
2階リビングで後悔しないポイント|メリット・デメリットと間取り事例も
「2階リビングの家って本当に暮らしやすいの?」「老後も大丈夫?」そう考えている方も多いのではないでしょうか。この記事では、2階リビングの家づくりに注目し、その特徴からメリット・デメリット、さらには老後まで見据えた暮らしやすい間取りプランの実例、そして建築時の重要なポイントまで幅広くご紹介します。
2階リビングの6つのメリット
リビングルームは家族団らんの中心となる場所であり、生活の中心となるスペースです。以前は1階に配置するのが一般的でしたが、近年では2階に設ける間取りが増えています。では、2階リビングの住まいには、具体的にどのような特徴があるのでしょうか。まずは、2階リビングがもたらす6つのメリットからご紹介します。
1階に比べて日当たりや空気の流れが良い
2階リビングの最大の魅力は、圧倒的な日当たりの良さです。1階リビングと比べて周囲の建物や塀による影の影響を受けにくく、一日を通して明るい光が差し込みます。
特に都市部の住宅密集地や隣家との距離が近い敷地では、この採光のメリットは非常に大きく、リビングで過ごす時間が長い方にとっては嬉しいポイントです。高い位置にあることで、自然な風の通り道も確保しやすく、空気の流れが良いため、心地良い空間を保てるでしょう。
天井高を活かした開放的な間取り設計も可能になる
リビングを2階にすることで、屋根の形状を活かして天井部分を高くしたり、勾配天井や吹き抜けを設けたりしやすくなります。構造的な制約が少ないため、ダイナミックで開放感あふれるリビング空間を実現できるのは大きなメリットです。ロフトとの相性も抜群で、空間をより有効活用できます。
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眺望が良い
2階リビングは、1階に比べて視界を遮るものが少なく、窓やバルコニーからの眺望が良くなります。遠くまで見渡せるため、リビングに広がりを感じられるのも嬉しいポイント。季節の移ろいや夜景など、その土地ならではの景色を存分に楽しめるでしょう。
プライバシーを確保しやすい
リビングを1階に配置した場合、外からの視線が気になり、常にカーテンを締め切る必要があるケースも少なくありません。特に隣家との距離が近い住宅密集地域ではその傾向が強いですが、2階リビングにすることで外部からの視線が届きにくく、プライバシーを確保しやすくなります。
近隣の騒音が気になりにくい
2階リビングなら、周辺の騒音が気になりにくいというメリットも享受できます。1階にリビングを配置する場合、自動車の通行音や人の話し声などが気になることがありますが、2階リビングなら静かな空間を保ちやすく、ゆっくり寛ぐことができるでしょう。
構造的に安定し、耐震性が高くなる
2階リビングの間取りを採用し、寝室や子ども部屋などの個室を1階に配置する場合、家の構造がより安定します。なぜなら、広々としたリビングルームよりも個室の方が、それぞれの空間を作る際に「壁」や「柱」を多く使用するためです。これにより、建物全体の重心が下がり、高い耐震性が得られ、安心して暮らせる住まいとなります。
2階リビングの6つのデメリットと対策
2階リビングの間取りには多くのメリットがある一方で、いくつか注意すべきデメリットも存在します。しかし、これらのデメリットは、建築前の工夫次第で解決できるものがほとんどです。ここでは、後悔しない家づくりのために知っておきたい、2階リビングの注意点とその対策を解説します。
階段の上り下りが大変になる
リビングが2階にあると、どうしても階段の上り下りの頻度が増えます。リビングに合わせキッチンも2階にある間取りだと、買い物からの帰宅時に重たい荷物を運ぶのが大変だと感じるかもしれません。当然、大型家具などの搬入は難しくなる可能性が高まります。
【対策】
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キッチンや洗濯室などの水回りを2階に集約することで、家事のための移動を最小限に抑えることができます。また設置する階段は、勾配を緩やかにして手すりをしっかり設置したり、踊り場を広くとったりするなど、安全で上り下りしやすい設計を検討しましょう。将来的な負担も考えておくと安心です。
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家族の帰宅が分かりにくく、コミュニケーションが減る
1階に玄関や個室があり、リビングが2階にあると、「家族の帰宅に気づきにくい」「1階にいる子どもの様子が分かりにくい」といったデメリットもあります。1階の部屋から直接リビングに上がって来ず、コミュニケーションの機会が減ったと感じるケースもあるため、リビングと各部屋の間取りは、慎重に考えた方が良いかもしれません。
【対策】
