をチェックしましょう。
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もっとこだわりたいなら「設計事務所」という選択肢も
ハウスメーカーや工務店以外にも、家づくりのパートナーとして「設計事務所」という選択肢があります。設計事務所は、あなたの理想を形にする専門家である建築士が在籍しており、工務店以上にデザインの自由度が高い家づくりが可能です。特定の工法や建材にとらわれず、中立的な立場から最適な提案をしてくれます。
しかし、設計と施工が分離しているため、建築費とは別に設計料が発生したり、ハウスメーカーのような長期保証やアフターメンテナンスは期待できないケースが多かったりするので注意は必要です。デザインを最優先したい方にとっては魅力的な選択肢の一つでしょう。
あなたはどっち?依頼先を決めるための3つのステップ
家づくりの依頼先には、これまでに紹介したハウスメーカーと工務店、設計事務所があります。どれを選ぶべきか迷っているなら、以下の3つのステップを参考にしてください。
ステップ1:理想の家を具体的にイメージする
家づくりを始める前に、まずは「どのような暮らしがしたいか」を具体的にイメージすることが大切です。
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ハウスメーカーは会社の規模が大きく、保証面も充実しているため、安心して家づくりを進められます。一方、工務店や設計事務所は、ハウスメーカーでは難しいような細かな要望にも、柔軟に対応してくれるでしょう。具体的なイメージが定まっていない場合は、ある程度の仕様が決まっているハウスメーカーの住宅プランから検討を始めると、効率的に家づくりを進められるかもしれません。
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ステップ2:住宅展示場と完成見学会に行ってみる
理想の暮らしがイメージできたら、次は実際に建物を見てみましょう。
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住宅展示場では、さまざまなハウスメーカーのモデルハウスを一度に見学できます。専門知識が豊富な営業担当者から、家づくりに関する具体的なアドバイスをもらえるでしょう。一方、工務店の完成見学会では、実際に建築されたばかりの家を直接見学できます。職人の仕事ぶりや、実際に家を建てた施主の声を聞くことで、ウェブサイトやカタログだけでは分からないリアルな情報を得られます。
ステップ3:契約前に「建築条件付き土地」を確認する
新築一戸建てを検討する際、土地探しから始める方も多いでしょう。土地には、指定された建築会社で家を建てる必要のある「建築条件付き土地」と、そうでない「条件なしの土地」があります。
「建築条件付き土地」を購入する場合、決められた期間内に、指定されたハウスメーカーや工務店で建物を建てることが条件となります。つまり、土地の購入と同時に施工会社が決まるため、自分たちで自由に依頼先を選べません。希望するハウスメーカーや工務店がある場合は、土地探しの段階でこの条件に注意が必要です。どのような条件が付いているかを事前にしっかり確認しましょう。
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安心の家づくりならハウスメーカーへ相談を
家づくりを始めたばかりの段階では、多くの疑問や不安がつきものです。ハウスメーカーは、その疑問一つひとつに丁寧に答え、計画から引き渡し、その後の暮らしまで、一貫してサポートしてくれます。
ハウスメーカーには「費用は高め」という側面もありますが、その価格には、品質の高さや充実したアフターメンテナンスといった、「安心」が含まれています。「失敗したくない」「安心して任せたい」と考えるなら、まずは住宅展示場へ足を運び、ハウスメーカーに相談してみるとよいでしょう。
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まとめ:ハウスメーカー、工務店、それぞれの魅力を理解して最高のパートナーを見つけよう
ハウスメーカーと工務店の違いについて、それぞれの特徴や比較すべきポイントをご紹介しました。どちらを家づくりのパートナーに選ぶべきかは「自分が家づくりに何を求めるか」によって変わっていきます。
「なんとなく安心だからハウスメーカー」「費用を抑えられそうだから工務店」といった先入観で決めるのではなく、間取りや内装の自由度、費用、アフターサービスの充実度など、マイホームに求める優先順位を家族でしっかり話し合ってみましょう。複数の会社を比較検討することで、理想のパートナーが見つかるはずです。