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階段をリビング内に設けることで、家族が必ずリビングを通る動線を作り、自然と顔を合わせる機会を増やせます。1階と2階を繋ぐ吹き抜けを設けるのも、声が届きやすくなるのでおすすめです。また、玄関ホールには家族共有の掲示板を置くなど、自然とコミュニケーションが生まれる仕掛けを検討しましょう。
【関連記事】子育て家族にあう間取りとは?注文住宅検討者にオススメの間取り5選
夏場は暑さ対策が必要になる
日当たりが良いというのはメリットである反面、2階リビングは屋根に近いため、夏場はその熱や直射日光の影響を受けやすく、室温が上がりやすい傾向があります。
【対策】
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屋根や壁には高性能な断熱材をしっかりと施工し、窓には遮熱性の高いガラスを採用しましょう。深い軒や庇、外付けブラインド、オーニングなどを設けて、夏の日差しを直接室内に入れない工夫も効果的です。また、リビングの方角や窓の配置、種類を工夫し、風が通り抜けるように設計するのも大事なポイントです。
【関連記事】外断熱・内断熱の違いとは?工法の特徴やメリット・デメリットを解説
1階の部屋は暗くなりがちで音も気になる
2階にリビングを配置すると、その分1階の個室は日当たりが悪く、暗くなりがちです。場所によっては、日照不足でジメジメとした空間となり、結露対策が必要となる可能性もあります。加えて、2階リビングでの生活音(足音、話し声、テレビの音など)が、1階に響いてしまうことがあります。。
【対策】
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吹き抜けや高窓を活用したり、建物の中央に中庭を設けたりすることで1階の部屋にも光と風を取り入れることができます。窓の大きさや配置にも工夫を施し、外部からの視線に配慮しつつ、できるだけ光を取り込む設計にしましょう。2階の床には、遮音材や吸音材を採用したり、二重床にするなど床の構造を工夫したりすることで、音の響きを軽減できます。
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玄関や庭までの距離が遠くなる
リビングが2階にあることで、玄関や庭までの距離が遠く感じられることもデメリットとの一つといえるでしょう。来客時やゴミ出し、庭の手入れなど、頻繁に行き来する際に億劫に感じてしまうかもしれません。
【対策】
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階段の配置を工夫し、玄関からリビング、庭への動線をできるだけスムーズにする設計を検討しましょう。庭へのアクセスが多い場合は、外部に直接出られる勝手口や、場合によってはサブ玄関を設けるのも一つの方法です。実際にモデルハウスなどで動線を体験し、自分の生活スタイルに合っているか確認するのもおすすめです。
防犯面に不安がある
一般的に2階は侵入されにくいと思われがちですが、完全に安心というわけではありません。生活の中心が2階となるため、玄関ドアや1階の窓の鍵を閉め忘れたり、不審者が1階に侵入したりしても気づきにくい可能性があります。
【対策】
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空き巣に狙われないようにするためには、防犯ガラスやセンサーライトなど、入念な防犯対策を検討することが大切。外出時はもちろん、就寝前にも1階の窓やドアの施錠を確認する習慣をつけましょう。必要に応じて、警備会社のホームセキュリティシステム導入を検討してはいかがでしょうか。
【関連記事】新築一戸建ての防犯対策をチェック!空き巣被害から家を守る方法とは
2階リビングで後悔しないためのポイント
2階リビングの家づくりを成功させるには、事前にいくつかのポイントを確認しておく必要があります。ここでは、特におさえておきたい3つの視点を解説します。
敷地条件と周辺環境を確認する
2階リビングの間取りが最適かどうかは、土地の条件に大きく左右されます。一般的に、狭小地や住宅密集地では、日当たりやプライバシーを確保しやすい2階リビングが有効な間取りとされています。
しかし、これらの条件に当てはまっても、周囲の建物の高さ、騒音レベル、将来的な開発計画など、周辺環境によって住み心地は大きく異なります。自身が選んだ土地で理想の2階リビングが実現できるかについては、ハウスメーカーに相談し、専門的な視点から検討してもらいましょう。
ライフスタイルに合わせて動線を考える
2階リビングの間取りを検討する際は、家族のライフスタイルに配慮した動線計画が重要です。例えば、庭を頻繁に活用したいと考えているなら、リビングと庭の距離が離れる2階リビングの間取りは向いていないかもしれません。
また、小さなお子さんがいる家庭では、リビングから目が届きにくい1階への移動が多くなる可能性がありますし、来客が多い家庭では、お客様に2階まで上がってもらう動線を考慮する必要があります。家族の暮らし方や行動パターンをシミュレーションし、2階リビングとの相性をしっかり話し合いましょう。
老後のことも考えておく
2階のリビングへ行く際は、必ず階段を上り下りしなければなりません。そのため、老後の生活を見据えた間取り計画が欠かせません。
老後も快適に過ごせる工夫として、ホームエレベーターや階段昇降機の設置を視野に入れておくのも一つの方法です。新築時に将来の後付けを見据えて、あらかじめ設置スペースや配線を考慮して設計しておけば、工事費用を抑えられる可能性があります。
2階リビングの間取りプラン実例
2階リビングの間取りには、どのようなプランが考えられるでしょうか。ここでは、具体的なイメージを掴んでいただくために、人気のプラン実例をいくつかご紹介します。
プラン1:家事がはかどるよう2階に水回りを集約
「とにかく日々の家事をラクにしたい」と考える方には、2階リビングを中心に家事動線をまとめた間取りがおすすめです。キッチン、洗濯室、浴室などの水回りを2階に集約することで、毎日の洗濯や掃除のための移動が大幅に減り、家事がはかどるでしょう。ただし、2階に水回りを持ってくる分、リビングの広さが制限される可能性もあります。
もし間取りの関係で浴室を1階に配置する場合は、ランドリースペースも1階に設け、洗濯から乾燥、収納までがスムーズに行えるような動線工夫を考えると良いでしょう。
プラン2:階段の設置場所を工夫して生活動線に配慮
2階リビングにする場合、2階へとつながる階段の位置に配慮した間取りを検討しましょう。例えば、2階へ上がる階段を玄関のすぐそばに配置すれば、外出や帰宅時jの移動が短く、効率的な動線が生まれます。また、階段をオープン設計にすることで、階上からの自然光を玄関まで届けられ、明るく開放的なエントランス空間を演出できるのもこの間取りのメリットです。
プラン3:2階リビングとバルコニーをバリアフリーで一体化
近年、人気を集めているのが2階リビングとバルコニーをバリアフリーで一体化させた間取りです。大開口の窓を設置すれば、リビングとバルコニーが繋がり、より開放感のある広々とした空間を演出できます。2階にいながらも自然を身近に感じられるため、外の景色を楽しみたい方や、アウトドアリビングとして活用したい方におすすめの間取りです。
2階リビングが向いているケース・向いていないケース
新築の間取りに2階リビングを取り入れるべきか、悩んでいる人もいるかもしれません。これまでに述べたメリット・デメリットから、2階リビングに向いているケース、向いていないケースのポイントをまとめました。
2階リビングが向いている | 2階リビングは向いていない |
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左記の条件に当てはまる場合は、2階リビングを取り入れることでより快適な暮らしを実現できるでしょう。一方で、右記のいずれかに当てはまる場合は、2階リビングを取り入れることで、家族に不満が生じる可能性があります。1階にリビングを置く場合のメリット・デメリットと比較して、ご家庭の暮らし方に適した間取りを選べると良いですね。
2階リビングのリフォーム費用相場
現在の住まいを2階リビングにリフォームすることも可能です。施工日数は2~3ヵ月が目安で、費用は工事規模や構造で大きく異なります。一部の部屋のリフォームなら約100万円から、水回り移動を含む大規模改修は400万円以上かかることもあります。まずは、リフォーム会社に相談し、詳細な見積もりを依頼してみましょう。
大手ハウスメーカーで理想の2階リビングの家を建てよう
2階リビングのある家を検討しているなら、大手ハウスメーカーへの相談がおすすめです。近年、多くのハウスメーカーが2階リビングの家づくりに積極的に取り組んでおり、豊富なノウハウと提案力で、常識にとらわれない斬新な間取りの家づくりも叶うでしょう。まずは、気になるハウスメーカーに資料請求をしたり、実際に住宅展示場へ足を運んで見学したりして、理想の家づくりを託せるパートナーを探しましょう。
【関連記事】大手ハウスメーカーの特徴を一覧で比較!工務店との違いやおすすめポイント
2階リビングのメリット・デメリットを理解し、後悔のない家づくりを
2階リビングの間取りが持つメリット・デメリット、家づくりで検討すべき大切なポイントをご紹介しました。2階リビングは、日当たりの良さやプライバシー確保といった多くの魅力がある一方で、階段の利用や暑さ対策、防犯面や老後の心配などの懸念点も存在します。家づくりで失敗や後悔しないためにも、これらの特徴をしっかりと理解し、家族の暮らし方に合わせて最適な2階リビングの取り入れ方を検討できると良いですね。